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コスモスの花束を君に

登場人物一覧

チック・シュテル(p3p000932)
赤翡翠

 夏の日差しが照りつけるその日。
 俺――カーティス・アーモンドはチック・シュテルに引き取られた。
 チックは俺と見た目が変わらないような子供だったけれど、俺達を引き取りたいと申し出てくれた。
 俺達というのは、俺ともう一人。コルト・シェーラも会わせてだ。
 アドラステイアで洗脳されていた俺達はチック達イレギュラーズに助け出された。

 ここへ来て二ヶ月ほどは、新しい生活に慣れるのに精一杯で嫌な態度を取ったと思う。
 それなのに、チックは嫌な顔せずに俺達を抱きしめてくれた。
 同じ子供に見えるのに、きっとチックの方が大人で。
 俺達よりも何倍も苦労してるからこそ、優しくしてくれるのだと悟った。
 そこからは、反省してチックの言う事を聞くようになったし。コルトとも仲良くなった。

「ねぇ、カーティス。この先にコスモス畑があるみたいなんだ。一緒に行ってみない?」
「コスモス? どうしてまた」
 二段ベッドの下を覗き込めば、コルトが普段出ささない耳をぴこりと生やしている。
 俺はそれが気になって一段目に降りて、コルトの隣に潜り込んだ。
 ぴくぴくと動くコルトの耳が気になってそっと触ってみる。
「わ!? 何?」
「いや、耳出してるの珍しいなって思っただけ」
「カーティスなら怒らないかなって」
「……怒らないよ。大丈夫。それでコスモス畑に何しにいくんだい?」
 恥ずかしそうに頬を染めるコルトが「あのね」と内緒話するように近づいて来るのを顔を寄せて待った。
「チック君に、コスモスの花束あげたら喜ぶかなって」
「あ……もうすぐチックの誕生日か」
「そう! ね、喜ぶよね」
 きっとチックなら喜んでくれるに違いないと、二人は手を握り額を付けてくすくすと笑い合った。

 ――後日、チックの満面の笑みが見られたのは言うまでも無いだろう。

  • コスモスの花束を君に完了
  • GM名もみじ
  • 種別SS
  • 納品日2022年03月11日
  • ・チック・シュテル(p3p000932

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