PandoraPartyProject

SS詳細

踏み出す一歩目は、未だ遠く。

登場人物一覧

チック・シュテル(p3p000932)
赤翡翠
チック・シュテルの関係者
→ イラスト

名前:ユーグ・ドゥビウス

種族:スカイウェザー

性別:男性

外見年齢:10代前半

一人称:僕

二人称:呼び捨て、君/(敵相手)お前

口調:~だ、~だね、~だろう、~だよね?

特徴:白混じりの黒髪、金色の瞳、小柄、人間不信、強がり

設定:
 チックが嘗て属した一族『渡り鳥』の一人。担う魔術媒体は翠玉の装飾を施した腕輪。
 嘗て自らの同族を数多く殺害した人間種たちへの対応を三種に分けた『渡り鳥』に於いて、彼は現在『中立派』に位置している。
 ――同族を殺してきた人間種たちは許せないが、その復讐心から奴らと同じ存在に堕ちたくはない。
 今彼を中立派に居座らせるのはその一心が故だ。同族の『否定派』とは違い、彼は「憎悪」ではなく「忌避」を選択したのである。

 尤も、その感情を切り離して人間種たちを理性的に判断する視点も、このコチドリの少年は兼ね備えている。
「種族すべてが悪なのではなく、他に仇為す思想を抱く者こそ悪」と言う事実は、彼も先述の惨劇以降、現在に至るまでを生き延びてきて理解できた事柄だ。
 それ故、必要であれば――多少の冷たさは覗いてしまうだろうが――表面上のみの付き合いも不可能ではない。
 見ようによっては「素直になれないだけ」とも十分受け取れるが、かと言ってその態度を和らげるようにと窘められる者も存在しないだろう。
 寧ろ。仲間を多く殺されてなお、彼ほど人間種たちを中立的な視点で見れる存在の方が珍しいのだ。

 ユーグの得手とする魔術は支援と回復(特に後者)である。これは嘗て彼が師事した人間の影響を大きく受けている。
 ジョアン・シルヴェスタ。一族の中でも治癒魔術の才人と言われた彼に教わった技術は、今は未熟ながらもユーグの中で確かに息づいている。
 ……同時に、彼の遺志も。
「誰も怨まず、誰も恨まず」。襲撃した人間種たちから逃げる直前、最期まで彼の傍に居たユーグは、自らの師が己れの弟に向けた最期の言葉を確かに聞き取っていた。
 叶うならば、それを知らない師の弟へ遺言を伝えたいと思いながらも――ユーグは、未だその人に向き合う決意がつかずにいる。
 理由は、ひどく単純なもの。
 その想いを伝えるには、ユーグ自身もまた、人間種たちへの恨みを完全には拭えずにいるのだ。

おまけSS

 現在は深緑に身を置き、妖精たちと友誼を結んでいるユーグは、本人が考えている以上にその魔導の技術が精錬されている。
 これは研鑽の成果自体もあろうが、元より魔術に秀でた妖精たちを交えて行う修行の環境によっての部分が特に大きい。
 ともすれば、近いうちに嘗ての師の技術に追いつくことも可能なのかもしれないが……同時に、それは恐らく「本人にとっては」永遠に訪れないだろう。
 ――今よりさらに幼い頃、憧憬と共に記憶に焼き付けた師の魔術。白く輝き、けれど眩くは無い、暖かな光を振りまく癒しの魔術。
 それは今となって、ユーグ自身の心に『永久に越えられぬ奇跡』であると、半ば刻み付けられているために。

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