SS詳細
怯え、偽り、媚び、それでも。
登場人物一覧
- チック・シュテルの関係者
→ イラスト
名前:プティ゠エンゲルベルト
種族:スカイウェザー
性別:女性
外見年齢:10代後半
一人称:私
二人称:あなた、~様
口調:~です、~ます、~でしょうか?/(時々)~よ、~だわ、~かしら?
特徴:青色の髪、紫黒色の瞳、柔和、親切、やや不安定
設定:
チックが嘗て属した一族『渡り鳥』の一人。担う魔術媒体は瑠璃が嵌め込まれた首飾り。
『渡り鳥』は昔、人間種に因って滅亡の憂き目を見た。その後生き残った者たちの間で人間種に対する在り方を異とするようになった中で、彼女はその中でも人間種に対して友好的な姿勢を見せる『肯定派』の一人となった。
現在は天義に暮らし、人間種との協力関係を築いている彼女は、同じ派閥の者たちにとっては一種の象徴でもある。
青空と白雲を思わせる美しい翼を抱え、物腰穏やかに接するオオルリの女性に対し、他種族たちもまた彼女を良き隣人として捉えている。
――それが、「本人以外にとってのプティ」の印象である。
実際、彼女の存在は外面ほどに清廉ではない。他者と友誼を結ぼうとするその姿勢は、過去に自らを滅ぼそうとした彼らに媚びを売るためであり、また自身の命が脅かされることが無いよう「守りたくなる存在」を演じている為だ。
この辺りのスタンスは、彼女の戦闘スタイル――攻撃に類する魔術を得手とせず、他者への支援や回復に長けている点――からも見て取れる。
見る者によっては、その在り方は姑息にも映るだろうが……彼女が過去に経験した事柄を想えば、それに対して否定的な見解を述べる者は多くないだろう。
現在の彼女の姿は、生まれついでのものではない。
元々の色彩は、凡庸な茶褐色の髪と黒の瞳。それが現在のような蒼穹に似た色彩となったのは、皮肉にも自らの一族を滅ぼそうとした人間種が所以である。
自身を生んだ直後に亡くなった母に代わって育ててくれた父と兄が殺された後、彼女は頼る者も無く、ひとり様々な町村を渡り歩いてきた。
そうして再び同胞たちと見えるまでの間、人間種たちに自らの姿を「以前取り逃がした『渡り鳥』の一人である」と気づかれないよう、彼女は自身の容姿を偽る術を模索し――その果てに発現したのが、自身の体色を変化させられるギフト『虚飾で彩られたカラス』であった。
……現在。既に襲撃者たちの追手が絶えた今も、彼女はそのギフトを介し、憧れていた父兄や愛していた青空の色に自らを染め上げている。
- 怯え、偽り、媚び、それでも。完了
- GM名田辺正彦
- 種別設定委託
- 納品日2022年02月24日
- ・チック・シュテル(p3p000932)
・チック・シュテルの関係者
※ おまけSS付き
おまけSS
『虚飾で彩られたカラス』と言うギフトの命名は、彼女が吟遊詩人の旅人(ウォーカー)から聞いた、異世界の寓話のタイトルから引用したものだ。
自らの姿が醜いと思っていたカラスは、他の鳥が落とした美しい羽根を拾って自らを装い、他の鳥たちの羨望を浴び――けれど結局その羽根を奪われ、元のカラスの姿を晒して侮蔑の対象となってしまう粗筋。
その寓話を自らのギフトに名付けた彼女の心境には、未だ他者に対して偽りの姿だけを見せる、自身の姿への自己嫌悪が受け取れる。
――彼女は未だ、その心を『渡り鳥』にできていない。
自身を狙う狩人から姿を偽り、地を歩くだけの鳥である彼女は、真の意味で空を羽搏くことが出来ずにいるままなのだ。