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琥珀薫風、始動――
登場人物一覧
●
暗雲立籠める嵐の中。吹き荒ぶ風が黒衣をはためかせる。
背には黒く艶やかな翼。そして、不気味に光る琥珀の瞳。
手に滑るは蘇芳の色を映した赤。
死人に口無シ。
嵐に朱が流れ往く――
「近頃、巷で噂されている殺人鬼を知っているかい。吉野」
「知ってるぜ。何でも黒い翼と琥珀の瞳を持ったヤツ何だろ?」
「俺も聞いた事があるな。商人を殺しまくってるんだろ」
浅香灯理、柊吉野、御狩明将の三人が顔を突き合せて、星の社の客間に集まっていた。
遮那は居ない。なぜなら。
「似すぎて無いか? その殺人鬼の容姿」
「明将もそう思うか……だってこの辺でその見た目って言ったら」
「待てよ! アイツはそんな事しねぇだろ!」
殺人鬼の容姿が友人である『天香遮那』に似ているからだ。
――――
――
「僕は君の事が好きなんだ。だから――」
灯理は眉を下げた。琥珀色の瞳を真っ直ぐ見つめて。
「夢の中で歌が聞こえるんッス」
震える鹿ノ子の肩を優しく抱きしめる。
「拙者から流れるこの涙は、本当、なのです」
ルル家の瞳に浮かぶ大粒の涙を掬い。
「ほっほっほ、さあ。お茶を淹れませんとなぁ」
喜代婆はこの時間がいつまでも続きますようにと願った。
「我らは忍。引けぬ戦いもありましょう」
黒影隆元と猿飛段蔵は黒衣を纏う。
「全ては天香の為に――」
月光走る剣身を払い、亡き師を想うは姫菱の花。
絡まる道筋。
光と影の裏表。
――琥珀薫風、始動。
●ようこそモミジーヌの館へ
どうかしら?
今見て貰ったのは予告編トレーラーといった所ね。
よく分からないと言った顔をしているわね。
大丈夫。貴方の悩みはしっかりと受け取ったわ。
その上で、私はルル家さんに伝える事があるわ。迷いの答えね。
『――大丈夫。全て任せてちょうだい』
ええ、この予告編を見て貰えば分かるように、これから琥珀薫風のストーリーが展開されるわ。
これは青い鳥でもお知らせしているわね。
だから楽しみにしていてほしいの。
じゃあ、今回はこの辺で。
また、遊びに来て頂戴ね。待ってるわ。
( ・◡・*)