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モブから見た御天道・タント

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御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの

●はじめに 

 こんにちは。世界を救う『イレギュラーズ』に密着するこの企画。
 今回はきらめく我々の、御天道 タント様について密着取材です。
 ──と言っても、ご本人の取材だけでは得られない情報やモノがあるのも事実。
 そこで、今回はタント様に詳しいという三人の方にお話を伺いました。
 それでは、ご覧下さい。

●農民・クエスの話

 最初にインタビューする方はこちら。
 クエス・ドナ氏、22歳。
 小柄なのに巨大なクワを振るうパワフルな女性だ。
 
 ──初めまして、よろしくお願いします。

「はい、よろしくお願いします」

 ──さっそくですが、タント様とはどのような出会いをされたのですか?

「ええ、あの子は善意で色んな人たちのお手伝いをしてるみたいでしてね。私のところにもそれで」

 ──なるほど。

「このクワで畑を耕して、って渡したら、ヒィヒィ言いながら手伝ってくれましたよ」

 ──え? そのクワですか?

「はい。どうしましたか?」

 ──ええ……?

 彼女の持つクワは一般的な成人男性の体重より重いという。

「試しに持ってみます?」

 ──え、いや、ちょっとそれは。

「はい、どうぞ」

 インタビュアーは渡されたクワを振るうどころか、持つことすら出来なかった。
 タント様──意外と、いやかなり凄いのでは?

 ──ウワアアアァ! 腰がァアアア!!

「あらまあ」

 ──ウッ……あ、歩けない。

「仕方ないですね、これをどうぞ」

 ──これは……?

「私たちの村に伝わる薬ですよ。秘伝のものですから、普段は外部の人には渡さないんですけど……私のせいなので。
 ……そういえばタント様も、いつもは無償で手伝ってくれてたのだけど、ちょっと前にこれを欲しがっていたっけ」

 ──あ、ちょっとラクになりました。

「効き目は抜群ですよ。作り方や材料は教えられないですけどね……フフ」

 ──何か怖くなってきました。ヤバイ薬じゃないでしょうね……?

「あ、そういえばあの子が畑に種を撒いてくれたんですけどね、育ちがとても早いんです。太陽みたいな子だからかしらね……ウチの村に永住してほしいくらい」

 ──えっ、メッチャ話すり替えてくるじゃないですか。

「だってタント様についてのインタビューでしょ。あ、水やりの時間なので、私はこれで。おほほほ」

 ──ちょっと? ねえ、私大丈夫なんですかね? ちょっと??
 
●客寄せ・キウィの話

 次はこの方。キウィ氏は伝説の客寄せと呼ばれている。フリーランスの客寄せだ。
 閑古鳥が鳴くカフェに赴き、1時間で100人もの客を集めただとか。彼の伝説は輝かしい。
 ──そう、タント様が現れるまでは。

 ──こんにちは。今回はよろしくお願いします。

「ああ、よろしく」

 ──タント様との出会いをお伺いしても?

「出会いか。最初はな、俺が雇われた店の、ライバル店の客寄せがアイツだったんだ。報酬も貰わずに引き受けるなんて、甘ちゃんだなって思ったぜ」

 ──はい。

「そこで、客寄せバトルよ。圧倒的な俺の実力を見せつけてやろうと思ってな。可哀想だが、これも仕事だしな」

 ──客寄せバトル is 何。

「まあな、俺だって長年やってんだ、多少の自負はある」

 ──あっ、特に説明無いんですね。わかりました。

「そりゃあ俺は見た目麗しい外見じゃねえが、トークや宣伝力は負けねえ自信はあった。あったんだが──」

 ──まさか……。

「負けたよ。ほとんどの客をライバル店に取られた。まあ……もう分かってんだ、何で俺が負けたのか」

 ──人望か、知名度……でしょうか?

「まあそれもあるだろうが……インパクトだよ。どれだけ軽快なトークや確かな宣伝をしても、圧倒的な衝撃には勝てないんだ!」

 ──……詳しく、伺っても?
 
「ありゃチートだ! だって──物理的に光ってるんだぜ!  
 あんな夜に! ビッカビカ! デコから!! 光が!! くっそお、スゲエ存在感だった!!!」

 ライトアップされたようなタント様の高笑いが容易に想像できた。
 確かにタント様の存在感やインパクトは大きい。人が吸い寄せられるのも理解できる。

「ついでにたくさんの虫にたかられててギャアギャア騒いでたが、それもショーみたいな絶妙な『ツカミ』だった──完敗だったよ」

 ──なるほど……タント様らしいオチです。

「だがな、悪い気はしねえんだ。久しく忘れてたよ、この感覚。いつまでも追われる側だった俺が、あの日から挑戦者ってわけだ」

 ──ようやく、ライバルが出来たというわけですね。

「ああ……だからな、この前アイツに宣言して、焚き付けて来たんだよ。『俺が来るまで、他の誰かに負けるんじゃねえぞ!』ってな」

 ──タント様は、何と?

「そうしたら……『あなた、誰ですの?』ってな……へへ、どうやら驕らずにイチからやり直せって事らしい。ますますアガるぜ!」

 タント様にとって客寄せはお手伝いの一環であり、彼ほど熱心に取り組むものではないようである。
 ライバルとして……いや、そもそも『伝説の客寄せ』として認識されていない彼の明日はどっちだ。

 ──そういえば、お二人は何のお店の客寄せをしていたんですか?

「ん……そういや、言い忘れてたな」

 キウィ氏はインタビュアーに1枚のカードを手渡した。
 描かれている気色悪い花のマスコットが、ニチャアと笑顔でインタビュアーを見ていた。

「花屋だよ。そーいやアイツ、無償で引き受けたって言ってたけど、お礼に何か貰ってたみたいだな。デカい花束抱えてたし」

 ──花屋の前でそんなバトル繰り広げてたんですか? てかキモいなこのカード!

「ハハハ、たとえそのキモいマスコットのキグルミを着てもなお、客を入れるのが俺の仕事だしな」

 ──この、この花のキグルミ着てたの!? ウソでしょ!? 絶対負けた理由これのせいじゃん!

「おっと、俺はまた次の仕事があるから、この辺で。んじゃな!」

 ──あ、はい。ありがとうございました。

●重傷患者・フレデリクの話

 正直に申し上げると、我々は彼に話を伺うのは躊躇われた。
 だが、彼自ら『あの子』の事を語らせてくれと頼んできたのだ。

 天義の騎士、フレデリク・プレザルトン氏。
 あの『天義の事件』にて、深い傷を負いながらも生還を果たした勇敢な騎士である。
 彼は病室で寝たきり状態だったが、ゆっくりと身を起こして、インタビュアーに思いを語ってくれた。

 ──今回はよろしくお願いします。

「こんにちは。よろしく頼むよ」

 ──具合はいかがですか?

「不思議なことに、最近すごく調子がいいんだ。体が痛まない。あの子のお蔭かな」

 ──タント様ですね。

「うん。不思議な子だね。近くにいるだけで、そして声をかけてもらえるだけで、力をもらえるようだよ」

 ──タント様との出会いというのをお伺いしても?

「たまたまこの病院にやってくる事があってね。きっと復興支援活動の一環だったんじゃないかな。僕の病室に入るなり、高笑いしてね……
 『このわたくしがやってきましたわよっ!!』──ってね」

 ──タント様らしいですね。

「……僕はね、あの戦いで内臓も体もボロボロになった。医者も延命が精々だって言うほどにね。
 家族も、恋人も、友人も、皆死んだ。どうして自分が──そうも思った。でもね、あの子はそんな僕に、生きる事を諦めないでと手を握ってくれた」

 ──……。

「あの子が居なければ、僕はとっくに死んでいたと思う。あの子が、生きる勇気をくれた。
 だから、動けない僕が出来て、何かを残せるとしたら──誰かに、あの子の事を話す事だけだったから」

 ──タント様が、あなたの生きる希望になったのですね。

「どうかあの子の事を、こう伝え広めてほしい。『タント様は、太陽のような存在だった』──ってね」

 ──はい、必ず。それが私どもの使命ですから。

 コンコン、と控えめなノックが病室に響いた。

「おや……どうやら来客のようだ」

 ──長くなってしまってすみません。この辺りで切り上げましょうか。

「そうだね……本当はもう少し、あの子の事を話してあげたかったんだけど」

 ──いえ、では。今回はありがとうございました。

「さようなら、お元気で」

 インタビュアーは不審に感じていた。
 彼の家族や友人、恋人は、先の事件で全員喪ったと聞いている。
 ならば一体、誰が彼のもとへ訪れるのか? その答えは、扉を開ければすぐに分かった。
 病室を後にするインタビュアーに対し、きれいにお辞儀をしてみせた小さな影。
 すれ違いざまに彼の病室に入っていったのは、大きな花束とあの薬を手に持ったタント様、その人だったからだ。

●おわりに

 ──インタビューを終えた3日後、フレデリク氏が退院したという報せが入った。
 まるで奇跡だと、医者も驚いていたと聞いた。
 彼をやさしく照らした『太陽』が、その奇跡を引き寄せたのではないか──と、我々は思う。
 我々も確かに感じ取ったのだ。そう、タント様は──まさしく太陽のような存在だった、と。

  • モブから見た御天道・タント完了
  • NM名りばくる
  • 種別SS
  • 難易度
  • 冒険終了日時2019年09月08日 21時25分
  • 登場人物1人

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