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記憶図書館
記憶図書館
登場人物一覧
先が見えないほど大量の本が置かれている建物です。
本棚は非常に多く、しかし人の姿は見受けられません。
形態としては記載されている通りの「図書館」であると思われますが、蓮の花に酷似した植物の浮かんだ水面など、図書館と呼ぶには異質な個所も見受けられます。
目を離すたびに本の位置や内容が変わっており、現在地を見失いやすくなるという報告があります。
名称通り読む人の記憶が書かれている事が多く、どんな内容でも最後まで読みたいという衝動にかられます。
一部本がなく焼け跡だけがある箇所があります。
そこに何があったかの推測は不可能ですが、焼け跡に本が配置されることはありません。
時折視線を感じます。
再度の記載になりますが、人の気配は見受けられません。
■調査結果と、それによる推測
ここに置かれた紙媒体すべてが『触ったものの記憶を映し出す紙』に変質させる能力があると推測される。
恐らくどんな本であろうと、此処に置かれた時点で変質するものと思われる。
ただし、一度『記憶を映し出す』とそれ以降は変化しないようだ。
ここでいう『触ったもの』とは、生物非生物を問わない。
本を棒で突けば棒の記憶、義手で触れれば義手の記憶が映し出されるようだ。
もし迂闊に本にされたくない記憶があるのなら手袋の着用を推奨する。
■追加調査結果
最新の調査では映し出された記憶に一言、コメントが追記されているのを確認した。
また、古い本程内容が薄く、新しい本程内容が濃い傾向が見受けられる。
この図書館には「何か」がある。
更なる調査の中止を提言する。
■追記
本建築物「記憶図書館」の調査中止を承認。
本情報は本時刻以降、機密情報に分類される。