SS詳細
灰色の世界
登場人物一覧
名前:『キラーアイヴィ』フラン・ヴィラネル
種族:幻想種
性別:女
年齢:19
一人称:私
二人称:~さん、あなた
口調:です、ます、ですか?
特徴:男性が嫌い、幻想種以外は敵
設定:
翡翠に存在する古代遺跡の守護の一族の出身。例に漏れず非常に排他的な環境でフランは育った。
それは現実世界のフランの出自と同じだ。深緑も翡翠も何方も『外』を遮断していたのだから――唯一違ったのは、幼い頃の事件への反応だ。
幼馴染たちと村の外で遊んでいたフランは、遺跡目当てにやって来た砂嵐の盗賊達を目の当たりにした。友人を逃し、自身は囮になった。
捕まえられた後、逃げられないよう手足の骨を折られ、縛られた状態で彼女は発見された。村人達は焔の魔法で盗賊を追い返した。
治癒士のお陰で一命は取り留めたが、折られた右腕は治りきる事は無かった。背中には傷を負い、顔には火傷の跡が刻み込まれた。
力は上手く入ることがなくだらりと垂れ下がるだけの無用のものとなる。目深にかぶったフードや長く伸ばした前髪で火傷痕を隠し生きて往く。
そんな状況のフランが治癒士へと憧憬を抱き、その道を志すこともなく。
少女は男を、そして砂嵐を酷く恨んだ。輝かしい未来を一気に台無しにした男達を、盗賊を、砂嵐を許すことなど出来るわけがなかった。
フラン・ヴィラネルは翡翠ではその名をよく知られていた。大の砂嵐嫌い。
森林の守備に配置されるが、侵入者には情けも容赦もしない。安易に命を奪い続けた。それは齢15の頃の話だっただろう。
そうして4年余りの間に彼女は数十人もの命を奪った。国境沿いで見かけた男へと突き立てた凶刃は甘美なる気配を感じさせたのだ。
余りの凶行に翡翠はフランを除名した。ならば、と彼女は国を出た。幻想種の身の上、男達にとっては恰好な餌で有ることをフランは知っていた。
だからこそ、近づいてくる男の手足の骨を折り、自身が生み出す蔦で縛ってから最後に命を奪った。
殺人鬼。男殺し。キラーアイヴィ。
それがR.O.Oのフランの異名である。
現実世界のフランは、賊に襲われて取り留めた命に。誰もを救い、繋げて往く事に感銘を受けた。自身とて救いたいと願った。
それは捻れたように世界を灰色に変化させていた。キラーアイヴィは二度とは笑うことはない。現実のフランの姿を見たならばこう言うだろう。
「幸せそうに笑わないで、私の顔をして」