SS詳細
デイジーの花を差した女
登場人物一覧
名前:デイジー・ベル
種族:屍機
性別:女性
年齢:Unknown
一人称:私
二人称:貴方、〜様、龍成
口調:です、ます、ですか?
特徴:可愛らしい美少女アバター。胸が大きい。龍成はデイジーに対して複雑な思いを抱えている。
設定:
見上げてくるのは可憐な美少女(胸が大きい)だ。
でも、このデイジー・ベル。中身は俺の親友であるボディ・ダグレ(男・胸が大きい)である。
「しかし胸の所の縫い目はどうなってるんだ? これ」
じっと覗き込んでみると察したのかデイジーは顎を上げた。
「そんなに気になりますか?」
「まあな。目立つしな。……ああ、そうだヒイズル用の衣装を見て行かねぇか?」
「ヒイズル?」
大正ロマン。ハイカラ。袴。モガ。軍服。和と洋が入り交じる独特の形式美。
「廻の袴は買ったんだけど。俺のヤツはまだだったからな。一緒に選びに行こうぜ」
「はい」
とことこ付いてくる歩幅がいつもより狭い。やりにくい。
紫の光沢がある軍服に袖を通せば、いつもより引き締まったように感じる。
更衣室から出ればデイジーも丁度着替え終わった所で。
「へぇ。似合うじゃん。モガルだっけ?」
「モガです。お店の人にお任せしました」
縫い目も丁度隠れて見た目が痛くなさそうで何よりだ。
中身がボディだとは知ってはいるけれど、見た目は可愛い女の子なのだから。
それなりのお洒落もしたほうが良い。何故なら勿体ないからだ。廻も可愛いからお洒落をさせている。
「この後どうする? 折角ヒイズルに来たからちょっと見てく?」
「まだ、この辺りは来てなかったので歩いてみたいですね」
「じゃあ、行くか。お手をどうぞ。お嬢様? なんて」
「……はい」
素直に乗せられる手。
周りの店員の視線が突き刺さる。これは振り払えない。
早々に店を出るけれど。手を離すタイミングを完全に見失った。
どうしてこうなった?
歩幅の狭いデイジーに会わせてゆっくり歩く。
手はまだ、繋いだまま。
丁度縁日がやっていた。
渡来品を揃えた露店に、紫と緑の石が嵌められたアクセサリーが目に止まる。
惹かれて手に取ればデイジーも揃いの石を選んだ。
親友同士でお揃いのアイテムを付けるのは、まあ普通だろう。そうに違いない。
暁月と廻もよく揃いで付けてるから。きっと大丈夫。
『菱紫』(ひしむらさき)
ヒイズルで買った龍成と揃いの御守石。菱形の台座に嵌められている。対になる菱緑を龍成が持っている。
おまけSS『だから、きっと――越えてはいけないんだ』
ガラスの向こうのウェディングドレスが視界に入る。
何となく気になって覗き込めばガラスの反射に丁度デイジーの姿が重なった。
白いドレスは黒い髪によく似合うだろう。
「龍成?」
見上げてくるエメラルドグリーンの瞳。
長い睫毛。ピンク色の唇。胸の膨らみ。
それは反則だろう。
中身はボディでも、見た目は美少女なのだから、可愛いと思ってしまう。
でも。
「……何でもねぇ」
帽子の上から撫で回して瞳を逸らした。
可愛いと思われたなんて知ったら、きっと気持ち悪いと一蹴される。
だって、俺達は男で。親友同士なのだから。
廻の時とは違う出会い方をして親友になった。
今度は傷つけたくない。間違いたくない。
やっと手に入れた、大切な親友(ヤツ)だから。