SS詳細
ドゥネーブの咎花
登場人物一覧
名前:ベネディクト・セレネヴァーユ・ドゥネーブ
種族:人間種
性別:男性
年齢:20才
一人称:俺
二人称:呼び捨て
口調:だな、だろう、だろうか?/戦闘時は言い捨て
設定:
青年の名は、ベネディクト・セレネヴァーユ・ドゥネーブ。伝承貴族ドゥネーブ家の嫡男である。
誠実で心優しく、領民を愛する『現実のベネディクト』と似た性格をしていたが、ある日、運命は悪戯に彼を弄んだ。
年の近い姉・ルナが『反転』し、魔に堕ちたのだ。それを特異運命座標は仕事だと直ぐに命を絶った。間近で姉が殺害される現場を目の当たりにしたベネディクトは苦悩した。
穏やかで、拾い子である同居人――妹、と呼ぶのは憚られた――リュティスの事も家族として分け隔て無く接してきた姉の死に、リュティスは酷く狼狽した。
恐慌状態に陥った家族を見詰めている内にベネディクトの精神は耐えきれなくなったのだろう。
誰にでも優しかった『ベネディクト』は形を潜め、荒々しい言葉遣いで慈悲もない戦いを好む様になった。
戦は生きるか死ぬかのみであると言い捨て、敵であれば容赦もしない。優しくしても、世界は簡単に全てを奪い去ると識っているからだ。
だが、己と似た境遇の相手には思う所があり、何時ものベネディクトとして接することもある。
そして、その優しさにリュティスが焦がれていることを知っている。狡い、男なのだ。
リュティスは家族である。彼女から己がどう思われているかは分からないが、彼女から向けられる親愛が『己』を縛る鎖で在る事を知っていた。
彼女を護らねばならないと、その強き意志だけで己を『平常』に縛り付けている。彼女がいなくなれば、己は直ぐにでも魔に堕ちてしまうとベネディクトは気付いていた。
姉を殺した特異運命座標を根絶やしにしたいと告げたベネディクトを抱き締めて「一緒に連れて行って」と懇願したか弱い彼女。
「共に来て欲しい」「復讐しよう」と己が告げたならば、迷うことなく首を縦に振ることを識りながら、彼女の手を引いた。
その心に芽生えたのは家族愛か、それとも恋情かは定かではない。だが、己の死ぬ間際に最後に見るのは彼女の顔が良い、と――ただ、その一心で彼女を地獄へと引き連れる。
進む先に待ち受けるのは悍ましき闇しかないと識りながら――