SS詳細
オフラハティ。或いは、芸術家たちの幸福な破滅…。
登場人物一覧
- セレマ オード クロウリーの関係者
→ イラスト
名前:"画伯"オフラハティ /オフラハティ
種族:悪魔
性別:男性格(悪魔に性別があればの話だが…)
外見年齢:20代半ばほどの男性が描かれている
一人称:我
二人称:貴殿、~殿、~嬢
口調:~である、~だろう、~かね?
特徴:
絵画の中に存在する悪魔。普段は金髪碧眼の貴族男性にも似た姿を取るが、所詮それは彼という存在が“人間”に接触する際に利用する仮初の姿。画風に合わせ、その姿は如何様にも変えられる。
設定:
オフラハティは絵画の中に住む悪魔である。
その本質は狡猾かつ諧謔的である。絵の中から、己を鑑賞する者に語りかけ、ある時は日常的な毒にも薬にもならない、けれどウィットに富んだ世間話などを持ちかける。またある時は、その者の悩みに耳を傾け、その者の望む答えを述べる。
そしてまたある時は、その者に契約を持ちかけることもあるだろう。
「絵画の中は全て我の思うまま。欲しいものは何も見たい景色も、描けばそれが手に入る。けれど、ひどく退屈なのだ」
故にオフラハティは悠久の時間をほんの一瞬彩るための、暇潰しを求めている。それだけは、何でも描けるオフラハティが唯一自由にできないものであるからだ。
契約者へ芸術的な発想と閃きを与え、その者の栄華と衰退を絵の中から楽しむこともあれば、契約者を絵画の世界へ招き入れ、堕落していく様を楽しむこともある。傍から見れば契約者の末路など、破滅以外には予想も出来ないのだが、不思議と当人はそのような未来に思い至ることなどないのだ。狡猾なオフラハティは、言葉の端々に“毒”を仕込む。それはじくりと、カンバスに染み込む絵具のように契約者の心を汚染していく。
そんなオフラハティの目下の娯楽は、現契約者であるセレマ オード クロウリー (p3p007790)の破滅を見届けることだ。セレマはかつての同胞を犠牲にしてまで、オフラハティと契約を交わした。聞けば、オフラハティのほかにも数体の悪魔と契約を交わしているという。
果たしてセレマがどのような結末を迎えるのか。
「セレマ殿が破滅を迎えたその時にこそ、我との契約は果たされる。あぁ、その時にはどんなに素敵な絵具が手に入るのだろうね」
空の絵具壺を手に、オフラハティはほくそ笑む。
絶望の黒か。
憤怒の赤か。
悲哀の青か。
どのような結末に至るにせよ、セレマきっと、さぞ素晴らしい『負の色彩』となるだろう。
- オフラハティ。或いは、芸術家たちの幸福な破滅…。完了
- GM名病み月
- 種別設定委託
- 納品日2021年06月07日
- ・セレマ オード クロウリー(p3p007790)
・セレマ オード クロウリーの関係者
※ おまけSS『白くて綺麗な丸い月。或いは、絵画の悪魔はかく語りき…。』付き
おまけSS『白くて綺麗な丸い月。或いは、絵画の悪魔はかく語りき…。』
暗い部屋。
窓から差し込む月明かり。
『やぁ、良い月夜だなセレマ殿』
壁にかかった1枚の絵画がセレマ オード クロウリーへと囁きかけた。良く磨かれた窓ガラスに映ったその絵には、1人の青年が描かれている。
貴族然とした衣装に身を包んだ、金髪碧眼の画家。それが、いかにも親し気な様子でセレマへと言葉を投げかけたのだ。
「何だい? ボクは今、夜闇に浮かぶ自分を観るのに忙しいんだ」
くだらない話なら後にしてくれ。
吐き捨てるようにそう言ったセレマへ、しかし絵画……オフラハティはなおも言葉を投げ続けた。
『貴殿が美しさや永久の若さに強い執着を抱いていることは知っているよ。かつて、我の契約者の中にも、同じようなことを願った者がいた』
懐かしいな、と。
そう呟いたオフラハティは、まるで詩曲でも謡うかのように“ある男”の物語を語る。
その者は、オフラハティに永久の若さと、無二の美しさを願った。
『その願いは叶うだろう。我は彼にそう言ったよ』
オフラハティは、その者に自画像を描かせた。
以来、その者は決して老いることはなく、それどころか年を経るごとに美しさを増すようになった。
元よりオフラハティの目に留まるほどに才覚に溢れた画家だった彼は、手にした若さと持ち前の画力でもって、栄誉を、金を、女を、望む財の全てを得た。
『そうして、彼は幸せに幸せに永い時を過ごしましたとさ』
「……それで、その者はどうなったんだい?」
セレマの問いにオフラハティは、さも悪辣とした笑みを含んだ声音で返す。
『当然、破滅したさ。彼の代わりに、自画像が歳を取り続けた。彼の不幸は自画像が全て請け負った。そしてある日、メイドの1人が偶然に自画像を見つけ、そのあまりの醜さに庭で焼いてしまったんだよ』
老いと不幸の媒介である自画像が失せ、蓄積したそれは瞬間、男へと還る。
『そうして彼は、数十年分の負いと苦しみを1度に受けて、壮絶な苦痛にのたうち回って息絶えたのさ』
ところで、と。
オフラハティはセレマへ問うた。
『貴殿はどうも、彼に似ている気がするよ』