SS詳細
Poisonous
登場人物一覧
- シラスの関係者
→ イラスト
名前:カラス
種族:人間種
性別:男性
一人称:俺
二人称:お前、テメェ
口調:だ、だろ
設定:
シラスの種違いの兄。輝かんばかりの金の髪を持つ『ある貴族』の血を引く青年。
母『マコ』にとっては愛しい貴族の男性との間に出来た最愛の息子であり、何時か自身らを迎えに来てくれる証として認識されていた。
街の人々は色狂いで夢見がちな母を小馬鹿にし、母が新たに宿した弟(シラス)の事さえも馬鹿にする態度が青年を酷く苛立たせた。
父譲りの才覚で過酷な日々を強かに生きてきたカラスにとって幻想社会の格差にも酷い苛立ちを覚えた。
それは憎悪にまで燃え上がり、彼を取り返しも付かない悪事へと誘った。
カラスにとって年の離れた弟であるシラスは可愛い弟である。だが、母はシラスの存在を良くは思わなかった。
ある貴族の愛妾であった母にとって貴族との間に出来た子たる自身と、身を売りながら何処の誰との子であるかも知れぬ弟。
その処遇は目に見えて違っていたからだ。
弟が熱を出せば、言葉を話せば、母は錯乱して弟の首を絞める。そのたびに、母から弟を取り上げ、護ってきた。
それ故か娼婦やそれに類する女を穢らわしい生き物として認識し、軽蔑している。母のことも『あの女』呼ばわりとなった。
愚かな母親は、何時まで経っても幼い子供のように夢を見ている。
実験のために娼婦を使用し、残酷な死を与えた。外道と呼ばれようとも成り上がる事ができればカラスにとっては構わなかった。
街の人々を、幻想の格差を、愚かな母を、自身を馬鹿にしてきた者全てを見返すためだけに、青年は麻薬に手を出した。
容易く人体を破壊し続けるそれは、次第に母の体を蝕み、壊した。
早く母にも愛想を尽かせ、肥溜めから出て行く事を望んで欲しいと、弟に願いながらも……彼は、何時までも母の為だと身を砕いた。
シラスにとってはどうかは分からないが、『端から見れば』一番に彼を愛して考えていたのはカラスであった。
そのやり口の非道さに、母に対する自身の行いに、『大切な弟』が最後に向けたのはナイフであった。
彼を護りたくて、彼と共に全てを見返したくて。その行動は弟にとっては許されざるもので。
突き刺さったナイフと流れ出る血の感覚を感じながら、最後に弟の姿を見たのは――母の膝の上で子守歌を聴きながらの、その刹那の時間。