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affection

登場人物一覧

シラス(p3p004421)
超える者
シラスの関係者
→ イラスト

名前:マコ
種族:人間種
性別:女
一人称:私
二人称:貴方、~さん
口調:ね、よ、よね
特徴:貴族の愛妾、娼婦
設定:
 マコと呼ばれた女はある貴族の愛妾であった。現在は『マコ』と名乗っているが、女には様々な名前が存在して居たらしい。
 日々の生活の心配をせずに、貴族の男の機嫌を取るだけの日々。それだけでも、女にとっては幸福であった。
 彼女の運命が大きく流転したのは、その胎に命が宿された時である。
 堕ろせ、と。貴族の男は女へと指示をした。余計な跡目争いの火種になる命は必要ない――だが、女は其れを拒絶した。
 男の所有物であった証の紋章が刻まれた美しいネックレスは彼と子を繋ぐ唯一の絆になると女は信じ、スラム街へと逃げ果せた。
 子を産み育てる事は、愛した男と二度と出会う事を禁じる事だと知りながらでも。
 女は、浅はかにも何時の日か彼が迎えに来ると信じていた。

 女には二人の息子が居た。一人は貴族の男の胤により愛の証として慈しんだカラス。そしてもう一人がスラムで体を売り気付いた頃には宿したシラス。
 悍ましい命が宿されたことに苦悩したマコは『決断』することが出来ずにシラスを産み落とした。
 自分に瓜二つの父すら分からぬ息子が母と呼び擦り寄ってくることさえ恐怖の象徴であると、そう認識して。
 シラスが「母」と呼んだ日に、シラスが熱病を出した日に、シラスが……。事あるごとにマコは息子の首を絞めた。
 穢れてしまった己に苦悩して。悍ましい存在が目の前で蠢いている事を怖れて。
 次第に、女の硝子の精神は擦り減った。罅が入った精神を繋ぎ、日銭を稼ぐ為の生業を続けるために女は薬に溺れ続けた。
 質の悪い薬でも、其れさえあれば幸せになれると信じ込んだ母は中毒であった。
 シラスにとって理由はどうあれ、床に臥せる母は酷く病弱で護ってやらねばならない存在だった。
 母と兄のために、シラスは幼い体に鞭を打って働いた。母に厭われて居ようとも何時か愛してると抱き締めてくれると信じて。

 マコにとって、最後まで『シラス』は不要な命であった。
 彼女は何時か白馬の王子様が迎えに来てくれると夢見る乙女のように信じ込んでいたのだから。
 不貞の象徴でもある二人目の子供など、必要なかったのだろう。

 ――そう気付いても。
 質の悪いドラッグで壊れていく母の体を、精神を。
 ひたひたと歩み取ってくる足音を、シラスの『深層意識』は忘れることは出来ないのだ。

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