SS詳細
書架探索のトレジャーハンター
登場人物一覧
名前:リンディス=クァドラータ
種族:人間種
年齢:18歳
一人称:私
二人称:あなた、~さん
口調:です、ます、ですか?
設定:
リンディス=クァドラータは砂嵐に生まれた人間種の少女である。
本を中心に扱い伝承とも取引のあるクァドラータ商会の一人娘であり、幼い頃から書物に携わり続けていた。
珍しい古書を見れば心を躍らし、子供騙しな仕掛け絵本にはあっと驚いてみせる。書物の中に描かれる世界が何よりも愛しくて。
持ち込まれる書籍の鑑定を中心に学んでいたが、其れだけでは我慢が出来なくなってしまった。
「世界にはもっともっともっと本が溢れているのに座して待つだけでは人生が勿体ないでしょう!」
人間種に生まれ落ちたからには幻想種ほど永きを生きれるわけではない。つまり、時間は有限なのだ。
堂々と宣言した後、直ぐに砂嵐の盗賊達に弟子入り志願をし、身を守る術を身に付けた。両親の止める声など利く耳持たずである。
鍛錬も本があれば耐えられた。そして遂には本専門のトレジャーハンターとなったのである。
本があると聞けば危険は顧みずに単身行動。
本と共に蝶よ花よと育てた両親の望みなど識った事ではないと見かけによらず攻撃呪文に特化して、遠近問わずに戦う事ができる武闘派である。
本の為なら野を越え山を越え、それこそ国家も越えて行く。本が報酬のクエストならばどの様な場所でも堂々と進んでいく。
現実世界のリンディスと比べればR.O.Oのリンディス=クァドラータは『本が好き』がピックされ過ぎたせいでお転婆娘である。
――彼女にはある友人がいた。
海洋王国で耳にしたある本を蒐集する際の話である。
『ブラック・ベルベットの花葬』と名付けられたそれを一度で良いから見てみたいと花咲く丘へと訪れた。
金色の髪に黒い瞳、黒い髪に黒い瞳。同じかんばせをした瓜二つの少女。
そして、彼女らが手にしていた絵本こそが『ブラック・ベルベットの花葬』である。
『ビスコ』と『シャル』と名乗ったその二人は本を読ませて欲しいと懇願したリンディスに最初こそは警戒した様子であった。
だが、今は打ち解けて時たまに会いに行く仲となった。今では噂で聞いた御伽噺を教えてくれるとても良き友人なのだそうだ。
おまけSS『黒い花はお嫌いですか』
「この辺りに本があると聞いたのですけれど……」
よいしょ、と体を持ち上げたリンディスの前で黒い背表紙の本を抱き締めている一人の少女が座っていた。
それが目的の本――『ブラック・ベルベットの花葬』であると気付いた時に思わず「あ!」と声が出てしまったのは仕方が無い。
「誰……!?」
「え、だ、だれかいるの?」
驚いたように肩を竦めた黒髪の少女を金髪の少女が護る様に睨め付ける。よくよく見れば二人とも同じ黒い瞳と同じかんばせをしていた。
――それが新たな出会いで『有り得なかった』日常だった。