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終焉の監視者『クォ・ヴァディス』
登場人物一覧
終焉(ラスト・ラスト)はラサよりも奥に存在する混沌世界の深淵である。
それは国ではなく地域と言うべきだろうか……原初の魔種が存在するとも言われる伝説的大地。そこへ足を踏み入れた者はいない訳ではない、が。誰一人として帰還した者もまたおらず、何が潜むやも知れぬ危険地域と言えるだろう。
そんな地の境界の一角とも言える場所にある日、拠点を築いた者がいた。
無暗にかの地に向かう者がいない様に、誤って深淵の口に入らぬ様に。
――それが終焉に接する者達『ラスト・ライン』
或いは
彼らは小さな団体だ。
魔種が伝説的存在であった頃は酔狂家の集まりと思われた事もある。
終焉の地に向かう人間もそもそも多くはないのだ。
あのような所に留まって一体何の利があるのかと……
されど魔種の存在が活発化しつつある現在では少しずつ同志は増えつつあった。
……彼らの目的は大きく二つ。
一つは『向こう側』へ無暗に人を立ち入らせぬ事。
一つは『向こう側から此方へと』踏み入れさせぬ事。
終焉からは『至る』存在もいるのだ……それはつまり魔物。
近年増えている怪王種の様な『強靭なる存在』が時折あちらから来る事がある。
終焉の欠片とも言うべき者達……監視者らはそれらの撃退も使命の一つと抱いている。
例え、このような場所に留まる事に何の意味があるのかと。
ここだけで全てが止められる訳ではないだろうと――
幾度『理』を唱えられようと関係ないのだ。
『理』や『利』でもなく本能的直感こそが彼らを此処に留まらせる。
終焉を覗く者が必要なのだと……
監視者に所属する事に人種や生まれの条件はない。ただただ意志のみを必要とする。
『終焉を覗く者だけが、終焉と対峙する事が出来るのだ』
それが彼らの掲げる理想だ。彼らの旗は其処に在り続ける。
信念と共に在り続ける。
彼らは――