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『瑞刀』
登場人物一覧
名前:
特徴:瑞獣の穢れを内包した宵闇の刀、たったの一振り。神威の守護に包まれた刀身は悍ましき詛いと獣性を一度も感じさせることはない
設定:
神威神楽の
聖獣たる黄龍と心通わせ、瑞神とも友人になりたいと願った
大呪によって産み落とされたけがれの結晶は、神威神楽の守護者たる瑞神の守護に包まれ、その獰猛な獣性を覗かせる事は無い。
悍ましき詛いは国を蝕み、守護者本人をも蝕んだ者であれど、人とともに歩むと決めた瑞神の守護により強固に包まれ綻ぶことはない。
故に、その名を瑞刀。黄泉津瑞神の――吉兆を知らせる瑞獣のひとかけらであると名付ける。
――なんて、格好付けましたけれど。
わたしだって格好付けたいことがあるのです。この様な身になれども、我が身を包んだ詛いは確かに合ったもの。
それを忘れてはならぬのです。忘れてはならないからこそ……わたしを斃すに至った
貴方がわたしに伸ばしてくれた手を、わたしは掴んでみたかった。
この刀は鳥渡した我儘なのですよ。
それが瑞神であった証。
それが瑞神が倒れた証。
シキさま、貴方が誰かを護るが為にわたしの詛いを力とするならば。
それはどれ程に嬉しい事でしょう。
それはどれ程に恐ろしい事でしょう。
いつかわたしの詛いが、貴方を食い殺してしまわぬように――ああ、いいえ、怯えてはいけませんね。
貴方がわたしに食い殺されることなど、ないのですから。
いつだって神たるわたしは貴方方に殺されることを待っていなくてはならない。
……これは我儘です。
此の地よりでれない私を、旅に連れて行ってやくれませんか。
そうして、わたしに沢山の冒険を見せて欲しいのです。それは、わたしより別たれた刀、わたしであった欠片。
どうか――どうか、貴方がわたしと黄龍に見せたいと願って下さった世界を。
わたしのかけらであるその刀に見せて欲しいのです。