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尚も、枯れ続ける鬼芥子
登場人物一覧
名前:
『やさしいあいの』オリエント
名は妹と共に考えたもの。由来はオニゲシの英名。
オニゲシは同じケシ科であるハカマオニゲシ……阿片を産出する種との区別が容易ではない。
自らにつけたその名前は、自身が『毒』と間違われても仕方ないという諦観を交えた意図も含まれている。
一人称:
「僕」。妹に対してのみ「オレ」。
二人称:
「~さん、~さま」。妹には「レイ」と言う呼び名を使う。
口調:
「です、ます、ですか?」と言った礼儀を踏まえた口調。妹に限って「だ、だな、だろう?」と言う口調を使う。
特徴:
スリや鍵開け等、手先の器用さが特徴。但し現在はそれを活かすことは無い。
これは自身の出生を知る人たちに対してそう言った部分を見せれば、何かあった際に疑われるだろうという懸念の為。
設定:
アイラが嘗て、とあるスラム街から買い取ってきた子供の一人。
年齢は14歳。妹が居り、共にアイラの領で世話になっている。
アイラに対する感情は感謝が先立つが、困惑も少なからず抱いている。この辺りは妹よりも大人であり、頭の回転が早いこともあってのことだ。
自分たちはアイラに何を差し出したわけでもなく、自分たちが彼女に買われた時点で未来の価値を示せるものも何も持っていなかったのに。
それでも。自らの声を差し出してさえ、彼女は自分たちの命を救ってくれた。
ならばその為に、将来アイラへ報いることができる存在になろうという向上心は、妹と瓜二つと言える。
……いざと言うときは、その命をアイラに差し出そうという、悲壮な覚悟も。
彼が妹も含めて他者に秘密にしていることとして、毎夜見る夢が挙げられる。
――「どうしてお前達だけが」と。
嘗ての貧民街の家族たちが、自身と妹を引きずり出して、陰惨に殺す夢を。
『家族』と言う呼び名の通り、貧民街の仲間たちとは互いが生き残るために助け合いを行っていた。その過程で情を覚えることも、彼には少なからずあった。
今現在彼が見ている夢は、そうした仲間たちに対する罪悪感が故だ。
実際に『家族』たちがそのようなことを思う筈は無いと頭で理解していながらも、偶然自分たちだけが助け出されたという事実に対する罪の意識は、現在も彼を苛み続けている。
日ごとに摩耗する精神の裡を、しかし、彼は未だ誰にも明かすことは無い。
あまりにも、今が幸せだから。
嗚呼、これは僕に対する『罰』なのだと、受け入れてしまったがゆえに。