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荒天に立ち向かう者
登場人物一覧
名前:『風濤領領主』ウィド・ブリーク
一人称:
「私」。一人称自体に変わりはないものの、相手(また、その態度)によって発音に差異がある。
二人称:
「あなた」。こちらも相手如何によってニュアンスが変わりがち。
口調:
「です、ます、ですか?」、自身の役割に忠実である際は「だな、だろう、なのか?」等、高圧的な口調になる。
特徴:
基本はデスクワークや渉外業務を主とするが、実は戦闘……と言うより、奇襲の技術にも秀でている。
――少なくとも、特異運命座標8人の虚を突き、1人の喉を掻き切ることが可能な程度には。
設定:
幻想首都、メフ・メティート近郊に在る街、通称『風濤領』の領主。年齢28歳。
基本は柔軟な態度を良しとする、物腰柔らかな男性……正確には、そう見える仮面を被っている。
『風濤領』は近隣に貧しい町村が多数存在するため、そういった場所で居場所を失った者たちが職を、或いは慈悲を求めて秘密裏に流入することが多い。
現当主である彼は、そうした者たちへ「断固たる姿勢」を取ることで、領内に於いて増加し続ける他領の貧困層を減少させ、或いは増加を防ぎ続けてきた。
故に、彼が平時の仮面を脱ぎ捨てた姿は、その時垣間見える。
必要であれば情も、倫理すらも投げ捨てる冷徹な本性を、少なくとも彼の地の領民は誰一人知ることは無い。
――却って。
そうした『庇護すべき者』が絡まない事柄について、彼の姿勢は何方かと言うと良識的と言える。
領民が……翻って、実質的に自身が関与しない事態についての反応は淡白であるものの、少なくとも彼がそれに意見を返すとすれば、それは彼なりの温情を伴ってのものであるはずだ。
……尤も、それを受け取った相手の側がどう解釈するかまでは、考えていないが。
×××:
――献身に何の意味があります?
全てを擲ち、救いたい者を救って、そうして傷つく貴方を、貴方の周囲はどう受け取るでしょう?
強欲こそは悪であると、そう考える貴方こそが、実際のところ最も愚かな存在だ。
感情のままに生きると良い。
人が欺瞞と笑おうが、「それでも私は救いたい」と声高に叫んで。
誰かを救う為に理不尽な要求をされれば、そんなものは突っぱねて助けたいように助ければいいのだ。
自己犠牲などと。安易なヒロイズムに囚われ続ける貴方に、だから私はこう問うのです。
「『あなたは、決めたのですね?』」
「『はい』」
……嗚呼。『そうですか』と。