SS詳細
地に触れた赤き羽根
登場人物一覧
名前:赤羽
一人称:俺
二人称:アンタ、呼び捨て
口調:~だロ、~カ? 等、やや発声に難あり
特徴:皮肉屋、生への執着、同時に……それを邪魔しない程度の、些細な情
設定:
『三船大地』と言う器に混ざり合った死霊術師の魂。永劫を求めた『亜屍』の成れの果て――その途上。
他者の身体を収奪し、元の精神を破壊し続けてきた赤羽が、しかし現在大地の身体と魂を同居している理由は二つある。
一つは『混沌肯定:レベル1』による赤羽自身の弱体化ゆえ、今現在に於いて大地を食らうことは可能と言い難いため。
もう一つは、嘗て同じ願い……生への渇望を以て一致した精神が、その混在を可能としていたためだ。
そう言う理由もあってか、赤羽から大地に抱く感情は悪いものではない。
読書家に過ぎる大地に些少の呆れこそ抱くものの、逆を言えばその程度だ。その気質が転じた勤勉さと、生まれ持った誠実さは殊に赤羽の中で評価が高い。
日常で大地と交わす貸し借りは悪友同士のそれに留まるし、大地が元世界の住人――羽切響と再会した際も、大地の心情に配慮して『合わない』彼女に対する悪態は避けていた。
……だが、それは赤羽の真の目的の前には霞む程度のモノでしかない。
魂を遷移し、肉体を奪うことを繰り返す。『偽物の不死』を得た赤羽は、だからこそ『真実の不死』を求めている。
大地の肉体に不老と不死を確立させ、軈てその精神を押しのけて、次こそ心身共に不死者とならなければならない……遷移を繰り返し続けた魂は、最早其れを行えないほど摩耗しきっていたから。
だが、その歩み――大地自身の研鑽による、魔力と知識の底上げ――に対して、背後から追う『影』の歩みはあまりにも早い。
例えば、自分の家のポストに死んだネズミを放る、何処か見覚えの在った少女。
例えば、赤羽の排除を謳う、正体不明の怪物足る老人。
焦燥は赤羽を駆り立てる。肉体の主を一刻も早く昇華させろと。そしてその総てを奪い尽くせと。
また同時に。焦る必要など全く無いと言う声も、赤羽の中には響き続けているのだ。
だって、首狩り兎も、赤の女王も。
自らに降りかかる脅威を、赤羽たちは払いのけることが出来ている。
だから――――――だから。
「焦る必要は無いんだゼ、大地。今のお前は未熟でモ、その伸びしろには期待してル。
ゆっくりで良いサ。俺のために戦イ、相応の実力を身に着ケ……最後にはそのすべてヲ、俺に捧げロ」