SS詳細
流転する月と太陽
登場人物一覧
名前:ロゼット=テイ
一人称:この者・私
二人称:君(きみ)
口調:だね、だよ、かい?
特徴:【眠たげ】【旅人風】【猫系】【スレンダー】【信仰者】【冷静沈着】【お風呂好き】
設定:
ラサの少数民族に於いて、『渡り』と呼ばれる特殊な役目を背負っていたブルーブラッド。
『渡り』とは集落間を行き交う、所謂呪術医。
呪術医のまじないは単純な祈祷や民俗学に基づいた治療法、或いは依頼された対象への呪い等多岐に渡るが、ロゼットが行っていたのはスキルを介した治療行為が主である。
……とは言え、彼女の役目は多くの人々に受け入れられることが無かった。
『渡り』は彼女の居た地域で体面上名誉な役目とされていたものの、その実「不要とされた者」が担う役目であり、それゆえに多くの集落に於いて彼女は住民たちへ暗に避けられ続けていたためだ。
――自らの役目を為しても、誰に評価されることも無く。『渡り』でいられることすら出来なくなれば、即座に殺される境遇。
現在のロゼットが激情とは程遠い性格になったのは、思春期の大半をそうした迫害に晒された影響が多分に含まれていると考えられる。
また、ロゼットは光――特に太陽、月などの天体――に対する信仰が深い人物でもある。
彼女が有するギフトもその信仰に即したものとなっている。……尤も、信仰を得た結果このギフトを得たのか、ギフトを得た結果この信仰に傾倒したのかは本人以外定かではないが。
……信仰とは寄る辺無き者の縁と言われているように、ロゼットの過去は傷に満ち溢れている。
その出生は然る山賊に乱暴された娘から。更に「母親」である娘はその後すぐに死亡し、生まれたロゼットは集落の人間に『人殺し』と揶揄され続けていた。
また、何の因果か成長が停止した自身の外見を忌み嫌われ、『渡り』などと言う役目に縛られた挙句、与えられたのは寸でのところで死を躱し続けただけの日々。
――――――それでも。
それでも、だ。今の彼女は過去と向き合うことを止めることは無い。
『変節者』である自身を、過去の怯懦な少女を、自らの両手で掴んでは決して離さず、「けれど、今を生きよう」と囁き続けて。
そうして、彼女は今も生きている。それは、きっとこれからも。
……未来に眩いばかりの希望の光が在ろうと、一寸先も見えぬほどの闇が在ろうと、その足取りを変えることなく、ただ。