PandoraPartyProject

SS詳細

鮫化生のテレーシア

登場人物一覧

スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
スティア・エイル・ヴァークライトの関係者
→ イラスト

名前:テレーシア(てるこ)
種族:犬
性別:メス
年齢:2歳
特徴:自身をサメだと思い込んでいる
設定:
 彼女はテレーシア。2歳になったばかりのシーズーである。
 彼女は聖都の動乱の際に里親が募集されヴァークライト領へと引き取られてきたそうだ。
 ある日、飼い主と湖に出かけた際に何処からか飛び出した鮫を発見した事が彼女の『犬生』を狂わせた――

 その日からテレーシアは自身は鮫であると認識した。
 それは犬が天啓を受けて鮫になった素晴らしき日である。
 鮫のように悠々と海を泳ぐために自慢の犬掻きを訓練し続けた。今となれば25m位は余裕で犬掻きが出来る。
 鮫のように獰猛に見えるようにと主人が鮫ぐるみを背負わせてくれた。この獰猛さに近所の子供達は畏れ慄き頭を撫でてくれるのだ。
 総ては鮫となるために――何時しか、テレーシアは立派な鮫として日々を過ごすようになった。

 テレーシアには憧れがある。
 それはヴァークライト領の令嬢、次期領主であろうと呼び声高いスティアお嬢様が召喚するサメちゃんたちである。
 彼等のように何時か、召喚陣から出ることを夢見ているのだ。

 ――テレーシア、素敵な名前を付けて貰えたが、何となく本犬は『てるこ』と呼ばれることが多い。
 近所の子供達が皆、『てるこ』と呼ぶ事が染みついてしまったようである……。

補足:
 美しき湖畔に漂う気儘な時間にうつろうつろと眠りの淵へと落ちる一匹に、眠くなったのかいと背を撫でる声がする。
 平穏のヴァークライト領に移り住んだ聖職者だという飼い主はテレーシアがのんびりと過ごせるようにと散歩に訪れたのだろう。
 まだ、幼犬であったテレーシアは大災により兄妹達と引き離され其れ其れが別の場所で生活を営むことになった。その寂しさを埋めてやりたいという聖職者の心使いであったのかもしれない。
 その時――テレーシアは立ち上がった。

 なになに、なにかしら、あれ!

 まるでそう言う様に尾をぱたぱたと揺らし食い入るように何かを見詰めている。

 ねえ、ねえ、あれはなあに? あたし、あたし……あたしはさめ……。

 食い入るように何か――サメちゃんを見詰めていたテレーシアは突然湖へと飛び込んで犬掻きを始めた。
 その時から小さな犬の運命が流転した。これが犬がサメとなった顛末である。

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