PandoraPartyProject

SS詳細

オーディンの涙

登場人物一覧

アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
アーリア・スピリッツの関係者
→ イラスト

名前:ヨナ・ウェンズデー
種族:ディープシー
性別:女性
年齢:28
一人称:アタシ
二人称:アンタ
口調:だね、だよ、かい?
特徴:姉御肌/情が深い/酒豪
設定:
 ヨナは宿敵ヴァナルガンドの子供達を倒したあと、船の上で『話の続き』を語った。
 手にはオズバルド達の遺品を抱え。サックス・ブルーの瞳は遠くへ視線を揺蕩う。

 ヴァナルガンドに堕とされたオーディンは只のヨナ・ウェンズデーになった。
 セシリオに背負われて、陸地まで戻ったはいいものの、左目と右脚を失った代償。
 仲間を大勢失った責任を誰よりも感じていたのはヨナ自身だ。
 夜な夜な激痛に身を捩って、悔しさと申し訳なさにベッドのシーツを握りしめた。
 侭ならない己の身体。精神を蝕む自責の念。
 憎悪に取り付かれていたヨナを救ったのは、セシリオの父親マルシオの一声だった。
「お前さん、歩けるようになったら、うちで働いてみないか。あんたの器量の良さなら直ぐに看板娘にでも成れるだろうさ。一度何もかも忘れちまって他の事に没頭するのも悪く無いぞ」
 海呪の声に引かれる前に、別のことに目を向け己を強くする。
 身体もそうだが、心の部分を癒してあげなければ歪んでしまうとマルシオは心配したのだ。
「それに、お前さんは絶対に死ぬ事ができないんだろ? 仲間の為に生きなきゃならないんだろ? ぐだぐだ泣いてるだけの小娘にあいつらは命を預けたのか? 違うだろ。誇り高きオーディンに捧げたんだ」
 マルシオの言葉にヨナはサックス・ブルーの瞳をあげた。

「ああ、そうだ。この身は北海の猛きノルダインの血を継ぐ戦神オーディンだ」
 大それた神の名前を掲げて、体張って生きてきた。其れにあいつらは着いて来てくれた。
 泣いてる場合なんかじゃない!
「生きて、生きて。這ってでも生きて。必ず迎えに行く。絶対に迎えにいくから。だから!」
 もう少しだけ待っててほしい。
 お前達が愛してくれたオーディンじゃないかもしれないけど、約束は果たすから――

 そして、あの時の誓いを果たしたオーディンは。
 次なる約束をして。また、海を走るのだ。
 散って行った仲間の想いを胸に。サックス・ブルーの瞳は何処までも先を見つめて。

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