ひだまり亭

登場人物一覧

　イーハトーヴ・アーケイディアンはいつもの商店街を抜けて行く。
　いつもの道を通ってみえてきたのは、灰色と茶色のレンガで組まれたひだまり亭。
　ローレットからほど近い場所にあるこのひだまり亭がイーハトーヴの帰る場所。
　このひだまり亭はオブリー夫妻が営む下宿だった。
　建物の隣にある大きな木は太陽の光を受けて温かい木漏れ日を揺らす。
　一階の小さな食堂でまったりしていると、そのひだまりが降り注ぐのだ。
　だから、オブリー夫妻はこの下宿をひだまり亭と名付けたのだという。

　ローレットから近い事もあって、様々な人々がひだまり亭の前を通る。
　純種に旅人。本当に色々な人が居る中で、時たまフラフラと当てもなく漂う物たちが居た。
　覇気も無く、迷子の子供みたいな目で下を向いている。
　そういう危なっかしい人々を食事に誘うのがオブリー夫妻の趣味らしい。
　大抵はお腹がすいているだけだから、あたたかいスープや美味しいご飯を食べさせてあげれば、すぐに笑顔を見せて元気よく旅立っていくのだという。
　けれど、たまにイートハーヴのように危なっかしすぎる子も居るようで。
　オブリー夫婦は彼等が独り立ちできるまで住まわせてあげるのだという。
　独り立ち出来るようになったあとも、オブリー夫婦の元を訪れる人々は多い。
　彼等は優しくて温かい。
　美味しいご飯をたっぷり食べさせてくれる優しい父と母は、今日もまた、新しい子供達がやってくるのを、美味しいご飯を作りながら待って居るのだ。