PandoraPartyProject

SS詳細

終槽

登場人物一覧

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛

 音。音か。音だ。音に違いない。万能と解放の狭間で、脳味噌缶詰どもが『人間』を模倣している。惨々な目玉に遭い続け、落ち込んで、陥り続ける感覚は如何いう事だろうか。俺の周囲で巡り廻っていく紅葉色のクダラナサが吐き気と称される『甘美』を連ねて笑う。嗤う。嘲う。雲泥の差だと決め込んで『諦めた』結果、何方側も泥蜜だと海は啼くのか。泣きたいのは自分の方だし支離滅裂なのは仕方がない。しかし俺は俺に問い掛けよう。此処は何処で彼方は奈落。ああ。何処かの竜に呑み込まれて終えば楽だったのか。何処かの病に融けて終えば楽だったのか。落々極めつけは夕食前で在り、その羊羹は用事を見失っている。いっそ何もかもを投げ捨てて「アハハ」と騒げば好いのだ。なんだか愉し気なタンパクが枕ごっこで遊んでいる。ドンペリ入っても這い寄る事数日間、感覚が麻痺してきて酩酊の逆巻きに圧されて逝く。ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。叩き付けた中身を踏み抜いて三度、見た事もない『暗渠』が俺を誘って在った。なあ。誰だ。誰なのだ。誰なんだ。くすくす笑いの情景が特殊色のかみさまを称えている。けらけらわらいのかみさまが赤色の視野を魅せている。ああ。嗚呼。アア。成程ね。成程々々! これは夢なのだ。俺はなんてひどい悪夢を見ているのだ。堕落と共に呼び込まれた幻覚が『もういいかい』と『もういいよ』とキャッキャしている。猿め。去るのだ、盲目。患いに患った不治の最下、どうか俺をがらんどうだと咀嚼してくれ――うっっっ――ぼろりと落ちたのは臓物なのか胃液なのか精神なのか。ぐずりと喚いている最低が『だだこね』て縋って来た。気分の悪さが外に出る事は有り得ず、難々と震えた膝を抱えてみよう。見様見真似で悪魔とタップ・ダンス。足が交差して交錯してマドラー地獄だ。炒飯の為に用意した具材はそんなにも新鮮な女王様だったのかい。終着? いいや執着だとも。再会? いいや最悪だとも。盛り上がった『愛情』の糞ニガイ珈琲。乾したところで寒気が増すだけの暴力感だ。電気鋸と称されるフシダラが『蓋』を斬り摘ろうと喚いている――愈々現が遠退いて薄れ、半ばの霧中で※※ちゃんを識る。もう帰って来れる気がしない。あの円形の『影』が手と足を縛り憑けて『喜』ている。初めまして怪物、最早引き返す踵は絶えた。祭具として一生を終えるのは『僕』かもしれない。ぐんにゃりとネジ曲がった、額から上の存在……。
 神様の手中で※※ちゃんが踊っている。僕の脳内で※※ちゃんが嘔吐している。誰かを恐れながら※※ちゃんがいきている。こんなにも喜ばしい『抱擁』を僕は知らないだろう。識れなかった蠕動が染み込んで刹那、オクルスの嘲笑が慈愛に想えた。思いが積もれば天にも地にも宙にも届き、繋がったヒラは『全てを嫉妬させる』美しさだろう。ねえ。あの羊羹美味しかったよ。もっと作ってほしい。ねえ。あのお茶は渋かったよ。次は違うものがいい。嗅いだ世界が引いているのは気の所為で、きっと惹かれているからに違いない。なんで※※ちゃんは休んでいる? 顔色が悪いけど大丈夫だろうか。大丈夫だ。少し燥いでしまった所業だと解け、融け出した電気信号がその証拠なのだ。ダラシナクたらした舌の上に蜂蜜が墜ちてくる、微々たる幸せが僕を待っている――※※ちゃん。※※ちゃん。あの管理者の言ってた事は正しいと思うんです。人間はかみさまと一緒に『ある』事でぬくもりを掴むのだ。あの日あの時あの出会い、あの頃から運命は決されていた。暗渠を飛び出してめまいのような豊かさ、錯だなんて描写しないでくれ。繰れていく星々が『乾杯』を嗜んでみえた――珈琲を苦いと思わなかったのはいつぶりだ。ぐるぐるした液体のハミダシ加減が僕を譬えている――むぅ、と、膨らんだ頬を突き出して。もう一度。もう二度。もう三度。満足するまで好きにしてほしい。塩と砂糖を間違えても蘇り方は同じだと判断したのだ。そぅれ、死んでいても生きていても、蜘蛛の色は真っ白に染まっている。ぶちゅぶちゅとヒシャゲタ汁っぽさが臓腑を濡らしていただろう。袋小路にしゃれこうべは似合わない。似合っているのはすっからかんのツギハギ額だ。並ぼう。並ぼう、並ぼうよ。※※ちゃん――水槽の中には夢も幻も注がれない。円筒の中には水も土も赦されない。在るべき儘在るが儘、ママ毎に付き合ってよ――嗚呼。そんな。逃げるなんて。避けるなんて。照れ隠しが上手いね※※ちゃん。ドリンクバーに連れてってくれたなら、特製ごちゃまぜ飲料水をご馳走してあげるよ。勿体ない? 冗談だよ冗談……冗談だもん……だから変な格好しないで……あ……もしかして頭以外にあたった? 申し訳ない脳味噌以外は考える巣窟なのに。さあ改めて『始めようか』※※ちゃん。外宇宙じみた声色が、跳ぶ猫が如く及んでいる。潤々と溜め込まれた漿液がびちゃびちゃとはねていく。おいで。おいで。神様の手招きは大成功だ。
 二人の水槽は要らない。二人の円筒は要らない。楽譜も歌も円形も要らない。要るのは吹き出した思考の泥水で、ただ無気味に混濁し遭うのみ。一緒だ。これで※※ちゃんといっしょだね【僕】。深淵。深淵だと。そう記す事も出来ない、暗渠の外への安寧だろう。不定形は定形を得、鉛筆の先がごっそりと盗まれているような気分だ。両者ともに荒れ狂う『人間』へと身投げして、否、脳投げして永久。最終的な『線』もしくは始発的な『点』へと到達する。ふるふると動かした二個だったものが一個に添えられ、カオスの中心へと飾られて彩り――灰色のポカン正が発揮され、素晴らしい、不完全ながら【僕】らは玉座に腰下ろした※※ちゃん……知れなかった痴れ方がカタカタと同化している。ペアリングは何処につけると最高だろうか。勿論※※ちゃん、一緒に突き刺されば完璧だろう。そうだと思うよ※※ちゃん。ところで僕は何方だっただろう※※ちゃん……まあ落ち着いて何者かのバッジを齧々した。きっと【僕】は※※ちゃん※※ちゃんは【僕】だ。この状態を如何やって名状しよう。ハイドラは――首だけが。頭だけが。水面を回転しているのか――違うよね。違うとも。だったら【僕】はニンゲンだ。
 外部からも内部からも脱する事は出来ないする気力もつもりもない。そもそも現実とは今の事だろうかみさま。【僕】はいつだって幸せでこれからも悦びの奴隷なのだ。いちばん。一番。イチバンだ。世の中の誰だって【僕】を越えられない。最大二リットルまでのドバドバもこの暗黒式には入れ混めない。ほら見て、あっちに楽しそうな袋小路が在るよ――わぁい。わぁい。手を伸ばそうとしても足を伸ばそうとしても【僕】がなくなって久しいの忘れていた――忘れていた方が万歳な『楽園』グロテスクの欠片も見当たらない。もう何も考えたくない【僕】『僕』……ああ。ああああ。アアアァア? 俺々々々々……ああ。※※ちゃんなんで顔を出したの息苦しかったの? ほら頭だった場所引っ込めて続きを始めるよ。かくれんぼしましょう、十数えてね。いち、に、さん、し……。

 ふれる。ふれた。何度も何度も【僕】の顔のカタチ。べたべたと石膏を塗りたくるように、幾度も幾度も【僕】の貌のユガミ。腕も表も目もただのびっちょり脳亡盲奏――オマエらは夢の中か胎の内、蹴り退ける術を殺されていた――デート・スポットのミソ。

  • 終槽完了
  • NM名にゃあら
  • 種別SS
  • 納品日2020年10月25日
  • ・寒櫻院・史之(p3p002233
    ・冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900

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