PandoraPartyProject

シナリオ詳細

コールド・ゴースト・レディ

完了

参加者 : 5 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●女と好々爺

 35度を超え、陽炎も現れるような猛暑日に、その背の高い女はゆらりと立っていた。
 色白で美しい容姿ではあるが、どこか不健康そうな雰囲気である。
 寒そうに手先を擦り、誰かを待っているのだろうか。
「誰か、この手を温めてくださらないかしら……」
 このような晩夏の昼間にどんな戯言を言っているのだろうか。
 そんな風にさえ思ってしまう、茹だるような暑気だ。
「お嬢さん、このような暑い日に寒いとは、何をおっしゃいますやら」
 通りすがりのゆったりと歩みを進めていた好々爺が、その女に話しかけていた。
 好々爺からすれば何気ない一言だったのであろうが、女は悲しそうにする。
「おかしいですよね。実は極度の冷え性で……あとは」
 好々爺に女は触れようとする。が、
「ほら、このように擦り抜けてしまうのです」
 さすがの好々爺もこの状況には目を見開いた。
「お前さん……、もしや」
 そう続きを言う前に、好々爺はぐらりと意識を失ってしまう。
「みなさん、そうやって意識を失ってしまうのです」
 女はまた悲しそうに、しかし口元は弧を描いていた。

 この噂は町全体に広まった。
 ──十番道路のバス停に、冷え性の女幽霊が存在する。
 その女に関わった者は必ず冷え性であることを伝えられるが、幽霊である事実を知って気絶する。
 果たして、この噂は本当なのか。
 端から聞けばそんなに怖くもなさそうなので、この幽霊に会おうとする者は少なくなかった。
 しかし、ただの人間では同じことの繰り返しで。
 いつしか、その女幽霊に出会うと意識を保っていられない、という内容になっていった。

 女幽霊はただただ困っていた。
「いつの間にか心霊スポットみたい言われて……悲しいわね」
 私はただ、この手を温めてほしいだけなのに。
 やっぱり普通の人間に頼むのは良くないのかしら?
「動物も、気配だけで逃げられてしまうし……この存在の仕方も困るわね」
 願わくば、この冷え性体質を治してくれる万能なお医者さんとか。
 ……はたして、いらっしゃるかしら?


●存在を実体化するもの

「女幽霊からの依頼……これはまた、変わってるわね」
 アンナ=クリーヴランドはゆらゆらと揺れながら、彼女からの依頼を眺めていた。
「たしかあの世界は特殊な『お香』を使えばゴーストを実体化できるとかできないとか」
 そんな有益な情報を特異運命座標《イレギュラーズ》に伝える。
 お香というと神社仏閣だけでなく、最近は日常生活でも使われるようになってきたが。
「でも、あの町に存在するかしら? 探してみるのもアリかも……」
「改めて、任務の成功条件を。彼女の手を温めるか冷え性を治してあげること」
 簡単ではあるけど、お香を使うならそれを探す方が大変かしら。とアンナ。
「大丈夫。私が提供する任務はこなせるものばかり……健闘を祈っているわ」
 アンナはいつもみたく皆を安心させるような激励を送った。

NMコメント

 こんにちは、NMの悠空(yuku)です。
 今回は冷え性な女幽霊を温めてくれる、もしくは冷え性を治してくれる人を探しています。
 幽霊はいますが、まったくホラーではありません。むしろコメディです。
 おもしろおかしく盛り上げてくれる方、しっかり対処してくれる方、何でもありです。
 隅々まで楽しんでくださると、幸いです。
 
●世界説明
 時間軸は晩夏の猛暑日
 女幽霊のいるこの町は、神社仏閣が多いことで有名
 特殊な『お香』を使えば、幽霊の類を実体化できる

●目標
 女幽霊の手を温める
 冷え性を治してあげる

●他にできること
 特殊な『お香』を探す
 神社仏閣スポットのお参り
 老舗の立ち並ぶ商店街でのショッピング

●サンプルプレイング
【その1】
 さて、と。
 お香でゴーストが実体化できるとは便利な世界だな?
 とりあえず、お香を探すか。話はそこからだ。
 冷え性には食べ物のショウガが良かったか?
 ならば特製スープでも作って、内から温めてやろう。
 それを続けてりゃ、そのうち冷え性もマシになるだろう。
 あとは簡単にだが、神社でお参りして町探索でもするか?
 
【その2】
 冷え性ですか、それはさぞ大変お困りのことでしょう。
 まずはお香を探しましょう。由緒ある神社仏閣あたりが怪しいですね。
 冷え性には漢方も効くと聞きました。
 漢方屋があればそこに買いに行くのも手かと。
 もしもないようであれば、簡単に作ってみるのもアリでしょう。
 こう見えても調合の技術は備えております。
 ……ついでに老舗の商店街に行ってもいいでしょうか?
 気になる物があれば、ぜひ持ち帰りたいので。

  • コールド・ゴースト・レディ完了
  • とある町の心霊スポット?
  • NM名悠空(yuku)
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2023年08月22日 22時05分
  • 参加人数5/6人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 5 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(5人)

ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)
極夜
シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)
ロクデナシ車椅子探偵
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
三鬼 昴(p3p010722)
修羅の如く
ナイアルカナン・V・チェシャール(p3p011026)
気紛れ変化の道化猫

リプレイ

●まずはお香を探す

 一行は幽霊に会う前に、まずはお香を探そうという話に向かっていた。
「こういう幻想的要素が絡む物は、神秘を取り扱ってる場所にあることが多い」
 『極夜』ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)が言うと、皆もそれに頷いた。
「それにしても幽霊が冷え性、ね……ボクの知人にも手が冷たくなってしまっている者が居るよ、ボク自身も冷え性気味なのだが。ここは一つ、冷え性の治療方法を調べて持ち帰るのにも、良い機会かもしれないね」
 『ロクデナシ車椅子探偵』シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)はそう言って、自分の糧するにもちょうどいいと考えているようだ。
「動物も逃げるのなら、近場の猫に温めてもらうのも難しいか」
 『気紛れ変化の道化猫』ナイアルカナン・V・チェシャール(p3p011026)は言って、考える素振りを見せる。
「冷え性程度であれば簡単に治せるぞ。冷え性の原因は主に二つ、血行不良と筋肉の不足だ。これをどうにかすれば冷え性はなくなる」
 『修羅の如く』三鬼 昴(p3p010722)は堂々とそう言い切った。
「まぁ、まずはお香を探さないことには実体化しないから何も出来ないからな」
 『狂言回し』回言 世界(p3p007315)は言って、皆の考え事をまとめる。
「そうだね。たしか神社仏閣を回ればあるかもしれないんだったね?」
「大きな神社や有名な神社を聞き回るのもいいが、こういうのは案外地元の人間の方が知ってるかもしれないぜ?」
「……なるほど」
 ペッカートの意見に、シャルロッテが静かに頷く。
「猫の【ファミリアー】を使用して、五感共有して探すこともできるよ」
「ではそれに合わせて俺の【直感】で特殊なお香を探そう。それでも見つからなければ再検討ってことで」
 ナイアルカナンはファミリアーで捜索、その他メンバーは商店街で地元民に聞き込みを行うことにした。
 ──1時間後。地元民に聞き込みを行っていた、ペッカートから「アタリ」を引いたとの連絡が。
「あぁ、幽霊を実体化するお香? たしかここから15分ほど行った所の神社にあったと聞いたことがあるよ」
 信憑性には少し欠けるが、無いよりはマシな情報だろう? とペッカートは言う。
「だったら、ナイアルカナンにその神社を捜索してもらおう」
「任せて」
 ナイアルカナンは言って、例の神社に鳥を向かわせる。
「くんくん……何だか匂うね」
 五感共有をしているナイアルカナンにはその場所に匂いを感じている。
「特殊なお香が出してるのかい?」
「それに似たような匂いではあるね」
 ナイアルカナンはそのまま続けて、
「このまま盗んでもいいのかな?」
 もちろん、あとでちゃんと返却する前提だけど。と言う。
「盗む、か。なかなか面白ェな」
 ペッカートは楽しくなりそうだと喜んでいる。
「拝借するっていうんだよ、そういうのは」
 良くない言葉をシャルロッテが言い換える。
「じゃあ拝借しようかな」
 言って、ナイアルカナンは鳥に指令を送る。
「……倉庫から、こっそりとね」
 どうやら拝借することに成功したらしい。
 しばらくしたら鳥がこちらまで持ってくるよ、とナイアルカナンが言う。
「じゃあ、ここからようやく本題だな」
「冷え性を治す方法か。温めるのが一番、とは言うが」
 世界はそう大まかにを言ってみる。
「やはり筋肉の増強、活性化がいいだろう。というワケで、筋トレだ」
「でも、幽霊に効くのか?」
「実体化すれば人間も同じじゃないのか?」
「うーん……」
 そこがわからない。
 なぜなら、幽霊を実体化なんて皆初めての事例だから。
「でもボクたちの感覚で考えれば、いけるとは思うんだ」
「だが俺たちの感覚がこの世界の正解とは限らないだろう?」
「まぁ、幽霊が実体化する時点でかなりネタだから面白ェけどな!」
 ペッカートは楽しそうにしている。
 そうこう言っている間に、ナイアルカナンの鳥が例のお香を持って戻ってきた。
「はいはい、ご苦労様。これが特殊なお香みたいだよ」
「見た感じは普通の香炉のようだが……?」
 世界は全体をゆっくりと眺めてみる。
「あ、これがお香なのかな。心霊スポットで使ってみようか」
 鳥が一緒に持っていた棒状の線香に、シャルロッテが気がつく。
「よし、これで準備は整った。あとは噂の女幽霊に焚くだけだ」
 これにて、準備完了。
 一行は商店街から離れた、心霊スポットと呼ばれるバス停に向かうのである。


●そのとき、女幽霊は

「あぁ……冷えるわね。真夏なのにこんなに寒いなんて、おかしいわ……」
 女幽霊は、またしてもバス停で両手を擦っていた。
 相変わらず、この暑さでは異様な光景である。
「見つけた、女幽霊さん」
 世界がそう言って、女幽霊にまず声をかける。
「あなたがたは……?」
「女幽霊君の冷え性を治しに来た救世主、にしては大袈裟かな?」
「私の冷え性、治してくださるの?」
「その前に、このお香をかいでもらうがな」
 目前にもわもわと広がる煙と、不思議な香り。
 うっすらとしていた女幽霊の姿が、くっきりと一行の視界に映るようになる。
「消えかけていた脚が、はっきりと」
「効果は抜群のようだな!」
「では、【資料検索】をしてきたボクの出番だね」
 言って前に出たシャルロッテは人差し指を立てて、説明を始めた。
「……ふむふむ、まずは食生活をしっかりと整えたまえ。ビタミンEや鉄分を意識すると良い。冬野菜は体を温める効果が高いという傾向もみられるようだね?」
「なるほど、食生活……それなら実体化している今にした方が良いかしら? 普段は食べることなんて出来ないから」
「これは今後も継続しないと意味がないと思うんだが」
 世界が冷静に突っ込んだ。
 うーん、そうか。と納得したシャルロッテは次なる項へ。
「だったら生活習慣を整えたまえ、早寝早起きだ。……幽霊がか? どうなんだ、幽霊は早寝早起きしても問題ないものなのかね……?」
「人とは時間感覚が違うのか、私はあまり寝るという行動はしないですね……消えはしますけど」
 これも方法としては微妙な様子だ。
「また適度な運動も良いようだ。筋肉は熱を作り出すものなのだから、適度に筋肉をつけたまえ」
「ならば、早速筋トレといこう。運動をすれば一時的に体温が上昇して血行も良くなるし、筋肉がつけば長期的に見ても改善を期待できる」
 ここで昴が意気揚々と名乗りを上げる。
「私はあまり筋肉がないのですが……大丈夫でしょうか……?」
「何事も継続が大事だ。気合いと根性で為せば成る!」
「は、はぁ」
 気圧される女幽霊。
 しかし、ここから昴の勢いが止まらなかった。
 まずは基本の腕立て腹筋背筋スクワットからだ。
 各1000回を3セット!
 私に続け! イチ、ニ、サン、シ!
 この時点で常人の域を超えている。
 女幽霊および昴以外の四人も何とか続いていくが、
「キツいと”思えている”内はまだまだ平気だ」
 そのうち何も感じなくなるがそこからが勝負!
 意識が朦朧としているなかでも体を動かし続け、限界を超えて自分を追い込んでいけ!

 ……さて、ここまでで準備運動は終わりだ。
「こ、これで準備運動!? 嘘でしょう!?」
 女幽霊も昴の超絶ハードなプログラムに、さすがに泣きそうになっている。
 なお、他のメンバーもぜえぜえと息を切らしている。
「10分ほど休憩したらランニングに入る。最初だし軽めに100kmくらいから──」
「ストップ! ストーーップ!」
 ペッカートがさすがに音を上げたのか、制止をかける。
「何だ、まだ休憩が足りないのか?」
「違う違う! 何これ、新手の拷問!?」
「いや、ただの準備運動だが……?」
 ペッカートの本気のツッコミに天然で返す昴。
「いや、昴はそうかもしれないけどさ!?」
「た、たしかにこれは筋肉が付きそ……いや、いきなりは壊れる!」
「ここまでついてきた猫たちも猫たちだけど、ね」
 自然とツッコんでしまうシャルロッテ、そしてぽそりと言うナイアルカナン。
「はぁ、はぁ、思わず死ぬかと思いました」
「いや、女幽霊さんはもう死んでるんだって」
「で、でも結構、ぽかぽかとしてきました」
「初日はこんなところか、本当は食事に関しても指導したいところなんだが……」
「そ、それはご勘弁を!」
 女幽霊は割と本気で昴のその計らいを丁重に断っていた。
 一方で、世界は次なる策を考えていた。
「……焚き火、は周りへの深刻な影響が予想されるからなぁ」
「それはかなりまずいと思うよ。この世界、今真夏だし」
「うーん。じゃあ、やっぱ直接手を温めるしかないか」
「ならば女幽霊君……どれ、少し手を出したまえ」
「は、はい」
 シャルロッテに言われて、女幽霊は手を差し出す。
 すると、シャルロッテが女幽霊の両手を包み込む。
「手が冷たくなる知人にはいつもこうしているよ」
「人のぬくもりを感じたのは何十年ぶりかしら」
「どれ、俺もさらに上から」
「では、猫も」
 ペッカートとナイアルカナンもシャルロッテの上から包み込んで、さらにぬくもりが増す。
「物理的に温めるのもそうだが……人と触れ合うとストレスが減るらしいよ?」
「そうなのですね」
 感心する女幽霊。
 しかし、彼女の身体にも徐々に変化があって……。
「って、暑っ!? この世界はなんと暑いのでしょう!?」
 実体化した彼女の身体がようやくこの真夏の世界に馴染んだらしい。
 彼女の冷え性は治ってはいないが、全身で寒さを感じることはなくなったようである。
「……ところで、実体化はいつまで効果があるんだ?」
「うーん。長くても1時間のようだね」
「じゃあ、また冷え性が戻るってことだね」
「簡単な話だ。幽霊に戻ろうとも筋トレを継続すればいい。今日は準備運動だけだったからな。何ならメニューを追加すればいいだけだ」
「ま、まだ諦めていらっしゃらない……!?」
「当然。明日も明後日も明々後日も、冷え性が改善するまで毎日来るからな。一緒に頑張ろう!」
「き、厳しい!」
 昴はやる気に満ち溢れているが、女幽霊はその意気に戦慄していた。
「ま、まぁ……この感じだと昴の筋肉強化プログラムが一番効果的か?」
「そうだね。消えていても、脚はあるみたいだし」
「内からの発熱が効果的といえば効果的だからね……?」
「まぁ、がんばれとしか言えないな」
 というワケで、冷え性が治るまではしばらく昴が女幽霊の面倒を見てくれようだ。
 果たして、女幽霊の極度の冷え性は筋肉強化で改善されるのだろうか?
 
 数ヶ月後、アンナ=クリーヴランドに一通の手紙が届いたという。
『昴さんの筋肉強化プログラムのおかげで冷え性が改善されました』
 アンナは驚いた様子だったが、今回の任務は成功だったと言えよう。
 ──筋肉、恐るべし。

成否

成功

状態異常

なし

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