PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<孤樹の微睡み>冒涜者たち

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 『それ』はずっと飢えている。
 生まれ落ちた瞬間から樹としての存在を完成させていたそれは、しかし地面から栄養を補給することができず、代わりに無造作に歩き回ることが出来た。
 『それ』は最初から自身の特性に気付いていた。栄養源は、人間か動物。しかも死体であれば最上、生き残っているなら衰弱したやつがいい。
 幸いにして、混沌は混乱のるつぼにあり、失われた命を探すのなど簡単なことだった。取り込み、奪い、再現する。樹でありながら人の手足を生やすその姿は、誰がどう見ようと、何の解釈を試みようと、「ただただ、化け物」だったのである。
 この異常存在に限った話ではないが、終焉獣は遂行者の手を離れた。
 それはコントロール不可能な自立兵器、或いは自走の地雷を撒き散らして放置するのと変わらない。
 そしてその終焉獣は深緑の領域へと至り。
 『その地』へと、踏み込んだ。


 深緑に遂行者達の手が伸びた。周知の事実だ。
 綜結教会と呼ばれる勢力が、終焉獣を伴ってとある場所を通過する形で進んでいる。遺憾ながらも「よくある話」で、冷静に対処すれば問題ない。
 だが、目撃情報と勢力総数、経由地を確認した時点で、『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)は何とも言えぬ感情を隠さず、表情を引き歪めた。何の変哲もない、深緑のいち区画。整備が行き届いておらず、そこから生きて出る者はいない……いなかった、地域。そこは『命脈の垓(はて)』と呼ばれていた。
「終焉獣、『ワールドイーター』の出来損ないともいえる存在を伴い、綜結教会……練達でセミナーを開いていた連中の同胞が深緑を移動しています。その途中に『命脈の垓』と呼ばれる、というか呼ばれていた場所があるため、そこを叩きます」
 パパスは周辺地域の簡略な経路図とその地域がマーキングされた地図を指し、依頼に参加する者達に告げる。彼女をよく知る者であれば、各国の上層階級者や『あそび』の少ない依頼以外で、常日頃の崩れた口調ではない姿は若干珍しく映っただろう。そんな感情が乗った視線を受け止めたパパスは、不機嫌そうな表情を見せた。
「……私情7割、現実問題3割といったところですよ、この依頼は。この場所は、かつて……幻想や練達の言葉を借りるなら『姥捨山』に似た場所でした。捨てられた者達が集落を作り生き延びたのも、練達の映画と似ているフシがあります。それをローレットが壊滅させた」
 淡々とした口調で惨劇の引き金を引いた事実を話され、近々にローレットに参画した者達は驚いたかもしれない。ローレットの立場を知ったれば、驚く話でもないか。
「現状は粗末極まりない廃墟が立ち並ぶ放棄区画ですが、その時回収されなかった死体などが十二分に残っています。終焉獣の特性からすると、これらを取り込み強化される可能性……と、もう一つ懸念があります」
 言葉を切ったパパス、その額に青筋が浮かんでいるのを、果たして何人が気付いたことか。口から漏れた呼気には、確かな怒気が混じっていた。
「この終焉獣が、取り込んだ死体から人間の紛い物を生み出し……『ローレットが介入しなかったこの地』、捨てられた者の楽園という『確定未来』を再現し、のちに遂行者が神の国を降ろす可能性。そんなものは、私には、決して、許せない」

GMコメント

●成功条件
 敵戦力の排除(特に終焉獣だけは撤退でも失敗)

●終焉獣『万手毒樹』
 太い幹を持ち、その幹のあちこちから生物の手足を生やした歪という単語で足りない存在。移動手段は根の裏にびっしりと生えた足によるもの。
 死体喰らいを主としますが、瀕死や自分で動けない人間などは総じて捕食対象。
 食べれば食べるほど強化されていきます。また、強い悪意を持つ者がこれに近づくと「この樹(こ)を育てねば」という強烈な保護本能にかられ、より終焉獣の捕食対象を増やそうとしてきます。
(最終的に腕などをベースにコピーを増やし、この地帯を人間の紛い物で埋め尽くす可能性もありますが、万一失敗した場合くらいでしょう)
 HP・防技がそこそこ高く、腕の数からしてEXAが高め。攻撃対象の悪名の総量に応じて攻撃威力やCT率が上がります。
(名声との足し引きではなく、各国のマイナス値の合計で算出)
 基本的に中距離までを中心に単体~範囲攻撃を行い、BS付与を主体とします。

●量産型天使(通常型5、怨念型カスタム1)
 綜結教会が所有する、つぎはぎだらけの邪悪で歪な生物です。カスタム型は肉体の何割かが透明化しており、怨念で繋ぎ止められてる様子です。
 あまりの気色悪さに激しい不快感を催し、視界内(レンジ1以内)にいる場合、ランダムで【不吉系列】を付与されることもあります。
 また、遠距離からの治療やBS回復、バフを行うことができ、怨念型カスタムはそれらが出来ない代わりに【呪い】【致命】【呪殺】をいずれかランダムで発生させる強力な単体攻撃を放てます。

●アサクラ隊×10
 新皇帝派残党で、現在は綜結教会配下となっています。
 練度はそれなり高く連携もしっかりとってきます。NORMAL相応ではありますが、気を抜けばあっという間に重傷に追い込まれる可能性も十分あります。
 基本武装は自動小銃と大ぶりのナイフ。遠近どちらもいけます。

●パパス
 友軍。それなりに同行したりしているのでレベル帯としてはローレットの中央値やや上くらい。耐久は平均よりやや上、神攻に優れ治療をメインとします。
 使用武器はスリング。怒り付与なども任意で行えます。

●戦場『命脈の垓(はて)』
 既出シナリオ:『欲望・絶望・引導』『垓の慟哭』(割合胸糞なので読むのは推奨しません)
 ざっくり言ってしまうと深緑にかつて存在した『不具の幻想種を捨てる為の場所』です。粗末ながら集落となっていましたが、イレギュラーズによって全滅の憂き目に遭い、その後故あってここで戦闘が起きています。
 その後深緑の混乱などを通してほぼ廃墟と化しており、ここに来ること自体がパパスの精神性を著しく悪化させているのが傍目にも分かるくらい露骨です。まあ鏖を手引きしたの、彼女ですからね。
 五体満足な肉体は残っておらず(というか2年半前なので白骨が一部残るのみで)、住民もおりません。
 当たり前ですがほぼ未整備区画なので足元の安定性も、木々による闇の深さも、状況としてマイナスに働きます。

  • <孤樹の微睡み>冒涜者たち完了
  • きっとこれは、私怨でしかない。
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年08月11日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
彼者誰(p3p004449)
決別せし過去
ロレイン(p3p006293)
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
佐藤 美咲(p3p009818)
無職
マリオン・エイム(p3p010866)
晴夜の魔法(砲)戦士

サポートNPC一覧(1人)

パパス・デ・エンサルーダ(p3n000172)
ポテサラハーモニア

リプレイ


 打ち捨てられた深緑の果て、誰も顧みることのない廃墟群。或いは、不具の者が新たに生まれれば顧みられることもあろうか……世界に数多存在する『当たり前』を突きつけてくる光景目掛けて進んでくる終焉獣は、あきらかに理性というものを失している。多くのイレギュラーズは、終焉獣がこうして暴走に至った経緯は知っている筈だ。
「終焉獣が遂行者と共にいないのは珍しいわね」
「今となっては珍しくもなんともありませんよ。各地に現れた終焉獣は、制御を逸したものがあまりに増えている。今にはじまった話でもないということです」
 ロレイン(p3p006293)は今般の鉄帝、ラサ、そして深緑への同時侵攻で起きている自体をそう多く知る立場にないと見え、想定外の事態に首を傾げた。『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)は情報を多く見聞きする立場上熟知している為、彼女の知見の浅さにはどう思うでもなく首を振った。知らぬことは恥ではないのだから。
「でもあの樹、ちょっと育てて見たいと思わない? ……思わないか。育てたいって思ってるってことは会長が誰かのためになりたいって思ってること。それ自体がおかしいよね? おかしいんだ」
「たとえ 救われるべき人々が ほろんだのだとしても……それを 呼びおこそうだなんていうのは 死の 冒涜ですの。おかしい こと ばかりですの」
 姿を表した終焉獣、その偉業の樹木を見た『嘘つきな少女』楊枝 茄子子(p3p008356)は一瞬、保護欲じみたものを覚え、しかし己にあるまじき感情を即座に振り払った。歪んでこそいれど正しい自己分析ができている、その一点に於いて彼女は優秀なのだろう。茄子子の言動ばかりではなく、目の前で起きるすべてがおかしい……『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)は今まさに行われつつある冒涜へと強い否定を向けた。汎ゆることが、等しく冒涜だ、と。
「我 フリック。我 フリークライ。我 墓守。死 護ル者。死者 眠リ 妨ゲル者 許スコト無シ」
「ああ。……もう随分と時間が経ったが、再び来たからにはこの地はこの歴史のままにあるべきだ。『場所に罪を押し付けるな』、だったよな。色眼鏡を書けて物事を判断すべきじゃないんだ」
 『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)は『墓守』である。死者を弔うことを第一とする存在にとって、この地、そして此度の敵は容認されざるものであることは疑う余地もない。その静かな不快感を肌に受け、『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は過去にこの地で聞いた言葉を反芻した。パパスの言葉ではない。彼女が同伴させた盲目の幻想種が、酷く冷たい声で反駁したものである。
「……あまり縁はありませんでしたが、深緑にもこのような深い場所があったのですね」
「こう言うのって、因果は巡るって言うのかな?」
「因果を押し付けられるのが殺して回った側だとすれば、間違っていません。怠惰との動乱でも無視されつづけた奥底は、誰憚ること無く地の果てなのですからね」
 『決別せし過去』彼者誰(p3p004449)と『双影の魔法(砲)戦士』マリオン・エイム(p3p010866)は荒れ果てた周囲の状況、そして一通り聞いた話を総合し、この状況の原因をなんとはなしに理解した。ここに追いやられた人々が死んだことが、終焉獣が強化される一因になるなら。或いは、一度でも足を運んだことがその運命の巡りに足を踏み入れることになったならば。誰がどう見たって、ローレット・イレギュラーズにこそ、その引金が握られているといえようか。パパスが苦い顔をするのも頷ける。
「パパス氏ー。この間居酒屋行ったらポテサラに黒糖入ってたんスけど、あれってパパス氏的にはどうなんスかね?」
「……今この状況には何ら関係の無い問いです。それでも敢えてというなら、『それも自由』ですよ。ふざける余裕があるとは驚きましたよ、佐藤。それとも、『砂糖』だけにそろそろ私からの正しい呼び名が恋しくなりましたか」
 そんな中、『おせっかい焼き』佐藤 美咲(p3p009818)は冗談めかしてパパスに話しかけた。律儀に、しかし明らかに苛立ち混じりに返ってきたその言葉に、「……ふざけてるのかって言われてもこの状況だからふざけてるんスよ」と美咲は気にするでもなく言葉を続ける。
「…私の関係者に結樹 誓って女がいまして。奴は早急に死ぬべきクズにしてグズだと思ってまスが、数少ない評価点がありまして……あいつ、インスタントキャリアの使い方が上手いんスよ」
 その女、結城という人物は自らの過ちを「今の自分」に置き去りにして「次の自分」に切り替えるのだという。血で汚れて使い物にならなくなった衣類を捨てるように。そのやり方の是非は兎も角、物事の切り替えという点ひとつは参考にすべきなのだろうか?
「私は切り替えが上手な方だと思いますが?」
「いや……機嫌が最悪になると地金が出るし上手ではないだろ」
「会長、パパスくんのことは詳しくないけど正常だって言ってる人ほどイカれてるのは知ってるよ」
 パパスのムッとしたような反駁は、しかしイズマと茄子子に即座に否定された。どうやら、本人が思っている以上に周囲には不機嫌に見えているということだ。
「ローレット一因ダト言ウノナラ 尚更責務遂行」
「そうね。歴史は再現するだけがその価値じゃない。遂行者が手ずから神の国を作り出すまえに、ここで止めましょう」
 淡々と語るフリークライに応じ、ロレインも身構える。相手がどう出るかは未知数だが、遂行者への強い敵意は確かなようだ。
「そこの連中、邪魔をするなら排斥対象だぞ! 分かっているのか!」
「それは此方の台詞ですよ。蛮行に手を染めるのが信仰だと言うなら、ここで終焉獣共々止めますよ」
「わたしの覚悟を ここで証明しますの」
 終焉獣とともに現れたアサクラ隊の頭目は、陣を敷いて待ち構えるイレギュラーズを見咎めると銃を構え通告する。イレギュラーズにとってみれば、羽虫の羽音よろしく鬱陶しいだけの囀りだ。
 ノリアの挑発に乗った終焉獣が、彼女へと狙いを定める。先行しようとするそれをカバーリングに回るアサクラ隊と天使だったが、想定外を前提に動く彼らと、狙い通りに立ち回るイレギュラーズでは行動の精度が違う。
 初動の差は明らかだった。


「私を見てくださいまし。あなたたちを倒す顔です」
「先ずは敵を分断する……! そっちに大きく飛ばす! 彼者誰さん、無理だけはせずに!」
 ノリアの側へと狙いを定めた終焉獣に追従すべく、アサクラ隊が、そして更に天使が彼らを追従せんとする。が、アサクラ隊はイズマの音響波によって吹き飛ばされ、めいめいに廃墟や樹を背に叩きつけられた。衝撃自体が傷を生むことはないが、空白が生まれた思考に、彼者誰が向けた挑発は静かに染み入った。畢竟、アサクラ隊の猛攻を彼が受けることになるわけだが、パパスは彼の近くに回り込み、治癒術の準備に入っている。
「ノリア氏に注意を向けた時点で、もう私達の策に巻き込まれてるんでスよ。色々仕込んでるみたいっスけど、だから何だって話で」
「動けない相手なら、マリオンさんでも当てられる……よね?」
「問題ないでしょう。木人を打つようなものです、おそらく」
 敵勢力が終焉獣から離れたのを見て、美咲と連携を取ってマリオンとロレインが左右から打ち掛かる。攻撃の精度は相応、美咲の一撃で反撃の余地を許されぬ相手は、なるほど木人の喩えも妥当だ。だが、敵もさるもの。両者の攻撃を当たりどころをずらしたのか、強烈な攻勢を前にしてなお余裕を崩さない。反撃が行えぬ事実に些か不機嫌そうな空気が漏れるが、すかさず近場の天使が駆けつけ、治療を施す。
「ン。天使 フリック 引キ受ケル」
「お願いするっスよ、私もこっちでそこそこ『やらかした』方なんで、どこまで足止めできるか自信ないスから!」
 そちらに狙いを定めたフリークライが天使を引き付け、役割を果たさせまいとする。フリークライ自身も終焉獣に向かう仲間を治療する役割を兼ねる為、容易なことではない。それに、本人の言う通り美咲はそれなりに、ローレットで汚れ仕事に立った方。終焉獣が攻守ともに『致命的なタイミング』を引き出せるのであれば、彼女はすこぶる相性が悪い。攻勢の軸である彼女が、だ。
「此方の処理が終わるまで手こずっても恥ではありませんよ。真に厄介なのは天使ですから」
「そんな 言われ方をして はいそうですかとは いきませんの……!」
「まあ、そうね。負担をかけてばかりもいられませんもの」
「そんなこと言う余裕あるなら大丈夫だね。まだ敵残ってるんだから、ほらもっと頑張れ」
 気合を入れ直したノリアとロレインの声に、茄子子は満足げに治癒術を向けた。終焉獣はかなり押され気味ながらも反撃の糸口を見つけるべく動いている。強力な存在であるのは疑う余地がないが、しかしイレギュラーズの治癒術師の層が厚いのも事実だ。彼女の自負通り、軽々に命を投げ出すような行為に走らなければ、戦線から放り出されることはあるまい。


「あっちは人手が足りてるんだ、万に一つもあいつが逃げる場所はない! お前達も、確実に倒す!」
「あちらの方が間違いなく多勢なので、こちらに回してほしい位ですが……!」
「弱音を吐く訳にもいかないでしょう……状況が厳しいのは同意しますが!」
 イズマ、彼者誰、そしてパパスは天使達とアサクラ隊を抱え、それをせき止めていた。結果として終焉獣側に向かってしまったフリークライが戻らぬ限り、この状況は続く。
 そして、よしんば帰ってきたとしても多勢に無勢、その前に殲滅力が拮抗するのだ。一般的なイレギュラーズ程度の治癒力は持ち合わせるパパスだが、明らかな疲労が浮かび始めている――ここは、不利を覚悟で一歩引き、戦線を纏めるべきか?
「させる、か……!」
 彼者誰の踏ん張りが足りなければ、或いは戦場は瓦解し敗北も肌一枚の先にあった。
 イズマの魔力効率が低ければ、或いは魔力の枯渇があり得たかもしれない。
 ここに、パパスを配置するという判断を彼らが失したなら、そしてフリークライが戻らなければ、治癒と傷との押し合いは不利であっただろう。
 仮定の積み重ねでこそあるが、敗北するための準備は整っていたというほかはない。
 それでも彼らが持ち堪えたのは、すべての『もしも』が起きなかった故である。
「……全く、三対十五はやりすぎでスよパパス氏。死に急いでたっスか?」
「私ではなく、この状況を産んだあなた達が……ですがね」
 気が抜けるような声とともに、美咲が背後から天使を叩き潰す。樹上を跳ねて移動する様はもはや猿かなにかだが、実力は確かなものである。彼女がこうして向かってきたということは、つまりだ。
「こっちは二人倒れちゃったけど、少し気を抜いた隙に一気にやられたから会長でも無理だったよ。代わりに、あの変な樹は気に食わないから引きちぎったけど。皆が」
「ここからは わたしも 抑えに回りますの……! 残りは少ないし 大丈夫ですの」
 ……彼女らは、被害はどうあれ終焉獣を討ち果たしたということになる。
「人々ノ 骨 見タ。フリック 死者 悼ム」
「今更の話ですが、それもいいでしょう。……丁度、彼らがしぶとくて苛々していたところです」
「ン。天使ノ残リ 抑エル」
 不満げな声を上げつつも安堵が混じったような声だった。パパスの表情が帯びた色が、険よりもなお穏やかだったのを見たフリークライは、残った天使を己の側へと引き付ける。見るだに狂気を催すものだが、その肉体に『不快感』は届くまい。
「この地で待ち構えたということは、ここの悪評を知っていたということだろう、イレギュラーズ! この地に対し詫びのひとつもないというのか?!」
「……泣いて詫びて許しを乞うて、ここで殺した人、死んだ人が戻るのか? 積み重ねてきた罪をここで懺悔しただけで拭えるのか?」
「少なくとも、この地の罪は『確定未来』で拭えわ゛っ」
 残ったアサクラ隊の一人が何事か反論を行おうとした。だが、それはどうにも要領を得ず、聞き苦しい言い訳でしかなかった。イズマはすべて聞き終えるよりも先にその頭部を魔術で吹き飛ばすと、人の気配が今度こそ消えた『命脈の垓』を見た。
「ン。今回戦イ 遺体放置一因。埋葬火葬水葬等シテイタラ 遺体食ベル困難or時間カカッタ。手段ハ 深緑ノ流儀ヲ外ス」
「なら、敢えてすべて一つの穴に纏めてしまい、火をかけましょう。上手くいくかはわかりませんが、埋め火というやつです。弱く長く火をかけつづければ、骨も砕けましょう」
 フリークライが回収したアサクラ隊、天使、そしてこの場の命の残骸は、大きな穴にまとめられ、火にかけられた。どこから取り出したのか、木炭をばらまき薄く土をかけることで徐々に熱を帯びる地面から、薄く煙がたなびいている。
 その細い、糸のような煙が向かうのは果たして、天国か地獄か……。

成否

成功

MVP

フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守

状態異常

ロレイン(p3p006293)[重傷]
佐藤 美咲(p3p009818)[重傷]
無職
マリオン・エイム(p3p010866)[重傷]
晴夜の魔法(砲)戦士

あとがき

 NORMALであったことが、大きいと思います。
 お疲れ様でした。

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