PandoraPartyProject

シナリオ詳細

百鬼夜行は始まらない

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●人がいねぇのですわ!
「はぁ~~~~~~? お前マジで言ってる?」
 月明りの下での穏やかな雰囲気に似合わない大声が上がった。声の主は真っ白い骸骨。カタカタ音を鳴らしながら首を三百六十度ぐるりと一回転させている。
「ホントなんだってば、そう言ってたんだよ」
 対して、そんな骸骨に小さな体をさらに小さくして答えているのは二足歩行のネズミだった。人間の子供程度のサイズで浴衣を着ている。
「今年みーんな向こうの国に行っちゃうんだって!」
 それを聞いて骸骨は頭を抱えた。向けた視線は今二人がいるところからは少し離れた丘の上に。そこは月の光とも星の光とも違う輝きが集まっていた。楽しそうな光、そう、お祭りの光だ。
「どうすんだよ、もうすぐ祭りだぞ? 準備も終わってるのに来る人がいないってことじゃねーか!」
「お客さんないなったね?」
「そういう問題じゃねーよ!」
「だってぇ、人がいないんじゃ僕だって宣伝しようがないよ」
 はぁ……と二人分の溜息が重なった。

●お祭りを楽しみに行こう!
「お客さんがいなくなっちゃったみたい」
 行政も大変だよね、と続けながら『ホライゾンシーカー』ポルックス・ジェミニがやってきたイレギュラーズを前に言った。

 彼女の説明によると、もともとこの世界は『陽の国』と『陰の国』に分かれており二つは行き来できるわけではないらしい。
 陽の国がいわゆる普通の人間の世界。陰の国は陽の国の死者が渡る国であり、人ならざる存在も住む国なのだそうだ。ただ、年に数日の間だけ陰の国の人が陽の国へ遊びに行くことができる日がある。
「誰かの言葉を借りるならお盆ってやつが近いかな」
 死者は当然として、元々陰の国住まいの人たちも興味本位で遊びに行きたい日々になるのだ。しかし、陰の国全体で向かってしまえば陽の国はパンクしてしまう。なので本来は人数制限をかけ、申請を出して受理された人だけが行けるようになっていた。
 そのはずだったのだが、陰の国の取り纏めが大ポカをやらかし、人数制限なしで申請書を全部受理してしまったのである。その結果、陰の国の人の大半が陽の国に行くことになってしまった。

「移動による国同士の混乱はお互い何とかするってことでまとまったみたいなんだけど、そしたら人のいなくなる陰の国で別の問題が起きちゃってね」
 元々、陽の国に行けない人たちの為にこの時期は陰の国でも大きなお祭りが行われることになっている。しかし、今年に限っては『陽の国に行けない人』がいないのだ。
「お店や催し物はたくさんあっても、楽しむお客さんがいないって状態みたい」
 このままでは祭りが祭りにならない、ということで話が舞い込んできたらしい。
 じゃあどうしたらいいのか、という視線に彼女は笑って言った。
「連れて行ってあげるからお祭りを楽しみましょ。あなたたちはお客さんなんだから」

NMコメント

 心音マリでございます。一風変わった夏祭りのシナリオです。
 普段着でも浴衣でもどうぞ気にせずお越しください。
 こちらは一章で完結予定です。

 また誰かと一緒に参加されたい場合は【お相手のお名前+ID】か【グループタグ】の記載をお願いいたします。はぐれ防止にご協力くださいませ。

●舞台
 死者や妖怪などの人ではない存在が住む国『陰の国』です。服装は和洋交じり合っていますが全体的に和風の雰囲気が強めです。
 常に夜で月と星が輝いています。
 本来は静かなところですが、お祭りが開催されているため珍しくにぎやかです。が、お客さんの姿は規模に比べてだいぶまばらです。

●目標
 お祭りを楽しむ。
 お祭り会場を巡って楽しみましょう。それだけでみんな嬉しくなります。
 案内役として人魂さんがそれぞれ付いてくれますので迷子も一安心。

●できること
 ・屋台を楽しむ。
 たくさんある屋台を巡って楽しみます。
 よくある食べ物の屋台から、吸血鬼の血液ジュースなんかの食べられるのかわからないゲテモノ料理の屋台まで食べ物は色々です。
 人魂さんが皆さんに食べられるか判断してくれるのでご安心ください。
 警告されたけど食べてみたい? お好きにどうぞ!

 また他にも火の玉掬い(ヨーヨー掬い)や鬼の目玉掬い(スーパーボールすくい)、逆鱗当てゲーム(的当てゲーム)といった似てはいるけど見かけない不思議な屋台もあるようです。

 ・催し物を見に行く
 祭りの中央は広場になっていて、いろんな催し物が行われているようです。
 のど自慢にマジックショー、怖い話を語ったり、演奏したり。たくさんの出演者が次々現れ楽しませてくれるでしょう。
 また飛び入りも歓迎しているので我こそはという人はぜひ一芸、いかがでしょうか。

 ・化け狸探しに参加する
 催し物の一つに化け狸探しというのがあります。
 お祭り会場内のあちこちに隠れた化け狸を見つけると屋台の食べ物ひとつと交換してくれるチケットをくれます。せっかくですし探してみましょうか。
 ヒントは狸の尻尾で、必ず無機物に化けているとのこと。

●サンプルプレイング
【1】
 いろんな屋台がありますね。たくさん食べ歩きができますよ!
 あれもたべて、これも美味しそう、これは……人魂さん、ダメですか?
 食べない方がいいのもあるんですね、残念。


 それでは皆様のご参加と素敵なプレイングをお待ちしております。


どこに行く?
 どこで楽しむか選んでください。

【1】屋台を楽しむ
 たくさん出ている屋台を巡ります。おいしそうなものからゲテモノっぽい料理まで。似てるけど少し違う不思議なゲームもあるよ。

【2】催し物を見に行く
 広場で行っている催し物を見に行きます。もしくは飛び入り参加して盛り上げてみましょうか。

【3】化け狸探しに参加する
 お祭り会場に隠れている化け狸を探しに行きます。見つけてもらった交換チケットの使い道を考えるのもいいですね。

  • 百鬼夜行は始まらない完了
  • 死者や妖怪たちの世界で夏祭り
  • NM名心音マリ
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2023年08月10日 22時00分
  • 章数1章
  • 総採用数2人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
闇と月光の祝福

 ゆったりと歩く『溶けない結晶を連れて』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)をあちこちから視線が追う。そんな視線に嫌な感じがしないのは誰もが嬉しそうに見えるからだろう。
 歩きやすく、歩いている人も屋台の人もほとんどが見た目でわかる程度には一般的な『人』ではない。だからこそジョシュアはホッとしてもいた。ここならば自分の正体を気にすることもないからだ。

 そんなジョシュアは屋台の間を歩きながら化け狸を探していた。
「確か、尻尾と無機物がヒントでしたね」
 呟きながら見渡す。耳には祭りの喧騒以外の音は入ってこない。匂いも違和感はない。
「あれ?」
 お面を売ってる屋台の横を通った時『それ』が目に入った。
 それは小さな狐のお面だった。だがよく見るとなぜかこのお面だけ横から狸の尻尾が生えている。
「化け狸様、ですか?」
 声をかけると、ポンッと煙が上がり代わりにお面と同サイズの小さな狸が立っていた。
「正解です~。チケット、どうぞ」
「ありがとうございます」

 チケットを受け取ってまた歩く、今度は使い先を探して。
「何かおすすめはありますか? 人魂様」
 甘いものが食べたいのだと要望を告げると人魂はひとつの屋台を示した。
 木の実シロップのかき氷屋。木の実の種類は書かれてないがなるほど、彼ならば大丈夫だと判断したのだろう。

 ちょっと毒々しい色のかき氷。でもそれは冷たく甘酸っぱくて美味しかったという。

成否

成功


第1章 第2節

チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者

「わぁ、火の玉に鬼の目玉……! これは本物なの!?」
「火の玉は本物だけど」
「さすがに鬼の目玉は作りものだよ」
 屋台を見渡して驚いた声を上げる『炎の守護者』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)にそれぞれの屋台の主がコロコロと笑った。片方はゾンビっぽい見た目、その隣にいるのは鬼だった。そりゃ自分の目玉を売り物にはしないだろう。
 納得した気持ちを抱きながらチャロロは他の屋台を見に行く。

 いろんな屋台があった。リンゴ飴やいちご飴と一緒に並んだ蝙蝠や蝶の羽の飴とか、たこ焼きならぬ幼虫焼きとか、血液ジュースの屋台には真っ赤な血の他に緑や紫の液体も並んでいる。
「吸血鬼じゃないから血液ジュースは口に合わないかな……」
 そう口に出せば、一緒にいる人魂が頷くように動いた。
 次に目に入ったのは宝石が並んでいる屋台だった。目の前で立ち寄った人が買った宝石をかじっている、食べ物なのだろう。
「このカラフルなのはきれいだね、食べ物? なにでできてるのかな?」
「これは生き物の魂を固めて作ったお菓子さ、甘くてうまいんだ」
「魂……オイラでも食べられるかな?」
 問いかけると人魂は大丈夫と輪を描く。それならばと綺麗な青いものを買って一口齧ってみた。堅そうな見た目に感じて簡単に崩れて口の中で甘みが広がる。砂糖菓子のようだ。
「おいしい!」
 甘さを堪能しながら、チャロロは次は催し物だとお祭りを楽しむのだった。

成否

成功


第1章 第3節

 最後に大きな花火が一つ、打ちあがって祭りの終わりを告げる。
 どうなることかと思ったこのお祭りも盛況のまま終わったようだ。これなら来年もまた続いていくのだろう。

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