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シナリオ詳細

主人がオオアリクイに殺されて一年がたちまして

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ドスケベ未亡人からメッセージが届いています
「こちらが依頼人のドスケベ未亡人なのです」
「よろしくおねがいします。主人がオオアリクイに殺されて一年がたちまして……」
 この時点まで聞いて、イレギュラーズたちは思い思いの反応をした。
 帰ろうとする者。スパム報告をする者。とりあえず聞いてみようかなって気になっている者。
 いるわけねえだろアリクイに殺される人とか。
 行き場の無い性欲と遺産をもてあました未亡人とかいるわけねえだろ。
 そう考えるイレギュラーズたちに、ドスケベ未亡人はスッと写真を出した。
「こちらが主人を殺したヒトクイオオアリクイです」
 全員が聞く姿勢になった。
 ごめんいるわ。
 ヒトクイオオアリクイいたわ。
 あと性欲をもえたますとか一言もいってなかったわ。

●ヒトクイオオアリクイ
 写真を前に説明を始める『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)。
「ヒトクイオオアリクイは全長3メートルのモンスターで、春から夏にかけてはフィートアンツという巨大アリを、それらが発生しなくなってきた秋には人間を食べることで知られているのです」
「夫はヒトクイオオアリクイの研究をしていたのですが、人間とアリならどっちを優先して食べるかの実験に自分自身を使って亡くなりました」
 夫、自主的に殺されてた。
「ドスケベ家の財産はわたしに引き継がれましたが、わたしは研究も引き継いでいるのです」
 あとドスケベが本名だった。
「研究材料を集めるために幻想南部に生息するというミナミヒトクイオオアリクイの巣を調べたいのです。
 ですがご承知のとおりヒトクイオオアリクイの多数生息する危険地帯。一人で行くにはいくらヒトクイオオアリクイのスペシャリストといえど難しいでしょう」
「そこで、みなさんに護衛をお願いしたいということなのです」

 ヒトクイオオアリクイは先程説明した通り全長3メートルのモンスターだ。
 四足歩行をし、太くて毛深いしっぽと細長い口という外見特徴を持っている。
 一般のオオアリクイと異なるのは長い舌と特殊なバリア能力だ。
 ドスケベ未亡人は自らの出版した『主人がオオアリクイに殺されて』という本を開いて語り始めた。
「ヒトクイオオアリクイは『鞭舌(べんぜつ)』という特殊な器官をもっていて、20メートル以上伸びる舌は対象に巻き付いて動きをとめたり鞭のように高速でしならせて叩いたり、時には切断したりという使い方をします。
 過去にこの鞭舌を切断した実験を行ないましたが数秒で再生し、再び鞭舌による攻撃を行ないました。
 次に『オオアリクイバリア』といって、身体を起こして二本足で立つような姿勢になるとあらゆるダメージを大幅に軽減するバリアをはるという性質があります。こうなった時は何かしらバリア状態を崩す攻撃をしかけるのが妥当でしょう」
 そこまで説明してからドスケベ未亡人は立ち上がった。
「私は巣へいってその場の状況の記録や、フンや体毛、死体から出る血液などの採取を行ないます。それらを一通り終えたら帰還しますので、それまでの護衛をお願いしますね」
 なんか最初に思ったよりすごく真面目な話だ。
 イレギュラーズたちは頷いて、資料を受け取った。

GMコメント

 オオアリクイに殺される主人だっている。そうPPPならね。

【オーダー】
・ドスケベ未亡人の護衛

 ヒトクイオオアリクイは幻想南部の山岳地帯に生息しています。
 2~3匹が土の穴にこもる形で暮らし、その巣穴があちこちに点在している状況です。
 よって戦闘はたびたびおこり、一度に遭遇するヒトクイオオアリクイは2~6体といった具合になるでしょう。

 戦闘は頻繁におこり、長時間にわたって採取や記録が行なわれます。
 そのためスタミナも大事になるので、低コストな回復スキルや再生・充填スキルが重宝するはずです。

【おまけ解説】
・ドスケベ未亡人
 本名『ドスケベ ピンナァープ』。
 主人の研究を引き継ぐことでヒトクイオオアリクイ研究の権威でしられ学会でもドスケベ未亡人の名で有名。本人もその呼び方を好む。なんで好んじゃったの。
 主人が死んだことは既に持ちネタと化しているためあんまり非木津って居ない様子。だって自分からいったし。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • 主人がオオアリクイに殺されて一年がたちまして完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年10月15日 21時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リオネル=シュトロゼック(p3p000019)
拳力者
ラノール・メルカノワ(p3p000045)
夜のとなり
シルヴィア・テスタメント(p3p000058)
Jaeger Maid
亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
河津 下呂左衛門(p3p001569)
武者ガエル
ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)
我が為に
松庭 黄瀬(p3p004236)
気まぐれドクター

リプレイ

●オオアリクイ豆知識。オオアリクイをなめてかかると死ぬ
 山道をゆく馬車。危険な岩山を超えるということで運行はここまでだと述べる御者にコインを支払い、ドスケベ未亡人はゆっくりと山を進み始める。
 オリーブ色の山岳活動スーツは身体にフィットし、ドスケベ未亡人の意外と(?)名前通りなボディラインを強調していた。
 コホンと咳払いをする『揺蕩う老魚』海音寺 潮(p3p001498)。
「亡き夫の研究を継ぐとは素晴らしい夫婦愛を感じるのう。夫の無念を晴らす、という感じじゃろうか」
「いえ、まさか。執念だけで引き継げるほど単純な研究ではありませんわ」
 なんでか上品に笑うドスケベ未亡人。
「あー……」
 名前を呼ぶのに軽く躊躇する『拳力者』リオネル=シュトロゼック(p3p000019)。
「まぁ、湿っぽくなるよりはいい、か?」
 夫が死んでることをこうも堂々とネタにされると、哀れみや同情といった感情がどこかへ消えていく。それがドスケベ未亡人なりの強さなのかなあと思ったり思わなかったり。
 『Jaeger Maid』シルヴィア・テスタメント(p3p000058)が背負った荷物をぐっと背負い直す。
「まあ、マジメな話をするなら人食いの害獣の調査って言うのは重要な仕事だよなぁ。これだけ危険性がある辺り酔狂とも言えるだろうし、だから研究も進んでなかったんだろうし?」
「主人はヒトクイオオアリクイに熱心でしたけれど、私も私で彼らの生態に強くひかれておりましたから」
「ほ、ほう……」
 『武者ガエル』河津 下呂左衛門(p3p001569)は一応の相づちをうって、手ぬぐいで額の汗をぬぐった。
「ドスケベ殿は――」
「ドスケベ未亡人とお呼びくださいな」
「えっ、ど、ドスケベ未亡人殿は……その頃からそのお名前を?」
 かたかたしながら問いかける下呂左衛門。案外こういうマウントとりの理由もあるのかもしれない。
 自分のことを未亡人とか呼ばせる女相手に精神的なマウントをとるのは、かなり至難の業だろう。
 すごいどうでもいいことかもしれないが、貴族主義で経済が回る幻想における学者の立場は貴族の出資下において成り立っている場合が多く、いわゆる『直接お金にならない研究』の場合は出資をどれだけ得られるかが研究者の腕だったりする。
 ドスケベ未亡人は頭の良さは別として対人術において優れているのかもしれない。
「うーん……ヒトクイオオアリクイ……の、ミナミヒトクイオオアリクイね……」
 頭をかりかりとやる『気まぐれドクター』松庭 黄瀬(p3p004236)。
 土地によって細かく生態が異なるのは生物の常。黄瀬は聞いたことある動物だなあと言って資料をぱらぱらめくっていた。
 ドスケベ未亡人の添付した資料にはヒトクイオオアリクイに関するおおまかな生態やそのなかでミナミヒトクイオオアリクイが持つ生物的特徴などがことこまかに書いてる。っていうかドスケベ未亡人が書いた本がついていた。
 とはいえ、ヒトクイオオアリクイを効率的に倒す手段だとか、戦闘における明確な弱点みたいなことは特に書いてない。ぶっちゃけ研究の範囲外なのだろう。鼠の脳を研究する人と殺鼠剤を研究する人が全然別、という状態を想像してもらえると分かりやすい。
「難しい言葉が多すぎて全然わからない……」
「安心しろ。俺もだ」
 『バトロワ管理委員会』ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)は本を閉じて唸った。
「だが野生の生態の研究、これも良し。幻想には未だ私の知らない生態がある……まだ楽しませてくれそうだ。本物を拝めると思うとワクワクするね」
 本を鞄にしまいこみ、振り返るラルフ。
「松庭氏、見たところ医療の心得があるようだ。私と二人でチームの医療サポートを分担しよう」
「ああ、うんいいよ。ところで利き腕が重そうだけど大丈夫? 手術する?」
「しない」
「早くも仲良くなったようでなによりだ」
 『砂狼の傭兵』ラノール・メルカノワ(p3p000045)は微笑み顔で刀をかついでいた。いつものマトックじゃない。さみしい。
「ところで、ひとつ気になったのだが……蟻より人を優先して食すならば、アリクイオオヒトクイの方が正しい名称なのでは?」
「いいえ、ヒトクイオオアリクイはアリとヒトを食べる際に優先順位をつけないということが分かっております。ですが仮にヒトを優先する場合でも通称を変えることはそれだけで認知のカロリーを増やすことにな――」
「ストップ、悪かった、その話はもういい」
 降参の合図として手を翳すラノール。好きなことには口数が多くなるのは、ドスケベ未亡人も同じらしい。
「人に危害を加える生物とあらばその生態系の解析などは早急に求められるものだろう。此度の依頼で十分な調査ができそうか?」
「そうですわね。ミナミヒトクイオオアリクイの秋から冬にかけての生態調査のサンプルが増えることで理解にまた一歩近づくでしょう」
 すごく遠回りに言ってるが、調査は終わりなどしない。ドスケベ未亡人はもう何年も各地のヒトクイオオアリクイのサンプルを定期的に収集してその傾向や導き出される事実などを記録しており、ぶっちゃけこの研究は永遠に続くのだ。天気予報のごとく。
「あ、ああ……」
 『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)はある程度話に相槌をうちつつ、混沌の世の混沌具合に今更ながら戸惑っていた。
 全長3メートルのオオアリクイが人を食うことだってある。
 これをまず飲み込まねば、今回の仕事は勤まらぬ。
「常識に捕らわれちゃいけねぇんだな、ホントよ」

●オオアリクイの巣
「ヒトクイオオアリクイは南幻想原住民の言葉でボルルグ(穴を掘るもの)と言われるほど地平に穴を残します。そのため生息地が人の目に分かりやすいのです」
 ドスケベ未亡人の言うとおり、山岳を暫く登った先の平地に無数の穴が空いている。
「巣穴かなんかか?」
「いいえ。餌を隠しておく穴です。であると同時に、餌を求めた小動物や足下を見ない人間がハマるのを狙っているのです」
「へえ……ん?」
 リオネルが木の棒で穴をつついて珍しがっていると、茂みのむこうから何かの目がきらりと光ったのを感じた。
 ほぼ本能で飛び退く。
 先程まで居た場所を、長く細い鞭のようなものが走った。
「鞭――鞭舌か!」
 咄嗟のファイティングポーズ。その足に別の方向から伸びた舌が巻き付き、リオネルを強制的に転倒させた。
「囲まれているでござる! リオネル殿はリジェネレートを!」
 刀を抜いた下呂左衛門がリオネルとは逆の方向に向けて構えた。
 闘気を鎧にかえて装着し、鞭のように振るわれるヒトクイオオアリクイの舌をガードする。
「こう囲まれていては引きつけるにも一苦労……」
「うむ、手早く責め立てて倒すのが得策じゃのう」
 名乗り口上は強力なスキルである一方、クリーンヒットさせつつ相手の特殊抵抗失敗という高いハードルを越えなければ空振りも同然。対象が少数となるとリスクは等倍に引き上がる。使いどころと自身の能力バランスを見誤れば負けにつながるのだ。
 潮はエンゼルフォローの霊的因子を飛ばしてリオネルにからまった舌を解きほぐすと、サッとドスケベ未亡人のそばへと回った。
 あちこちから次々と飛び出してくるヒトクイオオアリクイ。
「見えるかぎり4体といったところか。しかしこれではガードが薄い……!」
 下呂左衛門たちを抜けた2体のヒトクイオオアリクイが舌を伸ばし、槍のように硬化させる。
「やめろッ! ドスケベ未亡人に乱暴を働くな!」
 わりと言いたいだけのことを言って飛び出すラノール。
 刀を振り込みヒトクイオオアリクイの舌を切断すると、残像を作ってジグザグに走り出す。
 至近距離まで詰め寄って繰り出す斬撃。
 が、しかし。素早く前足を上げてたちあがったヒトクイオオアリクイは目に見えないバリアをはって刀をはじき返した。
「オオアリクイバリアか!」
「無敵のバリアってわけじゃねえ」
 義弘が急速接近。
 立ち上がったヒトクイオオアリクイはその全長もあってひたすら巨大に見える。まさに熊だ。
 だが義弘の拳は熊殺しの拳。見えない壁に拳のラッシュを只管に叩き込み、最後にはバリアをかちわってヒトクイオオアリクイの腹にパンチをめり込ませた。
 かすれた声をあげて転倒するヒトクイオオアリクイ。バリア姿勢が解けたからか、はられていたバリアも解除された。
「チャンスとみたぜ。そうやりゃあいいのか」
 シルヴィアは倒れたヒトクイオオアリクイに拳銃を連射。
 ピボットターンですぐ脇のヒトクイオオアリクイにも連射を加え、弾を使い切ったところでマガジンを排出。コンマ五秒で換えのマガジンを装填するとさらなる連射を仕掛けた。
 ちらりとドスケベ未亡人の様子を確認してみると、空薬莢がぽんぽん転がる戦場にありながら平気な顔して穴の中に保管された餌の記録や採取を行なっていた。
「イカれてんな……良くも悪くも」
 そんなドスケベ未亡人を襲うべく直接とびかかるヒトクイオオアリクイ。
 そうはさせまいと割り込んだ黄瀬が聖別された外科手術メスを相手の首に突き立てる。
 しかし皮一枚。神経に達する前に肉で阻んだヒトクイオオアリクイは、屈強な腕力で黄瀬を突き飛ばす。
 白衣を靡かせてごろんところがる黄瀬と入れ替わるように、ラルフが拳銃を連射しながらヒトクイオオアリクイに接近していった。
 銃撃に一瞬ひるむが、すぐに鞭舌を用いて銃弾を弾き始めるヒトクイオオアリクイ。
「野生動物といえどこの戦闘力。さすがにモンスターはびこるこの世界というだけはある」
 ラルフは銃を撃ち尽くした段階で義手の装置を起動。炎を腕に纏わせると、至近距離からヒトクイオオアリクイを殴りつけた。
 ずずんと音を立てて倒れるヒトクイオオアリクイ。
「フウ……危ないところだった。とりあえず手術する?」
「いらない」
 手を翳すラルフ。
「お疲れ様でした。サンプルを採取するので少し離れていて頂けますか」
 ドスケベ未亡人が手袋と採取セットを持ってヒトクイオオアリクイの舌や腹を切り始めた。
「酔狂だよなぁ」
「餌の実験に自分を使う男の妻、というだけはある……」
「ここまでくるともう褒めるしかないでござるな」

 そんなこんなで、ドスケベ未亡人とその護衛八名によるおよそ三時間にわたる調査は続いた。
 肉体的精神的にバテてくる者も出始めるということで義弘の持ち込んだ防衛テントセット(シルヴィア監修)で交代の休憩をとりつつ、落ちているフンや足跡。移動する群れの観察などが行なわれた。
 ドスケベ未亡人はその道の権威というだけあってヒトクイオオアリクイに関する知識と経験が豊富であり、ヒトクイオオアリクイ関係のみに絞れば助手いらずの万能ぶりであった。できないのは戦闘だけで、フンを見つける手際や採取の細やかさ、記録その他のデキる感じは他を圧倒した。
 傭兵上がりで目には自信のあったラノールも、いっそ超能力めいたその手際に舌を巻くほどである。
「こうなると、本分で結果を出さずにはいられんな」
 護衛の本文は戦闘。
 ドスケベ未亡人が興奮して近づきすぎた結果刺激してしまったヒトクイオオアリクイの集団に対し、ラノールたちは武器を構えて対抗する。
「そらっ!」
 ラノールの剣と義弘の蹴りが炸裂し、ヒトクイオオアリクイの巨体が吹き飛んでいく。
 同時に立ち上がってバリアをはるヒトクイオオアリクイたちだが、シルヴィアたちも流石に手慣れてきたようで……。
「繰り返してればわかるんだよ、パターンが」
 足下から額までを狙ったフォトンシュリケン連射がラインを描くように刺さり、ヒトクイオオアリクイは後ろ向きに転倒。
 さらなる防御を重ねようとするのを無視して、ラルフが炎の拳で殴りつけていく。
 火がついてしまえば防御もなにもあったものではない。体力の豊富なものほどその勢いは激しくなるのだ。
「こっちからも来てるぞ!」
「任せるでござる!」
 オオアリクイバリアをはりながら鞭舌を放ってくるヒトクイオオアリクイ。
 その鉄壁な攻撃姿勢も、数をこなせば対応できるようになってくる。
 リオネルは鋭い下段キックを、下呂左衛門はバリアの隙を突くような剣突撃を繰り出し、ヒトクイオオアリクイのバリアを打ち破った。
 鞭による打撃を激しく受けるも、潮と黄瀬がわりと無理矢理回復薬をぶっかけて回復していく手際のよさである。
 2体のヒトクイオオアリクイを倒し、残った連中が逃げていく。
 戦闘の頻度こそ多いが、最後の一匹になるまで特攻してくるようなことはそうそうない。リオネルもそうだが、自前で再生や充填能力を持つ者はちょこちょこ繰り返される戦闘の合間にフル充電になれるので、比較的余裕をもってこなすことができた。
 たまに手痛い攻撃を受けすぎてパンドラに頼ることもあったが、比較的安全にコトは進んだ。
「危険な場所だと聞いてたけど大けがする人は出てないね。念のため手術しとく?」
「しない」
 ダメージとは別に残った小さな傷やらなにやらを手当する黄瀬。
 眠気を覚ますコーヒーや栄養タブレットをそろえて配るラルフ。
 気づけばドスケベ未亡人のサンプル採取も一通り終わり、帰路へとつく頃になった。
「ヒトクイオオアリクイは夜行性ですから、夜にキャンプをはるのは得策ではありません。日が暮れるまえにここを離れましょう」
 そう言うドスケベ未亡人に伴って、山岳地帯を離れるイレギュラーズたち。
 研究者のフィールドワークも悪くない。
 そう思う一方で。
 依頼の名前を最初に見た時の気持ちがどっか遠くへいっちゃったなという、謎の名残惜しさを感じるのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 オオアリクイに夫を殺されたというスパムメールが世に広まってからおよそ10年。自称29歳の未亡人もいまやアラフォーとなり当時を懐かしんでいることでしょう。実年齢知らないけど。
 いまや電子メールも前時代的なものとなり出会い系サイトもアプリの時代。オオアリクイに夫を殺された未亡人も知能の高いメスチンパンジーもジャニ何とかのマネージャーも話し相手を探すじいやも、もはや見なくなっていくのでしょう。
 平成最後の冬を、そんな懐かしみと共にすごそうではありませんか。

 ……っていう依頼じゃないんだな、これは。自分でもなぜこうなったのかわからない。

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