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シナリオ詳細

<フイユモールの終>潰える欠片砕き

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<フイユモールの終> 潰える欠片砕き
 竜種の多く棲まう、覇竜領域デザストル。
 イレギュラーズの来訪によりて動き始めた時は大きく動き、『冠位暴食』ベルゼーの影を追い、ここ……ヘスペリデスへと到達。
 美しい風景は、彼の苦しみを顕現するかの如く……雷鳴が轟き地は鳴り、宙を舞いし竜種達が咆哮を上げて威嚇。
 この世の終わりに似たその光景を前にしたイレギュラーズ達は、ヘスペリデス、そしてベルゼーを救わんと急ぐ。
 ……だが、始まりは止められない。
 ベルゼーの権能を止める事は出来ず、その力は暴走を始める。
 彼の名である『暴食』は、雷鳴轟くヘスペリデスの地を喰らい始めていた。
 その力は、彼を守ろうとしていた仲間の竜種達であれ矛先は否応なく剥かれており……宙を舞い嘆きの咆哮を上げし竜種すらも、取り込み喰らい尽くす。
 でも、いくら喰らっても、その侵掠は収まる事はない。
 『飽くなき暴食』は、ヘスペリデスを例え喰らい尽くしたとしても収まる事は無いだろう。
 そんな未曾有の侵掠が差し迫る中において、一部の竜種達は。
『……苦しみ、憎しみ……その思い……我は果たさん……!』
 心奮わせる咆哮と共に、崩壊為つつあるヘスペリデスに居りしイレギュラーズ達を、怒りと共に喰らうべく……大いなる翼をはためかせた。


「……っ……里おじさま……!」
 雷鳴、咆哮が響く中、桜・琉珂は叫ぶ。
 しかしその声は届くことはなく……彼女の叫び声を聞きつけた竜種が雷鳴のブレスを吐く。
「……!」
 咄嗟に彼女を守るべく、突き飛ばすのは『竜は視た』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)。
 先程居た場所は雷鳴に包まれ、そして……足場は崩れ崩壊する。
 ギリギリの危機回避ではあるが……それに竜種は。
『……巫山戯た真似を!』
 大きく翼をはためかせて、イレギュラーズ達の前に降り立つのは……その淡い翼を持つ竜。
 その巨躯に威圧されそうになるが、ヴィルメイズは琉珂を背に逃がしながら。
「巫山戯た、ですか……まぁ、そうかもしれませんねぇ。ですが、私達もそう簡単に退く訳には行かないのですよ……貴方はどなたの眷属なのでしょうかねぇ……?」
 飄々とした口調で問い掛ける彼に、巨躯なる竜は。
「我は『ギドル』……お前等を殺すがまで!』
 彼を始めとして、聞き覚えがある竜の名。
 ベルゼーについし眷属の一族でありし彼らの目的は、イレギュラーズを退治する事であるのは、まず間違い無いだろう。
 そして有無を言わさずに、彼らは咆哮と雷鳴を纏う……目前の矮小たるイレギュラーズ達を退けるべく、暴虐を開始するのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 『冠位暴食』ベルゼーの力により、ヘスペリデスは壮絶な状況になっており、更にイレギュラーズを排除するべく行動を開始している様です。

 ●成功条件
  ベルゼーの眷属である、『浸透竜ギドル』と相対し時間を稼ぐ事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   周囲の岩などが不思議な力によって浮遊し、宙を舞い、更に宙からは雷鳴が強くとどろいています。
   視界自体は悪くは在りませんが、とはいっても不安を煽るような光景であるのは間違いありません。
   彼らの目的は、ヘスペリデス及び、覇竜領域を守り、そのベルゼーの力の矛先を近隣諸国に向ける事。
   その為にも、刃向かうイレギュラーズの皆様を撃退する事が大目的です。
   勿論相手となるのは強大な『浸透竜ギドル』……彼を倒す事はかなり難しいでしょう。
   別働隊の方々がベルゼーの権能に潜り込み、それを削る戦いを行っています。
   その外側においては竜種達は、皆様の棲まう覇竜領域外へその影響の矛先を切り替えようとしている為、それをさせない為の妨害作戦となります。


 ●撃退目標
 ・将星種『レグルス』の竜種、『浸透竜ギドル』の撃退
   ベルゼーの眷属であり、彼の権能の拡がりで己の棲まう覇竜領域を崩壊させまいとして行動をしています。
   一体だけですが、とても強力な竜種です。イレギュラーズ達の今回の行動については『矮小なる者達が刃向かってきた』という認識です。
   彼自身もかなり凶暴な性格であり、皆様を殺す事に躊躇する事はありません。
   竜の体躯の大きさは一軒家より2周り程大きな体躯で、体力もとても多いです。
   更にその大きな淡色の翼をはためかせ、周囲全域に強風を巻き起こしたり、口より業炎の焔を前方範囲に吹き付けたり、その頭部から稲光とどろく雷鳴を迸らせたり……と、様々な属性の攻撃(+バッドステータス付与)を行います。
   尚、攻撃も全てが範囲攻撃であり、総じてのダメージを減らして戦う事になりますので、皆様も体力は常に注意する様にして下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <フイユモールの終>潰える欠片砕き完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2023年07月24日 22時06分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

八田 悠(p3p000687)
あなたの世界
オウェード=ランドマスター(p3p009184)
黒鉄守護
ルビー・アールオース(p3p009378)
正義の味方
柊木 涼花(p3p010038)
絆音、戦場揺らす
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官
ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)
指切りげんまん
セレナ・夜月(p3p010688)
夜守の魔女
マリオン・エイム(p3p010866)
晴夜の魔法(砲)戦士

リプレイ

●映りし声
 覇竜領域デザストル。
 冠位暴食ベルゼーの影を追いかけた末に行き着いたヘスペリデスの地……今や雷鳴轟き不安へと誘う風景が拡がり、空を縦横無尽に飛翔する竜種達は、イレギュラーズ達を畏怖させようと咆哮を上げて回る。
 そんな竜達の咆哮を見上げながら『真竜鱗』オウェード=ランドマスター(p3p009184)は。
(「これはこれは……龍が錬達を襲撃してきた時の事を思い出すのぅ……」)
 あの時も、世界は危機に瀕していた。
 無論今回も、この覇竜領域の存亡に関わる大事件であるのは間違い無いだろう。
 ……そんな状況下に置かれたイレギュラーズ達の目前に地響きを起こしながら降り立つのは、己達より幾重にも大きな体躯の竜種。
『……グゥォォォ……去れ……!』
 ヒトの恐怖心を引き摺り出すような、重厚な竜の声。
 普通の人ならば、まず間違い無く恐怖に身が竦んでしまう事であろう。
 そんな声に対し、『竜は視た』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)は。
「いやいや……突然出てくるなり帰れ、ですか……そんなに竜種の方々は偉いのでしょうか?」
 と、肩を竦めて笑いながら問い掛ける。
 しかしながら、目前の竜はその言葉に取り合う姿勢を見せる事も無い。
 そんな竜の圧に対し『夜守の魔女』セレナ・夜月(p3p010688)は。
「眷属……ベルゼーの眷属、ね。圧は感じる。強大な竜種ってことも解る。それでも退けないし、退かないよ」
 唇を噛みしめて、はっきりとした言葉で気丈に返すセレナに、更に『正義の味方』ルビー・アールオース(p3p009378)とオウェードも。
「そうね。私達はあなた達の様な竜に比べれば、大きさも力小さい。だからって、ただあなた達の思い通りになったりはしない。人の可能性を信じ、それを認めてくれた竜種だっている。かつては敵だった彼女達とだって、人と竜の垣根を越えて、今は手を結び共に戦っている……私達の目指す先の為に、貴方の思惑だって挫いてみせる!」
「そうじゃな。ワシらも敵も相当必死じゃしな……しょうがないと言えばしょうがない……だがしかし……ワシらもここまで来たんじゃ! 今更引き下がる訳にも行かんワイ!」
「……そうね。ただ強いだけの竜なら、怖くなんてないのよ。殺せるものなら殺してみなさいよ!」
 三者三様ではあるものの、目前の竜に対し、決して臆する事は無い。
 しかしそんなイレギュラーズ達の諦めない様子に、更に目を血走らせながら。
『聞かぬのか…! ならば、我が『ギドル』の名の下に、お前等を蹂躙するまでだ……!!』
 更に畏怖を呼び起こす咆哮で威圧する。
 それに『あなたの世界』八田 悠(p3p000687)は。
「大きな声……こうして海の底から出てくる羽目になるなんて、よっぽどの大ごとだよね、ほんとに……」
 面倒臭そうな悠の言葉、だが『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)は。
「ええ……ギドル……聞いた事がありますね、浸透竜ギドル、でしたか……貴方達竜は、この覇竜領域を守るために努力しているんでありますね?」
 思い出したかのような彼の言葉にヴィルメイズは。
「ギドル……? ああ、いつぞやの! 空からコソコソワイバーンを操っていた竜でしたかねぇ? 覇竜の生きる至宝たる私にわざわざ逢いに来て下さったのですか? それはそれは~ご苦労様です!」
 思い出すように……そして、仰々しく、どこか小馬鹿にしているような、そんな感じもありつつ、ギドルに手を広げる。
 そんなヴィルメイズにギドルはギロリと睨み付ける……流石にその威圧感に声が出そうになるが、漏らさぬ様に耐えるヴィルメイズ。
 更に『双影の魔法(砲)戦士』マリオン・エイム(p3p010866)が。
「本当に……凄い威圧感。ベルゼーを守る為に、マリオンさん達を通さないって息巻いているみたいだね。でも、ベルゼーの下に辿り着くには、ここを越えないと……!」
「そうですね……あの怒りの矛先を別の場所に向けて、無辜の被害者を増やさせるような事は……させられない!!」
 拳を握りしめて、厳しい口調で覚悟を決めるムサシ。
 覚悟を決めた仲間達……それに『奏でる言の葉』柊木 涼花(p3p010038)と悠も。
「そうですね……恐らくギドルさんは、時間稼ぎが目的なのでしょう。だからこそ、わたし達はここで彼を仕留めるくらいの気概で相対しましょう。目的が露見するのはきっと、よくないでしょうから。私の役割は支援ですから、皆さんがそれぐらいの力を発揮出来るようにします……! だって、そうでしょう? わたしたちはまだ、立ち止まれません……!」
「そうだね……顔見知りがそれこそ命を賭けてるんだ。だから……やるよ」
 肩から提げたギターを強く掻き鳴らす涼花、どこか虚ろな視線から、キリッとした視線に変わる悠。
 そして。
「それでは……始めましょうか! マリオンさんは後方からしっかりと支援させて貰うから、皆さんの背中は任せて下さい!」
 とマリオンの言葉に合わせる様に、イレギュラーズ達は巨躯の『浸透竜ギドル』へと接近。
『矮小な奴等め……我に刃向かう気か……!』
 敵意を剥き出しに、その牙と爪を剥くギドル。
 大きく翼をはためかせると、その場に強風を生み出し接近してきたイレギュラーズを押し流す。
 しかし、足を地面に強くふんばり、南風飛ばされるのはどうにか耐えるイレギュラーズ。
「ガハハ! その暴虐だけでワシを倒せるかね? あの天帝種でさえワシらに逃げ帰ったと言うのにな!」
「ええ! ほらどうしたの? 矮小な私達をさっさと倒せるんじゃないのかしら?」
 オウェードの叫びに加え、セレナはギドルの自尊心を刺激するような言葉で挑発。
 とは言え彼も、将星種『レグルス』に名を連ねる竜種……挑発を簡単に受け入れるようなタマではない。
 更にその口を大きく開き、己前方範囲を一網打尽にする業炎の焔。
 足元は燃え盛り、流石にその場からは一旦避難をせざるを得なくなる。
 とは言え、彼を足止めするという意味であれば、その作戦も十分効果を成している訳で……二人に続き、閃陣を切るのはルビー。
「さぁ……行くよ!!」
 地面を蹴り、ギドルの視界範囲から飛び跳ね消失。
 死角へ回り込むと同時に、渾身の竜撃を翼に叩きつける。
『グゥゥゥ……!!』
 僅かではあるが、苦悶の鳴き声が響きわたる。
 だがその攻撃で、翼は破れる事は無い。
 勿論攻撃したからには、ルビーの方角は彼の狙いに収まる訳であり。
『矮小な奴等が、足掻くな!!』
 と、爪を振り薙ぎ、ルビーを迎撃。
 流石に躱せずに攻撃を喰らってしまう。
 かなりのダメージに、待機していたマリオンがそのダメージのヒールに回り、あえてギドルを非難するかの如く。
「竜種の大半って、ベルゼーが好きなんだよね!? 恩義も感じてるんだよね? だったらどーして、彼の苦悩を増すような事ばかりするのかな!? 自分達が嫌な思いをしたくないから、彼のためって言葉を飾って! 心を飾って!! もう世界の誰をも食べたく無いから、自分を終わらせて欲しいって彼の願い、無視するのは、ばつ!!」
 独特な言い回しではあるが、彼のしている事はベルゼーを苦しめる事だと指摘する。
 だがギドルは、そんなマリオンの言葉に聞く耳は持とうとしない。
 目前に立ち塞がるイレギュラーズ達は自分達よりも低級の存在であり、彼らに諭される等、あってはならないこと……と考えて居るのだろう。
 そんなギドルの態度に、ムサシは飛びつき。
「こん……の……っ、わからず屋ァ!!」
 と、その顔に炎を纏う襲撃を叩きつける。
 ほんの僅かではあるが、その攻撃に体勢を少し崩すギドル。
 少し距離を取りつつ、ムサシは更にギドルに向けて。
「覇竜を壊したくない気持ちは皆おんなじでありましょう……! その壊す刀を収めようと努力している人達がいるのに、その力を無為に別の場所に向けるのは間違っている! 自分達人間は、貴方達竜に比べたら小さいけど……それでも! 『覇竜を救う』ためにがんばっているあの人のためにも……! 自分達は負けられないんだっ!!」
 辛辣な口調で押し通すムサシ、更にマリオンも重ねて。
「そうです! 人と竜の力をかき集めても、まだ足りないかもなのに、殺し合うしか出来ないのなら! そんなの滅びの眷属以下だと、マリオンさんは思います! ばつ!!」
 ずびしっ、と指を突き立てるマリオン。
『五月蠅い……煩い……お前達の指図は受けんッ!』
 だが、徹底的に対話を拒む姿勢のギドルは、今度は稲光を頭部から迸らせて戦場を雷鳴に包む。
 足に痺れを感じ、行動に一部影響が及ぶと共に、当然ながら体力も削られる。
 だが、今度は悠が傷を負った仲間達の回復へと回る。
「大丈夫……ここで死ぬさだめはない、ってね」
 そう仲間達に短い言葉を継げつつ、福音の癒しを与える。
 更に続くヴィルメイズと涼花。
「さぁ……始めましょうか。私の方が断然美しい……それをここに知らしめてあげましょう」
「……壁役を買って出てくれた皆さんが居る。倒れる前に……少しでも……!」
 ヴィルメイズがギドルから少しの間合いの位置に立ち、舞う。
 その舞は悪しき心を持つ物を傷付ける舞いであり、ギドルをその場に縛り付ける。
 そして縛り付けられた所へ、涼花が更に強いアップテンポな曲調に乗せた精神力の弾丸を放ち、ギドルに撃ち込む。
 ギドルを傷付ける事で、体力を削ろうとするイレギュラーズの行動。
 ……だが強靱な竜種の身は、見た目こそ傷は遺っているものの、大して体力は削れていない様にも見える。
『小癪な……矮小な者達が、纏まって……巫山戯るな……!!』
 ギドルからしても、矮小な存在である筈のイレギュラーズ達が刃向かう事に怒りを感じざるを得ない様である。
 ……ただ、今の実力では、イレギュラーズ達8人では、彼を倒す事は至難の業であるのは間違い無い。
 ならばこそ……彼をこの場に引き留める事で、時間を稼ぎ、仲間達の作戦の進行を待つのが己達の役目。
「ワシらを劣等種と思うなら好きに思えっ! そして劣等種の本気に驚けッ!!」
 とオウェードは、更に強い口調でギドルを非難し、熾烈な攻撃を放つ。
 反撃の一手も然る事乍ら協力で、盾役を買いし者達の体力をハイペースで削り行く事になるものだが……手厚い回復により、前線が瓦解する様な事にはさせない。
 さすれば互いの攻撃が凌ぎを削り合い、戦況事態は膠着していく事になる。
 勿論、ギドルも愚かではない……その様な事態に、イレギュラーズ達が単に勝ち目も無い戦いに身を投じるなどと……。
『……グゥゥ……何故に諦めぬのだ? ……もしや……!?』
 唸り声を上げながら、周囲に視界を配せるギドル。
 ……周りの竜種達も、目前のイレギュラーズ達と同様に戦っている。
 だが、自分達より後方……ベルゼーの居るべく方角には、竜種の影は少ない。
『……ウゥゥ……』
 点から線が繋がりつつあるギドル……僅かに見えた隙を狙い、ヴィルメイズが。
「……私に負けず劣らず美しい里長様に傷を付けようとしたのです……今の私は、いささか機嫌が悪いのですよ?」
 余所見をさせないかの如く、隙を見せれば翼先を掠める極大の一撃。
 そして、更にムサシも。
「そうだっ! 自分達がお前達からすれば矮小な存在だったとしても……それでも自分達は、この覇竜を……そして生きる皆を救いたい……だから、負けるものかっ!!」
 心の底から叫び、焔心全開で全力の一閃を叩きつけ……その翼に、ほんの僅かではあるが風穴を開く。
 そんな二人の攻撃に、ギドルの闘争心は呼び起こされたのか。
『ウウウォォォ……!!』
 怒りの咆哮を上げると共に、雷鳴、業炎、突風の三重奏を次々と繰り出してくる。
 だが……傷付けられた仲間を直ぐに回復する悠と、ルビー。
「少なくとも、お前の思い通りには何一つさせてあげないよ。奏でるは英雄の賛歌、謡うは竜への黙示録……この演目こそは、我等が神話の一幕と知れ」
「そうだよ! 私達は、絶対に負けない……!」
 自分達は一歩も惹かず……徹底的に抗戦するイレギュラーズ。
 傷つき、傷付け合いながらも……ギドルを足止め、時間を稼ぎ続けるのであった。

●劈く咆哮
 ……そして。
『……グルゥゥ……!!』
 唸り声を上げると共に、間合いを取る浸透竜ギドル。
 多少傷ついてはいるものの、イレギュラーズ達の疲弊度合いがかなり重い。
 ……と、その時。
『……!?』
 翼をはためかせていたギドルの表情が、ほんの僅か変化を見せる。
 そして、竜の視線は守るべく後方へ向けられる……ただ、イレギュラーズ達からすれば、雷鳴の中に幾つもの竜の方向と諍いが僅かに見える程度。
『グルゥゥゥ……』
 そしてその光景を睨み据えながら、浸透竜ギドルは低く唸り声を上げるのみ。
 そんなギドルに向けてセレナは、戦中にもかかわらず、出来る限り落ちついた口調で。
「ねえ……浸透竜ギドルとやら。わたし達の話を聞いて欲しいの」
 あえて、問い掛ける口調。
 ギドルは間合いを維持しながらも、ギロリ睨み返すがのみ。
「いい……? わたし達の役割は時間稼ぎ。今、あそこでは私達の仲間が上手く戦況を進めているはず……それでもあなたは、ここで立ち塞がり続けるつもりなのかしら?」
 そんなセレナの言葉にギドルは。
『……赦さぬ……決して我は、御主らを許さぬ……!』
 その一言を残すと共に、怒号も含んだ咆哮を上げるギドル。
 棘ある咆哮は、歴戦の戦を潜り抜けてきたイレギュラーズでさえ、本能的な危機感を覚えてしまい、流石に足が竦んでしまう。
 ……そしてその間に、ギドルは巨大な翼を大きくはためかせて飛翔。
 その翼から生み出される強風に、イレギュラーズ達の身体は意図せずとも後方へと押し返される。
 ぐっと唇を噛みしめ、吹き飛ばないよう踏ん張るが……少しずつ、少しずつ……間合いは開き、その身にも傷を刻んでいく。
 そんなギドルの突風に堪えながら、後方からギターを掻き鳴らして仲間達の戦線が瓦解しない様にする。
「っ……目の前にはいつも誰かがいて、その背に守られて戦うだけ。でも……今はそうではありません……一緒に戦えると。わたしの憧れに、行動で示したいんです……!」
『……小賢しい……!』
 怒り、不信感……様々な感情孕むギドルの行動は、目の前のモノを完膚無きまでに潰そうとするもの。
 そんなギドルの暴走にオウェードは。
「冷静になれ浸透竜! ワシらの作戦は成功した! こう言う勝利もあるんじゃ! 天帝種が逃げ帰った理由も分かるじゃろう! だからこれ以上、暴れるのではない!!」
 と落ちつかせる様に言うものの……数刻の間、熾烈な攻撃は変わらずに続く。
 そうしていると……聞こえてきたのは、守るべく後方から響きわたる、地をとどろかせる咆哮。
 その咆哮に、ギドルは。
『グゥォオオオ……!! ベルゼー様……!』
 まるでその咆哮に引き寄せられるかの如く、『浸透竜ギドル』ははばたく。
 翼が生む風が止むとともに、ギドルの影は遠く離れた先の空へと消えて行くのであった。

成否

成功

MVP

マリオン・エイム(p3p010866)
晴夜の魔法(砲)戦士

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂きまして、ありがとうございました。
中々傷を付けられない所は、流石の竜種と言った所でしょうか。
ですがどうにかギドルの足止めは成功……本当にお疲れ様でした。

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