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シナリオ詳細

再現性東京202X:お人形さんと『乱数調整』

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

「……」
 ゲームセンター。どこかでみたことのあるような生首ぬいぐるみが景品に置かれたUFOキャッチャーの他、虹色の道を鬼ドリフトしながら駆け抜ける対戦レースゲームがあったり、BPM三桁を優に越すノーツをを刻まなければいけないリズムゲームだったり、軍を成して襲ってくるゾンビたちを銃一本で押し返すFPSゲームetc……など、様々なアーケードゲームの筐体が置かれた文字通り一日中遊べそうな場所。そんな場所の片隅にある白い壁の前で『しろみそ』は立ち尽くしていた。
「欲しいッ……!」
 そう言って手を伸ばした先で触れているのはディスプレイ液晶。[ポテチ一年分]という文字と画像が書かれており、しろみそは思わず涎を垂らした。
「でもこれって、確か……」
 ふと横を見る。そこには沼……のように金を取り込んで取り込んで仕方ない、悪魔が如き入金口と、取っ手が。近寄って確認してみると『高級ガチャガチャ』『一回1000GOLD!』などと書かれていて、今確認したがま口財布の中で転がるお小遣いの遺産たる小銭では到底太刀打ちは出来なさそう。
「ぼ、ぼったくりッ……!罠ですッ、これは罠ですッ…!!私を陥れるために作られた罠ですよッ……!」
 たかがポテチ。されどポテチ。しろみそにとっては主食であるソレは、いくらあっても足りることはない。だったら。
「うううッ……!」
 "強欲"の似姿を取る彼女には、そのなけなしの金銭を、払うという選択肢しか、存在、して、いな、く、て……。





・うわぁぁぁぁぁぁん芽衣子さぁぁぁぁんあのガチャガチャがぁぁぁ!ガチャガチャがぁぁぁ!!!

「ひぐっ、ぐずっ……」
「おーよしよし。運がなかったねー」
 ローレットの片隅で煎茶を嗜んでいた芽衣子にダイブ。一頻り叫んでからしろみそは涙を溢す。
「どうして……どうして1000GOLDも払ったのに出てきたのがよくわからないゆるキャラのソフビなんですかーっ……!」
 掌の上に乗るは可愛い兎。無垢な偶像がちょこんと座っている。
「ソフビなんて懐かしいね……」
「悠長なこと言ってる場合じゃないですよーっ!私の……私のお小遣いが無くなったんですよーっ!!」
 自業自得、なんて言ったら泣くだろうから芽衣子にはとりあえず撫でて慰めることしかできない。どうしようかと周囲を見渡して──『あなた』と目が合った。
「えっと……じゃあ、あなた。この子の代わりにポテチ一年分、引いてくれないかな」
 そうして渡されたのは一人当たり1000GOLD、つまり一回分。
「その一回で引いて欲しい。どれだけ祈っても、どれだけ変なことをしてもいい。だから……うん、お願いね」
「本当に…本当にお願いしますよーっ…!」
「……泣きすぎでしょ」

NMコメント

やぁ、わかめさんです。
(しろみその話は)初シナリオです


・なにこれ?
奇行げふん祈祷をしたりギターを弾いたりして1000GOLDガチャの結果が良いものになるようにガチャの乱数調整をしてください。皆さんが良いものを引けるとガチャは排出品を用意できなくなって爆散するでしょう。

・(お財布の)敵
1000GOLDガチャ、通称『沼』
ゲームセンターにやってきた客の欲望を刺激して金を溶かさせる悪い文明の娯楽機械です。オープニングの時点でポテチ1年分を狙ったしろみそが爆死しています。奴が生きていればまだ死体は増えるはずです。

・プレイングについて
準備は一任するわ、イレギュラーズ

  • 再現性東京202X:お人形さんと『乱数調整』完了
  • ガチャは悪い文明
  • NM名わけ わかめ
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年10月27日 22時06分
  • 参加人数6/6人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

玄野 壱和(p3p010806)
ねこ
瀬能・詩織(p3p010861)
死澱
レイテ・コロン(p3p011010)
武蔵を護る盾
安藤 優(p3p011313)
君よ強くあれ
Kyle・Ul・Vert(p3p011315)
風の旋律
ソウカ・レスタ(p3p011323)
被りすぎた猫

リプレイ

・だってぇぇぇ!!!ポテチがないと私死ぬんですよぉぉぉ!!!

「泣き声が、汚ェ。既に五月蝿くなってるしヨ…」
 キャラデザ崩壊レベルの泣き声に辟易する『ねこの料理人』玄野 壱和(p3p010806)。呆れた顔で相棒のねこを頭に乗せ、泣き叫ぶしろみそを哀れみの目で見つめている。
「うわぁ...聞くに典型的な爆死だよね……て言うかさ? ぽてち一年分とかどれだけニッチなガチャなのこれ??」
 その横では『新たな可能性』レイテ・コロン(p3p011010)が今のガチャラインナップをなぞる。今の『沼』はしろみその欲望そのものを表しているため、No,1PUが『ポテトチップスちょうぜつこいめうすしお味一年分』となっているのは当然のことだ。
「に、ニッチじゃないですよぉ……ポテチは私のメイン燃料です〜っ……! ほら、芽衣子さんのお陰でガチャの専門家まで呼べましたから!」
「ガーチャー、招集に応じ参上いたしました。アナタが私の依頼主ですか」
 芽衣子と目が合って無理矢理に連れてこられた『特異運命座標』安藤 優(p3p011313)はしろみそが指差すとヤケクソ気味に自己紹介。
「げーむせんたーの事は良く存じ上げませんので、がちゃがちゃ?の専門家は頼もしいですね……」
『死澱』瀬能・詩織(p3p010861)はテキパキと道具を並べ、しろみそに問いかける。
「これも恐らく夜妖関連なのですよね?」
「そうです。これも全て夜妖のせいです」
 流れるように口から出まかせ。責任転嫁はガチャ廃の常習手段。それに合わせて溶ける資産はプライスレス。
「でしたら所在も解っておりますし、即滅...といきたいのですが、今回は物理的排除は禁止なようですので、平和的にいきましょう」
「あぁ、そうだね──この場に満ちる遊びの音色は僕の心を弾ませてくれるが……このガチャなるものは一喜一憂を齎し、更なる遊びの刺激になる…そんな娯楽か」
 そこら踊る音色らを調伏するようにヴァイオリンを奏でる『日常の奏者』Kyle・Ul・Vert(p3p011315)。
「だけれど見境なく滅びを招かせてしまうのは…ちょっとだけいけないな」
「……そうですねーっ!ガチャは悪い文明ですからねーっ!!」
 一回滅びかけたやつがなんか言ってる。
「よし、まずは機種を確認しなくちゃね」
『被りすぎた猫』ソウカ・レスタ(p3p011323)は壁一面に同化した『沼』の蓋を開けて眺めて眺めてみる。内部構造は商品の大きさの都合上ガチャ本体は鍵のみを排出し、肝心の景品はロッカーから取り出すようだ。
「……流石に筐体を開けて改造するのは犯罪じゃないかな」
「だ、大丈夫ですぅ、このゲームセンターの従業員ですからぁ。ほら、多分大丈夫ですぅ。"当たる"確率は限りなく100に近い状態まで上がりましたよぉ」
 このゲームセンターへプライズの搬入に来たところを芽衣子に連れられてきた彼女の立場はある種そうと言える‥のかもしれない。しかもローレットからの依頼なので全力を尽くす事に全くのなんの引け目もない。猫を被ったせいで巻き込まれたとはいえ"お客様"からの要望に応えるプロ姿勢は誤魔化しの笑顔を成立させた。
「なるほど……では、ぽてち一年分が出るのに良い方角や時間、招福具を占ってみますね。おかるとはお任せください」
「じゃあ、僕が先ずはガチャを回してみるね」
 占いを以て機を座して待たんとする詩織に促され、レイテがまずは、と1000Gを投入。空繰パンドラへポテチ一年分を請い願い、『有り得た可能性』を引き寄せる──!

 がちゃ、がちゃ、とんっ。

「……出てくるのは...うんまあ、ぽてち一年分じゃないよね」
 ロッカーを開き取り出したのは……残念ながら当たりは当たりでもちょい当たり、白く大きくて重い箱のようなゲーム機。
「だけど、これをグレードアップすれば、逆説的に『当たる流れ』が…!!」
「……レイテさんも改造してるじゃぁないですかぁ」
 そんな魔改造の結果は……三百六十度回って黒くなっただけ。ついでに起動すると確率で漬物石へと転職するスキルを手に入れた。
「……ヨシ!次はガーチャー君の出番だよ!」
「いや何を見てヨシって」
 本人がヨシといえばヨシなのである。そして呼びかけられたクラス:ガーチャーの安藤はバケツヘルムに隠された狂気…或いはヤケクソ感をその口から溢れさせる。
「これより私が行うのはガチャを「召喚魔術」に見立てた儀式です。まず用意するのは供物と召喚陣。供物には新鮮な肉を――そうですね、ここでは鶏を使いましょう。召喚陣は私が知っておりますゆえご安心を」
 或いはすっごい早口。ガチャガチャの目の前で陣を引いてコンビニチキンを捧げる姿は違うことなき奇人変人の類に違いなし。
「さて、ここで狙ったものを召喚するために、最も重要なものを使用します。呼び出されるもの縁の品――そう、いわゆる「触媒」ですね」
 そう言って取り出したるは……さっきしろみそが食い捨てたポテチの空袋。「あっ……へ、変態……っ!?」という声は聞き流された。
「これより召喚する者と呼び出されるものとの間にある種の「繋がり」を構築し、呼び出されるものはそれを辿って我々の前へと召喚されてくるというわけです。さあ、いざ召喚の時ーーー!」
 バケツのガーチャーの第一宝具、『ただの祈り』。さぁ、その結果は……
 
「ア゛ッ゛……ン゛ミ゛ィ゛ィ゛ィ゛! 」

 ……たわし一個。ご丁寧に『大当たり!』と祝われているのが不運な彼を指し示しているような。
「ええい、ガチャは回数が全てなんですよ! 何度も回せばいずれは天井です!
 続けてはバケツのガーチャーは第二宝具を解禁。『出るまで回す』。財布を取り出して狂ったようにガチャを引き続ける姿は破滅そのもの。
「ガチャァァァ! いっぱい回すのおおお!」」
「あぁ、こうなるのだけは…避けたいね」




・R.I.P. ガーチャー
「……………」
 哀れ、バケツのガーチャーは経費を超えて資産をもぶっ込んだ結果は素寒貧に。白く燃え尽きた彼は壁に背を預け項垂れている。
「当たりしかでないようには調整したんですよぉ…?」
「彼のように深刻な不運に見舞われる人が増えるなら……日常というスケールで測るから、それ程深刻ではない、けれど」
 この場の空気、音色、そういった雰囲気をようやく掴んだKyleが、ヴァイオリンを奏でながらガチャに近づいていく。
「せめて僕の音で、乱数調整といこうか…!」
 様々な世界を為す筐体らが織りなす騒がしき旋律を調律。ああ確かに、今の彼は確かにコンサートマスターと言えるかも。このゲームセンターの中心は彼自身になった。遠巻きに近づいていた他の一般客がついつい引き寄せられてしまうのがその証拠。君は引力を信じるか。
「オー、すげェな。ウルセエのがきえタ」
 その演奏は優しく水が流れるように優しく。それでいて何か運命の網をすり抜けるほどに繊細。何かを確信したKileは、チャリンと金を投入。ガチャリとハンドルを回す。
「──どうかな?」
 演奏を終えて拍手を背に受けながら取り出したそれは……一年分。ただし、コーラの。しろみそにとっては大当たり。大当たり、ではあるが……少し足りなかったようで。先のガーチャーの大爆死にて悪い乱数は全て剥ぎ取られたらしい。横に積み上げられた彼の今の全財産──大量のたわし、園芸用シャベル、ミニ観葉植物らはその生贄か。ちなみにコンビニチキンはねこが食ってた。
「うん、ありがとう。残念ながら当たらなかったけど……」
「ふぉぁぁぁぁコーラ、コーラ!ウメェコーラじゃないですかーっ!」
「君が幸せそうなら、僕は満足さ」
 結果はともあれ、初めての体験を経れ、コーラを嬉しそうに飲み干していくしろみそを見て、どこか満足したような顔でKyleは拍手の方へと歩いていった。
「さて、そろそろオレの番カ」
 それとすれ違うように弦野とねこがエントリー。流れはきている。間違いなく。少なくとも『一年分』という点は掠っている。
「乱数調整って目当てのモノが出る為の規則性のある法則を人為的に再現すればいいんだロ?」
 それは虫の知らせ、第六感と呼ばれるもの。彼曰く"全ての動物は無意識的に周囲の状況から計算してこれから何が起こるかを本能で理解る"故に、先に起こることをそれとなく理解できるのだという。
「あ〜っ、ラプラスの悪魔ってやつですね〜っ?ごくっ…懐かしいですね〜っ…ウメェ」
「そうダ。だったら五感をフル稼働すれば再現する法則くらい理解できル」
 ガチャの前に立ち直し、目を閉じる。周囲の状況を通常の数百倍以上の精度で判断。情報を、さらに情報を。意図的に、正確に、未来を予測する為に。
「風が吹けば桶屋が儲かるなら人の手で風を吹かせばいイ──ま、チンケな"未来予測"の再現(オラクル)だがナ。よし、久々にちょっと本気だすワ」
 弦野は術式を起動。次々とねこ全員、[RaS][せんり][やつふさ][たま][ほうらい][すろうとーる][いかり][きりあけ]らを全て召喚、並列接続を試みて。
「疑似プライマリAPIリンク確立。サーキットスタート……高度未来予測演算処理開始」
 ならぶネコらは先程の演奏を再現し、金を投入、ハンドルを回すタイミングまで再現。
「オレ含めて[ねこ]9匹分による未来予測!見えない未来なんてな……へ…、へ…」

 ブエッキシッ!

「──あ」
 嫌な予感で滴る冷や汗。落ちてきた鍵を拾い、ドアを開ける。さて、その中身は。
「……………悪ィ。未来ちょっとズレタ」
 煎餅一年分!!
「ちがぁぁぅっっ!!」
「あらら…間に合わなかったか」
 そうしろみそが叫ぶ横でガーチャーの爆死資産をアップグレードしきったレイテ。せっかくだからとMAXデコタワシを観客らに配ることにしたが、やはりお目当てのポテチ一年分は出てくれやしないらしい。
「ポテチが、ポテチがぁ……食べたいんですよぉーっ……!」
「…強欲だー。純粋だー。というかバカなのかな?」
「くぅ……このまま…食べられないまま…帰れるわけがぁ……っ!」
 ソウカの猫の皮が一瞬剥がれたがしろみその慟哭がその異変を上書き。地面をぺしぺしと叩く彼女は……とても非力。文字通り。そこに、変わった角度で入店する女が一人。
「お待たせしました……時間、ピッタリですね」
 エコバッグを腕にぶら下げた詩織がゲームセンターに帰還。
「それでは良い時間になりましたので、『沼』さんの滅殺...ではありませんでしたね、1000Gがちゃを始めます」
 ガーチャーの悪例を参考にしたのか、或いはまじないとしての招福具としてか。じゃが芋を取り出して。
「えっと、御金は此処に入れれば良いのですよね?では御金を入れます前に、『沼』さんの運気を下げる、おまじないとしまして...えいっ」
「ほう…!」
 黒いキューブに『沼』が包まれる。どことなく無機物の筈の機械が悲鳴を上げる幻聴が聞こえるような。一通り挨拶を終えたKyleも目を見開いている当たり…本当に?叫んだの?
「これで『沼』さんに陰の卦が傾くでしょうから、それではお金を入れまして...あ、念入りにもう一回」
 いいや、軋んでいるのか。詩織の齎すあまりの呪力に。
「後は、ハンドルをを回すだけですね」
 ガチャガチャ、コトン。そして現れた鍵の色はこれまでのように銀色ではない、金色。
「...ぽてち一年分さん、どうか出て来て下さいね?」
 扉を開け、中に入っていたのは「ぁぁぁぁぁ〜〜っ……!!ポテチィ…!ポテチぃ〜〜っ……!!」一年分……ただししろみそにとっては一月と少し分にしかならないが。
「勝った!第三部、完──!」
 喜びに打ち震えて腕をカチ上げるしろみそを見れば、イレギュラーズは間違いなく『沼』に勝利したといっていいだろう。
「よかったですねぇ、お目当ての景品を獲得できたようで」
「はい……みなさんっ…ありがとうございま〜〜すっ…♪」
 全身で至福の一時だと表現しながらしろみそは頭を下げた。あとは、帰って堕落のひと時を過ごすだけだ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

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