PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Toraa of the Dead

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●傾向と対策
(煩いのだ)
 万能の天才にして自称・混沌世界の神――
 その性格は兎も角として万人が認める埒外であるシュペル・M・ウィリーは悩んでいた。
(煩いのだ。本当に、どうしようもない程に!
 神を神とも思わない、おかしな連中のお陰で塔は最早サバンナではないか!
 大自然の掟は何処へ行った!? ここは動物園なのか!?)
 恋する乙女だか何だか知らないがノリで荒らし回る連中が居る。
 弟子を自称する物好きな女が居る。勝手にライバル宣言をする奴も居る。
 構って構ってと強請る女も居る。姉を名乗る不審者等は手斧を片手にプライヴェート空間を粉砕してくる!
「……あああああああ、本当にあの連中は!!!」
 考えるだに頭を抱えたくなる悲惨な経緯を思い出し、シュペルは珍しく感情的な声を上げていた。
 神の寛大さをいい事に、下の連中の増長は止まらない。
 こんな事を続けていたら、威厳も何もあったものではない!
「……待てよ?」
 そこまで考えたシュペルは不意に天啓に撃たれたように合点した。
「そうだ。対策すれば良いのだ。連中が下手に近付けないように……
 ふふ。小生には簡単な話だ。深層心理から恐怖を形取り、連中に相応しい対策をくれてやる!」
 宙空の魔道コンソールを鬼速度で連打したシュペルは文字通りの『無』から創造する――
 イレギュラーズのデータから彼等の恐れる、彼等を退けるに適切な『シュペル・ナイト』を産み出すのだ。

 カタカタカタカタ、タァーンッ!

「ふっ、つい少し力が入ったな。サイズを間違えたが、近寄らせなければ良いのだ。構うまい」
 まるでラフマニノフを弾くように、ノリノリで打鍵を仕上げたシュペルのモニターの中に『それ』が映る。
 塔に収容するに相応しくない巨大なガーディアンはずんぐりむっくりとした白い巨体でのびをした。

 ――バンジー……シチガツ……ミンナトンデ……ワタシハトバナイ……トラダカラ……

「……?」

 ――ヨカッタネ、シュペルクンアンケンダヨ……

「……は? 何だこれ」

 ――クラス アケ オツカレサマダネ……

「……………」

 ――サイシンキョク、リリースヨテイ! VDM、ライブ、アネ、ニガサナイ! 

「……うん」
 超巨大メカは何か良く分からないけど『虎』のようなビジュアルをしているように思われた。
 厳密には虎とは似ても似つかないけれど、それは恐らく虎に違いなかった。
 多分に概念的なそれは意味不明の呟きを残しながら、ずーんずーんと地響きを立てて塔から街を目指して歩き出す。
「……」
 それは天才シュペルの発した数千年ぶりの『失敗』だった。
「……よし」
 モノクルを外し、磨き直した彼は晴れやかに言った。
「忘れよう!」

●ブリーフィング
「嫌」
 リア・クォーツ(p3p004937)の真っ直ぐな言葉は当然受け止められる事は無い。
「嫌だって言ってんだろうが! 『受け止められる事は無い』じゃねえんだよ!」
 思わず素が出た敬虔な神の徒は頭痛を堪えるように頭を抱えていた。
 たかが抽選、されど抽選。やってみたら引いて書き手が爆笑したのはさて置いて。
 練達方面から幻想方面に進撃中の謎の巨大物体はまさに笑える衝撃と脅威をまさに有閑なローレットにもたらしていた。
「……それで、例のUMAは何が目的なのかしら?」
 クラス開け職人こと、僕らのローラー博士アンナ・シャルロット・ミルフィール (p3p001701)がボケボケの展開に真っ当な嘴を挟んでくれる。
「……………聞かなくても分かっている気もするんだけど」

 ――破壊(デストロイ)。

 何か色々間違えて事故った結果産み落とされたそれは持ち前の超巨体で全てを制圧するように進撃しているという。
 虎に翼、まるで今年の関西の何処ぞのように――
「何れにせよ、我等で食い止めねばならぬという事であろう!」
 ほぼディルク・レイス・エッフェンベルグな一条 夢心地(p3p008344)が気を吐く。
「猫でも虎でもかかってくるが良いのじゃ!
 ……それに例の虎の進軍方向はバルツァーレク領方面と聞いた故……」
「やってやるよ、この野郎!」
 一石二鳥でリアに悲痛な決意をキメさせて。

 ――あ、この戦い実況配信されますから。

「何でだよ!!!」

 ――撮影って事にしておかないと周辺住民が恐怖で大混乱に陥るから仕方ないね。

「……」
 何でそんなUMA(?)にたった四人で挑まねばならぬのか。
 それはこれがキャンペーンシナリオだから……
「……………」
 難しい顔で顎に手を当てた天目 錬(p3p008364)は首を傾げる。
「……これは、本当にシュペル案件なのだろうか……?」

 ――レインボータイガー案件です!

GMコメント

 YAMIDEITEIっす。
 抽選に草。
 以下詳細。

●任務達成条件
 メカとらぁ君を食い止める

●あらすじ
 精神的DVを受け続けたシュペル君がキレて対ローレット特別兵器を作ったぞ!
 万能の天才であるシュペル君だが、ストレスでミスっておかしなものが産み落とされたぞ!
 このままではバルツァーレク領が壊滅だ! 何とかしないと!
 あとリア・クォーツが新曲を出すらしいぞ!

●実況配信
 周辺住民を恐慌させない為にも撮影という体で任務は実施されます。
 練達に生中継されるのでシュペルは爆笑する事でしょう。

●メカとらぁ君
 対イレギュラーズ特別兵器。
 天を衝く威容、超巨大なる破壊神。本物の虎。
 まあ要するにばかでかいとらぁ君(ロボ)でずしーんずしーんと進撃します。
 理不尽極まりない進撃力と攻撃力を持っており、何で四人で挑まされるのだかは不明です。

●特別武装
 実況配信を記念してなんかロケットランチャーの貸し出しが行われています。
 そんなもんあっていいのかという疑問はもっともですが、こんなシナリオにマジになってはいけませんね!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はEです。
 無いよりはマシな情報です。グッドラック。

●Dannyar!
 当シナリオにはパンドラ残量に拠らない面白判定が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

●重要な備考
 本シナリオは2023年3月頃に実施した『レインボータイガーキャンペーン(2ND)』の当選景品として実施されます。
 このシナリオは納品後『渡会玄都』IL様によるピンナップが作成される予定です。
 尚、本キャンペーンの詳細・運営につきましては下記URLをご確認下さい。
 又、本キャンペーンは協賛企業であるレインボータイガー合同会社様によって実施されます。
 本シナリオ運営を除くお問い合わせ等はそちらにお願いいたします。

https://rev1.reversion.jp/page/rainbowtiger02

 以上、ご当選おめでとうございます。宜しくお願いいたします。

  • Toraa of the Dead完了
  • 何てタイガーなシナリオなんだ! きっと名のある虎の仕業に違いないね( *´艸`)
  • GM名YAMIDEITEI
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年06月29日 23時30分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
無限円舞
リア・クォーツ(p3p004937)
願いの先
一条 夢心地(p3p008344)
殿
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師

リプレイ

●企業案件 I
 ――リアは激怒した
   必ずかの邪知暴虐のCWを倒さねばならぬと決意した。

   リアには与太が分からぬ。
   リアは清く正しい修道女である。
   弟の部屋を掃除し、とある伯爵の尻を蹴って暮らしてきた。

   けれども、邪悪に対しては人一倍敏感であった。

「やってやんよ、この野郎!!!」
 声高に叫んだ『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)を見て彼女が何者であるか理解出来る者は居まい。
 その流麗なる美貌に青筋を浮かべ、ロケットランチャーを構える姿は鬼神の如く。その様からは常日頃彼女が標榜する『清らかな修道女』は察しようが無く、好きな人に見られようものなら彼女は幻想を灰にしてしまうに違いないだろう。
「私はアンナ。善良な一般特異運命座標よ。
 ざんげ様の腕を犠牲に最後のクラスを開けたと思ったら、予約した覚えのないUMA退治の依頼に入っていたわ。
 こんな横暴は許されない……」
「全くとんでもない物を作ってくれたものだぜ……」
 滅茶苦茶にとっちらかったクソプレイング群の中で冷静さを見せる『剣の麗姫』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)に『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)が頷いた。二人の視線の彼方先、山間からはのっぺりとした巨大な『何か』が顔を覗かせていた。
「だがライバルとして、ライバルとしては!
 あのシュペルのミスは間近で見つつも……きちんとこの手で処理しないとな!」
「嬉しそうじゃないの、結局……」
 呆れた調子のアンナに「そんな事は無いぞ、多分」と錬は実に頼りない返事をした。
「渡会玄都さん、本当に申し訳ございません。
 レインボータイガー社の悪ふざけにお付き合い頂き、誠にありがとうございます!」
 一方で『殿』一条 夢心地(p3p008344)が力強く彼方へと頭を下げている。
「特にNG項目などはございませんので、自由に描写頂ければ幸いです!
 ピンナップの完成を楽しみにしております。
 季節の変わり目となりますので、お身体ご自愛頂ければ。何卒宜しくお願い致します!」
「何処に向けて言っているの……?」
「挨拶は社会人の基本故に……」
 一般のシナリオならばどうかという話だが、本件の如し与太の胡乱の夢心地、まさに最早是非も無し、である。
 白塗りのちょんまげに良識を見せつけられたアンナが「そうね……クソシナリオだものね」と納得した。
(ひょっとして俺は割合まともにプレイングを掛け過ぎたのだろうか……?)
 やや不安を帯びる錬を他所に。
 彼等四人の特異運命座標が今日、運命から仰せつかったのは『進撃中の山より巨大なとらぁ君を何とか食い止めろ』という胡乱極まる依頼だった。ローレットの肝いりとして名指しで用意されたこの依頼は錬の言った通り、混沌において神なる二つ名を欲しいままにするシュペル・M・ウィリーの珍しいミスから生まれた産物であった。無軌道に塔を荒らすイレギュラーズに煮え湯を飲まされ続けた彼が懲りない連中に対抗すべく放った『刺客』はキャンペーン上の都合により描画しやすいしょうもないUMAへと姿と変えたという訳である――
「大体ね、何だってのよ、シュペル!!!」
 ずしーん、ずしーんと地響きを立て徐々に接近してくるとらぁ君の無表情を遠くねめつけながらリアが憤慨した。
「ローレットの皆は寂しがりの引きこもりの為に遊んであげただけじゃないの!
 あたしだって一人じゃちゃんとしないアイツの為にお世話しにいってあげただけなのに……
 お姉ちゃんに向かってこんなのって随分な態度じゃない!? 弟の癖に!」
「……?」
「??」
「??????」
 ぷりぷりと怒るリアにアンナ、錬、夢心地までもが無数のクエスチョンを飛ばしていた。
 このシナリオの諸悪の根源が抽選でまで追いかけてきたこの地獄の黙示録である事は言うまでも無く、しかし言っても通じそうもないから三人は彼女の憤慨を無かった事にする。
「……ま、まぁ。何はともあれアレと戦わないといけないのは必然よね?」
 理解しようとすればするだけ正気が削られるのは確実だから――アンナは実に建設的に状況を巻き直した。
 クラス開けのついで、空中神殿から取る者も取らず駆け付けた彼女のクラスは見つけたばかりの『大賢者』。
 コスプレめいて眼鏡のつるをくいっと持ち上げた彼女は先を見通したように言う。
「打ち上げは錬さんが作ったステージでリアさんが新曲お披露目で。
 殿の舞台演舞コラボレーションも報酬にいいわね」
「任された」
「ほう?」
「てめえ!? 裏切りやがったな!?」

 ――チームワークは壊滅だった。

●企業案件 II
 リアはクォーツ修道院を出発し、クソ猫Pの呼び出しに死にそうな顔してやってきた。
 リアには父も……無くは無いがほぼ無い、母はやりたい事やって私の為とか言って消えやがる。

 リアは今、シュペ塔イベントと騙されて此処に居る。
 渡会玄都ILのバニースーツを着させられ、立ち尽くしている。
 クラスもバニーさんにして、性的魅力とステージ技術を活性化している。
 ドキドキ☆Hadesめもりあるまで持ってきている。
 そんな事したい訳じゃないのに。しなければならないと思っている。
 否、しない未来(プレイング)を描く事が出来なかった。笑いたければ笑え。笑えよ、焔!

「あ゛ぁあああああああああああああ!?」
 伯爵にはお聞かせ出来ない類の絶叫を上げたリアの視界の中で無軌道暴虐の破壊が進行していた。
 遠く進行方向にかのバルツァーレク領を臨む平和な街道は無表情でその短い手足を動かし、出鱈目な破壊を繰り返す『虎』の独壇場となっている。
「勝てる訳ねぇだろうが!? どんなサイズ差だよ!?」
 人型のイレギュラーズのサイズはあくまで二メートルに足らない程度だ。
 しかし一方で山よりも巨大に見えるとらぁ君は正確に測れない程の『怪物』である。
「私は総ゆる神秘体系を手の内にしている――
 多分明日にはそんな設定なくなってるけど、とにかく丸裸にしてみせるわ」
 とってつけたような設定をしれっと口にしたアンナがその敵をアナライズした。
「――うん、やっぱり気のせいだったわ。
 前に出たら死ぬ。神秘体系がどうこうじゃなく、私の直感がそう言っているわ」
 人は神には勝てず、虎で神と言えばアレやろ、そら。
「いや、まぁ……そうなるとは思ったが……」
 頬を掻いた錬がしみじみと言った。
 このクソシナリオに比較的真っ当なプレイングを掛けてしまった彼は『理不尽という名の悲劇』、それがもたらす虚無を思い切り味わっているに違いない。持ち前の工作スキルと拘りに拘る職人魂で丹念に迎撃の為の陣地を構築した彼はものの数秒で気付いたものだった。

 ――あ、この話そういうんじゃねぇわ――

 シュペル・M・ウィリーのライバルとして!
 それを自称する者として!
 譲れず、かのメカとらぁ君を食い止めんとした彼の努力は僅か数秒で灰燼に帰したという訳だ。
 無惨に踏み潰された夢の跡に錬は遠い目をする以外に無い。
「――とは言え!」
 めげない錬はイカロスの如く太陽に手を伸ばす者である!
「巨体とシュペル製ということを考えると防衛陣地で食い止めるのはまず不可能だろうとは思っていた!
 ならば、この準備の本質は此方側の機動と破壊をサポートする為のものだッ!」
「成る程ね」
 ロケットランチャーを肩に担いだ大賢者(アンナ)(※この時点でおかしな光景)がクールに頷いた。
「陣地(ステージ)構築に領民の皆さんを頼った甲斐があったわね。
 尚、リアさんには特に許可を取っていないけれど――この後はここで新曲の発表よ」
「全損しちまえ!!! こんなクソ陣地!!!!!」
 わあわあぎゃあぎゃあ騒ぎの絶えない状況がとらぁ君の進撃と混じり合う。
 かの巨体のもたらす破壊音と炸裂するロケットランチャーの爆音はまるでセッションそのものであった。
 このリプレイで何を書いているのか良く分かっていないのは俺も同じなので細かい事を気にしてはいけない。
 恐らく企業案件の持ち主は「そうだね、タイガーだね」と納得し。
 丸投げされる渡会玄都さんは頭を抱える事だろうが、そんな事はやる前から全部、全部分かっていた。
「実際、どうすればいいのよ、この収拾……
 いや、諦めては駄目ね。やる。やるけど、やるわ、やる時……
 ……仲間達が何か良い感じのことをしてくれると信じるわ。これが私の叡智だから!」
 食い止めようにも止まらない、幾ら攻勢を強めようとも爆炎を掻き分けて進行するとらぁ君をアンナは見据えたままだった。
 ……否、彼女が見据えていたのは彼のその巨体だけではなかった。
 その背後よりそろりと忍び寄る――一つの影を彼女の叡智は見逃しては居なかったのだ!

●企業案件 III
(六年前、新規ゲームを立ち上げたあの日のこと……)
 走馬灯が駆け巡る。
 沢山の思い出は尽きる事無く、夢心地の気持ちを強くした。
(女子がこちら側に向けて差し出す構図のバレンタインイラストは、自分宛のチョコだと言い張ったこと……
 PBWを遊び尽くす為の謎の会社から、謎の依頼がきたこと……
 オフ会の腕相撲対決で、腕を折られたこと……
 すべてが……すべてが懐かしき思い出じゃ……)
 例え我が身が滅んでも、あの黄金のような時間が消えてなくなる事は無い。
(もっと……そう、もっとこの世界を楽しみたかった。
 しかしこやつを放置しておっては、皆が覇竜のクライマックスに集中できぬ。
 やがて来る最終決戦の前に世界が虎に染まってしまう。ならば、ならば――)
 飛行で背後より忍び寄り、メカとらぁ君の背中にびたっと貼り付いた夢心地は戦いに覚悟を決めていた。
(――是非も無し、じゃ!)
 仲間達が口々に殿の名を呼んでいる。
 恐らくそれは彼の無茶を止める声だ。
「いいぞ、やっちまえ、ちょんまげチューリップ!」
「後は任せるから適当に宜しくね」
「多分無駄だと思うが、データは取っておくから安心していいぞ」
 止める声の筈だ!!!
「後は任せたぞえ。
 アンナ・シャルロット・ミルフィール!
 天目 錬! そしてリア・クォーツ!」
 夢心地はその両目を見開いて。
「――楽しかったぞ混沌世界。そして、さよならじゃ!」

 どーん、と景気良い爆発音が立つ。

「……で、茶番はいいけどよ」
「うむ。ギャグキャラで無ければ死んでいる所であった」
「……あれ、どうしたらいいのかしら?」
「うーん、流石シュペル。全ての閾値が異常そのものだ」
 戦い(?)は続くが、実際問題、流石のイレギュラーズにも打つ手は無かった。
 メカとらぁ君の戦闘力はひょっとしなくてもNightmareであり、クソシナリオでなければ全員百回は死んでいる。
 無暗な威力のロケットランチャーは幾度と無く火を噴いていたが、それでも倒すには程遠い。

 ――ふふ、困っているようだね!

「!?」
 そんな時、天より四人の脳裏に響いたのは謎の声。
 まさにこの絶望的な戦いを覆す為の『天啓』そのものだった。

 ――私は通りすがりのハン神。
   皆の為に最強のとらぁ君を倒す為の秘策を授けるよ!

「邪神じゃねえか」
 零したリアを「まあまあ」とアンナが宥めた。
 一方の夢心地は何か面白い事を言おうと力を溜めていた。
「……デウス・エクス・マキーナするのか? まさか……?」
 錬君や、こんなシナリオでそれ以外の解決法があるとお思いか?

 ――そのロケットランチャーは特別製なのさ。
   ふふ、古来より主人公には友情、努力、勝利が似合うからね!
   皆で力を合わせて最強無敵パンドラランチャーを繰り出す事で優勝間違いなしだよ!

 何やら良く分からないが手をこまねいていてもバルツァーレク領が壊滅するのは確定的だ。
 ならば、最早踏み込む以外に術はなく。
「行くぞ、てめぇら!」
「えーと、麿さっきので腰痛めた故……バンジーもあるし」
「神に頼ったらシュペルを超えた事にはならないだろう」
「報酬はちゃんと宜しくね」
 非協力的な面々にリアがキレる。
「新曲でもステージでもやってやるから兎に角手伝え!!!!!」
 四人は何でか知ってたポーズをキメ、
「最強!」
「無敵!」
「パンドラランチャー!」

 ――吹っ飛べ、クソ猫!!!

 同時に繰り出したロケットランチャーが夢の軌跡を描いて、とらぁ君はセンター方向へかっ飛んだ。

●新曲案件
 わあわあきゃあきゃあ。
 きゃあきゃあわあわあ。

 一度は壊滅したステージを見事に再建した錬は額の汗を拭い爽やかに笑う。
 いい仕事をした職人はこの世全ての呪いを帯びてステージで躍動するリアに満足そうに頷いた。
 手伝ってくれた周辺領民の皆さんも加えて、イベントは大盛り上がりである。

(どうしてこんな事に……?)
 さもありなん。
(ドラマ・ゲツクはどこ……?)
「巻き込まないでくれますか!?」という声が聞こえそうだ。

 リアには弟認定の男がいた
 シュペル・M・ウィリーである
 今はシュペ塔で引き籠りをしている
 その弟認定をこれから訪ねてみるつもりだった
 久しく逢わなかったのだから、シュペルもリアの事を待っているはずだ。

「――首を洗って待ってろよ、シュペル!!!」
 可憐なヒロインからは程遠く。
 負け惜しみを言う悪の幹部のような台詞でハムは吠えた。
 願わくば、ステージの最前列でサイリウムを揺らす長い緑髪の貴公子が自分が熱にうなされた結果の幻影である事を祈りながら。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 YAMIDEITEIっす。
 レインボータイガー合同会社様は本件の協賛をありがとうございます。
 イラスト発注と納品は別案件となります。
 具体的な告知は目途が立ち次第行いますので、お楽しみに!

 シナリオ、お疲れ様でした。

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