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シナリオ詳細

<黄昏の園>救うが為の一歩

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<黄昏の園>救うが為の一歩
 竜種達が棲まう地、『覇竜領域デザストル』。
 つい先日に発生した『ラドンの罪域』の戦いに勝利を収め、ラドネスチタによる『選別』を受けたイレギュラーズ達は、竜種達に『黄昏の地』と呼ばれる『ヘスペリデス』の領域へと到達。
 美しい風光明媚な光景、色鮮やかな花々、そして……湖、川、滝。
 先程までの厳しい環境とは真逆の風景は、今迄の苦労を忘れさせてくれる。
 ……しかしながら、そんな『ヘスペリデス』の地に降り立ったイレギュラーズの前に、『花護竜』テロニュクスの告げた言葉。
『人の営みを真似して作った遺跡は不格好……咲く花はデザストル特有の、名も知らぬ花であっただろう。だが、風光明媚なこの場所は、いつかは幌実に向かうのだ……』
 その言葉の通り、この地は『冠位暴食』ベルゼー・グラトニオスにより作られた場所。
 滅びが約束されているとは言え、彼の思いにより作られたこの地は竜と人を繋ぐ切っ掛けになれば良いという希望が託された地。
 イレギュラーズ達も、その希望を現実に返るため、イレギュラーズ達は『ヘスペリデス』の地での活動を始めるのである。


『……お前達にこの様な事を頼む事になるとはな……だが、ベルゼー様を救う為だ……宜しく頼む……』
 その言葉は、『花護竜』テロニュクスの言葉。
 そして、その言葉を聞いた『フリアノンの里長』珱・琉珂は、イレギュラーズ達に向けて。
「……という訳で、里おじさまの為に皆の力を貸して欲しいの。この『ヘスペリデス』の地にある『女神の欠片』を確保してきて欲しいの」
 真摯な表情の琉珂。
 彼女が言う『女神の欠片』というのは、このヘスペリデスの様々な所に点在していると言われるもの。
 その中で今回琉珂から依頼されたのは、小高い丘の上にある亜竜の巣にあると言われるものを回収してきてほしい、という。
「丘の上は視界も良く、見渡しの良い場所なの。当然ながら亜竜達は、近づいてくる敵に警戒をしながらその場で生活をしているわ。そんな亜竜が産み落とした『卵』の一つに、琥珀色をした『女神の欠片』の結晶が張り付いている様なの」
「勿論『亜竜』の卵……彼らからすれば卵を奪いに来た不届き者として牙を剥いてくるでしょう。でも……『女神の欠片』を彼らの手に渡しておくと、いつ何が起きるかも分からないわ。まだ、何も起きていない内に確保してきて欲しいの……よろしく頼むわ」
 琉珂は軽く頭を下げ、そしてイレギュラーズ達は丘の上の亜竜の巣へと向かうのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 『ヘスペリデス』に点在する女神の欠片……詳細は良く分からない部分はありますが、ベルゼーを救う為に皆様の力を貸して頂ければと思います。

 ●成功条件
  この地に棲まう亜竜の住処にある、『女神の欠片』が張り付いた。『卵』を回収する事になります。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  『ヘスペリデス』の小高い丘の上にある『亜竜』の住処が舞台となります。
  亜竜達は当然のことながら、卵を大切にしているので、それを奪いに来るイレギュラーズの皆様を激しい怒りと共に牙を剥きます。
  また、鳴き声を上げて外に出ていた仲間達を呼び寄せるので時間が掛かれば掛かるほど、敵の数は増えてくる可能性が高くなります。
  出来る限り早急に敵を倒し、『琥珀色の結晶』が張り付いた『女神の欠片』付きの卵を壊さないように回収する……という繊細な作業が必要になります。

 ●討伐目標
 ・狂乱の亜竜『ワイバーン』達
   竜種に似た翼を持つ小型のドラゴンの様な者達です。
   最初は数が少ない(巣を守るメスのワイバーン達のみ)ですが、鳴き声を上げてどんどんと仲間(オス達)を呼び込みます。
   メスのワイバーン達は卵を護るように動き、一方オス達はイレギュラーズ達を(殺す、絶対殺す)の意識で以て対抗します。
   半ば狂状態となっており、怒り付与の効果を無視して近くに居る者を優先的に攻撃します。
   ちなみに攻撃手段は鋭い爪で斬り裂く(高攻撃力+毒)、炎・雷のブレスを吹き付ける(炎効果もしくは麻痺効果を前方範囲に放つ)を行います。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <黄昏の園>救うが為の一歩完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年05月21日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
鏡花の矛
武器商人(p3p001107)
闇之雲
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方
ファニー(p3p010255)
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚
クウハ(p3p010695)
あいいろのおもい

リプレイ

●救うが為
 竜種棲まう地、『覇竜領域デザストル』。
 激しい戦いが繰り広げられた『ラドンの罪域』を越えた先に拡がるのは、一変して花咲き花々の自然が繁る『黄昏の地』と呼ばれる『ヘスペリデス』。
 しかし、そんな美しい光景に見惚れている暇は無い。
 訪れしイレギュラーズ達に『花護竜』テロニュクスから伝えられたのは、この地は滅びへと向かって居るという事。
 更にはこの地を創り出した『冠位暴食』ベルゼーが今、苦しみの中にあるという事。
 その苦しみを少しでも和らげる為に、この地に散らばりし『女神の欠片』を確保してきて欲しいという、琉珂の依頼。
「なるほど……難しい注文をするねぇ……」
 彼女の依頼を受けた『闇之雲』武器商人(p3p001107)は、肩を竦める。
 『女神の欠片』が、単に何処かに張り付いたという話であったら、どんなに楽だった事だろう。
 張り付いたものから女神の欠片を剥いで持ち帰れば、それで事が足りるはずである。
 しかし……この度の依頼にて、女神の欠片が張り付いたものは……小高い丘の上にある亜竜の巣の『卵』という。
 当然亜竜達からすれば、子を育てる為の大切な卵……それに手を触れようものなら、怒るのも当然のこと。
「全くだ。子を護る親ってのは必至なもんだ。奴らからすりゃ、俺達は縄張りの侵略者かつ掠奪者。怒り狂うのも当然のことだろう」
「うん。女神の欠片とは言うけど、もうちょっとまともなところに着いてくれればなぁ。人妻としては、番の竜を刺激するようなマネはしたくないのにさ」
「そうね……女神の欠片、本当に何にでもつくのね。これがこのまま孵ったら、女神の欠片を持った雛が生まれるとかもあるのかしらね? 気にはなるけど……ま、真実は分からないか」
 『あいいろのおもい』クウハ(p3p010695)、『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)、『木漏れ日の優しさ』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)が其れ其れの思いを口にする。
 極単純に言えば、巣から卵を奪い取り、壊し、女神の欠片を手にするだけのことである。
 しかし……イレギュラーズ達には慈しむ心がある訳で……例え亜竜だとしても、愛情を注いで育てているその卵を無慈悲に破壊するという事に、抵抗を覚えてしまう者も多い。
 昼の今、巣に居るのはメスの亜竜達だけではあろう……だが、襲撃を受ければ悲鳴を聞いて、駆けつけ帰り来るオスの亜竜達が来るのは間違い無い。
 当然帰ってきた彼等は、愛情込めた卵を奪いに来たイレギュラーズを、慈悲も無く殺そうと牙を剥くだろう……その数が多くなればなる程に、卵を手にするのは難しい。
「そうだよねぇ……凶暴になるのも至極当然か。人間ですら親になった瞬間に顔つきが変わるって言うし、そういう意味でこの子達は卵をしっかり護ろうとするあたり、家族を護ろうとしているだけなのかもしれないよね」
「ええ。亜竜達を殺したく無いなんて、私の仲間は大変優しい事……その考えが分からないという訳でも無いけど」
 『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)の言葉に肩を竦めるオデット。
 とは言え仲間達の思いが理解出来ないという訳でもない。
 そんなオデットの言葉に『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)は。
「確かに卵、と割切ることは出来なくは無いと思うッス。でも、亜竜達もこの世で生きているッス。その命の連鎖を止めたくない、というのは分かる気がするッスよ……」
 ドラゴニアとして、亜竜達がいる丘の上を見上げ、目を閉じ紡ぐ彼の言葉は嘘偽り無い心。
 更に『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)も。
「確かに卵から女神の欠片を剥がしたからといって、元の卵に何ら影響が無いと言うのは分かりません。ですが……卵は亜竜たちにとって、何より護りたい命。誰かを助ける為に、別の命が無闇にされるのは、嫌です。それに……これが僅かな先延ばしに過ぎないとしても、今は欠片を集めるしかないのですから……」
 亜竜の卵と、女神の欠片……どちらの命を優先するのか。
 どちらも両立させるには、壊さずに剥いで、持ち帰るのが次善策。
 勿論卵を守りし亜竜達を出来る限り殺さなければ、失われる命も無い。
「そうだね。出来るだけ、卵を壊さないように欠片だけを剥がして、親元に帰せるように全力を尽くそう!」
「ああ。出来れば卵は置いて帰ってやりたいな……出来るかどうかは分からんが」
「そうだね。必要とあらば仕方ないし、ちょっと拝借するとしましょうか。まぁ女神の欠片がどこまで内側に侵食しているか……駄目だったら、壊すのも仕方ないさ。彼等だって、異形の子になったら、見捨てるかもしれない……そうなれば誰もが不幸になるからね」
 咲良、クウハ、ルーキスの言葉。
 そして『紅薔薇水晶』ファニー(p3p010255)が。
「それじゃあ巣の中に突撃だ。時間との闘いになるな」
 と言うと、武器商人は。
「そうだねぇ……骸骨のコ。つまり、撤退条件を満たさないように、我(アタシ)は時間を稼げばいいんだよね?」
「ああ……オスのワイバーンが多くなれば、流石に卵も無事ではいられない。ま……20匹程度が頃合いかァ?」
「了解。それをキミが望むなら、ね」
 小さく笑う武器商人に、頷くファニー。
 そしてイレギュラーズ達は、陽が高い内に小高い丘の上にある巣へと辿り着くのであった。

●己が命を糧に
 そして、丁度正午の頃。
 オスのワイバーン達が、全てエサを探しに巣を飛び立ちて、残るのは卵を護るメスのワイバーン達のみ。
「……取りあえず、卵が対象になるかは分からないけれど、やるべき事はしておきましょうか」
 と、オデットは意識を集中……巣全域を含めるように結界を展開。
『……?』
 結界が張られたことに、メスの亜竜達が空を見上げ、首を傾げるが……すぐに目を伏せ、卵をその身で温めるように包む。
「良さそうね……オディール、ちょっと後ろ見ておいてね」
 子犬の頭を撫でて、自分の後方確認をして貰う。
 そして、クウハと武器商人の二人が、広域を見渡すと共に高い視力で隅々まで確認。
 ……一つ一つの卵を観察し、琥珀色の何か……つまりは女神の欠片がくっついている卵を探す。
 メス竜に卵は包まれているので、少し見にくい所もあるが……注意深く観察していれば、他には無い特徴を持った卵を発見。
 その卵を包む竜を指さしてクウハが。
「あの竜が護る卵が、欠片の卵。となると、あそこから突撃して、卵に近づいた方が良さそうだな」
「了解ッス。それじゃオレらは回り込むッスね」
 指示を受けライオット、ユーフォニー、ファニーの三人は息を潜めて巣の外周を回り、琥珀の卵に近い所まで移動。
 そして……頃合いを見てクウハが鱗の破片をまぶしたやきとりを投げ込む。
『グゥゥ……?』
 投げ込まれたソレに、注意を向けるワイバーン達……更に絶妙なタイミングで、武器商人が今度はいかめしを投げ込みつつ。
「さぁ、キミ達にご飯をあげよう……気に食わないかな?」
 くすりと笑う武器商人……メスのワイバーン達は侵入者であると認識した様で。
『ウォォォォオォン!!』
 と、甲高い鳴き声で鳴く。
 その鳴き声に、遠くの方で呼応する様に同じような鳴き声が響く。
 そして雌竜達は、卵を壊さぬように身を僅かに浮かせながら、武器商人の所に向けて飛行。
 そして飛んできた彼等に対し、咲良は仲間達と共に行動。
 雌竜達を引き付ける様、爆裂する焔を手に生み出し、足元へ叩きつける。
 火柱が上がり、僅かに怯む雌竜。
 勿論その火柱は目印となり、遠くの雄竜達は急ぎ、巣へ戻ろうと行動を開始。
 全てのワイバーン達が咲良の所に向けて接近していく中、連鎖したオデットは先ず、雌竜達に向けて神々しい光を放ち、目を眩ませつつもその場に足止め。
 更にルーキスも己に星の輝きを纏わせつつ。
「怒り狂う竜相手に飛び込むとかは無謀だよねぇ、どう見ても」
 と自嘲しながら、深淵の呼び声で雌竜達を捉える。
「悪いけど、ちょっと弱って貰うよ」
 彼女の呼び声により、更にその場から動けなくさせらてしまう雌竜……鳴いてそれを知らせ続ける。
 ……そして、段々と近づいてくる雄竜達……その姿をオディールを通じて確認したオデットが、仲間達に注意喚起する。
 ……そう雌竜と雄竜達を惹きつける仲間達を一旦待ち、雌竜達が全て仲間達の方に向かったところで、隠れていたファニー、ユーフォニー、ライオリットの三人が一気に琥珀着いた卵へと接近。
 雌竜達は、イレギュラーズ達の方に注意が向いており、容易に近づけ、その琥珀に手を触れる。
 ……しっかりと卵に張り付いており、手で剥がそうとしても、それは無理そう。
「しっかり張り付いてるッスね」
「ああ。ま、容易に想定できたことだ。剥がすぜ」
 とファニーは懐から持ち込んできていたマルチツールを手にし、卵と琥珀の間に挟み込む。
 ほんの少しではあるが隙間はある模様……とは言えてこの原理ではずそうとすれば、卵に被害が及ぶのはまず間違い無い。
「こりゃ……一筋縄ではいかないか?」
「その様ッスね……でも隙間はあるッスから、くっついている部分を剥がせば、取れそうッスね」
 そうファニーとライオットの二人が欠片剥がしに悪戦苦闘。
 流石に、常に雌竜達はイレギュラーズ達に注目している訳ではないようで……振り返った一匹が、剥がそうとしているイレギュラーズ達を認識。
『グゥォォォォォン!!』
 目の前で対峙するイレギュラーズ達を尻目に、その一匹は卵の方へと飛んでくる。
「来てしまいましたか……仕方ありません……!」
 厳しい表情を浮かべながらも、ユーフォニーは自分へ怒りを向けさせようとする。
 だが、かの雌竜はユーフォニーを一瞥するも、卵に何かしようとしているファニーとライオリットを狙おうとする。
「駄目……させません!」
 咄嗟に間に割り込むユーフォニー。
 傷を負うが、毅然と雌竜の前に立ちふさがり、二人の元へと通さない様に立ち振る舞う。
 雌竜は邪魔するな、卵を返せと言わんばかりに地を振るわす咆哮を上げ続け、更には鳴き声で雄竜への加勢を要求。
 数匹の雄竜はルーキス達の方にいるが、別の雄竜らが卵を護るべく回り込む。
「おっと……そっちには行かせないよ」
「ああ……お前達の相手はこっちでしてやる。余所見なんてさせないぜ」
 しかしそんな雄竜を行かせぬよう、ルーキスとクウハの二人が遠距離攻撃を撃ち、牽制。
 雄竜達からすれば卵も大事だが……群れである、仲間を護ることも大事な様で、雄竜達の狙いを惹きつける事に成功。
 とは言え一匹の雌竜はユーフォニーに攻撃を重ね、卵を護るべく全力で攻撃してくる。
 ……その鳴き声は、『子供を、返して』と言わんばかりに、怒りの中に少し悲しげな音色が含まれている。
 その鳴き声は、卵に接するファニー、ライオリット、ユーフォニーの三人の心に強く響く。
 そんな雌竜に、ユーフォニーは。
(「怒らせてごめんなさい! 私達は、卵についた欠片だけ剥がして手に入れたいんです。欠片以外を傷付けようと言う意思は、ありませんから……!」)
 と疎通の力で、何度も何度も語りかける。
 だが……雌竜からその言葉に、認識出来る言葉での返事は無い……怒りと悲しさを孕んだ鳴き声のみ。
 それ程までに、ここの亜竜達にとって大事な卵なのだろう。
 だが……依然として女神の欠片は卵から剥がれる気配は無い……確りと、強固に卵に張り付いてしまっている。
「くそっ……駄目か。しゃーねぇ……一旦卵、持ち帰るしかなさそうだ」
「そうッスか……了解ッス」
 唇を噛みしめたライオリット……その大きな身体で、卵を前に、まるで先程の雌竜の如く護る様。
 そして、巣から逃げる様に走る……勿論雌竜はそれを追いかけようとする。
 だが、立ち塞がるユーフォニー、それを補助するファニーの二人構えで、その先へは決して通さない。
 更なる悲痛な鳴き声が響く中、十数分。
 雄竜は最早20匹以上で、イレギュラーズ達も抑える事で精一杯……だが、これだけの時間があれば……ライオリットも丘の下に辿り着いている事だろう。
「そろそろ頃合いかな……? みんな、いい?」
 と咲良が声掛け、頷く皆。
 そして次の瞬間、オデットとユーフォニーが同時に、神々しい光を最大限の光量で以て放つ。
 直視すれば、目がやられてしまう程のまばゆさは、人も、竜も同じ。
「みんな、こっちだよ!」
 響きわたる咲良の声、光から離れる様に、イレギュラーズ達は巣から脱出。
 ……光が収まり、追いかけようとする雄雌竜。
 しかし丘を降り、遠くに離れた彼等を追いかけるような事は……無かった。

●救われる声
 そして丘を降り、空からの視界を覆う滝壺の裏。
「取りあえず……ワイバーン達は来ていない様ッスね」
 仲間達と合流し、一先ずは安堵の息を吐くライオリット。
「ふぅ……何とか逃げられたかな。みんな、お疲れ様!」
 と肩を竦めながら、腰を落ち着ける。
 勿論イレギュラーズ達の間にあるのは、運び出してきた卵。
 琥珀は依然として頂点部から、三分の一程の長さで張り付いている。
「さて、と……ツールの類いでは剥がせなかった、って事でいいか?」
「ああ。どうやら殻の中にまで浸食している様だな」
 クウハの言葉に肩を竦めるファニー。
 つまりこの卵に張り付いた女神の欠片は、既に卵と一体化しつつあるという状況。
 欠片を剥がすには、卵を割って、内側含めて取り除くほかには無いだろう。
 でもそれは……卵は卵としての力を失う事になるのは明白で……。
「そうッスか……」
 顔を伏せるクウハ。
 ……出来れば欠片だけ取り除き、卵を返したかった……だが、それは叶わない。
 その事実に静寂……いや、滝壺に落ちる水音が、その静寂を打ち破るが、言葉は無い。
「……分かりました、それならば……仕方ありません……」
 とユーフォニーは唇を噛みしめると共に……欠片の近くに棒を差し入れる。
 力を込めて、てこの原理で欠片を剥がすが……勿論それと同時に、卵には皹、更には……穴が開く。
 バリン、と音を立てて欠片が外れれば、欠片が開いた穴と、剥がすために必要だった穴二つ。
 ただ、既に卵の中は空っぽになっていて……。
「……欠片が吸った、とかかな……いや、まさかね……」
 その事象に考えを巡らせる武器商人。
 まだこの欠片については、殆ど情報が無い。
 元から空の卵だった、という可能性もあるだろうし、欠片が侵食し、吸ったという可能性も捨てきれない。
 ……少なくとも、この卵の命は失われていた、という事。
「やれやれ全く……出来れば二度と経験したくない惨状だったよ。しかしうちの旦那も、似たような事をしているって事だよね……そろそろ労ってあげるかな」
 皆の沈む気持ちを感じたのか、ルーキスは敢えて笑い……そして。
「さぁ、皆、帰ろうか。色々と調べたいことは山ほどある。悲嘆にくれているだけじゃ、事態は動きやしないんだし、ね」
 と仲間達の背を叩き、促すのであった。

成否

成功

MVP

ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚

状態異常

なし

あとがき

依頼参加いただき、ありがとうございました!
卵の中まで侵食していた様で……命救うことは難しい所ではありましたが、出来る最善を尽くせたでしょう……。

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