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シナリオ詳細

<天使の梯子>神に懸けては

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<天使の梯子>神に懸けては
 不意に訪れし一夜、それにより日常が破壊された天義の巨大都市『テセラ・ニバス』。
 率いる者『遂行者』と、それに付き従う『ワールドイーター』や『致命者』、『異言を話す者(ゼノグロシアン)』が街を跋扈し、異言都市(リンバス・シティ)に生き残る人々を蹂躙していくという光景が繰り広げられる。
 そんな光景は、イレギュラーズ達の活躍により、一つずつ解放されており、少しずつではあるが、解放に向けて進み始めている。
 だが……そんな異言都市を解放していく中。
『……ここは、何だ……?』
 呆然と立ち尽くすイレギュラーズ達の眼下に広がるのは、どこかぼんやりとした空間。
 他の区域とは違い、『帳』は完全に降りてはおらず、空気の流れも乱れており、天地左右の認識もどことなくはっきりとしない、そんな空間。
 誰かが名付けたこの空間は『神の国』。
 その空間の中には先のワールドイーターや影の天使、更には異言を話す者らが蠢いており、浮遊しながらも咆哮や悲鳴を上げている。
 今はまだ、この空間の中に浮遊する存在……だが、帳が落ちきれば侵食に飲まれるのは間違いない。
『……良く分からない状況だが、行くしかないな』
 更なる侵食の拡大を、黙って見ている訳には行かない。
 そしてイレギュラーズ達は……不安定なる『神の国』へと赴くのであった。


「あ……えっと……すいません。あの……お話を聞いて頂けないでしょうか……」
 天義首都にて人々が往来する中、『深緑の声』ルリア=ルナミス(p3n000174)あhイレギュラーズ達を見つけては声を掛ける。
 そして、そんな彼女の言葉に立ち止まってくれると、ほっとした表情を浮かべ。
「お話を聞いていただき、ありがとうございます……皆様のおかげで、『異言都市』の調査も進み、新たなる区域が発見されたのです……その名も、『神の国』と名付けられた領域……です」
 その名前だけ聞けば、祝福された土地の様にも思える。
 だが……その実は祝福など縁遠い場所。
 帳が落ちきる前の、正常と異常の狭間。
 その場所には多くの『ワールドイーター』や『影の天使』達が蠢いており、このまま帳が落ちてしまえば……再び侵食された地が生まれてしまう事だろう……ならば今、潰すしかない。
「……この『神の国』を、帳が落ちきる前に塞いできていただきたいのです。どうも、『神の国』に居る者達は、異言都市で戦った者達より一回り以上強化されているという話ですので、厳しい戦いにはなると思うのですが……どうか、宜しくお願いします……」
 深く頭を下げるルリア。
 まだまだ理解不要、正体不明なる地ではあるが、イレギュラーズ達の力を必要としている今。
 そしてイレギュラーズ達は『神の国』へと赴くのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 テセラ・ニバスの侵食事件は新たなる展開を迎えつつあります。

 ●成功条件
  『神の国』領域に棲まう『ワールドイーター』等の『ルスト陣営』達を一通り倒す事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   皆様が訪れる『神の国』の領域ですが、ぼんやりとした『川の流れる平原』の姿形を映し出しています。
   しかし天地左右の概念が微妙になっており、ワールドイーターやらもその空間を左へ右へ浮遊している状態です。
   イレギュラーズの皆様にも、重力の方向が次々と変わり、そんな空間故に平衡感覚を失う様な状態になります。
   この状態については、このエリアのどこかにある『聖遺物』を破壊する事で制御可能で、同時に破壊すればワールドイーター等を強化している部分も解除されます。
   尚、この空間の中には『一般人』の様な人達が悲鳴を上げていますが……彼等は本当に『一般人』という訳ではありません。
   彼等はワールドイーター等に襲われて悲鳴を上げたりしていますが、現実世界の映し身の様なもので、現実世界には影響がありません。
   ただ、このまま侵食が進めばゼノグロシアンになるのは間違い無いので、後のために彼等を救いつつ、ワールドイーターらを討伐してください。

 ●討伐目標
 ・半狼半人の姿をした『ワールドイーター』の群れ
   上半身が狼、下半身が人の姿……いわばウェアウルフの姿をしたワールドイーターです。
   獰猛かつ鋭く長く伸びた爪でかっ裂く攻撃を軸にして行動します。
   その爪には毒素が含まれている様で、喰らえば毒効果が付与されるでしょう。
   又、動きが素早く縦横無尽に戦場を駆け回り、かなり高い戦闘能力を持ち、加えてこの『神の国』に居る事で素早さが強化されている様です。
   尚、彼等に対し会話を試みようとしても無駄です。(ワールドイーター化している状態故に、発狂状態です)
 
 ・影と翼を纏いし人型の『影の天使』達
   影に翼を生やした人型生物です。
   主たる戦闘はワールドイーターに任せており、彼等は後方支援型の行動を行います。
   回復したり、能力を向上させるような能力を使用しており、神の国の効果によってその効果が強化されています。
   ただ体力は少なめ故に攻撃を上手く当てれば一発で倒す事が可能かも知れません……勿論ワールドイーターがその盾になるべく動き回るので、両者の動きに翻弄されない様ご注意下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <天使の梯子>神に懸けては完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年05月06日 22時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)
涙を知る泥人形
ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)
微笑みに悪を忍ばせ
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
ファニー(p3p010255)
エミリー ヴァージニア(p3p010622)
熱き血潮
雪風(p3p010891)
幸運艦

リプレイ

●不安定な刻
 不意に訪れた一夜により、日常が一変した天義の巨大都市『テセラ・ニバス』こと、異言都市(リンバス・シティ)。
 空を覆い隠す『闇の帳』はリンバス・シティを瞬く間に包み込み、ワールドイーターや翼を生やした影の天使達、更には異言を紡ぐ『ゼノグロシアン』達が蔓延り、街を蹂躙してしまう。
 しかし……イレギュラーズ達の活躍の甲斐もあり、次第に街区は解放されつつあり、街の平穏は少しずつではあるが、近づきつつある。
 だが、そんなリンバス・シティの一角において、偶に発見されたのは……『神の国』と称される、謎の空間。
 梯子を下りるイレギュラーズ達の視界には、長閑な川の流れる平原の光景……それだけならば、極々平穏な風景と言えるだろう。
 しかしながら、そんな平穏とは程遠く、天地左右がごちゃ混ぜになっており、左やら上やらに川が流れている……異質なる空間が拡がっており、強い違和感を感じざるを得ない。
「これは……不思議な空間ですね。神の国、やはり底知れない何かを感じます……」
 と『幸運艦』雪風(p3p010891)が神妙に言葉を紡ぐと、それに『泥人形』マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)と『銀月の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)も。
「そうだな……空間が歪んだような場所。『神の国』と称されているが、どちらかと言うと異界、と呼ぶのがふさわしそうだがな?」
「ええ、そうですね。また不思議な空間に、不思議な敵……暫く活動していなかった間にも、状況が変わっているご様子です」
 二人の言葉の通り、この空間は現実世界の原理原則が適用されていない状態。
 足元に向かっての重力はおろか、その世界には人狼の様なワールドイーターやら、翼を生やした影の天使、更に呻き声を上げているゼノグロシアンと思しき者達がふわりふわりと浮かびながら咆哮と叫声をを上げる。
 ……何だかそれだけ聞くと、彼ら自体もその重力を制御出来て居るという訳では無さそう。
 しかしこの『神の国』が作られ、生きる存在からして、例え重力が無かろうとも思う方向に移動は出来て居る様である。
「重力の方向、なぁ……またけったいな異界を生み出してくれたものだ。慣れないと歩くにも難儀しそうな環境を作るのが『正しい歴史』だと本当に思っているのかね、ここの遂行者は?」
 と肩を竦める『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)に、『狐です』長月・イナリ(p3p008096)が。
「そうね……そもそも重力って何なのかしらね? 重力子自体が、私達の科学力では未知の素粒子、それを魔術的にとは言え、自在に操作となると、なかなか面白い現象だわね?」
 重力子という、平時に於いて聞き慣れない言葉を口にするイナリ。
 しかし、それを理解したのか、『微笑みに悪を忍ばせ』ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)はちょっとだけ驚きの表情を浮かべつつ。
「その様な事を知ってるとは……驚きましたが、ええ、そうですねぇ……それにその様な場所を『神の国』と名付けるとは。ずいぶんと気合いの入った名前な事で……ククッ。それを破壊するというのは、中々悪役向きの仕事ではありませんか。これは少々、私も力が入るというものですねぇ……」
 何処か嬉しそうなウィルドに、苦笑するイナリ。
 噂に聞くには、この重力異常は『神の国』の核となる『聖遺物』によって創り出されていると言う。
 故に『聖遺物』を破壊すれば、この『神の国』自体が維持出来なくなる……侵食しつつある闇の帳も、恐らく塞ぎ止めることが出来るだろう。
「ま、重力の方向が変わって平衡感覚を失うと言うのなら、重力に逆らうしかないな?」
「ええ、まぁ足元の不安が厄介ではあるが、俺の身体が変わるという訳ではないからな。ファニー殿が聖遺物を破壊するまで耐えきって見せよう」
 『Stargazer』ファニー(p3p010255)の言葉にマッダラーはボロボロの帽子のつばを引き下げ、そして。
「後……この者達をそちらに着かせる。捜索の目は多い方がいいからな」
「ああ、助かるぜ」
 マッダラーは使役する協奏馬3馬をファニーに付き従わせる。
 そして、それにエーレン、雪風も。
「そうだな。何はともあれ、ここで止めねば黒衣を誂えた甲斐もない。行こう」
「ええ、この自体、放置は出来ませんので、速やかに対処すべきですね。全力を持って当たらせていただきます」
 そんな二人の言葉に『熱き血潮』エミリー ヴァージニア(p3p010622)も。
「敵はワールドイーターに天使の群れ、と……天地も疎かな場所ではあるが、空中に浮けば幾分かはましに動けることだろう。久しぶりの活動で少し不安な所は有るが、皆宜しく頼むな」
「ああ……そっちも宜しく頼むな」
 エミリーにサムズアップして応えるファニー、そしてイレギュラーズ達は梯を伝い、前後左右、天地不覚の『神の国』へと降りて行くのであった。

●天地不覚の時
 そして、イレギュラーズ達が降り立つ、川の流れ長閑な草原地帯。
 ただ降り立つも、天地左右の概念が曖昧な空間であり、更にイレギュラーズ達を発見したワールドイーターらが。
『……ウォオォォオン……!』
 と咆哮を上げて、瞬く間に迫り来る。
 その姿は半人半狼、更には狂気に囚われており、絶叫するがのみ。
 そしてその声を呼び声として、影の姿に翼を生やした『影の天使』達をも四方八方から近づきつつある。
 そう、敵陣が近づきつつあるのを前に、ファニーが。
「異質な空間だな……だが、これを正常に戻し、ワールドイーターたちの強化を解く為には、一刻も早い聖遺物の破壊が必要だろう。情報は無いが、この『川の流れる平原』にある筈。俺はそっちの方を探すが……こっちについては任せても良いか?」
「そうね……そっちは頼むわ。周囲観察は私の方でもするけどね」
「ああ、了解……んじゃ、宜しく頼むぜ」
 サムズアップすると共に、仲間達の下からファニーは別行動を取る。
 それを追い立てようとワールドイーターと影の天使達は、重力を上手く活かしてイレギュラーズ達に接近。
 だが、上手く跳躍し、道を塞ぎ先回るのはマッダラーとエーレン。
「すまないが、ここから先には通さないぜ」
「ああ……さぁ、こっちに来い!」
 マッダラーがワールドイーター達を惹きつけ、エーレンが影の天使を惹きつける。
 それぞれが逆の方向に移動する事により、敵を分断しつつも広範囲に渡り敵の動きを妨害する様にする。
 そして二人に続き、ワールドイーター側には弥恵、ウィルドが、影の天使側にはイナリ、エミリー、雪風がそれぞれ追尾につく。
「さぁ、こちらです……私達が相手になりましょう」
「そうだな! 天使だか悪魔だか、素性不明な輩達は、私達の紅蓮の炎に包まれて死して貰おう!」
 雪風とエミリーの威勢良い言葉に誘われるがまま、イレギュラーズ達は重力と共に敵に対峙し始めた。

 そして……仲間達に敵を任せ、ファニーは聖遺物捜索の為だけに行動を開始する。
 勿論、手がかりは全く無い状態……しかし今迄に幾度となく経験した聖遺物に纏わる依頼を思い返す。
「今迄の聖遺物は仮面や皿、懐中時計とかがあったな……皆が言う事には羅針盤やら秤の様な物が怪しいと。少なくともここに相応しくない『人工物』が聖遺物である可能性が高そうか……? ならば、そう言うものをこの草原から探し出さないとな」
 と言うと共にファニーは、川に手を翳して……魚のファミリアーを川の中に召喚。
 更にもう一体は、空を飛ぶ鳥を召喚。
 鳥と魚の二種のファミリアーを召喚し、上空と海中両面の視界を確保。
 勿論ファミリアーの視界だけに頼るのではなく、己自身は偽翼で以て軽く浮遊し、重力の切り替えの影響を最小限に抑えるように小細工しながら、視界の届く範囲においての調査を進める。
「これで良し……ん……?」
 だが、鳥と魚の視界を確認していると、ノーマークの方向からウゴォォ、と人外の呻き声を上げながら、近づいてくるゼノグロシアンと思しき物の姿が視界に入ってしまう。
「ゼノグロシアンのお出ましってことか……余り手出しはしたくない所だが、仕方ないな」
 下手に放置しておけば、ファミリアーを不意に殺して仕舞う可能性がある……勿論探索の手を止める訳にもいかない訳で。
「取りあえずゼノグロシアンらは救える様な救うとするか……!」
 と覚悟を決めて、ファミリアーの元に飛んでいき、ゼノグロシアンを討伐。
 そして空と海中の二面から高視界と共に、透視の力を全力で発揮して捜索を継続する。
 ……勿論、幾度となく襲い来るゼノグロシアンと、主力部隊が相手しているのとは別れて行動していたであろうワールドイーターが襲い掛かるが、確実に一匹ずつを仕留める様に展開。
 勿論、ファミリアーと魚の視界にて発見された、この様な自然にそぐわない『人工物』を発見次第、それを破壊するファニー。
 しかしそれらを壊しても……重力の方向は変わらず上下左右に変転し続けており、それが聖遺物ではない『不審物』の存在。
 それでも諦める事は無く……抑えと囮役を買ってくれている仲間達の為にも迅速、かつ漏れ無く両者の調査を進めて行く。
 一方でのワールドイーターと影の天使達。
 視界範囲内の敵を、怒り付与で惹きつけると共に、マッダラーはワールドイーターに向けて。
「悪いが、お前さん達は俺たちの相手をして貰おう……」
 と短く告げて、タンクの役割を務めつつも、熱砂の嵐を吹き荒れさせて攻撃。
 同時にウィルドと弥恵の二人も左右に展開すると。
「相手はマッダラーだけじゃないぜ? ほら、よ」
 ニヤリと笑みを浮かべたウィルドが、神威なる一撃を叩きつけると、その行く先に待ち構えた弥恵が。
「月を彩る華の舞、津久見弥恵参上です。さぁ……私の舞に付いて来られる様なら、付いてきなさい」
 と流し目でワールドイーター達を横目で眺めつつ、アクロバットな動きで重力を活かしながら横っ腹に蹴りを入れる。
 その一蹴にかなりのダメージを受け、苦悶のくぐもった呻き声。
 ……だが、決して怯む事は無い彼らは、群れを成して攻撃を繰り返す。
 その途中、不意に重力の方向が変わる事もあるのだが。
「重力の方向が変わったぞ」
 とマッダラーは近くに居る仲間達だけでなく、仲間達全体に呼びかけて注意喚起。
 その一方で影の天使に対峙するエーレン。
「中々数が多い、更に重力がコロコロ切り替わって厄介だ。だが……それで怯んでいる訳には行かぬな」
「そうですね……重力の方向が変わると、弾丸の方向も変わるようです。なので、確実に狙いを付けて仕掛けたいと思います」
「ああ、頼む。こっちはこっちで、惹きつけさせて貰うな」
 雪風の言葉に頷き、そしてイナリとエミリーも。
「そうね……あいつら、この環境で生まれた敵だから、この様な現象には慣れている様ね。今だけは、彼らが羨ましいけど……でも、こっちも負ける訳には行かないわ」
「ああ。天使がいるというのに地獄みたいな場所だな。ならば、煉獄のさま な景色に変えてやろう」
 そんな言葉を交わし、イナリの連続して敵を『抜く』武技を演じ、加えてエミリーが紅蓮で周囲を灼き尽くし、天使らを仕留める。
 ……とは言え敵の数は依然として多く、
 イレギュラーズ達の上手く惹きつけられている様だ……兎に角ファニーが聖遺物を壊すまでの間は、時間を稼ぐとしよう」
「そうね……ならば私は舞い続けましょう。彼らを翻弄してあげます」
 マッダラーの言葉に弥恵は微笑み、ワールドイーター達を確実に惹きつけて、仕留めていく。
 そんなイレギュラーズ達の連携により、重力に苦戦しながらもイレギュラーズ達は敵を確実に減らしていった。

 そして……調査を継続していたファニー。
「……ん?」
 川の中を泳いでいたファミリアーの視界から、岩の影にうっすらと煌めく『何か』の存在を発見。
 急ぎファミリアーの後を追いかけ、その視界に移った岩陰に回り込む。
 すると……そこに引っかかっていたのは、川の中で鈍く輝く羅針盤の様な物体。
 自然溢れる光景のこの場には、全く似つかわしくないそれを水中から引き揚げて手に取ると……何故かは分からないものの、心がざわめき、言い知れない不安感を抱かせる。
 勿論それは、今迄に感じた事の無い感覚であり……その物体が人の心に影響を与えているのは間違い無いだろう。
「……これか?」
 そうファニーは呟くと共に、その羅針盤を地面に叩きつける。
 だが、それだけでは羅針盤を多う硝子の様な物は粉々に砕けるものの、羅針盤の針自体は壊れることは無い。
 更に羅針盤に向けて、更に指先より放つ一番星を放ち、羅針盤に向けて降り注がせる。
 ……流石にその様な破壊行動を取られれば、無機物であり、防御することのない羅針盤は粉々に砕け散る。
 そして砕け散ると共に……はしごから下りてきた方向へ、重力の方向が固定。
 更にこの空間に蔓延って居たワールドイーターや影の天使達も……まるで夢の事態だったかの様に、全てが消え失せていった。

●神は居らずして
 そして……。
「……ふぅ、どうやら無事に終わった様ね……」
 息を吐く弥恵に、周りの仲間達も頷き、胸をなで下ろす。
 足元には地面があり、浮くような感覚もない。
 時間経過しても、その方向が切り替わるようなことは無い……そして、程なくすると、別行動していたファニーが到着。
「お待たせ……って、もう終わってた様だな? ちょっと遅かったか?」
 ニヒルに笑うファニーに、ウィルドはサムズアップしながら。
「いや、丁度良かったぜ? 聖遺物は……壊せたのか?」
「ああ……ここのはこいつだった様だ」
 ファニーの手には、羅針盤の破片。
 針と東西南北を記した盤面。
 勿論破壊されてしまっている故に最早動作はしていない。
 ただ大きめの破片は回収できており、その破片をどさっと草原の上に広げる。
 その一つをイナリが手を取り……その聖遺物に何らかの力が帯びていないかを確認。
「……うーん」
 少し顔を顰めるイナリに、弥恵が。
「……どうしました?」
 と心配する様に声を掛けると、イナリは。
「……何らかの力を持っている様なんだけど、何だか雲を掴むかの様にぼんやりとしているのよね。少なくとも魔術的、神秘的な力を帯びているみたい。ただ、それが重力を操る様な、強力な物だとは思えないのよね……まぁ、一度戻ってから、色々と調べれば面白い事が分かりそうかしらね?」
 そんなイナリの言葉に、ウィルドは。
「確かにそうですね……確りと調べて見れば、後に繋がる『何か』が分かるかもしれません。取りあえずこれらは袋にでも入れて、持ち帰るとしましょう」
 と、それら破片を、強靱な袋に回収。
 そして……。
「うん……これで良いかしら。それじゃ、帰りましょう。闇の帳も張れたし、ここはもう大丈夫の筈だわ」
 イナリは皆を促して……闇の帳解けし『神の国』から去り行くのであった。

成否

成功

MVP

ファニー(p3p010255)

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂き、ありがとうございました。
新たに発生し始めた、重力etcが転々とする場所。
聖遺物を壊したことで通常期状態に戻すことはできましたが、それは一つだけではない様です。
別で起きている重要人物の襲撃事件と合わせて、どちらも解決しておかねばならないでしょう……。

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