シナリオ詳細
ヴィルアルジャンと銀花の縁
オープニング
●銀氷病の村
「待ってくれ、君! ローレットのイレギュラーズだろう!?」
海洋王国、西。不意に呼びかけられ、村を離れようとしていたイレギュラーズは足を止め振り返った。
この村を訪れたのひょんな都合であったがどうやら相手にとっては天の恵みに等しかったようで、足を止めてくれたことに感謝するかのように小走りにやってくる。
「やあ、僕の名前はライアン。ライアン・ハートリー。この先にあるヴィルアルジャンという村の村長もやってるんだ。良いところだよ。観光業もやってるし宿も清潔だ。シルバーベリーが特産品で水が綺麗なんだ。それでえっと――」
早口に、そして作り笑いを浮かべて、それどころではないと察したのだろう、気落ちしたようにうつむいた。
「ごめん。大変なんだ。助けを借りたい。依頼料を支払うから、村まで急いで来てくれないか」
帰りの馬車がそのまま行きの馬車になってしまったイレギュラーズ。
馬車の中で喋るライアンの話を聞いていれば、彼の性格は分かってくる。
おしゃべりだという欠点こそあるものの、彼は周りに信頼されていて、かつその信頼に応えようと努力している。彼の使命は村の存続と発展であり、今その両方が同時に脅かされているのだ。
「ついたよ、馬車を降りて」
ライアンが馬車の天幕をめくって案内した先は、確かに観光業をするに相応しい綺麗な村だった。
一望して見えるのは遠く連なる山々。都会の騒音はまるでなく、この季節特有のピンク色の花が並木についてはらはらと散っている。きっとこの村をぼんやりと歩けば良い休暇になるだろう。
そんな通りを歩いて行けば、診療所が見えてきた。
「ここだ」
そう言って入ってみると、待合室が既に病室と化していた。
ベンチや床にシートが敷かれ、人々が横たわっている。
まず目についたのは、彼らの頭部を覆うように銀色の氷めいた物体が覆っていることだ。それは口を中心に全身へ広がろうとしているようで、中には胸や腕にまで達している者もある。
それらはどうやら痛みを伴うらしく、痛みに呻いている声が子供達から聞こえてきた。大人達とて、耐えているだけで本当は呻きたいだろうに。
「銀氷病だ。このあたりで時折かかる者のいる病なんだけれど、一度にこんなにやられたのは初めてだ」
弱った表情をするライアンを出迎えるように、忙しそうにする医者が奥の部屋からやってくる。これまでの話を聞いていたのだろう。あるいは、ファミリアーなどを通じて先に情報を伝えられていたか。
「銀氷病は治る病気です。ですが、特別な薬草が必要になります。……こちらへ」
医者とライアンに案内されて一度診療所を出ると、医者は北の方角にある山を指さした。
「私達は『銀の峰』と呼んでいる山です。あの山でとれる『アルジャンルール』という薬草を使えば少量で病気を治療することができます。この袋に入るだけ持ってきてもらえれば充分でしょう」
医者の差し出す袋を受け取ると、念を押すようにライアンが説明を加えてくる。
「アルジャンルールは銀の葉と白い華をもつ薬草だ。淡く発光しているので、見ればすぐにわかる……けど、山に入るのはかなり危険なんだ。道中はモンスターも出るし、アルジャンルールは『グリム』が守ってる」
お喋りなだけに情報は残さず出すつもりのようだ。イレギュラーズが問いかける前にライアンは話を続けた。
「グリムというのは強力な魔物(モンスター)だよ。炎と陽炎でできた巨大な狼のような姿をしていてね、望んだ相手だけを燃やす炎を吐けるんだ。僕の親世代の話なんだけれど、アルジャンルールを特産品にしようとして乱獲していたことがあって、グリムはそのことに怒って乱獲にはいった人々を燃やしてしまったという過去があるんだ。
きっと今も人間を信用していないはずさ。どういう理由であの場所や薬草を守っているのかは知らないけれど……ね」
痛ましい事件を思い出したようで、ライアンは目元を手で覆いため息をつく。
「とにかく、山に入る際には気をつけてくれ。そして村人たちを、どうか助けてほしい」
それは神への祈りなのだろうか。それともあなたへの祈りなのだろうか。ライアンは手を合わせ、堅くそう言うのだった。
- ヴィルアルジャンと銀花の縁完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別 通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年05月01日 22時21分
- 参加人数6/6人
- 相談0日
- 参加費100RC
参加者 : 6 人
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参加者一覧(6人)
リプレイ
●銀(アルジャン)
歩を進めるごとに山の峰は近づいていく。それが頭では分かっていても、はるか遠くにある峰には一ミリたりとも近づいていないように思えてくる。
『ふもふも』フーガ・リリオ(p3p010595)はやれやれといった様子で登山道具を入れたリュックサックを背負い直した。
「借り物とはいえ、結構な量になったね。食料も入ってるんだよね」
リュックサックを示して言うフーガに、横を飛ぶちょうちょに視線を奪われていた『カーバンクル(元人間)』ライ・ガネット(p3p008854)がはたと気付いて振り返った。
「ん? ああ、そうだな。今回は料理ができる仲間が多くて助かった。携帯食料だけでも山は登れるが、やる気がなくなったときの山っていうのは地獄だからな」
ライの冒険家としての経験がそれを言わしめる。ひとつ所に留まらない性格は時として危険な場所に吸い寄せられてしまい、山や洞窟や未踏の遺跡に足を踏み入れることもよくあるものだ。この世界に召喚されローレット・イレギュラーズになってからはその機会が増大したのだが。
「まあ、でも、知らない山で知らない植生に触れるっていうのは、背景を無視すればワクワクする話だと思うぞ」
今もなお子供達が病に苦しみ、大人達もまたばたばたと倒れているのだ。笑っていられる状況ではないだろう。別に地球の裏側でおきた不幸のために喜びを捨てよとまでは言わないが、つい今しがた見てきた悲劇を無視することはやはりできないのである。
それでもあえてこういう言い方をするのは、それほど山にモチベーションを要すると知っているからだろう。
そしてモチベーションという意味では、『大帝国『混沌』特務警察 境界犯罪対策本部所属』寒櫻院・史之(p3p002233)ほど強力なモチベーションをもってあたっている者は希有である。
「大丈夫だよ。女王陛下のおわすこの国で、悲しいことは続けさせない。そのアルジャンルールっていう薬草はしっかり採取して、病気の治療に役立ててもらおう!」
海洋のこと、辿れば女王陛下のことにかけてはとにかくやる気を燃やす史之である。
ライも彼の燃える瞳を見て、こいつは放っておいても大丈夫だなと頷くくらいだ。
「それにしても……『グリム』という魔物のことは気になりますね」
『ドラネコ保護委員会』風花 雪莉(p3p010449)が口元に手を当ててうーんと小さく唸る。
アルジャンルールを特産品にしようとして乱獲していたことがあって、グリムはそのことに怒って乱獲にはいった人々を燃やしてしまった。村長はそう話していたが、それほど過去の出来事を引き摺っていると言うべきなのか、それとも忘れるには酷すぎた過去だったと言うべきなのか。
あくまで村長に連れてこられただけの立場では分かりかねる問題だが、無理したい問題でもまたなかったのである。
「穏便に解決できればいいのですが……」
「そうやねえ……」
『暁月夜』蜻蛉(p3p002599)が小さく首を振り、そして隣を歩く『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)の顔をちらりと見た。
「ん、なんだ? 俺がきったはったの交渉をするように見えるかねぇ。
冗談。できることならさっきの診療所で待っていたってよかったくらいなんだぜ」
まるでヘイトを買うような言い方だが、彼と付き合いの長い者ならよく知っている。痛みに呻く子供を見て、彼が何も想わぬはずがないと。なんなら、真っ先に山へ駆け出したいくらいの気持ちを飄々とした仮面の下に隠しているのだと。
まあ最近、隠しきれていない(あるいは隠していない)フシもあるのだが。
じっと見つめる蜻蛉の視線に耐えかねたのか、それとも空気を彼なりに読んだのか。
頬をかきながら話に乗ってきた。
「人間側にも事情があるが、魔物の……グリムのほうにも事情ってやつがあるんだろう。せめて話を聞く状況くらいは作りたいもんだな。両手をあげて歩いて行ったら解決しそうかい?」
「それで済むなら俺たちは呼ばれないよ」
史之の言葉に、十夜はもっともだと苦笑した。
リュックサックを背負い直し、フーガは再び峰を見上げる。
「銀氷病で苦しんでいる人達やライアンの為に」
これまで色々な医療現場に立ち会ってきたが、あんな病気をみたのは初めてだ。
助けてあげたい。解決してあげたい。そう思うからこそ、足は進む。
モチベーションは、どうやら充分らしい。
●山道の魔物たち
すっかりと山道だ。銀の峰というだけあってこの季節でも雪が残り、木々はそんな中でもタフに葉をつけている。針葉樹が多いのはやはり土地柄ゆえだろうか。吹き付ける風もやや強く、借りてきた登山装備がなければひどい凍傷になっていたかもしれない。
「ライアンに色々と借りておいてよかった」
村長のライアンは親切な上にお喋りだ。それ故に山道にどの程度の魔物がどれだけ出るかを、フーガたちはしっかりと聞いていた。そこまで言われなくてもいいのにと思うほどに。
「この足跡……ライアンの言ってた銀角獣だ」
三つの蹄から始まる特徴的な足跡が獣道についていることを発見したフーガ。
彼は軽快を強め。周囲に意識を向ける。
一方で雪莉と十夜は刀に手をかけ、警戒担当のフーガを後ろにさげ前衛を交代した。
「確か銀角獣は――」
「初撃が重要、だったね」
茂みがわずかに揺れ、その向こうで構えていた二本の角をもつ猪型の獣が飛び出してくる。
対応はシンプルだ。史之が前に飛び出し、斥力発生装置を起動。発生した力場を無理矢理魔力をもった角で破壊しながら突っ込んでくる銀角獣の突進をあえて受ける。
今回のメンバーはヒーラーがとにかく潤沢だ。攻撃をもろに受け続けたところで問題にならない。というより、積極的にダメージを受けそれを圧倒的な治癒力によってカバーし代わりに攻撃に集中するという『ヒールで殴る戦法』が今回は使えるのである。
「そこっ!」
史之の太刀『衛府』が銀角獣の首に突き刺さり、弱点をつかれた銀角獣は血を吹いて倒れる。
が、どうやらそれで終わりではないらしい、銀色の鱗をもった大型の蛇、通称『銀鱗蛇』が隙を突くように飛び出してきたのである。
「痛っ――!」
足に噛みつかれた史之。が、すぐにフーガのによるトランペット演奏が聞こえてくる。
勇気が出るような力強い演奏は、史之の身体にまわろうとしていた毒を瞬時に回復しその痛々しい傷すらも元通りに治癒してしまった。
「BSは任せといてくれ。雪莉は体力の回復を頼む!」
「わかりました」
雪莉が腰から抜いたのは雪月花と呼ばれる氷気と霜を纏う霊刀である。
斬るための刀というより、癒やすための刀。雪莉を中心に巻き起こる雪結晶めいた魔力体たちの渦が史之へと飛んでいき、彼の身体へと吸い込まれていく。
激しい運動によってほてった身体を優しく冷やし、からからに渇いたはずの喉を潤していく。
史之はよしと呟くと銀鱗蛇の胴体に刀をざくんと突き立てた。
「お怪我は残っていませんか?」
「おかげさまでね」
安堵の表情を浮かべる史之だが、一方でライは緊張を解いていない。
「蜻蛉、十夜! 対応を頼む! おの音――銀翼鳥と銀炎鳥だ!」
山中を吹き抜ける風の音に紛れるように、そして風そのものに霞むようにして高速で上空から飛来する複数の鳥を目撃する。ライが超人的な五感で警戒していなければ気付かなかったろう。
「俺かい? 飛んでる相手は得意じゃないんだがねぇ」
十夜はまたもやれやれといった様子で首を振ると、しかしその所作からは考えられないほど洗練した隙のなさ――いや、『意図的な隙の作り方』で銀翼鳥と銀炎鳥を誘引した。
これらのモンスターは名前からもおおよそ想像できるとおり、銀の翼と炎の翼をもった二種の鳥型モンスターである。翼を広げてれば1mを越える大型で、氷と炎の魔力をそれぞれ持って対象を殺し喰らうという特徴をもつ。
十夜は意図的に見せた弱さでそれらを引きつけると、まずは無防備に突っ込んできた二羽を刀でもって切り落とす。
が、それで無傷でいられるというわけではない。続けて群れで殺到した銀翼鳥たちが十夜の腕や身体を喰らおうとその爪や嘴で攻撃を開始。
――するが、しかし。十夜の身体が彼らの思い通りについばまれることは決して無かった。
「無防備に身体を晒しすぎ――」
おっとりと、またははんなりとした口調で蜻蛉が唱えると、彼女の足元にある影から無数の紅い蝶が羽ばたいた。十夜を一度包み込んだかと思うと、彼にできたはずの傷を瞬く間に治癒してしまう。
「回復はうちとライさんでしておきます、今のうちに」
「ゴリ押しだなあ。ま、たまにはこういう作戦も悪くないか!」
ライがその作戦にのっかって額の赤い宝石を発光させた。十夜へと注がれる光は彼の身体におきた凍傷や火傷を瞬時に治癒。元の綺麗な状態へと戻していく。
「たいしたもんだ。これやアルジャンルールで鱗泡病も治せりゃよかったんだがな」
どこか悲しげに微笑み、十夜は握った刀を振り抜いた。銀翼鳥たちが切り裂かれ、次々に地面へと落ちていく。
「倒した敵を調理できるのは、お得でええね」
蜻蛉がなんだか楽しそうなトーンでそう言うと、倒した銀翼鳥や銀角獣たちを捌いた肉をたき火にあてるように並べていく。
これまたライアンから借りたキャンプセットだが、山中に安全地帯を作って料理をするというのはなかなかできる経験ではない。蜻蛉はライやフーガたちに警戒を任せ、調理に集中するのだった。
「皆さん、食べたいものはある?」
はんなりした関西弁のトーンで呼びかけられ、史之やフーガがそれぞれ妥当な好みを言う。十夜が応えないのは、今更言うまでもなく熟知しているからだ。
「では、私は覇竜風で行きましょうか」
雪莉は軽く腕まくりをするとリュックサックから取り出した食材をミニテーブルに並べ始めた。
どれも覇竜でとれる独特な食材で、甘酸っぱい果実や亜竜の肉、紫色の野菜などで構成されている。
これらを取り出した包丁でさくさくと手頃な大きさに切ってから鍋に放り込み、これまた覇竜独特の油でざっくり炒める。
漂ってくる香りは南国の料理にどこか似ていて、それでいてやはり独特だ。
「旅をしてて楽しいのは、いろんな地域の料理が食べられる所だよな」
「わかる……」
警戒をしていたライとフーガは、しみじみと頷き合う。
そうして彼らは美味しいご飯でおなかを満たし、更なる攻略に挑むのだった。
●グリム
「これがアルジャンルール……情報通りの薬草だな」
『銀の葉と白い華をもつ薬草だ。淡く発光しているので、見ればすぐにわかる』とライアンが言っていたそのままの草が、銀の峰の頂上付近には群生していた。
まるで銀色の絨緞の上に立っているみたいで、フーガはその非現実的な風景にほうとため息をついてしまった。
が、見とれていられるのもそこまでだ。
ゴウッと吹き付けられる陽炎とその衝撃に、フーガは素早く飛び退いた。
「『グリム』か!」
茂みを抜けて向こうから現れたのは、確かに炎と陽炎でできた大きな狼にも似た魔物、グリム。
グリムはグルルと狼そのもののように唸ってみせると、こちらに敵意をむき出しにしたまま言葉を発した。
「去れ、人間どもよ。二度とここに踏み入らぬよう言ったはずだ」
「薬草は私利私欲の為やのうて、病気の人たちを治す為に取りに来たんよ」
蜻蛉の言葉に、グリムは一瞬迷うような様子を見せた。彼が想像した答えと違ったのだろう。
が、アルジャンルールをちらりと見てからすぐに首を振った。
「嘘だ。人間は信じられない。去らぬというなら、死ぬがよい!」
空に向けて咆哮を上げるグリム。それは無数の炎の槍となって蜻蛉たちへと降り注ぐ。
が、それを迎撃したのは無数の氷結晶めいたオーラだった。
雪莉が呼び出し、まるで指揮者がオーケストラを前にするかのように霊刀を振ると周囲を迂回しながら次々と襲いかかる炎の槍をカウンターヒールによって迎撃していく。
蜻蛉も負けていられないとばかりに紅い蝶を呼び出すと、自らの周囲へと拡散させはじめた。
こういうときまず目を向けるのは、はやり十夜だ。
世界で居一番頼れる相手、と言うべきなんだろうか。
十夜は青刀『ワダツミ』を握って走り出すと、蜻蛉や雪莉たちをかばえるように前へ出た。
飛来する炎の槍を刀で弾き落とす。
「ごめんなさい、どうしてもこれが必要なんです」
雪莉の呼びかけに応じて、ライが紅い光を放射する。治癒の力を持った道だ。
「今だ、突っ込め!」
ライが呼びかけたのは史之だ。斥力を発生させながらダッシュした史之は、抜いていた太刀『衛府』を大上段からグリムめがけて叩き込む。
バチンとグリムと彼の間で力が炸裂し合い、火花がいくつも散っていく。
防御しきれない炎が史之を巻くように包み込むが、フーガの演奏はその熱を払いのけるだけの力があった。
「――!!」
大声を発して気合いを入れると、史之はグリムを突き倒し、飛びかかった十夜が刀をその首に当てるようにして押さえ込む。
……そう、押さえ込むだけだ。
「人間、なぜ殺さない」
その様子に困惑したのはグリムの方だ。
「殺せば、薬草は貴様のものになるのだろう」
「代弁ってのは苦手なんだがね。さっきの言葉は嘘じゃないぜ」
『薬草は私利私欲の為やのうて、病気の人たちを治す為に取りに来たんよ』。
蜻蛉の言葉を、グリムに反芻させる十夜。ふと見ると、蜻蛉が深く頷いていた。
ライも手を上げてそれに続く。
「そいつの言うとおりだ。ふもとの村では今、銀氷病が流行してる。大人も子供も苦しそうだ」
「俺たちはそれを治したいっていう村長の依頼を受けてきたんだよ」
フーガもそれを肯定し、仲間達をちらりと見る。
雪莉が頷き、一歩前へと出る。
「あの方々の親世代では、薬草を乱獲していたと聞いています。ですが今はそうではありません。
村は風光明媚な観光地に変わり、薬草産業に頼る必要などないのです」
「争いたくないし、傷つけたくないんだ。ここにある薬草をとらせてほしい。村の人を治す分だけでいいんだ」
史之の必死の呼びかけに、グリムは目を閉じる。
「……人間は信じない」
突き放すような言い方だが、しかしそれだけではない。
「持っていくがいい。だが、再び人間が増長したのなら、その者達を燃やすぞ」
「それでいいよ」
フーガは頷き、薬草――アルジャンルールの前に屈んだ。
「ライアンたちは、そんなことはしない。おいらには分かるんだ」
こうして、アルジャンルールを必要な分だけ山から持ち帰ることに成功した。
ふもとの村ではこの薬草を煎じた薬を使い、銀氷病の治療が進められることになるだろう。
その効き目と希少性に、今世代の大人達が驚くことは無理からぬことだが……決して、グリムとの再びの争いが起こらないことを、イレギュラーズたちは祈るのだった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――mission complete
GMコメント
※こちらはライトシナリオです。短いプレイングと選択肢のみで進むアドリブいっぱいのライトな冒険をお楽しみください。
銀の峰へと入り、銀氷病に効くという薬草アルジャンルールを手に入れてきましょう。
山はモンスターが蔓延っており、薬草もグリムという強力な魔物が守っています。
自分達の能力を活かして危険を乗り越えるのです。
プレイングには気になることや意気込みを書いてみてください。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
攻略スタイル
森はモンスターの危険で一杯です。
連携し巧みな奇襲を仕掛けてくるものも多く、警戒は必須でしょう。
逆に安全な場所が確保できれば料理をして仲間の気力を回復することだってできます。
あなたはどんなスタイルで攻略を目指すでしょうか。
【1】戦闘メイン
率先してバトルを行いモンスターを倒していきます。
非戦スキルも索敵やアクロバティックな戦闘のために用いるでしょう。
【2】警戒メイン
道中でモンスターからの奇襲をさけるため、警戒を強めます。
あなたが警戒することによって奇襲のリスクを回避し、仲間のダメージも大きく軽減できることでしょう。
【3】お料理メイン
攻略は長く続くもの。
途中でおなかが空いては攻略できるものもできなくなってしまうでしょう。
そんなときはあなたの料理技術が役立ちます。美味しい料理を食べれば、仲間はそのモチベーションを大きく引き上げてくれるでしょう。
戦闘スタイル
道中には恐ろしいモンスターが沢山出現します。
当然バトルは避けられないでしょう。
ここではあなたのバトルスタイルを選択してください。
【1】アタッカー
率先して攻撃スキルをどかどかと撃ち込みます。
威力やBSなど形は様々ですが、あなたは頼れるチームのアタッカーとなるでしょう。
【2】ヒーラー
仲間は戦えば戦うほど傷付くもの。そんな仲間を治癒するのがあなたの役目です。
手持ちの治癒スキルを駆使して戦闘中の仲間を治療したり、時にはカウンターヒールでスタイリッシュにダメージを打ち消します。
【3】ディフェンダー
別名タンク。優れた防御ステータスを用いて敵の攻撃を引き受けます。かばったり引きつけたりは場合によりますが、あなたがいることで仲間のダメージ量は大きく減ることでしょう。
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