シナリオ詳細
再現性東京202X:……と、出られない部屋
相談期間中
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オープニング
●すべてが叶う部屋。
ここは再現性東京某所にあるホテルの一室。
とある特異運命座標(以下、Aとする)がベッドの上に身を投げ出していた。
このホテルに宿泊した客が、次々と行方不明になっているという事件が発生しているのだ。
このままではホテルの経営危機だ、調査を願えないかと支配人からローレットに依頼が持ち込まれたのである。
(今のところ変化はない様だが……特に部屋にも仕掛けなどは無さそうだし)
Aが隠し扉や窓の周り、果ては天井などを調査しても特に異変は見つけられなかった。しかし彼は冷静だった。
客が寝静まったところを誘拐をしているのではないかと考えたのである。そこでAはわざとそのホテルに泊まり、ベッドにもぐりこんだ。
勿論寝たふりだ、彼は眠らずとも平気な身体だったからだ。
『さぁ、欲望を、願望を解放なさい。ここでは全てが叶う』
そんな声がして、Aは目を覚ました。まさか眠ってしまったというのであろうか? 賊はどこだ?
と身を起こそうとして腹の周りが温かく、程よい重みがあることに気が付いた。
なんと腹の上にスコティッシュフォールドのネコチャン(生後三か月)がねんねしているではないか。超かわいい。
「は、はぁ……ッ」
Aは改めて周囲を見渡した。そして改めて驚愕した。
Aが泊まった部屋は何処にでもあるホテルの一室だったはずだ。
しかし、今いる部屋はキャットタワー、ネコチャンのおやつにネコチャンの玩具で溢れかえっている。
そして何より三毛、ペルシャ、アメリカンショート……エトセトラ、エトセトラ。
なんと自身が愛してやまないネコチャンが種類問わず! 自分の周りで!! 遊んでいるではないか!!!
「ど、どうなっているんだ……! この幸せ過ぎる空間は……!」
たしかにAは普段から「猫カフェ一生居たい」「ネコチャンが健やかに遊んでいる所を只管拝んでいたい」「ネコチャンの下僕になりたい」などという願望を持っていたが、まさかこんなことが許されていいのか。勿論、いい。
「ああ~~~一生ココに住む~~~!!」
こうしてまた一人、行方知れずとなった。
●欲望に打ち勝たないと出られない部屋
「お、来たね」
霧裂 魁真(’p3p008124)にあなたはホテルの一室へ呼び出された。ベッドに腰かけて魁真は脚を組んで切り出した。
「今回はこの部屋に住み着いてるらしい夜妖を退治してほしいんだ」
「住み着いている?」
あなたの問いかけに魁真は頷く。あなたは部屋を見渡したが特に異変は無いように感じられる。そのことを伝えると今度は魁真が頷いた。
「そ。起きている間は出てこないんだ。そいつはあんたが寝ている時に語り掛けて自分の能力で生み出した空間へ連れていくんだよ。
で、その者にとって耐えがたい誘惑をしてくるそうなんだ。『一生此処に居たい』と思わせる程のね」
お金が好きなら泳げそうな程に溢れる札の海。
美食が好きなら世界中の極上料理が食べ放題。
色に溺れたいなら妖艶な美男美女との熱い夜。
「誰にも迷惑をかけずに願いを叶えられて、欲望をぶちまけられるんだ。そりゃ、辛いことばかりの現実なんかばかばかしくなるよね」
『耐えがたいほどの欲望、誘惑に打ち勝ち夜妖を斃す』
いたってシンプルで、とても難しい無い様だ。
今なら引き返せるけど、という問いかけに出ていくものは居ない。
そういえば魁真はどうするのか、とあなたは尋ねた。困った様に魁真は笑う。
「……一生夢の中にいるなんて、いくら幸せでも死んでいるのと一緒でしょ? 俺、死にたくないからさ」
そういって魁真はあなたを残し、部屋から出ていった。
- 再現性東京202X:……と、出られない部屋相談期間中
- NM名白
- 種別カジュアル
- 難易度NORMAL
- 依頼公開日時2023年04月05日 22時15分
- 第2章募集中0人
- 総採用数14人
- 参加費50RC
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第1章
第1章 第1節
「はっ寝てた」
俺の欲望とは何だろうか。
そんなこと思ってたらいつの間にか眠っていた様で囲 飛呂は目を覚ました。
そして、その異質な空間に目を瞠った。
「ゆ、ユリーカさんの写真やグッズだらけ?」
自分の想い人であり最推しのグッズや写真が所狭しと展示されていた。
「この寝顔の写真とか俺持ってない奴! うう、可愛い……」
片っ端から集めているわけでは無いが、何故か闇市でちょくちょく見かけるのだ。そしてコレクション欄に何故か追加されているだけなのだ。
手元の寝顔写真は闇市でも見た事が無く、欲しいか欲しくないかで言われれば欲しいに決まっている。
しかし待て囲 飛呂。本人のいないところでこっそり写真を拝借するというのはどうなんだ。脳内で理性と欲望を乗せた天秤が傾きまくっている。
「う、ぅあ……あ? あれ、この本と布……」
見覚えがあるような。なんだっけ?
涙目+上目遣いに思わず表紙買いしてしまったが刺激的過ぎる内容に読み切れず、かといってゴミに出す勇気も出ず厳重に保管していた同人誌(18禁)だった。そして布の方はおなじみぱんつ。
「あああああああああ!!!!」
羞恥やら怒りやらで頭に血が昇り、何故か持っていた血染のバールを扉や自壁に振りかぶった。
「開けろ出せこれは封印して誰にも知られたくないやつなんだよ!!!!!!」
火事場の馬鹿力ならぬ羞恥の馬鹿力。メゴシャアとエッグイ音を立てて扉が開いた。
成否
成功
第1章 第2節
「メイはねこさんたちと一緒にずーーーーっとこたつの中で過ごすのです!
もう誰にも邪魔はさせないのです!」
メイ、渾身の叫びであった。
夢の中に囚われるとか欲望に負けるだとかそんなのメイの知ったことではない。
みゃあみゃあゴロゴロ野生の欠片も無い姿で寝ているねこさん達を見てほしい。そしてぬくぬく炬燵(おみかんつき)は適度な温かさで心地である。
成程、彼女にとって此処は楽園(パラダイス)に違いない。
しかしメイさんそれでいいんですか?
此処にずっといると言っても、ご飯とかどうするんですか?
「気づいたらこたつの傍に置かれてるからもぐもぐするですし!」
「みゃあ!」
その通りと言わんばかりに、二足歩行のねこさんシェフがお魚の形のパイを置いていった。どうやら彼はメイ専属のねこさんシェフらしい。
「はーーーーーーーー。こたつさいこーーーーーーこたつしあわせーーーーーーー!!」
歓喜の雄叫び(?)をあげて、ぼてっと後ろにメイは倒れ込んだ。ねこさん達もぽてぽてやってきてメイの周りですやすやお昼寝しだす。
「みんなもこたつに入るといいのです。世界だって平和になると思うのですよ……」
そう、みんなが温かく幸せに過ごせば争いなんかなくなる。
こたつを崇めよ、ねこさんを拝めよ。それこそ世界平和への道。
「じゃあそゆことで、おやすみなさ……起こさないでくださいなのです……すゃ」
※この後きちんと回収されました。
成否
成功
第1章 第3節
芸人であれば誰もが憧れるような大舞台。
その舞台の中央に、スポットライトに照らされて幽火は立っていた。
恭しく一礼をして、宙に舞う大量のトランプの中から的確にハートのエースを銀の剣で穿つ。わぁっと客席から歓声が上がり、誰もが立ち上がって、ある者は涙を流しながら手を叩いて幽火の磨かれた芸を讃えている。
拍手喝采、満員御礼。
これだけの大きな舞台で、その二つを叶えられるパフォーマーはほんの一握りである。ここではそれが約束されている。
自分の芸が正当に評価され、認められる世界。
(なんて素敵な場所なんだろうか)
高揚した気持ちで幽火は次の芸を披露しようと胸元のポケットへ手を伸ばした。
(次はあのマジック、を)
『おにいちゃん、すごいねぇ!』
脳裏に浮かんだセピア色の記憶。まだ自分が大道芸人を始めた頃、初めて披露したトランプマジック。今よりずっと稚拙で、屹度、同業者が見れば鼻で笑うようなソレに公園で独りぼっちだったその子はとても喜んでくれた。
(嗚呼、そうだった)
自分が大道芸で喜ばせたかったのは大舞台の観客ではなかったはずだ。
どうして忘れていたんだろうか。
(僕が、喜ばせたかったのは)
あの子の様に公園で一人俯いていた子。
刺激が無く、日々を退屈そうに過ごす年配者。
仕事や家事に追われて、疲れ切った人々。
(そんな人々だった)
「これは僕が叶えたい夢じゃない」
その瞬間、スポットライトが消えた。
成否
成功
第1章 第4節
『夢、ね。まあわかっていれば余程のことがない限り大丈夫でしょう……』
数分前、そう言っていたアンナは現在必死で夢と戦っていた。
「〜〜〜〜〜〜っ!」
絶景としか言いようが無い春の花畑。
座り込んだアンナの膝の上には、うさぎと猫が仲良く落ち着き、掌にはひよこが擦り寄っており、肩には小鳥が愛らしい歌を聞かせてくれていた。
「ひ、ひよこが、小鳥が、うさぎが、猫が……すりすりしてくる……」
いつもは嫌がらないように、べたべたと触ることはないが、此処まで甘えん坊な子たちならいっそ思いきりモフモフナデナデしてみよう。
どの子も幸せそうな顔で、もっと触って、撫でてと言わんばかりにさらに甘えてきた。
きゅうんとアンナの母性本能がこれでもかと擽られる。
(なにこれは、天国なのかしら。いえ、天国に違いないわ)
「こんなことがあって……」
いいに決まっている。そう言いかけて、ふと思い直す。
さすがに都合がよすぎるのではないか。人間の欲のままモフモフと触らせてくれる動物達は果たして自然な姿なのか?
「落ち着きなさいアンナ・シャルロット・ミルフィール。
動物達は気まぐれなところがまた良いの」
「にゃあ?」
「うっ……!! こんな……こんな都合が良いもので……満足してはダメよ!」
アンナは自分の右手を高く高く挙げ、思いきり自分の頬を叩いた。
ぱぁんと乾いた音が響き、頬に激痛が走った時アンナは元の部屋に戻っていた。
成否
成功
第1章 第5節
朝七時。小鳥たちの囀りで目を覚ました。
カーテン越しに差し込み朝日は清々しく、ぐっと身体を伸ばす。
「今日もいい朝……あっ、朝ご飯作らなきゃ」
私は○○(お好きな苗字をどうぞ)モカ。
数が月前に結構したばかりの新妻よ。愛しい旦那様の為に今日も朝ご飯を作るわ。このネグリジェとエプロンは旦那様が買ってくれたの。とってもお気に入り!
今日のメニューはハムとチーズを挟み込んだクロックムッシュに、じっくりコトコト煮込んだオニオンスープ。そして家庭菜園で採れたばかりの野菜を使ったサラダ。勿論ドレッシングは私のお手製よ。
料理には自信があるの。結婚前は三ツ星ホテルのキッチンで働いていたんだから!
美味しそうな匂いに釣られて旦那様が起きてきた。顔が陰になって見えないのは屹度日差しの所為ね♡
「今日もモカが作った料理はおいしいね」
「本当? 嬉しいわ♡」
「モカ……」
「えっ、あ……」
旦那様が私の肩を抱いて……っ! 熱に浮かれた声で私の名前を呼んで……だ、だめよ! こんな朝早くから!! お掃除も、お買い物もまだ残って……ああっ、旦那様の唇がもうそこに――っ!
「駄目よ旦那様ーーーーッ!!」
「いっだあ!?」
「はっ」
『駄目』という言葉が拒絶と見做されたのか、モカは跳び起きた。
同時に彼女の様子を見に来た魁真と派手に頭をぶつけた。涙目で額を擦る魁真の姿に思わずモカは零した。
「……旦那様?」
「俺、独身だけど??」
成否
成功
第1章 第6節
嗚呼――此処は。
成程――此処は即ち、私が最も望んでいる世界で、景色で、万象だと謂う事か。
ロジャーズが、その在り方から『ナマエ』を変えたのは先日の事。
それは屹度、『私としての価値を、在り方を、僥倖にも渇望していた』からだ。それがこうして夢として現れたというのか。
あらゆる地球の神々が私の掌で醜くも愉快に踊っている。
人間、その他の大勢の命が遍く奈落を彩っている。
彼方に見える玉虫色の泡立つ混沌(カオス)は嗤ってしまう程に狂おしく、愛おしい我らの父とでもいうのか。絶え間なく形を変えては此方を手招いている。
あそこに飛び込めば、屹度幸福(しあわせ)でドロドロに溶けて、解けて、説けて、融けて永劫の安寧を得られるに違いない。
「しかし――されど、だ」
ロジャーズは『父』へと手を振った。サヨナラを告げる様に。
「私は簡単に混沌世界から逃れてはならないのだ。
私には使命が有り、否、自由が有るのだ」
あの愛しき混沌(ケイオス)に呼ばれて自分は、ロジャースは使命と呼ばれる自由を得た。瞼に映るのは可愛い生徒達に多くの同胞、仲間たち。
「最早、私が私で在る事だけは、冒してはならない」
それは屹度全ての物に対する冒涜だ。停滞した微睡みほど退屈なものはないと『私』はよく識っている。
「――我が愉悦の為」
抜け出さねばならない。
私は脅威的な、驚異的な意志を、意思を以て夜妖、貴様の枕元から転がり出よう。
成否
成功
第1章 第7節
『良いか、ポメ太郎。俺が目を覚まさなかったら吼えて起こしてくれ』
魁真に預けたポメ太郎に、ベネディクトが伝え残したのはほんの少し前の事だ。
今ベネディクトはある場所へ立っていた。
(……懐かしい匂いがする)
嗅覚は最も記憶に結び付きやすいと言われている。
すぐにベネディクトは思い出した。自分が育った故郷の村の匂いだと。
そして目の前の、よく見知った扉を開けてしまった。
机の上に置かれた器。その中にはベネディクトの好物だったスープが注がれている。そして、そのスープを作ることが出来る人物をベネディクトは一人だけ知っていた。
「……母さん」
「おかえりなさい」
「……ただいま」
座るように促され、ベネディクトは椅子を引いた。
「母さん、起きていて大丈夫なのか。具合が悪いんじゃ――」
そこまで言いかけて母の優しい微笑みに何も言えなくなり、代わりにスープに口を付けた。
「……美味しい?」
「……ああ、とても美味しい」
間違いなく、記憶の中のあの味だった。
もう二度と飲むことは出来ないと思っていた味だった。
いろんなものが胸の奥から込上げてきて、思わず嗚咽が漏れそうになる。それを堪え、目尻に滲んだ雫を拭いベネディクトは笑った。
「母さん、実は話したい事がいっぱいあるんだ。聞いてくれるだろうか」
死に目にすら逢えなかったあなたと、少しだけでも良い。
話がしたいんだ。
そういってベネディクトは優しい夢に囚われた。
成否
成功
第1章 第8節
目の前の鏡に白無垢に身を包んだ自分が映っており、耳があったところには一対の角が生えていることに妙見子は気が付いた。
「妙見子様がお嫁に行ってしまう……ぐすっ」
「幼少の頃よりお仕えしてきた身……私は嬉しゅうございます」
甲斐甲斐しく自分の世話をしている彼女らは女官だ。どうやら自分は誰かの嫁に行くらしい。まさか、と聞いてみれば女官達はぽかんと口を開けた後に、自分は想い人と許嫁であり、本日晴れて夫婦になるのではないかと言った。
「うわー! 覚めたくないですねー! 最高です〜! ヒュー!」
頬を薔薇色に染めて、勢いよく立ち上がった妙見子は高く右手を掲げ――。
目の前の鏡を思いっきり、叩き割った。
鏡の破片で傷ついた手から赤が滴り、花嫁の象徴たる白を穢す。
「あの方のお嫁さんになれる。確かにそれは『私に』とって、とても嬉しいことですね」
「妙見子様何を!?」
「医者を此処へ!」
(……あの方には健やかに生きて欲しいだけなので私の感情なんてどうでもいいんですよ)
零れた言葉に嘘は無く、けれど全て本当という訳でもない。
本当は少しだけ。ほんの少しだけ――。
『在り得たかもしれない世界』に見切りをつける様に、妙見子は懐から拳銃を取り出した。
「白痴の王から産まれ出でた私に夢を見せるとはいい度胸ですね!
夢だったら何をやっても良いですよね!? 野郎、ぶっ潰してやる!」
「妙見子様がご乱心よーー!!」
成否
成功
第1章 第9節
「ぬ……こ、ここは? 我を攫おうとするなぞ不敬の極み」
ダリルは目を覚ました。夢の中に攫うとは聞いてはいたが、よもや本当に攫われてしまうとは。かの神々にも匹敵するほどの傲慢、不遜ではないか。
「早う曲者を見つけて我が神術で葬り去ってくれよあーお菓子ー!お菓子いっぱいじゃー!」
折角かっこいい台詞の途中だったがお菓子がいっぱいなら仕方ないね。
しかも改めて確認すると、なんとこの部屋全部お菓子で出来ているではないか。なんならさっきまで自分が寝ていたベッドはふわふわの雲のような綿飴だった。試しに少しだけ千切って口の中に入れてみる。
「あまーい! おいしーい! なんじゃこのふわふわ食感といい快き甘さといい、後味もくどくならぬ素敵な食物は!」
夢中でモグモグしている最中、ビスケットで出来た窓枠が気になった。
そういえば、この部屋の外はどうなっているのだろうか。
レースシュガーで編まれた繊細なカーテンを(食べながら)捲ると、其処には肉や魚で出来た町と黄金色に輝く果汁の海が広がっていた。まさに絶景としか言いようが無い光景と、風に乗って届く食欲をそそる香りにダリルの口の端から涎がだらだら垂れまくっている。
「何という事じゃ……此処が我が望んだ天上であるぞ!
うおおおおおお!待っておれ! 混沌でとくと広げた胃袋をもって我が食べ尽くしてくれようぞ!」
窓からダイブしたダリルは暫く帰ってこなかった。
成否
成功
第1章 第10節
然音が目を覚ました時、其処には無機質な空間が広がっていた。
誰かの話声がして、そちらを振り向くと且つて自分と同じく造られた仲間達がいた。肉を抉られても、骨を砕かれても、己の存在意義が首を絞めてきても『生きている』と実感した頃の様だった。
「――」
ふと懐かしき声に呼びかけられた。上手く聞き取れなくとも、その声を聞き間違えることは無い。振り返ればそこにはブロンドの美しい長い髪が風に靡いていた。顔は靄がかかって見えないけれど間違いなくあの人だった。
「■■■……」
その人の名前を呼んだはずなのに、雑音になって消えてしまった。僅かに見える口元に笑みが見える。そして手を差し伸べている。
私に生きる者達の歓びを。
陰から護る事の気高さを。
「この世界の素晴らしさを教えてくれた貴女」
唯の暗殺しかできない哀れな人形に、生きる意味を与えてくれた人。
「貴女がいてくれただけでどれだけ幸せだったか」
この夢に居れば、あの絶望の夜は来ない。
その手を取れば、優しい夢の中で幸せに暮らすことが出来る。
「だからこそ、せめて貴女が苦しむ前に終わらせましょう」
けれど、此処にいる貴女は『あの人』ではない、幻に過ぎないから。
魔導銃に弾丸を篭めた。弾は一発で十分だ。
撃ちたくない、撃たねばならない。
帰らねばならない。陰から、生きる者達を護らねばならないから。
「嗚呼、これで、2度目か……」
乾いた銃声が響いた。
成否
成功
相談掲示板
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NMコメント
初めましての方は初めまして、そうでない方は今回もよろしくお願いします。
今回はプレイング次第でギャグにも、シリアスにもなるラリーシナリオです。お好みでどうぞ。
※PPP倫にひっかかりそうな場合は適宜マスタリングしたり、プレイング不採用にする場合があります。ご容赦ください。
●第一章目的
・耐え難い欲望、誘惑に打ち勝つor負ける。
夜妖はあなたに「一生此処に居たい」と思わせるほどの夢を見せてきます。
これは精神無効などでは防げず、不眠耐性を貫通してくるほどです。
あなたのプレイングで、どのようにするのか記載ください。
いっそ欲望あっさり陥落して全振りでギャグやお色気してもありです、そうこれは夢。
負ける場合は第二章の時点で魁真にたたき起こされているのでご安心ください、
●舞台
再現性東京にあるホテルの一室。
あなたはそこに泊まって、夜を迎えることになります。
●敵
夜妖『???』
第一章の時点ではその正体を現しません。あなた方の願望、欲望などを夢として映し出しその空間へ閉じ込めようとしてきます。
今までの行方不明者もこいつの仕業です。
●味方
霧裂 魁真
プレイングで指示が無ければ部屋の外で待機しています。仮にあなたが誘惑に勝てなかったとしても無理やり起こしてくれることでしょう。
何かさせたいことがあればプレイングでご指示ください。
物陰からの奇襲攻撃に特化した近接タイプですが、性格的に戦闘は好みません。
聞き耳、変装、誘惑、忍び足などの非戦重視型です。
●備考
行方不明になった者達は夢の中に囚われています。夜妖を斃せば自然と解放されるでしょう。
こんな感じです。それでは行ってらっしゃい。
同行者指定
同行者の有無を問います。どちらかを選択ください。
【1】有
同行者がいる場合は此方を。そのうえでグループタグの記載もお願いいたします。
ラリーの仕様上、提出タイミングでずれる可能性もあると思うので()に人数の記載も頂けると幸いです。
例【関西弁同好会(3)】
【2】無
ソロでの参加希望の場合は此方でお願いします。NPCとの絡み希望の場合はその旨記載ください。
夢の中での行動
夢の中で何をするのかご記載ください。
選択肢とプレイングが食い違っている場合はプレイングを優先します。
またシリアスかギャグなのか記載いただけると幸いです。
【1】夢に打ち勝つ
「此処に居たくない」「出たい」「帰りたい」
そういったそういった意思を示すと夢に打ち勝ち目を覚ますことになります。
第二章開始時点で夜妖とすぐに対峙することになります。
【2】夢に負ける
「此処に居たい」「出たくない」「帰りたくない」
そういった意思を示すと夢に負け囚われることになります。
第二章開始時点で魁真にたたき起こされます。
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