シナリオ詳細
いたずらねこちゃんつかまえよ。
オープニング
●悪戯な猫
わいわいと賑わう街並み。商店が並び、美味しそうな食材があちらこちらで売られている。スパイシーなハーブの香りも漂い、人々の足取りは軽い。
「らっしゃいらっしゃい! 肉はどうかね!」
「良い魚が入ってるよー」
「新鮮な野菜はこっちだよ、ねえさん!」
市場の者達の掛け声も賑やかで、足を止めて品定めをする人々。活気のある日常風景だった。
道端を歩いている人々は日常を謳歌しているように見えた。
その時――
ざわ。
小さなどよめきが起こった。
「猫が出たぞ!」
「くそ、あの泥棒猫め! 毎回俺の所の魚を盗っていきやがる!」
「うちの果物も齧られたのよ! 商品にならないわ!」
「あの猫め……どうにかならねえのかよ!」
悔しがる魚売りの言葉を聞いて、八百屋が小さく溜息を吐いた。
「無理じゃない? だって……あの大きさですもの」
「あんなにでかくなったのも、うちの魚のお陰だよ! 今日は秋刀魚が大安売りだ!」
「なんの! うちの肉を食べて、あの猫はでかくなったんだらっしゃい!」
商売人は猫如きに負けないプロ根性の持ち主だった。
●猫が大好き
「やあ、猫が出るんだってね。猫だよ、猫」
『黒猫の』ショウ(p3n000005)が嬉しそうに報告してくれる。
「大きい猫らしいじゃないか。何だか嬉しいね。肉球も大きいんだろうね」
動物が好きらしいショウが機嫌良さそうに話しているのを、通りすがりの人が聞いている。
「猫はなんと、二メートルもあるらしいよ。それは大きいねぇ。トラ柄の立派な猫らしいよ」
それはもはや虎なのでは無いだろうか。
通りすがりの人は疑問に思いつつも、人間が食べられたとの被害は聞いていないらしい事はショウが話す事から分かる。
然し、その大きな猫(虎?)を捕まえる事は必要なのでは無いだろうか。
悪戯猫を捕まえて、商店街の皆様に安心安全な食材をお届けするにも、商店街の皆様が食べられない為にも。
「大きな猫捕まえてきてくれたらさ、俺はね、もふもふしたいな」
悪戯を放っておけない正義漢も。
もふもふ好きな人も。
商店街の皆さんのご厚意(新鮮なお野菜お肉お魚食選びたい放題)目当ても。
みんなみんな、大歓迎。
さあ、悪戯猫を捕まえにレッツゴー。
- いたずらねこちゃんつかまえよ。完了
- GM名夏あかね
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2018年12月11日 01時15分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
ざわざわ、賑わいを増す商店たち。
繁盛しているのなら褒められたことだが、もふもふ大きな猫は売上にはなりゃしない。
「存分にもふもふを楽しむため! ……じゃなかった、商店街の平和の為! 悪戯な猫さんはしっかり捕まえないとね!
え? 虎? みんな猫って言ってるし、仮に虎だったとしても、もふもふに貴賎なし、だよ!」
だって、ローレットでも大きな猫って聞いたもの。『駆け出し冒険者』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)は首を傾げる。
そう、虎柄の猫さんだって存在してる。
そう、例えおっきくったって猫さんは猫さんだ。
「押忍、あたしっす☆ ところであれ猫っつーか虎じゃないっすかね?
割と最近、虎退治したけどあの猫と虎ソックリすぎる気がするんすけどー」
……なんて、『名も無き小妖精』フェアリ(p3p006381)が言うが、きっと猫さんなのだ。
「ねこちゃん……何かえらく肥大化してますね……」
「本当にねこさんですの?」
フェアリの云う通り『虎さん』なのかもしれない。そう考えてしまう程に巨大なにゃんこ情報に『これもメイドのお仕事っ!』ヨハン=レーム(p3p001117)は生贄(そう書いてパートナーと読むのだ)をちらりと見遣った。
――困ってらっしゃる商店街の皆様のお力になるために、わたしも、お手伝いをしたいですの……!――
そう告げていた『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)。まさか、彼女は『ノリア・ソーリアを道端に置いていたずらねこちゃんを油断させて捕まえよう作戦』なんてお友達ヨハンくんに考えられてるとは思わない。
まさか、そのまさかだ。
「ところで、どういう作戦でいきますの?」
「ちゃーんと考えてますから大丈夫ですよ! はい!」
なんだか、怖いですの。
「いたずらで済んでるうちに捕まえてしっかりと躾けておかないと、ねこちゃんも商店街の方々も不幸な事になってしまうかもしれませんね!
普段の危険なお仕事からは……ちょっと拍子抜けしちゃいますが気を引き締めて取り組みますっ!」
「なんだか、わたしは危険な感じがしますの……」
もふもふを捕まえたいシャルレィスはもふもふを捕まえる作戦立てている二人の様子に首を傾げる。
猫さんを傷つけないならなんだって大丈夫だ。方針はしっかりと立てている。万事OKだ。
「おやみゃあ、えろう大きくて立派な猫はんやねぇ」
「ほんとだ! おっきなねっこさーん、もっふもっふねっこさーん♪」
その姿を見て、同じ猫としても驚いてしまった『御猫街に彷徨ふ』狗尾草 み猫(p3p001077)。耳をぴこぴこさせて楽し気に笑った『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は「はっ」と何かに気付いた様に口元を抑える。
「いけないいけない、商店街の人達に迷惑をかけないように注意しないといけないんだったね」
そうなのだ。猫さんが泥棒しちゃって街の人が困っていからこそ、猫対応が此度の依頼。
猫を傷つけたくないのは誰もが同じ。此の儘では困ってしまった商店街側が『害獣駆除』なんて言い出しかねない。
「猫はんも商店街のお人らも、このままやと喧嘩して、お怪我なんてなされたら、うちも嫌やわぁ。せにゃから、うちらで止めたらんとねぇ」
「うんうん。怪我なんてしてほしくないもんね……!」
商店街の人々のため、猫のため、そして――未来のもふもふのため!
♪ねこねこサビキジトラミケねこねこ ねこねこころがりねこりんこ 生き物は最後まで責任をもって飼いましょう~♪
やけに御機嫌に。やけに美味しいにおいをぱたぱたとうちわで仰いでさせながら『揺蕩う老魚』海音寺 潮(p3p001498)は秋刀魚を七輪に乗せ続けていた。
「……美味しそうな匂いだなぁ……!」
ぱちくりと瞬く『世界喰らう竜<ワールドイーター>』ヨルムンガンド(p3p002370)。美味しそうな秋刀魚についついお腹がぐうぐう鳴ってしまうのだ。
その匂いに釣られて姿を現している『猫ちゃん』はでかい。フェアリは「虎にしか見えないっすけどー?」と疑問符連打の勢いで首を傾げている。
「いや、猫だ」
「ほんとっすか?」
「うん。でっかく育つのは良い事だ……! でも悪戯して困らせるのは良くないなぁ……?
あんなにかわいいから、きっと猫だ。街の人を襲ったりする訳じゃなさそうだし……仲良くなれるといいなぁ……!」
虎だって猫か。いたずらねこちゃんというタイトルなのだ、きっと、きっと、裏切ることはしない。
●
作戦の決行時間は昼過ぎだ。鉢巻をきゅっと巻いて気合十分のシャルレィス。
商店街の人々にしっかりと説得を行い共存の道を探すのだとシャルレィスは胸を張る。
猫による集客効果。かわいい(?)猫のイラストを描いたチラシを商店街に配布して潮は『ねこねこソング』を口遊む。
「街の人達は商魂逞しそうだし……猫が悪戯しなくなれば可愛がってくれそうだしなぁ……!」
きっとチラシ効果もばっちりだとヨルムンガンドはそう感じ取っていた。
「あたしは最初にとりあえず猫? 探しをする予定だったっすけど探すまでもなくデカくてシマシマですぐに見つかったっすね」
ほら、と指さすフェアリ。ミニサイズでも声は大きく。フェアリの指さす方向を見遣ってみ猫は「ほんまやねぇ」ところころ笑う。
大きな猫(?)の向く方向には何時もの通り超大型小鉢に入ってその場での待機をヨハンの『作戦』指示を受けて行っていたノリアであった。
「あそこでまってるんにゃねぇ」
み猫が見遣るノリア。焔は「陽射しがあると大変そうだね……」とぱちりと瞬く。
勿論、海の生き物ことノリア。ヨハンは「生贄(のりあ)を何か良さそうなとこにぴちぴちさせてねこちゃんの気を引く、ねこちゃんに危害を極力加えない極めて人道的な作戦を遂行します!」と豪語しているが――潮とフェアリは思う。
((普通にそれは猫の餌))
シャルレィスは首を傾げた。もふもふは猫、そして路上で待機しているのは魚である。
「猫ちゃんのごはんじゃ――」
何時もの通りに小鉢に入っているノリア。
「日差しと風で尻尾が乾くと、痛いですので、時おり水をかけながら、待ちますの。乾くのは美貌の敵ですの。
つるんとしたゼラチン質のしっぽが、水で輝く美しさは、我ながら自慢ですの。おいしそう? そんなこと――」
彼女は気付いた――気付いて、しまった。
「ヨハンさん、猫さんが美味しそうなものを見る目をしてますの」
隙だらけのノリア・ソーリア。その様子に「そうですね」と満面の笑みのヨハン君。
輝く笑顔は曇らない。秋刀魚の美味しそうな匂いをノリア側にぱたぱたと流していく潮。
秋刀魚は勿論、確りと沢山準備済みだ。猫はどこから匂いがしているのかを探っている。
(商店街の人を説得する前に仲間が食べられそうだな……?)
首を傾げたヨルムンガンド。巨大猫は美味しいものが食べれることを様々な動物たちから聞き及んできたことだろう。
(美味しいものと言っても仲間じゃないんだぞ……!)
美味しい物がたくさんあるぞ、っとアピールしたが、まさか仲間が食べられるとは思ってもいない。
「ノリアさんを信頼しているからこそできる作戦ですね!」
豪語するヨハン。その言葉にノリアは涙を浮かべながら「きっとこれも、ヨハンさんの作戦のうちですの……わたしが食べられてしまう前に、必ずや助けてくださるはずですの……!」と微笑んだ。
「きっと――――ま、待って、だ、だめですの――――――!!!?」
空へと飛び出した生贄。此処で逃げては友人の期待を裏切るとノリアは尻尾をぷらぷらさせて2m級の猫を釣り続ける。
「御障りはあかんよ?」
み猫のサポートもあり、食材にならずに済――済む……?
秋刀魚の香りが何所からか漂っている。巨大なねこちゃんの様子に「いや、虎っすよね!?」とフェアリの声は商店街へと木霊していた。
●
無事に猫を取り押さえ、商店街で事前にアポイントを取っていた商店のおやじたちへと向き直るシャルレィスたち。
「あ、さっきはどうも」
肉屋の店主の言葉にみ猫は「いいんにゃよ」と笑みを浮かべた。
事前に商店街に立ち寄った際に、み猫は商店で肉や魚を購入していた。先程の食材(ノリア)から猫を引きはがすことに大いに活躍したのだとみ猫は「ええお肉やねぇ」と笑みを浮かべた。
「あの子、喜んでくれはったらええねぇ。……喜びのあまり、うちらにあっつぅい抱擁なんかするかもしれへんけどね」
「抱き着いてたと言えば抱き着いてたよ」
秋刀魚を焼き乍ら「調理した方がおいしい」と言う事を猫に教えていた潮。食材を抱えてごろごろと喉を鳴らす巨大猫は中々に圧巻だったろう。
潮の服の中から顔をひょっこりと出したポチに「これこれ」と潮は窘める。
「盗み食いをするなということ、秋刀魚は焼いた方がおいしいと言う事は猫に教授しておいた」
「教えれたのかい……?」
驚く商店の店主に潮は大きく頷いた。ロープでぐるぐると巻かれている猫は訳知り顔で「なあご」
「本当にすっごく大きな猫さんだね、なんだか虎さんみたい。
やっぱりこっちの世界にはボクの世界にはいなかった生き物がたくさんいるんだなぁ」
「猫だよ」
店主たちが猫というなら猫なのだろうと焔はうんうんと頷く。
虎ではなくて猫なのなら問題はない。危険だってない、だって、猫だ。愛玩動物なのだ。
「その猫を――どうするんだい?」
訝し気な商店の店主たち。任せなさいと胸を張ったヨルムンガンドはふふんと鼻を鳴らした。
「街のマスコットキャラクター的存在――つまりは招き猫!
招き猫になってもらい、もふもふやお出迎え、スキンシップ等で皆を喜ばせる……!」
「危なくは?」
ちゃんと教えたと焔は猫を撫でる。お腹いっぱいに餌を喰らった猫は眠たげながらも大人しい。
「おっきな猫さんを商店街のマスコットに?
そんな商店街があったらボクなら通いたくなっちゃうね。
猫さんはご飯を貰えて幸せ! 商店街の人達はお客さんが増えて幸せ! ボク達は猫さんをもふもふ出来て幸せ!」
もふもふ。ちょっぴり毛並みは固めだ。手入れが必要だろうか……。
焔の力説(?)に店主たちの間でざわめきが起きている。
「その代わり商店街の人達は皆で猫にご飯をあげたり可愛がったりでお世話や、猫を追い出したりしない……っていうのはどうだろうか!
それに、聞いた話によればある世界で猫は商売繁盛の神様として扱われてたりもするらしいぞぉ……!」
「商売繁盛の神様――?」
ざわざわと商店街のおじさまたちがざわめいた。ヨルムンガンドの必殺の一言はかなりの衝撃を与えている様だ。
「うんうん、いいよね」
瞳がキラキラと輝いている。焔の期待の眼差しにざわめきが止まらない。
「商店街の皆はお客さんを呼べて幸せ! 猫さんはご飯がもらえて幸せ! 私達はもふれて幸せ! ……な誰もが幸せな世界を目指して!」
「お嬢ちゃん、3つ目の言葉に力がこもってないかな」
商店街のおっちゃんの一言にシャルレィスはとんでもないと首を振る。
猫が顔を上げ、お腹空いたという様にきょろきょろと周辺を眺めている。
み猫の舞いはしっかりと猫の視線を釘付けにし、猫への説得を届きやすくしたことだろう。
「いいっすか? 確認っすよ?
とーにーかーくー! 勝手にお店のモノ食べたら駄目っすよ、ダメダメのダメっす!」
身振り手振りでアピールするフェアリ。猫は首を傾げた気もするが「なあご」とひとつ鳴いて見せた。
そこまで教えられたうえで期待をされて商売の効果があるのならば――
「マスコットで決定……かねえ」
「よし、それじゃあ……。
じゃーん! 馬車に大きめのタライとか猫さん用のシャンプーとか櫛とか乗せて来たんだ」
店主たちの言葉に眸をきらりと輝かせた焔。折角のもふもふだ。野良だと汚れた毛並みもしっかりと整えればさらに人気が出ることも間違いなしだろう。
「マスコットになってもらうなら1回綺麗にしないとだよね。
猫さんは嫌がるかもしれないけど綺麗にするからちょっと我慢してね?」
体を綺麗にすればさらにもふもふ度もアップだ。
「ほーらほら、一緒に遊ぼう? 楽しいよ!
私結構撫でるの上手いんだよ! 今までたくさんの猫さん達がゴロゴロ言ってくれたんだから!」
巨大な猫をねこじゃらしでじゃれつかせながらシャルレィスがにんまりと笑う。
「……名前も付けてあげましょう。リトルちゃんなんてどうですか?」
「大きいと思うっすけど」
もふもふと犯人――いや、犯猫をもふっていたフェアリ。
飼うのならばと餌を用意した商店街の人々に「美味しそうっすねぇ」とぱちぱちと何度も瞬く。
秋刀魚の匂いでお腹が空いてしまった――仕方ないのだ。
「なんだかあたしもハラヘリのヘリっす!」
へらりと笑ったフェアリにみ猫もくすくす笑う。
「……っちゅう事に落ち着きました。ご満足いただけましたやろか?」
見事、ゴンザブロウの名を貰い、首輪を付けた雄猫は満足げに尾を揺らしたのだった。
ちなみに――
「よ、よくも……ですの!」
生贄は知ってしまった。友人による囮作戦を――そろそろと近づき、渾身の抱きつき。
商店街にはヨハン・レームの叫びが木霊したのだった……。
「アッ、尻尾はダメ、尻尾は――尻尾はあっ――――――!!?]
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
お疲れさまでした。シナリオの代筆を担いました夏です。
この度は弊社クリエイター都合によりお客様には執筆担当変更のご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんでした。
MVPは美味しそうな方に差し上げますね。身を挺して……そんな……。
皆さまの素敵な冒険がこれからも続きますように。
楽しんで頂ければ幸いです。
GMコメント
●目標
猫を捕まえましょう。
猫です。猫です。トラ柄の猫です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
●ロケーション
猫は商店街で昼過ぎから夕方にかけて出没します。
夜は余りいないらしいです。
大きいので見付けやすい筈です。
かなりの確率で魚を、次に肉を狙います。
●敵
猫です。トラ柄の猫です。
体長は二メートル程。
攻撃をすると肉球パンチをしてきますが、基本的に人間は襲いません。
とても素早いです。
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