PandoraPartyProject

シナリオ詳細

触手を焼いて食べる依頼

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●真面目な依頼だと思ったか? 残念、与太だよ!!
 ここは豊穣にあるとある村。
 蕾のまま落ちた桜を拾い上げ、村人は溜息を吐いた。
「今年は桜の成長が芳しくないのぉ」
「凄美味の所為じゃ、やつら桜の養分を吸うとるんじゃ」
「ううむ……このままでは桜祭りの開催に影響が」
 村人たちは困り果てていた。
 この村は桜の名所で毎年この時期には屋台を並べ、桜を愛でる『桜花祭』という祭りがあるのだが、仕上げに桜の塩漬けを乗せるのだがこの触手たちの所為で桜の成長が阻害され、開催が危ぶまれていた。
 しかし、触手は力が強く乱暴なため村人たちでは太刀打ちが出来ない。
「それに、桜餅はどうすんだべ。桜がとれねぇんじゃ、飾りができねぇぞ」
「屋台で出すもんが無くなっちまう」
 またこの村では桜の花弁を塩漬けにし、飾りに用いる桜餅と。桜の花弁を浮かべた酒が名産品でそれらにも当然桜が咲かないとそれらも作れない。
 祭りを開催できたとして、屋台で食べ物が無いとなると非常に悲しい。
 そんなことを考えて居たら、一人の若者の腹からぐうと音が鳴った。この触手問題の対応に追われていて、朝から何も食べていなかったので無理もない。若者がぼそりといった。
「この触手喰えねぇかなぁ」
 さすがにそれはと年寄りが止める。
「お前、そんなもん喰ったら腹壊すぞ」
「でも、美味そうな匂いすんべ? ちょっと焼いてみっか」
 醤油をかけたらなんでも食えると思っている節がある豊穣人である。
 早速串にぶつ切りにした触手を火で炙って醤油を垂らした。途端に香ばしい匂いが部屋に広がる。
「結構美味そうでねぇか?」
「た、確かに」
 食への欲求には抗えず、恐る恐る触手を口に入れると肉厚の身のプリッとした歯ごたえと、ほんのり薄く着いた塩味。そして噛めば噛むほど溢れ出てくる旨味。
 村人は口を揃えて言った。
「「これ、めっちゃうめぇ」」

●食べられる触手ってなんですか??
「おう、来てくれたか」
「待っていたぞ」
 あなた方が待ち合わせの場所に行くと、すでに到着していた『暦』の長月と如月があなた方を呼び寄せた。
 今回は暦を経由してローレットへ依頼が持ち込まれたのである。
「早速ですまんが、あれ見てくれや」
 長月が指示した方向を見ると立派な桜の樹がある。しかし、その幹に絡みつくように蠢く触手が目に入った。
「村のおっさんらが言うには、あの触手が桜の養分を吸うてもうて生育に支障がでてるらしいんやわ」
 聞けばこの村は桜の名所で、毎年春になると『桜花祭』という桜を愛でる祭りを開催するのだが、触手のせいで
の生育が悪く開催が危ぶまれているとのことだ。
「で、お前らにはその触手を退治してほしいんだ」
 なるほど、桜の名所にて桜が咲かないとなると観光地として致命的だろう。
 ここまではよくある話だ。ここまではである。
 早速作戦を立てはじめる特異運命座標達に長月が「待った」を掛けた。
「あー、悪いんやけどその触手、祭りで屋台で出すらしいからできれば『不殺』とかで仕留めてもらえると嬉しいわ。『毒』は使えんくなるから避けたってな」
「まぁ、自分達の身体が最優先だから努力目標でいいぞ」
 なんでもない様に言い放った長月と如月の言葉に、あなた方は耳を疑った。
 聴き間違いでなければ触手を屋台に出すと言わなかっただろうか?
 そう、聞き返すとあっさりと「そうだ」と返された。残念ながら聞き間違いではなかったらしい。
「ほんでな、その触手がなんや味着いとるらしくてな。なんやったかな……そう、ソースと塩?」
「あと出汁もあると言っていたな」
「そうそう、それや。後は味噌? と……醤油と? ああ、なんも味着いてないやつもあるらしいで」
「俺達も食わせてもらったが、なかなかイケたぞ」
「おう、兵糧丸よりずっと美味かったわ。終わったら自分らも喰えばええやん」
 そういって二人はあなた方を送り出した。

NMコメント

 初めましての方は初めまして、そうでない方は今回もよろしくお願いします。
「どんなシナリオ出そうかなあ」と零したら「触手焼いて食べよう」と言われたので出しました。アイデアありがとうございました。
 OP書いてて頭おかしくなりそうでした。

●目標
・前半
 桜を蝕む触手を退治
・後半
 触手を食べる(食べる)

●舞台
・時間帯は夜、桜並木が美しい村です。
 月が出ていて視界は良好です。 

●敵
・触手(味付き)(いっぱい)
 体長数十メートルはありそうなクソデカ触手。桜の養分を吸っています。
 ソース、塩、出汁、味噌、醤油味です。クソ美味いです。食感としてはぶつ切りにしたタコの脚とかそんな感じらしいです。しらんけど。
【攻撃方法】
・叩き付け
 触手でビシバシ叩き付けます。当たると割と痛いです。
・薙ぎ払い
 触手で周囲を薙ぎ払います。当たると結構いたいです。
・絡みつく
 触手で身体に絡みついてきます。触手プレイとかしたければわざと攻撃受けに行っていいんじゃないかな。しらんけど。
※屋台で触手焼きを売り出す予定ですが、【毒】スキルなどを使うと当然可食部は減ります。できるだけ避けるといいですね。 

●味方
・長月
 毒を塗りこんだ手裏剣を使う『暦』の忍です。
 指示が無ければ屋根の上で待機しています。

・如月 
 鎖付きの鉄球を振り回す変化アタッカー。
 長月と同じく『暦』の忍です。破壊活動ならお手の物。
 指示が無ければ屋根の上で待機しています。

●備考
 与太依頼なので戦闘より食べるメインの方が楽しいかもしれません。

●サンプルプレイング
 毒手裏剣が俺の相棒なんやけどなぁ……。しゃあない屋根の上から毒ついてない手裏剣で援護したるか。
 え、それ残すんか? 俺らにくれへん? 食費浮かせたいねん……。

 こんな感じです、それでは行ってらっしゃい。

  • 触手を焼いて食べる依頼完了
  • NM名
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年04月13日 22時05分
  • 参加人数6/6人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

冬越 弾正(p3p007105)
終音
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)
花でいっぱいの
ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
月夜の魔法使い
耀 英司(p3p009524)
諢帙@縺ヲ繧九h縲∵セ?°
クウハ(p3p010695)
あいいろのおもい

リプレイ

●豊穣、春の触手祭り
 桜の樹に絡みつき、その栄養を吸い取っている触手。その姿に『セクシーキング』冬越 弾正(p3p007105)は眉間に皺をよせていた。
「兵糧丸よりずっと美味いのか。なるほど……と言うとでも思ったか?」
「ホンマやって」
「お、俺は騙されないぞ! あと後で長月殿と如月殿はサインください!!」
「ええで」
「構わん」
「ヤッターー!」
 弾正はNinjaが大好きだった。
 うきうきな弾正の隣では彼の恋人の『蛇と触手は似ている』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)が触手を睨みつけていた。
「桜の下にはアレが埋まっていると聞くが大丈夫かその触手。いや、それよりも……弾正気をつけろ、この依頼、面子が不穏すぎる」
「面子が不穏」
 アーマデルは真顔だった。
「うんうん……そういうことね。完全に理解した。
 ……もっぺん言ってもらっていいか?」
「「触手を討伐して食べる」」
 『怪人暗黒騎士』耀 英司(p3p009524)は空を仰いだ。
「いや、わりかしトンでもな生物と出会っちゃ来たが触手を食うのは初め……」
 言いかけてローション吐くタコが頭の中を右から左へ泳いでいった。
(いや、食ったな……)
 やっぱ日本人って食に関してイカレてるのかもしれない。英司は思った。

「触手に絡まれるとなるとSAN値が削れるが、美味いって言われると食いたくなるし、未知の食材があると調理してみたくなる。料理人のサガだな」
「でも、触手ですよ? よく食べようと思いましたね」
 うんうん頷いている『悪戯幽霊』クウハ(p3p010695)に『狩猟(亜)』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)が返す。
「でも、食中毒にならなくてよかったです。とはいえ、本当は危ない物ですから、気を付けて調理しないといけませんね」
「ああ……そうだな」
 うごうごしている触手にクウハはきゅってなった。

「( ‘ᾥ’ )たこ焼き食べたい」

 安定と信頼の白い二頭身の『死食らう血狼』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)。先日覇竜風の可愛いワンピースを仕立ててもらったが、そんなの関係ねぇと言わんばかりに白い二等身である。
 そして彼女の前には家庭用たこ焼き機、ソース、マヨネーズ、キャベツ、ネギ、チーズ、明太子、鰹節、紅生姜、たこ焼きの素が並べられている。
「いや、作る気満々やん自分」
「その等身のどこに仕舞っていたんだ」
「乙女の秘密だよっ( ‘ᾥ’ )」
(乙女……?)
 乙女とはこんな白い珍生物の事を指す言葉だっただろうか?
 長月と如月は疑問に思った。
 そんな感じでコントをしていたら、さすがに触手も邪魔者に気が付いたのか、特異運命座標達へ向き直った。
「よし、この中では一番触手慣れしてるであろう俺が注意を引こう」
 英司が親指を立てる。触手慣れとかいう謎ワードも飛び出したが、混沌ならそういうこともあるんだろう。知らんけど。
「よう、セクシーちゃん達。俺のほうが桜より華があると思わないか?」
 何言うてんやコイツみたいな感じで触手が英司の方を向いた。注意を引くことには成功したらしい。とはいえ桜の二の舞になるのは英司だってごめんだ。
「そして用意しておいたローションが此方になります」
 お昼の料理番組宜しくローションが並々入った桶を取り出し、頭から勢いよく被った。鎧がぬるぬるてらてらしている。
 全員「何してんだこいつ」って二度見した。触手も二度見した。
「今から三十分間、オペレーターを増やしてお待ちしておりますッ!」
「料理番組か通販番組かどっちかにせえや」
 特撮で培った華麗なバク宙をしながら触手の海へ英司はダイブ。
 それを見送りアーマデルが蛇銃剣アルファルドと蛇鞭剣ダナブトゥバンを構える。
「触手にも種類はある。魔法の割合が高いものは物理法則は無視した組成と動きをする。こいつは物理的な割合の高い組成のか、触手(からだ)の大部分が筋肉、つまり硬い。内部から毒で溶かせば」
「毒使こたら可食部減るで?」
「!!」
 アーマデルは衝撃の余り宇宙猫になった。そういえばそんなこと言ってた。
「だが、だが……俺は知っているぞ。
 ――おセレブ会ではちょっとくらい毒があった方が旨い珍味扱いなのだという事を……!」
「駄目だ」
「駄目かぁ……」
(アーマデル……アイデンティティの危機だからかいつになく張りつめている気がする……でもさっき面子が不穏という事も言っていたし……)
 萎んだ恋人の頭をよしよししながら弾正は考えを巡らせた。
 この意味は後程わかるのだが、現時点で弾正がそれを知る術はない。
(何にせよ、ここは年上のパートナーとしてアーマデルをヤバげな触手から守らなければ)
 弾正は使命感に燃えていた。

「……よし」
 演算を終えたジョシュアが触手の前に降り立った。
 味方が注意を引いている間に触手へと肉薄し、急所に魔刀を打ち込んでいく。振り翳された触手は動作を見ていれば避ける事もそんなに難しくない。
「捕まりたくありませんし攻撃を外すつもりもありません」
 凛と言い放つジョシュアの傍では、顔色の悪いクウハが指鉄砲を構えている。
(やっぱり気色悪ィ……)
 若干指先がぶれる。この弾は己の精神力を威力へと変換する技だ。当然SAN値が下がれば威力も下がる。
 平常心、平常心と自身に言い聞かせ、一旦深呼吸。再度、発砲。
 今度の弾丸は先程よりも高い威力で命中した。命中した触手の先が持ち上げられて、にゅっとクウハに向けられる。
(食感がタコ。ならあれは実質デカいタコだ)
 弾丸は一つとは限らない。
 一斉掃射の鉛玉の旋律が触手をその場に釘付けにしている。アーマデルだ。
 アーマデルは屋根の上で待機していた長月と如月へ声をかける。
「長月殿、如月殿、援護を頼む。合言葉は『からだだいじに』だ。
 ……すごく嫌な予感がするんだ。仲間から」
「仲間から?」
「ぶえっぅしょい」
 派手にくしゃみした英司はアクロバットを交えながら触手から逃げていた。そんでもって偶然、ぐーーぜん、逃げた方にアーマデル達が!!
「寄っちまうのは仕方ないよな!!」
「嫌な予感はこれか!」
 アーマデルが英霊を呼び出し防御に回るが、何故かこの英霊めっちゃ反抗してくる。仕事だろって言ってもいう事聞きやしない。反抗期かもしれない、アーマデルは哀しくなった。
 ああっ、そんなことしてたら触手が!! アーマデルのお腹に!!
「こいつ、絡んで……いけない弾正、逃げろ……!」
 愛おしい恋人のあられもない姿を見せるわけには行かないとアーマデルは身体を張る。序に味染みやすいかな~と思って切り込みを入れてみた。意外と余裕があった。
「アーマデルーー!! 貴様ァ!!」
 弾正がすぐさま救出に向かう。
 ちょっとあの夏の思い出が蘇りそうに……ええい、思い出に翻弄されている場合ではない!
 頭を振りかぶり、脳内の映像を切断し、イイトコロを的確に抉る。絞り出された水分が地面に染みを作った。
「どうした。震えているぞ? 感じた事のない悦楽を刻み付けてやるよ」
 一発、二発と入る度に触手がのたうち回る。
「触手=総攻めという慢心が貴様を敗北に導いた。さぁ、俺の下でAGAKE!!」
 その様子を見ていたジョシュアはあることに気が付いた。
「もしかして怪人H様、わざと僕たちを巻き込んでませんか?」
「えっ、マジで?」
 英司が的確に引き付けてはいるが、避ける先悉くに仲間たちが居るのだ。隣でクウハが引き攣った笑みを浮かべている。触手に絡まれたアーマデルと弾正が目に入ってSAN値がごりっと減った。
 しかしいくら英司が悪の怪人だからって、味方をわざと巻き込むわけ――。

「何人巻き込めるかなァ!!!!」
「何人巻き込めるかって言いましたよ」
「何人巻き込めるかって言いやがったな」

 さらに真の狙いを曝け出した英司がちゃっかり、こっちに来ようとしているではないか
「うわっ、あいつこっちに来るぞ!!」
「え、ちょっと? 巻き込み事故とか嫌ですよ?」
 ジョシュアが大きく手で『×』の字を作る。英司がぴたって止まった。
「駄目? 事務所NG?」
「ええ」
「じゃあ仕方ねぇか……」
 そこはこちらの意志優先してくれるんだ。ジョシュアは思った。

「……」
「……?」
 何故かクウハの方を英司がじーっと見つめていた。うんうん頷いた英司はクウハを売美刺した。
「アンタは【覚悟完了】って顔に書いてんな!」
「は?」
 すると英司の後ろからにゅるんとぶっとい触手が登場した。触手がクウハに伸ばされる。
「イヤアアアアコナイデエエエエエ」
(可哀想に……)
 ジョシュアはクウハにむけて合掌した。

「( ‘ᾥ’ )……」
 なんだかあっちの方でイケメンの人たちが大変なことになっている気がする。
 助けに行くべきだろうか? しかしお師匠は言っていた。
『男の人が触手に襲われている現場に下手に近づいたら駄目だよ』
「あっち行っとこ……」
 なお、お師匠は一度たりともそんなこと教えてない。
「大丈夫! 今回こそは前の依頼みたいに触手にあんなことやこんなことをされて顔を文字化けさせられるなんてヘマしないから!!」

 ……。

「絶対しないからね!! 絶対だからね!!(フリ)」

 ( 。ᾥ゜ )

「イヤーーーッ! 誰かモザイク持ってきてよー! あーーーん!」
 だって、フリって言ったじゃん――。
 ( 。ᾥ゜ )になったリコリスに理不尽にバラバラにされながら、ついに触手は斃れることになった。

●実食
 月の灯りに自らの血液を翳し、霊薬を作り出したジョシュアは触手に絡みつかれていた樹へ振りかけた。心なしか、色が鮮やかになった気がする。
「村の人達も心待ちにしていますし元気になったら綺麗な花を咲かせてくださいね」
 桜に微笑みかけ、ジョシュアは厨房へ向かった。
「クウハ様やリコリス様がチヂミやたこ焼きにして見た目の問題も解決しているでしょう」
 がらりと戸を開けてみれば美味しそうな天婦羅やチヂミ、たこ焼き(タコではないが)が所狭しと皿に盛られて並んでいる。
「工夫すれば美味しく食べられる、良い事だと思います。いただきます」
 手を合わせて、一礼したところでジョシュアのすぐ傍をたこ焼きが飛んでいった。
「???」
「そーらリコリィイス! たこ焼きだぞ!とってこぉおい!」
「( ‘ᾥ’ )パクッ!
 ( ‘ᾥ’ )はふはふ……

 ( ‘ᾥ’ )アッッッッツゥイ!!!!」
 ぶちっと優等生の堪忍袋の緒が切れた。
 普段愚痴は小声でぼそっと吐き出す程度だが限度というものがある。

「食べ物で遊んではいけません! 怪人H様もリコリス様もそこに直りなさい!! 特にH様は言いたいことがごまんとあります!!」
 ジョシュアの剣幕にすっかり大人しくなった二人は部屋の隅で正座してこってり絞られていた。
「おー、可哀想に。まぁ英司は自業自得だがな」
 そのやり取りを呆れながら眺めつつ、クウハはせっせと天婦羅と煮物、チヂミを拵えていた。美味そうな匂いに釣られて暦の二人もやってくる。
「自分美味そうなん作っとんなぁ、一個くれへん?」
「おっ、いいぜ天婦羅でいいか? 一個と言わずもっと喰えよ」
「そちらの煮物もくれないか、三十超えると油物がキツくてな」
「もうちょい時間かかるが、それでいいなら」
 やはり大勢で食べる食事というのはいい物だ。クウハは嘗ていた場所を思い出していた。

「今回はアーマデルが作ってくれるんだな?」
「任せておいてくれ、弾正!」
 ドヤって顔をした後、綿棒を構えたアーマデルは原型が無くなる程に袋詰めした触手を叩きまくった。それをお揚げに詰め、いくつかを鍋へ入れ、残ったものは炭火でじっくり焼く。
「そして弾正、いくぞ! あーんだ!」
「あーん……うん、美味しい。愛情という隠し味がよく効いている」
「だろう? カレーと納豆とキムチは全てを塗潰すからな!」
「あれっ、もしかして全部入れた??」
 道理で口の中がParadise(発音◎)になっていたわけだ。でも愛情が伝わるからOKです。あとドヤ顔が可愛いから花丸満点です。
「今度は俺があーんしよう。ほら、あーん」
「あーん」
 
 こうして特異運命座標達の尽力により、桜に取り付いていた触手は対峙され、後日桜祭りは無事に開催されることになる。
 そして英司は『私は仲間をわざと巻き込みました』の札を下げ、宙吊りにされていた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

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