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シナリオ詳細

スーパーバズルナグル2

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●1はない
 鉄帝において、娯楽といえば闘争である……というのは割と過言ではない。
 遊園地で殴り合ったり、かのラド・バウをみれば明らかであろう。まあよくあることなのだ。
 なので彼らにとって暴力とは会話同然。肉体言語という言葉があるくらいだから、『強さ=発信力』みたいなことになるのも当たり前なのである。
「……そんなわけで、鉄帝では各々の主張や広めたい出来事を簡単に広める手段が求められていた。つっても混沌(ここ)には通信機器でのリアルタイムな会話なんてものはないから、魔法のアイテムとかそういうもので代わりにする……ってのが普通なんだろうけど。そこは鉄帝がアレなとこで、ちょっと趣向が変わってくる」
 『博愛声義』垂水 公直(p3n000021)が言う『アレ』とは取り敢えず殴れば勝ちみたいな、独特の価値観のことだろう。分かる分かる。イレギュラーズは一様に頷いた。
「そこで、鉄帝のとある街に設置が計画されている娯楽用品のテストを君等に頼みたい、というのが依頼として来ている。どうやら、そう言う主義主張をするための装置を作ったけどデカすぎて1人ひとつ、よりは街に幾つか置いたほうがいいだろう、って判断なんだと」
 SNS時代に慣れきった世界の人間なら、この話に多少なりワクワク感を覚えたかもしれない。自分の伝えたいことを好き放題、力あらば思い切り発信できる。いいことづくめではないのか、と。
「そうか。……そう言ってくれると助かる。それで、うん。その装置の形がこれだ」
 トン、と公直がスケッチブックを……ものすごく下手な絵を取り出した。
 人の身長の2倍くらいの大きさの円盤。円錐……円柱? を横に倒したような形のそれが路上に置いてあるような形だ。これに似たものを、音楽に詳しい者、いやさ詳しくない者でも分かるかもしれない。
「太鼓だこれ!?」
「ああ、まあ原理は近い。『スーパーバズルナグル2』、と依頼人は名付けている。第一弾はテスト中に壊れたらしい」
 全然ダメじゃねえか。……いや、壊れたから第二弾なのか? 太鼓のような原理とは? 一同が首を傾げると、公直は話を続ける。
「どうやら、これを殴って振動してる間に主義主張、言いたいこと……俺達の世界で言うと『バズらせたいこと』? みたいなのを叫ぶと、魔法とかそういう影響で声が反響してより多くの人に伝わると。まあそう言う感じ」
 めっちゃ力技なんですが、騒音公害なのでは? イレギュラーズの疑問に、しかし公直はあっけらかんと応じた。
「声が大きいってことは破壊力があるってことだ。あいつらにとっては暴力性の誇示だ。つまり『正義』だ。何も問題はない」

GMコメント

 個人情報? 特定されたら殴り合いに発展したりして暴力で正義を見せつけりゃ問題ねえんですよヒャッハー!

●達成条件
『スーパーバズルナグル2』の臨床試験の成功(説明通りにやれば失敗はまずないと思います)

●スーパーバズルナグル2
 鉄帝のとある研究者が思いつきで作った、『主義主張を叫ぶための装置』。原理は太鼓と拡声器をマッチさせた感じといえばご理解いただけるだろうか。
 太鼓に似た円錐状のブツを殴り→バズらせたいことを叫び→声の反響が攻撃力に比例する。そういうカンジ。
 今回は武器は一旦回収されバチが手渡されますが、攻撃力に変動はありません。なおスキル使用は付与以外ナシとします。流石に壊れるからネ。

●バズらせたいこととか(注意事項)
 隠していた「ちまい罪」、なんかおすすめしたいこと、愛の告白、取り敢えずなんか広めたいことがあれば何でもアリ。
 一応ある程度広まるから敵を多く作るようなものはナシでお願いします。

●実験場所
 鉄帝の地方都市の街角。依頼人が同行します。
 なお、街の人々は臨床試験のことはちゃんと知っていますのでOKです。何がかは知らない。

  • スーパーバズルナグル2完了
  • GM名三白累
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年10月04日 21時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
共にあれ
主人=公(p3p000578)
ハム子
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
御堂・D・豪斗(p3p001181)
例のゴッド
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
祈祷 琴音(p3p001363)
特異運命座標
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
柴山さん(p3p006603)
紛うことなき

リプレイ

●主張に貴賤はない
 ドコドコドコドコドコドコドコドコ、ドドドドドドドドド……。
「ふう、これ割と楽しいのじゃー♪」
 『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)は路上にでかでかと設置された通称『太鼓』の調子をバチを振るって確認していた。叩くリズムが名状しがたいリズムだとか、強度確認の割にはノリノリな表情だったとか、細かい面は突っ込んではいけない。
「なるほど、単調なヒットやオピニオンではそうブロークンしないということか! ならば都合がいい! ヒーローズ&エンジェルズのオピニオン、しかときかせて貰おう!」
 『不知火』御堂・D・豪斗(p3p001181)は太鼓の耐久力にいたく感動しているように見えた。彼は仲間のことを案じて最後に叩くワケだが、依頼中に壊れる心配は余り考えなくてもよさそう、というのは大きい。
「……公直くんに見せてもらった絵、あんまりにも芸術的すぎたからバズるってバズーカで殺る、の意味かと」
 『酔興』アーリア・スピリッツ(p3p004400)の感想は素直かつ正確だ。絵心が無いのは誰だったのか、はさておき説明に支障が出るのも考えものだ。実体を見れば依頼の内容はちゃんと伝わってくるが。というか、彼女なぜか浴衣にたすきがけの姿……太鼓に向き合う時の正装だ。誰に聞いてきたんだろう。
「叩いて叫ぶだけでお金が貰えるなんて楽そうな仕事ねぇ。こう見えてサツバツとした依頼ばかり受けているからたまにはこういうのもいいわぁ」
 『飲酒シャトルラン』祈祷 琴音(p3p001363)はアーリアと太鼓とを視線を往復させつつ、牧歌的な依頼に胸をなでおろしていた。飲み友が同行しているのだから依頼後の楽しみは保証されている。それだけでも幾分か気が楽だし……酒を逃げ道に使わなくてもいいのは気分的にも悪くない。
「バズるの由来は知らない者も多いと柴山さんは思う」
 『紛うことなき』柴山さん(p3p006603)はここに来る道すがら、『バズる』という情報屋が何の説明もしなかった単語をソレらしく説明してみせた。(失礼ながら)姿見が全体的に胡乱な彼女の口から語られた由来もいろいろとアレなのだが、正確に説明出来る者がいないため、一同にとってそれが真実と化していたりする。
「バズらせる、が何かわかりませんが要は宣伝ってことですよね! わかりました!」
 『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)のリアクションがその典型例だ。自分なりに飲み込んでいる分マシっちゃマシなんだが。うるさくても声が大きければ正義という鉄帝理論にはすでにすっかり染まったらしく、その声には朗らかさすら感じられようか。
「第一回バズルナグル『パワーワード』コンテスト、開催! 説明しよう、『パワーワード』とはなんかこうグッとくる感じの言葉の事である!」
 一同が盛り上がり始めたのに合わせ、『ハム男』主人=公(p3p000578)(今回の二人称は彼)が軽快に今回の趣旨を説明し始めた。
 曰く。一同が各々口にする主張やパワーワードを口にしたら、周囲はグッと来たものに対して『Reナグル』するのだそうだ。つまりはオウム返しらしい。なにそれ初めて聞いた。
 一番そんな感じで広まりを見せたら勝ちらしい。それも初めて聞いた。
 なんかそんな感じのコンテストをするらしい。……えっ? 多分皆そこまで考えてないと思うから、彼が優勝でいい?
「この太鼓はなんだか、面白そう、だ」
 あらぬところで混乱を招いているがそれはさておき。『神話殺しの御伽噺』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)は無感情な口調で目の前の太鼓と状況を表現した。声は扁平なのだが、その髪は犬が喜ぶように左右に勢いよく振れている。その姿につられてか、メカンガルーの『ボタモチ』は小さく飛び跳ねている。
「それじゃあボクが一例を……おおっと」
 主人公が前口上を言い終える頃、エクスマリアはすでにバチを手に太鼓の前に立っていた。
 一同は、少しだけ不安に思った。彼女はギフトのお陰で意思疎通は問題なく行えるが、声の大きさや言葉の派手さが求められるこの催しを無事に乗り越えられるのか……と。

 ぶっちゃけると全員、自分が乗り切ることを最優先にしたほうがいいと思います。
 だってここ、鉄帝ですよ?

●演出は人それぞれ
 エクスマリアはバチを振り上げ、真っ直ぐ太鼓に叩きつけた。反響音が周囲の音を拾い上げ、より大きな音へと変える準備段階。だが、彼女はあろうことか言葉を発さず、太鼓を凄まじい勢いで叩き始めた。
 両手と、己の髪。その3つ……いやそれ以上の数のバチを(研究員から分捕って)巧みに操りながら、激しく、ときに優しいリズムを奏でていく。表情は平時のものだが、髪の跳ねるリズムを見れば感情も露わになるというもの。
「柴山さんは、ああいう表現もアリだと思う」
 柴山さんは、仰々しい目元とは裏腹に口元を笑みで歪め、拳をぐっと握る。お気に召したらしい。
「うむ、ユーのソウルのパッショネイトはゴッドにもしっかり伝わってくるぞ! グッドだ!」
 ゴッドだけにだろうか。それはともかく。
 勢いに乗ったエクスマリアはいつの間にやらボタモチにもバチをもたせ、さらに叩く、叩く。
 当然ながら、その音は思い切り周囲に響き渡り、人々の心を芯から揺さぶりにかかる。
「これよりは、赤子も、兵も、王も区別なく。腹の底まで響く太鼓の音と、魂震わす叫びが、襲いかかるぞ。存分に、聞き惚れ、叫び返してこい」
 太鼓の合間に聞こえた挑戦的な問いかけに、人々の歓声が上がる。……かくして、エクスマリアは場を存分に温めることに成功したのである。

「では、私もひとつバズらせるとしましょう! 体力には自信があります!」
 利香はそう言うと、バチを構えて体力の許す限りに振るい始める。一発一発の反響はさして大きくはないが、その動きには無駄がなく、いくら振るっても疲れた様子が見られない。太鼓の反響とともに、その効果を宣伝する。腕自慢の民衆にとって、それは結構魅力的な話であり。翻って、彼女の言葉に注目が集まる。
「えー、幻想旅行したいなーなんて考えてる鉄帝民のみなさん! 王都にお越しの際はぜひ旅亭『雨宿り』をご贔屓願います!」
 その流れから、利香はまさかの自分の働く宿の宣伝をおっぱじめた。鉄帝と幻想の国家間の事情を考えると色々アレかもしれないが、そうは言ってもイレギュラーズがこうして訪問しているのだから逆も然りということか。
「アクセス良好、寝付きも良好! かぼちゃのスープ等の軽食もご用意してるのです! あ、でも暴れるのはお外でお願いしますよ! 私食い止めますから!」
「なんと! 是非泊まってみたいわぁ!」
 アーリア、すかさず合いの手を入れて雰囲気作りに精を出す。なんというか彼女も利香も商魂逞しいことこの上ない。
「ついでにかぼちゃ料理のレシピもお伝えしますから覚えて帰ってくださいねー!」
 謎の数分クッキングの開幕であった。まあこれからかぼちゃは美味しい季節になるから仕方ないね。

「次は妾の出番なのじゃー♪」
 太鼓のリズムにノせられ、すっかり上機嫌なデイジー。そしてまた流される主人公の順番。まあそんなもんである。
 デイジーの手によりバチが振るわれ、反響が収まるよりも早く。周囲には不穏は声が響き始めた。

「……ますか、聞こえ……ますか……今、……妾……はお主……の……頭に……直接……話しかけ……てい……ます」
「なんと、ブレーンにダイレクトアタックだと?!!?」
「いや、普通に声だと思うんですよね」
 ゴッドの大袈裟なリアクションにさらっと利香がツッコミを入れる。デイジーがのっけからブラフをぶちこんできた。
「妾……超偉……い……何……がと……は言わぬが…………超偉い……のじゃ、妾を……見つけ…………たら貢ぎ物……を寄越す……のじゃ」
 どこまでも我欲にまみれたデイジーの声はしかし、少しずつだがしっかりと人々の耳に届いていた。ちゃっかりと名乗りを上げるのも忘れない辺り、この幼女抜け目がない。
「妾を……崇め……奉……る……の……じゃ…………あ、……貢ぎ……物は何……か美味し……いもの……とかが良い……のじゃー…………」
 デイジーが語り終える頃には、何故か彼女の足元にりんごとか置かれていたが。置いたおばさまの顔がどこか憐れむような色合いだったのだが。それは、それで。
「なんだかんだで、皆優しいわねぇ。お酒、おねだりしたらもらえないかしらぁ?」
 一連の流れを見て、琴音がしなを作って周囲を見た。……さて、そんなに都合のいい話があるのやら。
「持ち時間? まだあるのかの? ……えーとえーと」

「公直のパンツはぴざねこ模様なのじゃー」
 その頃、ローレットに居た情報屋がくしゃみをしたとかしないとか。噂の真偽は不明である。

「じゃあいよいよボクの出番だね! 故郷の名言からいくつかパワーワードを拝借して……」
 いよいよといった様子で、主人公が咳払いをする。パワーワードについてぶちあげた手前、本気度は他者と同等、あるいはそれ以上にも思えた。
「何事も筋肉で解決するのが一番だ!」
 その言葉に合わせるように、周囲から賛同の声が上がる。筋肉は何事にも優先して好まれるらしい。好感触を掴んだ彼は、続けて声を張り上げる。
「気力が尽き、技が使えなくなった時でも、積み重ねた筋肉は裏切らない!」
 これまた、道理。日常から鍛えることを怠らない人々はその言葉を繰り返す。いい感じに『Reナグル』されているんじゃないか? 彼は気を良くした。いいことである。
「ガッツでガッツンガッツンだー!」
 拳を握って最後に一言。特に気合いを入れたその言葉は、(多分に洒落は理解されずとも)多くの人々が繰り返した。あっ、これ皆ノリノリのやつだな?
 なんか筋肉に反応してるな? 盛り上がったし自分なりにSNSらしきものの使い方を教授できたと満足気味の主人公である。

「それじゃぁ始めるわよぉ♪ 題して『飲酒健康法』」
 アーリア、5番手にしてなんか凄いものをぶち上げた。背後で次に控える琴音の目が光るのが見えたが、そりゃあそうだろうな、という感想しか。
「お酒。それは太古の昔から愛されてきた聖なる飲み物……そんなお酒は、飲めば飲むほど健康になるのよぉ!」
 当然、周囲はざわめきに包まれる。馬鹿な、という反応とやったぜ、という称賛と、琴音となぜか利香がガッツポしているがそれはさておき。
「まず美味しい。美味しいものは幸せになる。ほら健康! 一人で自分を見つめ直し飲むお酒も、喧騒の中新たな出会いと飲むお酒も素敵。世界が広がるの。ほら健康!!」
「柴山さんはいいお年だからお酒を飲めるぞ。健康になれるとは初耳だ」
 お酒は嗜むかもしれないが、そこまで探求が至っていなかった柴山さんである。これはいいことを聞いたと目を輝かせている。
 柴山さんだからね。
「……物凄い無茶振りなのじゃー」
 多分デイジーほどじゃない。周囲でそんな視線が感じられたが彼女は気にしない。
「起き抜けのコーヒーならぬエールで目を覚ます朝から、寝る前に身体を温めるアツカンまで! お酒は心身を健康にするの!! さぁ皆、お酒を飲むのよぉ!」
 浴衣を自然にはだけさせ、艶めいた声でアーリアは叫ぶ。果たして野郎連中の興奮なのか賛同なのか、周囲の反応は上々だ。いいのか。いいんだろうなあ。

「はぁぃ、ローレットでは別に有名でもない酒飲みの琴音よぉ」
 飲酒健康法に人々が興味を持ったタイミングで、琴音が間髪入れずに太鼓にバチを叩きつけて名乗りを上げる。酒飲み、と聞いた人々の目が光る。
「この装置の実験?が全部終わったら、私と酒の飲み比べをしない? 飲酒は楽しいけれど己の肝臓に対する暴力でもあるでしょぉ? つまり暴力性を重視する鉄帝のみんななら、当然お酒にも強いってことになるわよねぇ?」「……肝臓まで筋肉で解決させるなんて考えてなかったな」
 突然の提案に、主人公は驚きを隠さない。年齢不詳だけど主人公が成人済みなはずがないので[要出典]、彼はその戦いを見守るだけとなるが……。
「ルールは単純にみんなで一斉に飲んで最後まで飲み続けていた者が優勝よぉ。ついでに飲む酒は自腹で頼むわねぇ」
 琴音はそれらのルールにそれらしく理屈をつけるわけだが、周囲は太鼓の効果ゆえか当たり前のようにそれを受け入れている。……もしかしたら彼女自身の魅力もあってのことだろうが。
「アルコールに自分のスタンスをイン! するのであるな!」
 ちょっとゴッドは黙っててもらえませんか話がややこしくなる。
「あとはそうねぇ、会場になる酒場のおすすめがあったら教えて欲しいわぁ。お店の人が名乗り出てくれてもいいわよぉ」
 彼女の宣言に、周囲の人々が我先にと酒場の宣伝をおっぱじめる。その傍ら、どこでそれが行われるのかと興奮気味のアーリアがいるがそれは毎度の光景なので。脇に置いて。

「柴山さんは『バズる』の由来を知っている。今から柴山さんがそれを話そう」
 柴山さんは高齢で長身で物凄い魔術師なので(※当時Lv2)、ものしりなのである。そうやってローレットの純種も言いくるめた。
「……昔々、とある世界。ある霊山の奥に千里先までの情報も聞き届けるという類稀な聴力を持つ『バズー』なる怪物がいた」
「中々、興味深い話、だな」
 エクスマリアは柴山さんの話を聞きながら、髪の毛を自在に操って喜怒哀楽をバッチリと表現していた。
 ……柴山さん曰く。人語を解す『バズー』は興味深い情報を仕入れるとそれを叫びまわり、『真理を司る霊獣』扱いを受けているのだという。
 その言葉が真実であると広められるに至り、時の国王に謀殺された悲しい獣である、と。その名を忘れぬように『バズる』という言葉が開発されたのだそうだ。
「うっ……ううっ……悲しいわねぇ、忘れちゃいけないわぁ」
 アーリアは既にこの話を聞いているはずだが、何故か滂沱の涙を流していた。ちょっっっっっっろ。
「話の真偽? さあ。柴山さんの世界の話だし」
 周囲が感動に涙する中、柴山さんはこの態度である。やはりそういうスタンスが柴山さんなのである。

「では、満を持してのゴッドのステージ、しかと御覧じろ!」
 ファイナルセクションに全てを賭けるゴッド、腕を振り回して太鼓の前に。目に宿る光が他者とは違う。心なしかマジェスティがバーストしている。
「諸君! ゴッドである! ユー達はゴッドな日々を送っているか! ソウルを燃やしているか! 真剣に取り組んでいるものはあるか!」
 ぐっと豪斗が拳を突き上げると、ノリのよい人々は口々に応じる。彼に負けまいと、大声で。
「ユー達も共に叫ぶがよい! ゴッド達は皆それぞれの主張をシャウトした! ユー達もそのソウルを伝えるのだ!」
 そのためにゴッドが太鼓を叩く、そう続けた彼に驚いたのはイレギュラーズである。自分の主張をすべて叩き込む依頼で、この男は他者の主張の受け皿になるといい切ったのである。
「それはともかくすべてのライフにソウルを燃やせ! ゴッドはユー達が日々をパワフルに生きる姿を望む!」
 ……何ていうかこの人は本当。ね。
「どうやらゴッドはファストトーキングであると誤解を受けているようなのだ!」
「一応、普通のスピードではありますねえ。通じているかどうかは別ですけど」
 利香さんちょっとやめたげて。ラブ&ピースとか言ってる最中だから。


 斯くして、一同は『スー(略)2』の宣伝を盛況のうちに終わらせることに成功した。
 結構言いたい放題行っていたので、今後宿屋が盛況になるとかデイジーに貢物が届くとか、公直のクローゼットにぴざねこのパンツが加わってるとか、それらしい変化があるかもしれない。
 ……あってたまるか!

成否

大成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。
 皆さん個性的……個性……エッ個性とは?

 取り敢えずそういうアレです。
 プレイングに全力でウソ800をぶちこんだ皆さんは本当、その。すごいね。

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