PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ミントがせめてきたぞ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●覇竜人参
 人参とミントがにらみ合いをしている。
 もう訳が分からないが本当である。
 フリアノンに程近い草原で、人参とミントがにらみ合いをしているのだ。
 どうやら人参は二股に分かれており、ソレが足の役割を果たしているようで。
 ミントは根っこに見える部分が足のようだ。
「イヤー!」
「トアー!」
 人参とミントのうちの1体が互いに蹴りを繰り出されば、それなりのエネルギーがスパークしあう。
 それが合図になったかのように人参とミントの戦端が開かれる。
 なんかもう悪夢のような光景だが、現実である。
 ミントの名前はウォークミント。
 人参の名前は覇竜人参。
 ちなみに人参のほうは、とある鳥さんにこの前三段蹴りをくらわせたのと同じ種である。


●人参に三段蹴りされた男
 フリアノン人参の収穫の際、人参に三段蹴りされた男がいた。
 『有翼の捕食者』カイト・シャルラハ(p3p000684)である。
 実はカイト、この前の依頼でフリアノン人参を収穫しに行ったら覇竜人参に蹴られたのである。
 意味が分からないかもしれない。しかし本当なのだ。
 そうしてカイトは考えた。
「覇竜ミント……大増殖しあらゆる植物を駆逐する種が人参の天敵なのでは?」
 そう、覇竜にもミントがある。
 そしてミントとは大抵の場合、好き勝手に増えていく迷惑系ハーブである。
 初心者はミントに手を出すなとはよく言ったものだ。なおミントは美味しいのでミントに罪はない。さておいて。
 しかし覇竜ミントはミントゴーレムに関連した儚い植物である、のだが。
 実のところウォークミントと呼ばれる近似種があったりする。
 それはカイトを蹴った覇竜人参同様に、野菜型のモンスターでありカイトの考えた通りに覇竜人参とは縄張り争いをする天敵であった。
 何しろ、ウォークミントは気に入った土地に根付くと遠慮なくその場に増えていくモンスターなのだ。
 寿命が凄く短い上に好戦的なので結果的に個体数はいい感じになっているらしいのだが、なんと今回……そのウォークミントがフリアノン近辺に現れたのだ。
 しかも覇竜人参と共にである。どちらも譲らないタイプのモンスターなので、どうやら増えながらぶつかっているらしいのだが……ハッキリ言えば、すんげえ迷惑なのである。
「うむ。そんなわけなんじゃよ」
「へー」
 カイトは『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)に渡された人参の炒め物をモグモグしながら頷く。
 醤油か何かで味付けしているのだろうか……まず人参自体の味が良好だ。とても濃い味をしていて、調味料に負けていない。フリアノン人参に負けず劣らずだろう。
「ま、そんなわけでの。どっちも邪魔じゃから倒して来てくれるかの?」
「あー、いや。いいけどさ。ちなみにそれってピュニシオンの森の影響とか」
「いやー、それはないのう。アイツ等が縄張り争いしとるのは、一種の覇竜名物じゃし」
「そっかー、覇竜名物かあ……」
 覇竜名物なら仕方ない。かもしれない。
 ともかく、香りが強そうなその場所に行く仲間を集めなければならないのは事実であった……!

GMコメント

はい、というわけで覇竜人参とウォークミントの戦場に介入し実力行使しましょう。
どっちも新鮮で香り高いお野菜型モンスターですので、倒すと食べられます。
なお覇竜人参はどう食べても美味しいですが、相賀のオススメは人参ケーキや人参ジュースだそうです。
誰も作る人がいない場合は相賀が作ってくれます。
この辺りのお料理にプレイングを割いても大丈夫です。

●出てくる敵
・覇竜人参×50
草原に植わって増えようとするやつ、その1。
凄まじい脚力でジャンプして蹴りを繰り出してきます。
人参にしては強いです。モンスターとしては最下級ですけども。

・ウォークミント×100
草原に植わって増えようとするやつ、その2。
凄まじい脚力でジャンプして蹴りを繰り出してきます。
他にも敵を強すぎるミント臭でツーンと悶絶させるスプレー攻撃「ミントスプラッシュ」を使用します。
ミントにしては強いです。モンスターとしては「お前モンスターやめろ」って追放されるレベル。
でも100匹も集まると敵をミントスプラッシュで悶絶させて延々蹴り殺したりするらしいですよ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • ミントがせめてきたぞ完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年04月06日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
冬越 弾正(p3p007105)
終音
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
杜里 ちぐさ(p3p010035)
明日を希う猫又情報屋
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
曉・銘恵(p3p010376)
初めてのネコ探し

リプレイ

●ミントと人参の争い
「ミントvsニンジン、覇竜名物ここに開幕__! チョコミン党リーダーとしてはチョコが無くともぜひミントさんに勝利を掴んで欲しいところ……! あっでもニンジンも好きですよ?」
 覇竜の草原に響く、そんな『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)のミント贔屓の言葉。
 一体何を言っているのかという台詞は、目の前のものを見れば出てこないだろう。
 それは、如何にも不可思議な光景だった。
 ミントと人参が争っている。互いに蹴り合いながら争う様は、なんともシュールだ。
 覇竜ならではの光景とも言えるが、思わず二度見する程度にはシュールであった。
「ニンジンとミントが……蹴り合いで陣地の取り合いを……? ピュニシオンの森で起きてる竜種や亜竜種の騒ぎと比べるとのどかなものかもしれないけど、ぶつかり合いが周りに悪い影響を与えるのも困るし、趨勢が決定して片方にたくさん増えられても困るし、横から殴って間引かないとね! 倒すにしても大量になりそうだけど、食材にもなって一石二鳥……かな?」
「確かにな! とはいえこれも仕事だ、やってやるぜ!」
 『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)も思わずそう首を傾げる程度には不可思議な光景だが、『有翼の捕食者』カイト・シャルラハ(p3p000684)はやる気満々で実に頼もしい。きっとミントなんかに負けはしないし前回人参に蹴られたりもしていないだろう。さておいて。
「R.O.O.でミントとドクダミが戦っているのを見たことがあるが、今度はミントと人参か。奴は何処にいても喧嘩するんだな」
 『残秋』冬越 弾正(p3p007105)も叡智たるツァラトゥストラによる支援の準備を始めていたが、まあ……似たような問題は何処にでもあるということなのだろう。
「しかしもうミント臭で大変だが、此処から更に凄くなる……となれば過酷耐性(弱)だけでは心もとない……もうひと手間加えるか」
 何やら考えているらしい弾正だが、実際強力なミントの香りは防犯グッズとしても使われるほどだ。
 お料理にも活躍するミントではあるが、そうした対策も確かに必要だろう。
 そして、料理……となれば、『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)も黙ってはいない。
「さて、メイン食材は人参とミントか……人参はともかく、ミントは使い方が難しいな」
 すでにどう調理するか考えている辺り、モカは本気だ。
「覇竜名物……しゃおみー知らなかった…! 人参もミントも全部倒して美味しく食べる……でいいのかな?」
「ああ、いいんじゃないか?」
「人参も甘くおいしく調理して、ミントもチョコミントにしたいな……!」
 力強く頷く『初めてのネコ探し』曉・銘恵(p3p010376)に、モカはフッと微笑む。なるほど、そういうのもアリだろう。
「人参とミントが増えて戦ってるのにゃ? ちょっとよく分からないけど大変そうなのはなんとなく伝わったのにゃ。食べたらおいしいらしいし、退治頑張るにゃ!」
「コャー、覇竜は野菜もハーブも大変に元気なのねぇ。まさかの繁殖力なの」
 『少年猫又』杜里 ちぐさ(p3p010035)と『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)も頷きあうが、実際誰もが「まさか」と言うだろう。
「とりあえず、お料理にするのならどの位形を残しておけばいいのかしら~? それによって考えることも変わってくるのだけれども。ちなみに、知っているかしら~?イヌ科の動物はミント(所謂シソ科ハッカ属)は食べられるの。猫にとってはミントは毒らしいのだけれども、キャットミント(シソ科イヌハッカ属)とか猫が好むハーブもあるらしいの。マタタビみたいなものかしら~? そもそもウォークミントって分類的にどうなるのかとか、わたしにはよく分からぬので強く当たって後は流れで行く感じなの」
「よっしゃ! じゃあいくぜ! ニンジンだろうがミントだろうが負けるカイト様じゃねえ! 全員纏めてかかってこいやぁ!!!!」
 叫ぶカイトにミントと人参がザッと振り向くが、カイトもそのままボコられる気は微塵もない。
「回避盾が複数体から殴られるのは不利。というわけで秘策、ウィンドベール! 暴風をまといながら突撃! さあ、焼き尽くしてやらあ!!!」
 物理攻撃を遮断する暴風の結界を自身の周囲に展開するカイトが物騒なことを言うが、演出上の話であって食べるために少しだけは焼き尽くさずに残すつもりはあるらしい。とりさんえらい!
「じゃあオイラもいくよ!」
 アクセルも雲海鯨の歌を振るい、ミントや人参に攻撃していく。そんなに強くないので、実に簡単なものだ。
「よし、調香技術で厄介なメントール臭に別の香りを足す事で、とびきりCOOLなフレグランスにしてやるのだ! 爽やかなミントトップノートに、ローズマリーの香りが重なり、やがてアトラスシダーの力強くウッディな香りが後を引く……厄介な臭いを殺さず生かしてファッションに変える。それでこそセクシーキングというものよ!! うっ! コラ、新しくミントスプレーするんじゃない! 香りのバランスが崩れるだろう!」
 一方で八岐大蛇を発動しながらも調香していた弾正が調整に四苦八苦していたが、ミントが強くないのでその辺はやりたい放題である。
「ところで、誰なんだ戦闘中にローストチキンを焼き始めたせっかちさんは」
「鳥、香草、炎技、何も起きないわけもなく……いや起こらないからな!いくら食材適正(おおきなとりにく)があってもそう簡単にはとりさんの香草焼きは出ないからな!!!!! え、酒のつまみに肉? 相賀の美味いものセンサーにひっかかってる? いやだから俺は食材じゃねえええええええ!!!!!
「しまったカイトのなんか触れてはいけない柔らかいところに……柔らか……酒にしっかりと漬け込んで!?」
「いや、持ってきてるけどな!? 上物のアラック!」
 炎狩からのバーンアウトライトしているカイトを見て「あぁ」って顔する弾正にカイトが叫んでいるが、さておいて。
「あー非実在黒豹の皆さん、今回はかじらないでね。爪もダメ。体当たりとか殴りで倒してくれ」
 黒豹疾駆撃を放つモカがそんなことを言いながら調理法について考えているが、黒豹を象った気功で生み出す誘導弾なのにそう頼まれる非実在黒豹さんも大変そうだ。
「まずもって、覇竜人参とウォークミントの数が多すぎるの。つまり、いただくにしても、少しくらいは燃やしてしまっていいのではないか、と思うの」
「まあ、そう言えるな」
 モカの同意を得た胡桃は終焉のレーヴァテインを取り出していた。その効果の代償として大きなリスクを背負うものではあるが、此処で使う分には便利さのほうが上回るアイテムだ。
「今回は通常攻撃で一匹一匹殴り飛ばしていくのも手間がかかるので、範囲攻撃でどうにかしたいところなの。そこで、終焉のレーヴァテインからの、あふた〜ば〜な〜からの、ぶれいじんぐぶらすた~!!」
 そうして胡桃のぶれいじんぐぶらすた~が炸裂すれば、ミントも人参も例外なく燃えていく。
「あんまり燃やしすぎると食べる分が無くなるので、わたしは考えたの。そういう時は最初に最大火力で焼き払って残ったのをいただくの。数で押せ押せ系の敵は最初に数を減らすのも戦いのセオリーなの。ついでに言うと一撃が重くなければデメリットも軽いの」
 そう、雑草を手で丁寧に抜くように、そういう地道な手段もありだろう。
「僕はミントの料理って知らないからまずは人参にゃ。ジュースやケーキに合うってことは甘みが強いのかにゃ? それならサラダとか生で食べても良さそうだし、コンソメスープとかに……ってなんか蹴ってくるにゃ!?」
 そう、すでに十分敵意は示しているので隙を見せれば当然のようにミントも人参も襲ってくる。
 ならばどうするかという話だが……ちぐさはすでに食欲全開でよだれをたらしそうになっていた。
「これが例の人参にゃ? 僕はお肉やお魚好きだけど、たまには野菜もたべるのにゃー! チェインライトニングで一掃にゃ!」
「下拵えも兼ねてある程度は焼きニンジンにしちゃいましょう。今のうちですミントのみなさん! 囲んで一斉攻撃です! うおー! 今日も届けこのミント愛……!」
 何やらミントに混ざってユーフォニーが人参を攻撃しているが、チョコミン党リーダーとしての矜持とかそういうものなのだろう。たぶん。
「おいしく倒されてほしいな……当たれー!」
 そして光翼乱破を銘恵が放てば、モンスターとしては雑魚の中の雑魚のミントも人参も倒されていく。
「ミントも人参も食べるのはしゃおみー達だから!」
 そう、人参もミントも美味しくいただく予定であり……たいして苦戦もせずに倒した後は、調理の時間である……!
「ここまでしっかり焼ければ灰が良い畑になるだろう。ん? 焼畑農業? いやいや作物が勝手に寄ってきただけだし?」
 カイトがそんなことを言っていたが……それで出来るのが何かまでは、ちょっとよく分からない。

●実食の時間
 ミントや人参の選別はアクセルを中心にしっかりと行われていた。
「特にミントは一気に大量に使わなさそうだから、乾燥させるとかして保存したり、虫除け用のポプリにしたりとか。足が生えてるなら逆さ吊りでの保存とかしやすいだろうし、こう、ロープで複数人を連行するみたいに縛って干せるようにしておきたいな!」
「おお、なんだか哀愁を感じるな……」
 カイトが吊るされる人参に妙なシンパシーを感じているが、色がちょっと似ているからだろうか?
「はい、というわけで『とりさん3ぷんくっきんぐ』の時間だぜ!」
 まあ、その辺は深く考えずにカイトは料理を始めていく。
「まずニンジンをピーラーで細切りに、ミントを少量ちぎってつっこみ。オレンジなどの柑橘類の絞り汁とオリーブオイル、塩少々ふって混ぜ混ぜ! 最後に粉チーズをふりかけてーっと。これでキャロットラペの出来上がりだ! 白ワインに合うと思うぜ!」
 なんと人参とミントの両方を使ったおつまみである。流石は海洋の男ということだろうか?
「余ったミントは虫よけとかにでもするか?」
「それもいいな。よし、カイトも美味しそうに仕上がってるし俺も早速料理をするか」
「俺は食材じゃねえ!」
「もう調理済だものな」
「おお、まさにその通り……って違うっての!」
 そんなカイトと弾正の漫才が一通り済むと、弾正は調理を始めていく。
「バインセオでも作るか。異世界のベトナムだったか? あちらのお好み焼きだ。米粉やココナッツミルク等を混ぜた生地に、なます切りにしたニンジンを挟んでミントを添える。ライム汁のタレで召し上がれ!」
 こちらもまたワインが合いそうな料理だが、とても良い香りを漂わせている。
 そしてメイン料理があるならばスープだと、ちぐさは気合を入れていた。
「レッツクッキングなのにゃ! しっかり手洗いにゃ! 調理器具もキレイか確認にゃ!」
 ヨシ! と指差し確認するちぐさにモカが頷く。ダブルチェックも問題ない。
「包丁使う時は猫の手にゃ! これはすごく好きにゃ! えーと……人参は根菜だから水から茹でるんだっけにゃ?? それで、グツグツになる前にコンソメの素を入れて……塩コショウで味をととのえて、にゃ。お皿に移してミントを乗っけて出来たのにゃ! 『猫又シェフのすごい無難な感じの人参スープ ~ミントを添えて~』にゃ! 上出来なのにゃ! みんなにも振る舞うのにゃ!」
 そうしてスープも出来上がったが、きっと素晴らしい味がするだろう。
「相賀翁は料理ができるのか。ならばぜひ、その腕を見たいものだな。私たちがやるならしないと言うのであれば、料理勝負ということにしようと思っていたんだが……」
「ホッホッホ。爺の男料理なんぞ、お嬢ちゃんには敵わんよ」
「人参ケーキ、わたし人参ケーキ食べるの。レーズンとナッツも加えてウォークミントも添えてみるといい感じかしら?」
「おお、うむうむ。ではそうしようかの」
 言いながら相賀は胡桃のリクエストに応えて人参ケーキを作っていたが、つまるところデザートだ。
 そしてそういうことであれば、モカが作るものは決まっている。
「人参はまずジュースにする。その一部を生クリームと混ぜてソフトクリームとアイスクリームに。ミントも細かく刻み、生クリームと混ぜた後に濾して、同じくソフトクリームとアイスクリームにする。それらを使い、飾り兼香り付けにミントを添えてパフェを作る!」
 そう、いわゆる2色のアイスのパフェだ。春らしく爽やかな香りの漂うパフェは、デザートにはまさにピッタリだ。
 相賀とモカで素晴らしいデザートも出来あがり、銘恵もきんぴらを作っていた。
「とっても多い人参とミント……フリアノンで使いきれるかな。使い道は料理以外で思いついてなかったけど皆の発想、すごいね……!」
 とはいえ、銘恵の発想と料理の腕も他のメンバーに負けるものではない。
「人参を千切りにして調味料とごまを入れて炒めて、きんぴらを作るね。外で知ったの。千切りは大変だけど、頑張る……!」
 練達であれば千切りが簡単なグッズもありそうだが、覇竜にはそんなものはないので銘恵の丁寧な仕事がカギだ。
「ミントのソース、色々あるみたいだけどミントとオリーブオイル(持参)をすり鉢で細かくしてゴマと塩を混ぜてみたよ。後はお肉を焼いて、ソースをかけて……おいしいといいなぁ」
 このためにすり鉢も買ってきた銘恵の心が光る逸品だ。美味しくないはずがない。
 そしてユーフォニーもまた忙しく動き回っていた。
「ニンジンケーキはこの前作りましたからね……相賀さんも作ってますし……となれば、こうですね!」
 ユーフォニーは全体を見ながら、作るべきものを見定めていく。
「生のまま収穫できた分はまず人参スティックに。マヨネーズと一緒に素材の味を楽しむんです♪ 焼きニンジンにしてしまった分はグラッセに。チキンステーキとか合いそうですよね……」
「誰かが俺を食材を見る目で見た気がしたっ!」
 カイトが周囲を見回す頃にはユーフォニーはすでに視線を戻している。
「あっ相賀さん、ブタウシ鳥のお肉もお願いしますっ!」
「うむ」
「あとはやっぱり煮物ですね! 人参メインの筑前煮みたいな……しっかり煮込んで味を染みさせて、ご飯が進むの作っちゃいましょう♪」
 言いながら、ユーフォニーはモカのミントアイスに加えもう1つミントアイスを作ることを決めていた。
「ミントと言えばチョコミントは欠かせません! 相賀さん、チョコアイスもありますか? あとこのミントもミント酒やミントエキスの仕込みに使えるでしょうか」
 その手際はまさに料理の鬼。そうして出来上がっていった料理を全部並べれば、まさにフルコースの如きであった。
「人参ケーキや人参ジュース、おいしいね。チョコミントアイスやミント料理も……人参とミントが喧嘩してたなら、混ぜちゃえばいいのかな。人参ミントジュースとか……」
 銘恵の言う通りに、それもまた美味しいかもしれない。
「しかしどれもよく出来ている」
 モカも食べながらそう感想を述べ、余ったミントや人参に視線を向ける。
「残った人参とミントは持ち帰って、私の店の食材にでも使うか」
 言いながら次に視線を向ける先は、ユーフォニーが作ったとあるものだ。
「緑の鮮やかなミントを選び、再現性東京で準備してきた色々な形の瓶と専用のオイル、そして色とりどりな花を。ふふ、ハーバリウムです♪ せっかく春ですから、見て楽しめるものもいいですよね」
「へー、こういうのもいいね!」
 アクセルも感心したように頷くが、確かにこういう使い方もありだろう。
 使いどころは無限大で、1つの余りも残さず使い切る。エコな気持ちがよく現れた……そんな、穏やかな春の一日であった。

成否

成功

MVP

ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!

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