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シナリオ詳細

ペンケナヨチョメッケモンゲが現われた!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●みんな知ってるペンケナヨチョメッケモンゲ
「大変だ! ペンケナヨチョメッケモンゲが現われたぞ!」
 幻想(レガド・イルシオン)のある酒場。扉を乱暴に開けて叫ぶ男がいた。
 彼の剣幕に驚く者、うっかり倒した酒瓶に怒る者、含んだビールを吹き出す者、そんな彼らは次の瞬間、言われたことを理解して一斉に振り返った。
「何っ、ペンケナヨチョメッケモンゲだと!?」
「ばかな、去年スペッチョナムした筈なのに、なぜ再び……」
「もうゴルゴンゲゲッチョしか手は無いのか?」
「滅多なことをいうな、もしゴルゴンゲゲッチョなんてしようものなら、村ひとつがバイナーラしてしまう」
「そ、それだけは避けなければ……!」
「ど、どうすれば!」
「みんな落ち着け!」
 酒場のマスターらしき男が、酒瓶をズドンとカウンターに置いて叫んだ。
 一瞬の静寂。
 集まる視線。
 マスターは低く威厳のある声で言った。
「話は単純だ。もう一度、スペッチョナムすればいい」
「そんな、誰でも簡単にできるようなことじゃない」
「もしスペッチョナムに失敗したらペンケナヨチョメッケモンゲによるバイナーラが起こってしまう。せめてモンゲモンゲで済めばいいが」
「少なくとも俺たちでは無理だ。このことをよく知っている奴じゃなければ……」
 クッ、と顔をそむける男たち。
 そう、仮に知っていたとしてもペンケナヨチョメッケモンゲを満足させるようなスペッチョナムを執り行なうことは難しい。
 相応の知識と技術がなければ、ペンケナヨチョメッケモンゲをスペッチョナムできないのだ。
「くそっ、どこかに居ないのか……! ペンケナヨチョメッケモンゲをスペッチョナムできる奴が……!」
 テーブルを強かに叩くひげ面の男。
 横で巨漢が寂しげに背を丸めた。
 そんなおり、店の隅で静かに酒を飲んでいた男がふと呟いた。
「俺に心当たりがあるぞ」
「「なんだって!?」」
 一斉に振り返る男たち。なんなのきみらのシンクロ率。
 隅っこの男はカップを置いて、懐からチラシを取り出した。
「ギルド・ローレットだ」

●なんだそれと言われましても!
「ペンケナヨチョメッケモンゲが現われたのです!」
 ばーんとテーブルを叩いて立ち上がる『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)。
 周りの注目を集めたことを悟り、咳払いしてからスッと座り直すと、手元のカップをくるくるまわしはじめる。
「ペンケナヨチョメッケモンゲは古くから幻想北部に現われる怪物なのです。
 とても強力な怪物なのですが、スペッチョナムすることで被害を出さずに封印することができると言われています。
 すこし前に地元のおじいちゃんたちがスペッチョナムしたのですが、もうおじいちゃんもボケきっていてスペッチョナムできる人がいないのです。
 ですがその手順を知っている人たちが居る。そう、ボクたちなのです!」

 ペンケナヨチョメッケモンゲとは一部の村じゃ有名なスリンチョレッチョのひとつで、ゴンマサマンナ手稿によればかつて村ひとつをバイナーラしたと言われ、封印するにはスペッチョナムするしかないとされていた。
 しかしスペッチョナムの知識は各地へバラバラに分散してしまっていた。
 もはや誰もスペッチョナムできない。そう思われていたのだ。
 だが!
 しかし!
 このたび偶然に、ほんっと偶然にも集まった今回のイレギュラーズたちの知識を組み合わせることでスペッチョナムが完成し、ペンケナヨチョメッケモンゲをスペッチョナムできることがわかったのだ!
「村をバイナーラさせないためにも、どうかペンケナヨチョメッケモンゲをスペッチョナムしてのしいのです……おねがいします!」
 そう、村の運命は、イレギュラーズたちに託されたのだ!

GMコメント

 ご機嫌いかがでしょうか、画面の前のプレイヤー様。
 いまあなた様は『ペンケナヨチョメッケモンゲって何? 知らないの私だけ? やだこわい!』とお思いでしょうか。
 ご安心くださいませ。
 皆知りません。
 私も知りません。
 知っているのはどうやらあなた……もといあなたのイレギュラーズだけのようです。
 なんとなく分かってきましたね?
 それではここからはメタ視点込みで、この依頼の概要をご説明しましょう。

【成功条件】
『ペンケナヨチョメッケモンゲをスペッチョナムする』
 というのが表の成功条件ですが、裏の成功条件は
『参加者全員がスペッチョナムのしかたを少しずつ考え、組み合わさるように調整する』
 というものです。
 一口にいってもよくわからないと思いますので、順を追って解説しましょう。

 まずはこの依頼の相談掲示板で、『自分はペンケナヨチョメッケモンゲを知ってる。こういうやつだ』という知識を披露してください。
 勿論影も形も無いなにかなので、ひとりひとりぶっ込んだ知識が組み合わさりなにかしらの形をとることでしょう。
 ある程度形が見えてきたら今度は『スペッチョナムの知識を持っている。これが必要だ(ないしはこうする手順がある)』といった知識を披露しましょう。あたかも詳しいかのように。
 そうすることで出任せ以外の何者でもなかったスペッチョナムに形ができてくるはずです。

 このシナリオは相談で闇鍋感を楽しみ、プレイングとリプレイでその味わいを楽しむという二段階のお楽しみ要素でできているのです。

【オマケ】
 そんなこと言っても急に思いつかないよ、という方はペンケナヨチョメッケモンゲ語をお試しください。
 ペンケナヨチョメッケモンゲ語は美しい発音(言っちゃえば適当なカタカナの並び)で構成された言葉で、地球言語には翻訳不可能なオリジナリティあふれる単語ばかりで構成されています。
 なので『確かグリモリティをノースキャロライナするところから始めるはずだ』とか『北に生えている花で作ったペッソヌを捧げるのです』とか『ワタシ、マチャチューチェッチュの振り付け、シッテマス』とか言い出しても話が通る仕組みになっています。
 ペンケナヨチョメッケモンゲ語を含めれば含めるほど闇鍋感は増し、途中で自分なにやってんだろう感も沸いてくるかもしれませんが、やり遂げたときの伝説感は凄まじいものなるでしょう。
 後に、俺こんな依頼やったんだぜと自慢しましょう。胸を張って。

  • ペンケナヨチョメッケモンゲが現われた!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年01月30日 21時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ギルバルド・ガイアグラン・アルスレイド(p3p001299)
重戦士
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
ユウキ(p3p001938)
巻き込まれ系家付き妖精
レンゲ・アベイユ(p3p002240)
みつばちガール
梁 晧月(p3p002510)
金目の花売り
白井 炎(p3p002946)
科学忍者
朝比奈 愛莉(p3p003480)
砂糖菓子の冠
アイリス(p3p004232)
呪歌謡い

リプレイ

●ペンケナヨチョメッケモンゲの伝説
 大地をゆく二台の馬車。
 その一方には、麗しき女性たちが乗り込んでいた。
「麗しき女などと……最強の座から弾かれた吾には程通りな」
 セーラー服の青いリボンを握りしめ、『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)はシニカルに目を閉じた。
 思い出すのはかつての世界にあったというグナグルゥッシャガオゥー。
「しかし、懐かしいな。グナグルゥッシャガオゥーとは……ペケメンペケメンは必定、か」
「あなたの世界にもあったのね、グナグルゥッシャガオゥーの力が」
 『みつばちガール』レンゲ・アベイユ(p3p002240)は痛みをこらえるような目をして車窓の空を見た。
「あたしの使用人はグナグルゥッシャガオゥーの暴力衝動に目覚めたのよ。けれどそれを制御出来ずに、今は美女とみればハラパンしてしまう異常者になってしまったの」
「力は人を惑わすもの」
「……!」
 百合子の言葉に込められた意味を察し、レンゲは強く拳を握りしめた。
「ペンケナヨチョメッケモンゲをあたしたちがスペッチョナムして、ハラパンで殺された人たちの仇を討ってあげるわ!」
 その意気です、というふうに頷く『流浪楽師』アイリス(p3p004232)。
「心配いりません。皆さんの知識を合わせたことで準備は万端の筈。そうですよね?」
「その筈です。けれど……頭では分かっていても……」
 『混沌に救われた』朝比奈 愛莉(p3p003480)は膝の上に揃えて両手をぎゅっと握りしめた。
 かつての世界でペンケナヨチョメッケモンゲに追いかけ回されドヮンドヮンされかけた記憶がよみがえったのだ。
 メチャヨワナメクジ体質の人ばかりを狙い、ユメノネズミーコクオウすら手にかけた恐怖の存在。
 それは理屈を超えた恐怖となって、愛莉の心に刻まれていたのだった。
 かつてスペッチョナムしてくれたジースリーはこの世界には居ない。それが更に不安となって彼女を襲うのだ。
「我が身を犠牲にしてでも、成功させましょう」
 よく通る声で言うアイリス。
 まるでその声に背を押されたかのように、愛莉は俯けていた顔を上げた。
「はい。私が……私たちが、スペッチョナムしなくてはいけませんね!」
 そう。
 今スペッチョナムできるのは自分たちをおいて他にないはずだ。
 ならば。
「必ずやスペッチョナムを果たし、勝利のダリューンを掲げましょう!」
 応、うん、はい! という三人の声が、美しく重なった。

 さて、もう一方の馬車には屈強なる男たちが集まっていた。
「まってくれ。オレを屈強な男に数えるのはやめてくれ」
 虚空に向けて手を翳す『巻き込まれ系家付き妖精』ユウキ(p3p001938)。
「男なことは否定しないでもないが」
 温泉の女湯に入ったら事情を知る人から悲鳴をあげられかねない彼ないしは彼女である。こほんと咳払いし、車内の一同へと顔を向けた。
「悪い、話を戻そうか。オレの転生した世界にもペンケナヨチョメッケモンゲはいてな、安易にゴルゴンゲゲッチョした結果バイナーラした村を見たことがある。あれは酷いもんだった」
「奴の肉は美味だと聞くが?」
 『重戦士』ギルバルド・ガイアグラン・アルスレイド(p3p001299)が身を乗り出す。
「ああ、そんな話もしたか。ファニュラフェッタできればだが……そんな欲をかいてバイナーラされるわけにもいかない」
「ううむ、確かにのう。わしもバイナーラのことは知っておった」
 目を瞑るギルバルド。脳裏に浮かぶはペンケナヨチョメッケモンゲがイデオムのように解放され因果地平にバイナーラするという伝説である。それはそれは恐ろしい物語だ。
「じゃが、オッパキャマーヨをパオパオしルフテェからアルデンラルデンすれば、ダベッチャすることもできる」
「うん。これだけ知識と技術がそろっていれば、心配はなさそうだ」
 『金目の花売り』梁 晧月(p3p002510)が花のように微笑んだ。茶色の髪をふわりとやって、車窓に肘をかける。
「きっと、スペッチョナムできるよ。これも用意したしね」
「ほう、それは……」
 横でずっと腕組みしていた『科学忍者』白井 炎(p3p002946)がきらりと目を光らせた。
「そう、ドッコダー入りの香水だよ」
「ほう……」
 なんだか意味ありげなトーンで頷く炎。
「しかし、ペンケナヨチョメッケモンゲをこの目で見る日がこようとはな」
 懐から巻物を取り出し、一瞥する。
「この不完全な巻物も役に立ったようだ。必ずや……ペンケナヨチョメッケモンゲをスペッチョナムしよう」
 黙って頷く男(?)たち。彼らの心はいま、馬車を通して一つになっていた。
 スペッチョナムという目的へ向けて。

●スペッチョナムへ至る道
 草原にゴザをしき花飾りのように座る二人の乙女、愛莉とアイリス。
 その様子を、茂みの奥から炎や百合子たちが緊張の面持ちで見守っていた。
「ペンケナヨチョメッケモンゲをおびき寄せるは乙女と酒。これで奴は姿を見せるだろう」
「女性たちを囮にせねばならないとは……! それに、香水は本当に効くのか!?」
「心配ないよ」
 晧月の用意したドッコダー入りの香水を百合子たちは振りかけている。
 ドッコダーの香りはペンケナヨチョメッケモンゲに臭いで存在を悟られぬようにするためのものであるらしい。
 伏せていた身をもぞもぞと動かすギルバルド。
「それに、ポポポ料理もたっぷりと用意したのじゃ。見ろ、ペンケナヨチョメッケモンゲが好みそうなポポポ料理を」
「そうよ、いっぱい作ったんだから」
「それも美味しいポポポ料理をな。たっぷりパオパオを入れてやったぜ」
 伏せたままでガッツポーズをとるレンゲ。その横でユウキがサムズアップした。
「ふむ……パオパオを喰わせればスペッチョナムもしやすいじゃろう。しかし臭いで気づかれんか」
「安心しろ。ペペロッペを混ぜ込んでキッチリ隠してある。奴はそうと気づかずむしゃむしゃ食うぜ」
「ユウキは本当に料理が上手なのね。家事をしてるときは見違えるようだったわ」
「不本意ながらな」
「あっ、ポポポを沢山用意したあたしを褒めたっていいのよ。ポポポ売りから沢山もらってきたの!」
 伏せ姿勢のままのけぞって胸を叩くという器用なことをするレンゲ。
 ギルバルドと晧月が両サイドからえらいえらいと言ってほめたたえた。
 そうしていると……。
 百合子が低く唸るように言った。
「来るぞ、ペンケナヨチョメッケモンゲだ」

「くっ……」
 愛莉は複数首をもつペンケナヨチョメッケモンゲを見上げ、かつての恐怖を思い出していた。
 かつてメチャヨワナメクジ体質だった記憶である。
 ペンケナヨチョメッケモンゲは愛莉とアイリスという美しい乙女、そしてたっぷりの酒とポポポ料理に舌鼓のようなものをうち、早速がぶがぶと料理を食い始めた。
 横ではアイリスが酒の入れ物を掲げ、ペンケナヨチョメッケモンゲへと呑ませていく。
 ちらりと送ったアイコンタクトは、愛莉を励ますものであった。
「そうですね……」
 愛莉は今一度覚悟を決めた。
 今はドゥーヴァーも着ている。リンリンをシャンシャンしてダベッチャすることだって、できるかもしれない。
 恐れはあるが、恐れはしない。
 愛莉はアイリスと共に酒を掲げた。

 酒の進みは早かった。
 このデンラブーという酒にはカラネムが入っており、バイナーラの可能性を下げる働きをもっているのだ。
 特にランデブーはカラネムのもつ独特なヌォンボッフ臭を誤魔化す働きをもっていた。
 そのためだろうか、ペンケナヨチョメッケモンゲはすっかり酔っ払ったようにホルフテェからアルデンラルデンし、武器であるフングルロルも投げ出してしまった。
 好機は、まさにその時であった。
「ゆくぞ、戦闘開始じゃ!」
 茂みから飛び出すギルバルド。
 ここがわしの見せ所。料理も酒も乙女の淑やかさも持たぬが、その斧さばきは魔軍をも打ち払う。彼は勇敢なる重戦士なのだ。
「作戦通りじゃ。奴はゲベケンが柔らかい。オッパキャマーヨしつつ、攻撃を重ねるのじゃ!」
「応ッッッッ!」
 拳闘の構えをとった百合子。
 雄々しきオッパキャマーヨと共にペンケナヨチョメッケモンゲの身体へ渾身の正拳を打ち込んだ。
 手応えはある。しかしまだ浅い。
「ゲベケンを打ち損ねたか」
「君のゲベケンはここだね」
 素早く回り込んだ晧月が華麗なオッパキャマーヨと共にマジックフラワーを打ち込んだ。
 見事にゲベケンを焼いた晧月の攻撃。
 それに続いてギルバルドの斧が勢いよく叩き込まれる。
 叫びを上げるペンケナヨチョメッケモンゲ。
 愛莉が渾身のオッパキャマーオと共に逆再生の術を打ち込んだ。
 そんな愛梨を振り払おうとしたのだろう。ペンケナヨチョメッケモンゲが大きく拳を振り上げた。
「気をつけて! ペンケナヨチョメッケモンゲは柔らかい所を狙ってドゥンドゥンするわ!」
 叫ぶレンゲ。
 かつての恐怖からか一瞬だけ動きをとめた愛梨。
 そこへアイリスが飛び込んだ。
「行かせません」
 至近距離から術を放ち、果敢なオッパキャマーヨをするアイリス。
 アイリスにドゥンドゥンが向く――が。
「ぬおおおおおおおお!」
 目をギラギラに光らせた炎がアイリスを飛びかからん勢いで突き飛ばした。ドゥンドゥンを代わりにくらった炎がいやな音をたて、地面をバウンドしていく。
「くっ、この程度の痛み――『一角』!」
 握りしめた機械傘をドリルのように回転させ、怒濤のオッパキャマーヨを繰り出す炎。
 集中ドゥンドゥンをさけペンケナヨチョメッケモンゲを引きつけるべく遠術でサポートしていたユウキが、何かに気づいて声を上げる。
「奴のミコノウロコチギョを見ろ! 真っ黒だ!」
 話によれば、ミコノウロコチギョが真っ黒になるのはペンケナヨチョメッケモンゲが充分に弱った目安であるという。
「ペケメンペケメンに集中しろ! スペッチョナムだ!」
 カッ、と皆の瞳に決意の光が宿った。
 ひとつなった心。
 ひとつになった想い。
 それは言葉となり、力となり、彼らからあふれ出た。
「「ザッケナーコルァー!」」
 ザッケナーコルアーとは、異世界のエルフ語で『我等にに勝利と栄光を』を意味する。
 その言葉をぴったりと合わせた彼らのペケメンペケメンがスペッチョナムを成さないなど、ありえようか。

●ダベッチャ、そして伝説へ
「オレはなにをやっているんだろうな」
「え、お料理でしょ?」
 スペッチョナムしたペンケナヨチョメッケモンゲを調理器具で料理するユウキ。
 レンゲは味見をしてぺろりと舌をなめた。
「うん、とっても美味しいわ」
「うむ、まさかファニュラフェッタまですることが出来るとはな」
 腕組みをして鍋の様子を見るギルバルド。
 それもこれも、アイリスがきっちりした調理器具を持ち込んでくれたおかげである。
「今回のことでスペッチョナムの方法は確立されました。これをレシピとして、ローレットに報告しましょう」
「異論ありません。これで皆さんがペンケナヨチョメッケモンゲに……バイナーラやドゥンドゥンにおびえることは無くなるのですね」
 愛莉は胸に手を当て、安堵のいきをついた。
「さあみんな、料理ができたわよ!」
「作ったの大体オレだけどな」
 ユウキが大きな鍋で運んできたペンケナヨチョメッケモンゲ料理を指さして、レンゲが渾身のどや顔をした。
「倒した強敵を喰らう。これぞ、真の克服か」
 骨付きペンケナヨチョメッケモンゲ肉にかじりつき、百合子はしみじみと瞑目した。
「いずれ、グナグルゥッシャガオゥーも制御できるひが来よう」
「そうなるといいわね。これ以上悲劇をうまないためにも」
 レンゲたちが頷きあっている横で、晧月と炎がペンケナヨチョメッケモンゲシチューをいただいていた。
「うまくいって良かったね」
「うむ」
「そういえばおぬし、スペッチョナムの後『用は済んだ』とばかりにニヒルに立ち去ったような……」
 あごひげを撫でて振り返るギルバルド。
 炎はスプーンをくわえ、キリッとした顔をした。
「記憶にないな」

 その後、沢山余ったペンケナヨチョメッケモンゲ料理は広く近隣の人々に配られた。
 その行為はバイナーラの危機におびえていた人々を安堵させ、ペンケナヨチョメッケモンゲの恐怖を取り去った。
 スペッチョナムの知識がよみがえったとして人々はお祭り気分にうかれ、やがて料理や酒を持ちより即席の大宴会が開かれるに至った。
「なんだかおかしな結末になったな」
 ペンケナヨチョメッケモンゲパイのひとかけらを口に放り込むユウキ。
 酒瓶を振り上げたギルバルドが豪快に笑った。
「がっはっは! うまい酒と料理があればなんでも良いじゃろう!」
「んな大雑把な」
「ま、ある意味では正しいね」
 一方でひとりちびちびとやる晧月。
 ペンケナヨチョメッケモンゲバーガーを無心に喰らっていた炎も、今では村娘たちにお酌をされてなんだか上機嫌そうだ。
「敵は取り除かれ皆喜んでいる。これに勝る結末はないだろう!」
「それだけではありません」
 アイリスはペンケナヨチョメッケモンゲスープをふーふーして言った。
「皆、もう恐くないんです、きっと」
「なんだか分かります……」
 同じようにスープをふーふーしていた愛莉がはにかんだ。
 こうしてペンケナヨチョメッケモンゲを喰らうことで、本能的に恐怖を克服しているのかもしれない。
 これからはペンケナヨチョメッケモンゲをペッチョナムできる。
 そのうえ、こうして料理して美味しく食べることだってできる。
 我々はペンケナヨチョメッケモンゲを克服したのだ……と、皆が本能的に感じたのだろう。
 高所でひとり腕組みをしていた百合子がフッと笑った。
「ここではペンケナヨチョメッケモンゲも美味な肉、か……」
 その滑稽さが、なんだかとてもおかしいのだ。
「さあみんな、どんどん食べて!」
 レンゲが両手を腰に当てて叫んだ。
 カップやフォークを掲げる人々。
 それは愛莉のいう、勝利のダリューンのようであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

【ペンケナヨチョメッケモンゲ用語辞典】

・ペンケナヨチョメッケモンゲ
 いくつもの世界に存在するグナグルゥッシャガオゥー。
 ペケメンペケメンすることでスペッチョナムできる。
 複数首でフングルロル剣を所持。
 美味。好物はポポポ。
 弱るとミコノウロコチギョが黒くなる。
 ゲベケンが柔らかい。

・ペッチョナム
 乙女がカラネム入りの酒を飲ませる通例がある。
 ゲベケンにオッパキャマーヨをし続け、ミコノウロコチギョが黒くなったところでペケメンペケメンをすることで達成される。
 この手法をペケメンペケメンと呼ぶ。
 ホルフテェからアルデンラルデンする、ないしはリンリンをシャンシャンすることでダベッチャする手法も存在する。

ゴルゴンゲゲッチョ:安易なペンケナヨチョメッケモンゲ対策。バイナーラの引き金。
バイナーラ:恐ろしい出来事。ペンケナヨチョメッケモンゲによって起こされる。

グナグルゥッシャガオゥー:美少女用語。ペケメンペケメンするべきもの。力の名前
フングルロル:剣。グナグルゥッシャガオゥーが持っている。
ドヮンドヮン:技。行為。人を殺害しうるもの。フングルロルとは併用されない。身体の柔らかい所を狙う。
ミコノウロコチギョ:ペンケナヨチョメッケモンゲの部位。弱ると黒くなる。
ゲベケン:ペンケナヨチョメッケモンゲの部位。柔らかい。

ペケメンペケメン:儀式。行為。スペッチョナムに至るもの。
ダベッチャ:行為。ペンケナヨチョメッケモンゲに行なう。リンリンをシャンシャンすることで得られる。
ファニュラフェッタ:行為。調理法らしきもの。
オッパキャマーヨ:行為。ペンケナヨチョメッケモンゲを弱らせる効果がある。攻撃と一緒に行なえる。

ドゥーヴァー:着るもの。ドゥンドゥンに備える装備品。
ドッコダー:成分。においを隠す効果をもつ。香水に混ぜられる。

デンラブー:酒。ペッチョナムにおけるペケメンペケメンに最適。正確には『!』をつける。
カラネム:物質。酒に入れる。
ピクロップ:カラネムに含まれる成分。バイナーラの可能性を下げる。
ヌォンボッフ:独特の臭いをもつもの。カラネムが同様の臭いをもつ。(~臭)

パオパオ:パッキャマーヨに行なうもの。ないしは成分。
ペペロッペ:成分。パオパオの混入を偽装できるもの。
ポポポ:食べ物。ペンケナヨチョメッケモンゲに与えると若干止まる。

ホルフテェ:アルデンラルデン関連用語
アルデンラルデン:ホルフテェ関連用語
リンリン:シャンシャンするもの。
シャンシャン:リンリンに行なうこと。

ラツパイヨ:存在。お酒のにおいに寄ってくる点でペンケナヨチョメッケモンゲに類似。
イデオム:存在。開放すると因果地平にバイナーラする点でペンケナヨチョメッケモンゲに類似。
ジースリー:ペンケナヨチョメッケモンゲをスペッチョナムできる存在
メチャヨワナメクジ:体質。ペンケナヨチョメッケモンゲに狙われやすい。

ザッケナーコルァー!:『我等にに勝利と栄光を』の意味をもつエルフ語。
ダリューン:物体。ないしは概念。勝利すると掲げるもの。

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