シナリオ詳細
リアルなゾンビ映画を作ろう(実践編)
オープニング
●企画もそこそこにいきなり実践とか恥ずかしくないんですか?
練達の映画監督、ディー・クラッセンは今、大いなる岐路に立たされていた。
湯水のごとく湧き出るアイデアの数々は、どれも「斬新」と界隈で評価されている。それは喜ばしいことだ。
しかしながら、その斬新さをきちんと表現できるスタッフや技術、そして環境があまりにも足りなかった。つまりは、今まで世に出してきた「斬新さ」は、すべて彼の望む域に達していないということだ。
彼は悩んだ。新たなアイデアを前に、如何に表現の幅を広げるか。
彼は思った。こういう時に役に立つケースがどこかに転がっていやしないか、と。
そして彼は、八方手を尽くした末になんかめっちゃ素晴らしい案を思いついた。
賢明な諸氏ならもうご理解いただけただろう。なんか……こう、ローレットを巻き込めば何とかなるんじゃないかなって。
●知る限りでローレットの報酬って一人数千Goldとかだから安くはなくない?
「というわけで諸君にはこの『ゾンビナールZ』を飲んで疑似的なゾンビ状態になってもらい、本作の主演と元気いっぱい追いかけっこをしてスクリーン向こうの良い子達を怖がらせてほしいんだ」
「ごめんだけどうちの大事なイレギュラーズをそんな馬鹿みたいな企画に参加させるのはガイドライン的な意味のP倫に反するからお断りゆ」
クラッセン氏からの依頼を一通り聞いてから、パパスは「多分これ安請け合いしたらイレギュラーズからの好感度馬鹿みてーに下がるな」と気付いて軽く断った。どう考えてもZ級映画の予感しかしないし、多分「斬新だね」って軽い罵倒の迂遠表現
だと思われるので。……まあ、「ローレットの」であって「パパスの」ではないので、それを決めるのは彼女かというとなんか違うんだけど。
「しかしねぇ、ローレットという組織は不偏不党なわけだから……ここはひとつ、案だけ持ち帰って参加者が集まるかを手配してくれないかい? 規定人数に達しなかったら私もあきらめよう」
「あんたほどの人がそこまでいうなら仕方ないゆ……」
説明しよう!
ローレットは不偏不党の立場の下で各国の問題解決に乗り出しているので、どこかの国や宗派に「だけ」肩入れするのはなんかダメなアレっていうのがあるのだ! だからといってクソ映画クリエイターの口八丁の言い訳には使えないぞ!
それはそれとして今回は、怪しい薬を飲んでゾンビ役で役者を襲うお仕事だぞ!
- リアルなゾンビ映画を作ろう(実践編)完了
- GM名ふみの
- 種別 通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年02月27日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談0日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●細かい前置きいる? 「いらない……」
「ジョージ! どうするのよ! あいつらこっちに向かって来てるわ!」
「落ち着くんだエナ、俺達はまだ十分余裕があギャアアアアアア?!」
「しまったジョージがやられた! 何だあのスピードは!」
湖畔に集まって陽キャン(陽キャによるキャンプ)に勤しんでいた陽の者達は、しかし夜になって突然現れ、そこらじゅうをうろつくゾンビ達に脅かされていた。いざとなれば走って逃げるさ! そう笑っていたジョージ(アメフトのランニングバックだ)は突如として距離を詰めてきた『多言数窮の積雪』ユイユ・アペティート(p3p009040)のゾンビによって首筋を食いちぎられ血を噴き上げて倒れていった。お手本のようなフラグの積み上げ方とRBの肩書に恥じぬ超速の回収劇には周りの陽キャ共も驚くばかりだ。だが反射的に、デイヴはユイユの首筋へとコテージになんでかありがちな大斧を振り抜いた。ナイススイング! シャンパンの栓のようにふっとんだ首をよそに一同は逃げ出した!
「何で動けるんだよ……あの薬こわい……」
だがユイユはそれでも立ち上がる! 時間が巻き戻ったかのように戻ってきた首は、すんなりと接合して何事もなかったかのように動きだしたのだ!
そう、彼ならずともこの地に現れるゾンビ達はどのような処置を施されたのかわからないが滅多やたらと死ににくいのである。まあ死なん。それでも足止めはできるから大丈夫だろう、なんとかなるだろうと甘い考えを抱いた陽キャ共(多分あと6人くらい)だったが、状況は更に悪化していく。
┌( ”?・┐ )┐))) 三
「うわあああああヤベー動きしてる奴だ!」
「ヘヘヘヘヘヘヘ死ィー……!」
「今度は空からゾンビだ! クソッあいつら空も飛べるのかよ!」
突如として地面を四つん這いで駆け抜けてきたのは『狩ったら喰らう』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)扮するゾンビである。その速度たるや、人間の手足で四足歩行しているとは思えないスピード感に満ちている。狼としての特徴があるのに人間の手足のまま、だ。そのアンバランスさたるや碌でもない生物を感じさせることは間違いなく、まあ一般的なゾンビ映画というより悪魔映画にピッタリの人選であった。「B級の」という前置きは付くけれど。
それだけならまだギリギリ許せたかもしれないが、果ては空から『鳥籠の画家』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)扮するゾンビが飛んでくるのだからタチが悪い。あろうことかぐずぐずに崩れた肉を撒き散らしながらなので、ゾンビの原因が感染症だったら余裕でパンデミック要因である。MVPという概念があれば彼のヤバさは前半のみそれくらいエグい。何でそういう発想に至ったんですか? 監督もなんでゴーサイン出したの?
「スゥー……ハッ!」
「えっ?」
「ああっ、トニーが横合いからクラウチングスタートを切ってきたゾンビにタックルを!」
「……いやクラウチングスタートってなんだよ! あいつ本当に理性無いのか!?」
ある程度距離を取れて余裕を感じ始めた陽キャ達だったが、まさかのアンブッシュに一同混乱の極みに入る。『筋肉こそ至高』三鬼 昴(p3p010722)が陸上選手もかくやと言わんばかりの急加速を決めてきたからだ。さしものトニー(ラインマンだ)も横合いからの急襲では姿勢を保つ余裕すら与えられず吹っ飛び、後続ゾンビの餌食になった。瞬く間にゾンビ姿にかわっていく!
「くっそぉ……! こんな話は聞いてないぞ! 森の中のコテージでダンスパーティーしてたら床を踏み抜いたけど意味深な二重底の床になってたから引っ剥がしてみたら謎のビデオテープが出てきたから流したら謎の音声が流れてそのままゾンビが現れだしただけなのに、なんで俺達が痛い目見なきゃいけないんだよ!」
「こんな状況だから落ち着けないだろうけど落ち着いてデイヴ、それはやっちゃいけないことしかやってないのよ!」
「でも誰も止めちゃくれなかった!」
賢明な視聴者諸氏はこの時点で気づいただろうが、陽キャ共は既にゲームセットレベルのことをやっているのだ。「ツーアウトってとこか……?」「多分ゲームセットだよ」っていうやり取りがここまでクリティカルに刺さる連中もそういない。
「なんだ……このゾンビの群れは。敵意を感じないが、アトラクションか……?」
「あれっ」
「アレックス! どうしたのほうけた顔して!」
「えっ、だってあのゾンビなんか……なんかおかしくない……?」
「素で応じないで! おかしくなんてないわ!」
アレックスはそこで、ゆっくり歩いてくるゾンビの中に明らかに理性がありそうなボロを着た男を認識した。性格には性別なんてないのだが、『泥人形』マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)がそう見えたってことで。兎に角ズタボロの服でゆらゆらと体を揺すって歩いてきているのだがどうにも動揺めいた感情が見て取れた。本当に大丈夫なのか、あいつ。
「マッダラーさんはそのままゆっくりと歩いて、向こうの『いかにも』な人達から視線を切らないようにしてくださいね。その方が『それっぽい』ですから♪」
「んん……? まあ、理解(わか)った……」
マッダラーの横につき、二言三言ばかり囁いたその正体は『ネクロフィリア』物部・ねねこ(p3p007217)。浮浪者姿でありながら、顔や露出した肌は絶妙に治らない傷を演出しており、あまつさえ虫のレプリカすらつけている。リアル通り越して恐怖しか感じないが、マッダラーは「そういうもんなんだろう」と全然気にしなかった。ディテールを重視するねねこの強みがこんなところで出るとは思うまい。皆思ってない。
「あいつら……違いに理解し合ってやがる……!」
「意思疎通できるなんて聞いてないわyキャーッ!?」
「どうしたシシリー! こんな時に!」
「火、火っ、火ィー!!」
「えっ……?」
予想外の展開が続くゾンビ達の立ち回りに動揺する一同は、新たな脅威に目を瞠った。そう、背後のゾンビ達、更に後方を見れば何故か火の手があがっているのだ! あれっ、この森燃やしていいなんて許可出てたっけ……?
「綺麗……」
そんな炎を引き連れて歩みを進めるその姿は、成程ローレットの面々が見れば早急に合点がいった。『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)である。色々なことがあって心がいい感じにアレしているエルシアは、そもそも炎が大好き。あたり一面燃やしてもまあ許されるやろぐらいのメンタリズムを見せている。だから、彼女が火を纏って現れたことは何ら不思議ではないのだが撮影許可とかの絡みで結構アレだ!
「こうなったら水に飛び込むしかねえ! 行くぞ皆!」
「アレーックス! そこは駄目だ!」
この想定外の状況にパニックを起こしたアレックスは、近場の貯水池に飛び込もうと身構えた。しかし異常を察知したデイヴが止めに入るがもう遅い! 謎の木の板に体を横たえていたゾンビこと『星灯る水面へ』トスト・クェント(p3p009132)が、突如として動き出しアレックスを引きずり込んだのだ! 少しの間浮かんできた泡のあと、次に浮いたのはアレックスが被っていた帽子だけであった……。
色々とえげつない状況が続きつつもなんやかんや色々とアレなゾンビ映画! これは傑作の可能性が微粒子レベルで存在するのではないだろうか……!
「大丈夫なんですか監督?」
「カメラを止めるんじゃない。回し続けろ」
「アッ、ハイ」
●ゾンビ軍団大惨敗! 希望の生存ルートはどこ? ここ?
ゾンビ達は次々と陽キャ達に襲いかかり、その数を減らそうと必死だ。
だが、デイヴがなんやかんやで重火器を手に入れ、エナが叫びまくってやかましいわりにめっちゃ当たり前のように生き残っているのがもうなんていうかやばい(語彙)。
「逃さないよー! ……って皆顔ちょっと怖くない? 怖いよ」
「ハッハァー!」
(こんな姿になっても生きていられる人達がこんなに……凄く勉強になります♪)
ユイユ、昴、そしてねねこはガンガンに突っ走って陽キャ共をおいつめにかかる。一部キャラ崩壊してたりあらぬ思考に染まっているのはさておくとして、次々ヘッドショットを決められ、投げつけられた手榴弾で全身がバラバラになる。だがほどなくして動き出すんだからタチが悪い。こういう死ににくさといつもの依頼でさんざっぱら戦ってるんですけどこの不気味さ伝わります? 伝われ。
三((( ┌(┌ *ᾥ 。)┐
「う わ で た」
「キャアアアアアアア!」
エナがデイヴから引き継いだ斧で物陰から現れたリコリスの胴を切断! ナイスチョッピング!
┌( <●>ᾥ<●>|| ||┐ )┐))) 三
「嘘だろ切断面にレインボーの光、いや違う! なんだかおかしい記号をつけている! 上下分かれてるのに平気で動くぞあいつ!」
「理解できないわ、説明してよ!」
「……ゲームセットってところか……」
「あきらめないでよアレックス!?」
あ、生きてたんだアレックス。水に沈められたんじゃなかったの?
「あの怪生物は逆に沈めてやったぜHAHAHA」
「誰が怪生物だよ失礼だな……」
「生きてるゥ!? いや死んでるのかゾンビだし! WTF!!」
どうやらドッキリ要員のトストと一悶着やって生き残ったけどトストは死に残っていたのだ(なんだこの言い回し)。まあ彼は一発芸にかぎらず割といい感じに残っているのでこの勢いで
「ああ、明るい、温かい……こんなにあちこちを燃やせるなんてとても幸せ……でも何ででしょう? この満たされない感じは」
「ここまでの惨状を演出して満たされないと言ったら各方面に怒られるのではないか?」
あちこち燃やしてギリギリセーフ(アウト)な演出を続けるエルシアは、ふと我に返ったように呟く。それが演技だとは知らないマッダラー(年齢不詳)は素でツッコミを入れるが、エルシアの「満たされない」にはきちんと理由らしきものがあった。それすら演技なんだけど。
「ああ、そうでした。私が本当に燃やしたかったのは……人々を傷つけるゾンビ達だったんですね」
「そうなのか?」
マッダラーの問いにニッコリ微笑んで返したエルシアは、自らもろとも周囲に火を放った。必ず殺すという決意を込めた炎は、あたり一面を焦がし、ちょっとやそっとで死なない連中すらも殺しにかかる。
「ハーハーハァー! ど派手で最高だ! 燃えろ燃え、あっ……」
空から爆薬を落とすという反則技を披露していたベルナルドはしかし、エルシアの炎に巻き込まれ旋毛を巻くように落下していく。
彼はこの状況に換気していた。ここまで派手な状況になればもうあとはやることは一つ……。
\大☆爆☆発/
「なんだありゃあ!? やっこさん爆発しやがっ……火薬多くない?」
「多分アレよね、演しゅt」
「ギャーッ!!」
(楽しいのですよ! なれてるけど派手……派手ぇ?!)
ユイユ、ねねこ、昴は爆発の勢いに巻き込まれ次々と燃え上がって死んでいく(※演出)。陽キャ達のうち、しつこく生き残ったアレックスはトストを押し返す勢いでリコリスを踏みつけ、そのまま爆炎に消えていった。哀れ爆発四散!!
「アレーーーーーーーーックス!!!!」
「終わったんだ……これで……もうそろそろ夜が明ける。俺達は生き延びられたんだ!」
「彼女達も最初は哀れな死体だったのかもしれないわね……わたしたちが起こしてしまったせいで……」
「帰ろうぜ、俺達の家に……」
\カーット!/
「皆おつかれ様! いやあいい映像(え)が取れたよ! ベルナルド君の爆発はなんだいアレは、幻影なんだろうけどなかなか派手になったね! ねねこくんの『わかってる』動きなんて最高だったね! トスト君とリコリス君はなかなかアバンギャルドな動きをしていて想定外だったけれどもそれがよかった! 最後まで頑張ったよ! ユイユ君と昴君は最初からトップスピードで殺しに行く話の回転の速さには参ったね! エルシア君は……あとで僕と管理組合にごめんなさいしにいこうか。それで」
「…………撮影だったのか?」
「君もローレットなんだね?」
「如何にも」
「なら全てヨシ! いい映画になったよこれは!」
なお封切り直後から色々とアレな映画ってことで一部でカルト的な人気を誇ったことは間違いない。ないんだけど……その……いいのか、この扱いで? いいのか、ローレット・イレギュラーズ?!
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
本当にこれで良いのか?(自問自答
GMコメント
今月~来月に関してはほぼ週1ペースで期待の映画が出続けるため、映画鑑賞代が嵩むことが予想されます。とりあえず今月の映画は2戦2勝でした(期待値的に)。
●オファー
『ゾンビナールZ』を飲んでゾンビ映画に参加する。断じて逃げる側の主役ではない。
●ゾンビナールZ+ゾンビ映画
アホ程雑にステータス値で説明すると「EXFが100になる(101以上の場合変化なし)」薬。ただし全身がゾンビ化(選択肢2に準拠)する。
ゾンビとしての動き(選択肢3に準拠)を披露したうえでひたすら主演をビビらせ助演をゾンビ化させ、往々の末路(選択肢4)を迎える。
別に戦闘描写とかかっこよくとか求められてないので、どうゾンビらしく振舞うか、ディテールはこっちが用意するから細かいところを100字に叩き込むシナリオです。
●注意事項
本シナリオはライトシナリオです。
選択肢を意に沿う形で選び、短いプレイングを埋めきってやっと色々把握したり目立てたりできます。
とはいえ、「成功」が基本なので気楽に振る舞ってほしいと思います。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
参加した動機
当シナリオにおけるキャラクターの動機や意気込みを、以下のうち近いものからお選び下さい。
【1】映画に出られると聞いて
えっ映画!? 端役からでもいずれは主演女優ワンチャンあるのでは?
【2】傷つかないアルバイトと聞いて
最近戦闘依頼で荒んでたからそろそろ心休まる依頼に参加えっ撃たれるの銃で?
【3】なんかわかんない
気付いたらここにいた。おかしいな、だまされた覚えはないんだけど……
ゾンビとしての外見を選ぼう
ゾンビっていっても外見が千差万別なのでね。
【1】全身ドロドロ
肉が崩れた特殊メイクじみた外見。撮影終了時ぐらいに戻ります。
【2】所々傷だらけの浮浪者スタイル
顔や全身が傷つき服装に汚れ処理が施されます。撮影終了時に(略)。
ゾンビとしてどう動く?
ゾンビの動き方も映画によるので、まあ今回は自由だよ。
【1】レトロスタイル
うーうー言いながらゆっくりと動くアレ。
【2】めっちゃ走る
最近流行りの遅くないゾンビ
【3】それ以外
えっ四つん這い? 逆スパイダースタイル?! 大丈夫?
映画での末路
ゾンビが敗死しないと映画が終わらないため。
【1】自我を取り戻す
ここは俺に任せて早く! 端役だけに!
【2】爆発死
爆発オチなんてサイテー!
【3】哀れ死
なんか尊厳が残念な末路END。パンドラは減らないよ。
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