シナリオ詳細
特異運命座標とお菓子の国<HAPPY VALENTINE>
完了
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オープニング
●HAPPY VALENTINE!
「今年もこの季節が来ましたねぇ」
「そうだなぁ、あちこちからチョコレートのいい匂いがしてくる」
スノーシュガーの雪が降るお菓子の国にバレンタインがやってきた。
またこの時期になるチョコレートはとびきり甘く、極上の舌触りになるのだ。
それを目当てにする食いしん坊も、とびきりのチョコレートで想いを伝えようとする純真な少女もみな等しくこの季節を待っていた。
もちろん、お菓子の国の中心であるスイーツ城も例外でなく、一年に一回の国を挙げての行事にお抱えパティシエ達は腕によりを振るってスイーツを準備していた。
「ベリーソース作らなきゃな~。畑からベリー収穫してこないと」
「じゃ、ついでに泉からチョコレート汲んできてくれるか? ファウンテンなくなりそうだってさ」
「はーい」
このお菓子の国は国の全てが文字通りお菓子で出来ている。城の庭の中央にある噴水は飴細工だし白の裏手にはチョコレートが魔法の様に滾々と湧いている泉がある。夢の様な話だが、このお菓子の国においてはそれが当たり前の事なのだ。
「そういえば、今年も外からお客さん来るのかな」
「ハロウィンの時助けてもらいましたもんね、何かお礼がしたいなあ」
というのも、ハロウィンのお菓子作りの際に人手不足で目を回していたパティシエ達の前に現れ、手伝ってくれたことがあるのだ。
その時も報酬としてとびきりのスイーツをご馳走したのだけれど、今年は能動的に何かしてあげたい。
何かいい案は無いかと、城一番のパティシエが問うた時、今年入ってきたばかりの新入りが元気よく手を上げた。
「はいっ! それならお客さん達イメージのチョコレートを作ってあげるってのはどーっすか!?」
「お前天才かぁ?」
異を唱える者はこの場にはおらず、満場一致で特異運命座標への贈り物が決まった。
●世界に一つだけのチョコレートを
「バレンタインだなあ、混沌ではグラオ・クローネって言うんだったか」
さくりと手元のショートケーキにフォークを突き刺して、境界案内人の朧が言った。
もぐもぐと、美味そうに咀嚼し何度か頷いていた朧は一冊の本を取り出した。タイトルには【お菓子の国】と書かれている。
「お前さん達に依頼があるぜ、とびきり甘い依頼がな」
お菓子の国という、全てがお菓子で出来ているメルヒェンな世界で、お城お抱えの一流パティシエ達が催し物を企画したらしい。
その内容は、訪れたお客様をイメージした世界で一つだけのスイーツを作るというものだ。
「それ以外にも、普通にチョコレート菓子を食うもよし。作るもよしらしいぜ? 行ってみたらどうだ?」
成程確かにこの季節にぴったりだとあなたは頷いた。と、同時に朧の食べているものが気になった。
「うん? これか?」
朧が食べているのはカスタードを使ったショートケーキだ。
新鮮な苺がふんだんに使われており、また苺のジュレで可愛らしく彩られた華やかなケーキだった。
「こいつは貰ったんだよ。とびきりかわいい、おひいさんにな」
これはやらねぇぞ? と悪戯っぽく朧は面布の下で微笑み、あなたを送り出した。
- 特異運命座標とお菓子の国<HAPPY VALENTINE>完了
- NM名白
- 種別ラリー(LN)
- 難易度-
- 冒険終了日時2023年02月28日 17時45分
- 章数1章
- 総採用数5人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
「朧さんフレジエ食べてくれてありがとう! 作ってよかったなあ……!」
「美味かったぜ、ありがとよ……尻尾すげぇことなってんぞ」
心を込めて作ったものを喜んでもらえるというのはやはり嬉しいもので、フラーゴラは尾をブンブンと振った。嬉しい事があるとこうなるのだが、数年経っても変わらない。
「ワタシのフラーゴラってイチゴって意味だからイチゴにしたの……あっ」
視線の先は事前に聞いていたイメージスイーツの会場が在り、数名のパティシエ達が居た。
「ワタシのイメージのスイーツ! 気になる!
肉屋のゴラの新商品の参考にもなったりして……」
「肉屋?」
「自分のお菓子作りのレベルアップのためにも作ってもらおう……!」
甘味で肉屋の参考とは? 朧は思った。今更だった。
そんな朧は気にせずスイーツができるのを待ちながらフラーゴラは朧へ問いかける。
「そういえば朧さんはどんなスイーツが好きかな?」
「俺か? そうだな……」
その時丁度スイーツが出来たらしくパティシエがスイーツを持ってきた。
そのスイーツとフラーゴラを見て朧は「嗚呼」と改めて答えた。
「白いクリームが乗っててふわふわで……苺たっぷりのケーキかね」
【フラーゴラ】
ふわふわとしたスポンジに、生クリームを絞り出してドレスの様に飾り立て、粉砂糖でお化粧をした沢山の苺を乗せた王道のショートケーキです。
純真無垢な貴女へ、貴方に多くの甘酸っぱい幸せが在ります様に。
成否
成功
第1章 第2節
「すごい、すごいの! おにわが、ぜんぶおかしでできてるの!」
チョコレートの木の幹に、噴水は透明な水飴。咲き誇る赤い薔薇の花はよく見ると艶やかな飴細工。
まるで御伽噺のような甘い世界にピリアは頬を染め声を上げた。あちこちから漂う甘い香りに、思わず涎が垂れてしまいそうになる。
「たべたらかなしくなったりするひとがいるかもだから、がまんするの……!」
むぐぐと握り拳を作って我慢する。その代わり、とピリアはハートの樹の下へ向かった。
「ピリアのおかし、つくってくれるの?」
声をかけられたパティシエがピリアに気づき、笑顔で頷いた。ぱあっとサファイアの瞳が輝き、「ほんとに?」と問えば、「本当ですよ」と優しく返ってきた。
「ピリアね、ピリアね、おかしならなんでもすきなの♪
にがいのはあんまり……だけど、パパがすきだから、ピリアはいいのです!」
むん、と胸を張ってアピールした後、お菓子を待ちながらピリアはその場でクルクル廻りだす。
るるりら。るるら。
オパールのような煌めきが浮かんでシャボン玉のように弾けて生まれてを繰り返す。楽しみ、嬉しみ、喜び。明るい色の輝きにパティシエ達は「おぉ……」と魅入っていた。
【ピリア】
硝子の器にブルーハワイとソーダのクラッシュゼリーを敷き詰め、生クリームを乗せて透明な飴細工の金魚を飾った涼しく、透明感のあるスイーツです。
その清らかな歌声が大勢の人々を癒しますように。
成否
成功
第1章 第3節
自分達は夫婦で、お互いのスイーツを作ってほしい。そう睦月と史之が恰幅のいいパティシエールに伝えると「あらあらあら〜!」と嬉しそうに黄色い声をあげた。
「素敵ね〜! おばさん張り切っちゃうわよ〜!」
と、いそいそ材料を選び始めた彼女にお菓子は任せ、史之は睦月の手を取りエスコートさせ、彼女をクッキーで出来たベンチに座らせた。
「壊れないかな?」
とそっと座った睦月に、笑みこぼし史之も慎重に腰を下ろした。不思議なことに二人の体重を支えている筈のクッキーはぐらつくことも、罅が入ることもなかった。すごいすごいと二人で喜んで、ひらりと風に乗って飛んできた花弁を捕まえてみれば薄くさっくりとしたラングドシャである。
甘い香りがあちこちから漂うお菓子の国に、睦月は微笑んだ。
「ふふ、この世界は初めてですね。甘い匂いでいっぱい。いいところ。僕ね、甘いもの好きなの、知ってるでしょ、しーちゃん」
「うん、知ってるよ。カンちゃん」
妻の問いに史之はうん、と頷いた。
「この世界、前に見かけて興味あったんだよね」
本当はその時連れてきてやりたかったのだが、睦月は依頼に積極的ではなく、史之は史之で諸用であちこちを駆け回っていた時期であり機会がないままに本は閉じられてしまった。
「だから、こうして一緒に来ることができて嬉しいよ、カンちゃん」
「うん、僕も嬉しいよ。しーちゃん」
くすくすと笑いあう夫婦に「お邪魔してごめんなさいね」と断ってから先ほどのパティシエが出来上がったスイーツを持ってきた。
お互いのそれらを見比べて二人は感嘆の声を上げる。出来上がったばかりのそれらを交換して、目で見て楽しんだ。
「大好きだよしーちゃん、愛してる。結婚して二度目のバレンタインを、こんなにすてきな世界で過ごせて、僕はうれしくてたまらないよ。これからも一緒に居てね、しーちゃん。大切な夫さん、そばにいてね。」
「……カンちゃんはね、俺のご主人さま。そして何よりも大事な妻さん。俺もとっても嬉しいよ。
何度でも誓うよ、この命続くかぎり、一振りの刃となりお傍へ侍ります」
ベンチから一旦離れて、史之は睦月の前に跪いた。再度飴細工の様な繊細な左手を取り、慈しむ様に口付けを一つ落とす。
「何度でも誓わせてね、死もふたりを分かつことはできない、この首は良い毬になりましょう」
死神が嘲笑ったとて、神様が連れ戻しにきたとて、離す気など無い。
【僕だけのしーちゃん】
優しくてほっくりとした甘い栗を使い、砂糖で覆ったマロングラッセです。トップには貴方と同じ紅桜の花弁をあしらいました。
強くて頼りがいがあって、優しくて料理上手で、照れ屋でちょっとヤキモチ焼きな貴方とよく似ている。
【俺の大切な睦月】
桜の花弁を閉じ込めた白く透き通った金平糖です。光に翳すとキラキラと輝いて、貴女の目と同じ紅が灯ります。優しい甘さはいつも隣で微笑んでくれる貴女と同じ。
成否
成功
第1章 第4節
パティシエが自分自身をイメージしたチョコレートスイーツを作ってくれる。そう聞いてゲオルグはお菓子の国へやってきた。もとより、甘い物は大好きだし世界に一つだけのスイーツと在っては興味もそそられるというものである。
「お待たせしました~作れましたよ~」
間延びした語尾のパティシエが持ってきたスイーツはパルフェだった。
生クリームとチョコクリームを重ねた上にチョコレートアイスとウエハースが乗っている。アイスにはホワイトチョコとクリームで愛らしいクマの顔が描かれていた。
「なんだか、お客様可愛らしいイメージが強くて~可愛くしちゃいました~」
「おお、これは愛らしい。ありがとう」
ごゆっくり~と手を振りながら去っていったパティシエに手を振り返し、ジークは指で空中に魔法陣を描き出した。
「折角だからあの子も一緒に食べよう」
呼び出したのは大切な友達のもこもこふわふわ羊のジーク。
「めぇ?」
「ジークみてごらん、パティシエさんが私の為にお菓子を作ってくれたんだ。一緒に食べるとしよう」
「めぇ~!」
(幸せは分かち合うことで2倍にも3倍にもそれ以上にもなるものだからな)
【ゲオルグ】
ミニサイズのグラスに沢山のチョコレートクリームと生クリームをいっぱい重ねた甘いパルフェです。贅沢にチョコrr-トアイスを乗せて可愛いクマさんのお顔を描きました。
優しくて、素敵なあなたへ。
可愛いお友達とずっと一緒にいてくださいね。
成否
成功
NMコメント
初めましての方は初めまして、白です。
ハッピーバレンタイン!
混沌ではグラオ・クローネですね! 白も大好きです。
今回は境界で、お菓子の国のパティシエさん達が貴方の為だけのスイーツを作ってくれるらしいです。
そして朧へのショートケーキ、ありがとうございました。美味しかったと言っています。
嬉しさのあまり張り切って依頼を準備したらしいですよ。以下詳細。
●目標
以下のタグからおひとつお選びください。
同行者さんや、複数で行動する際はお手数ですがグループタグの表記をお願いします。
【想】
スイーツ城のお菓子で出来た庭の一角。ハートの形の樹の下が舞台です。
自分のキャラの解釈を見てみたい……あとチョコ欲しい……というあなたにお勧めです。
パティシエ達が一人一人に合わせたチョコレートスイーツを特設された調理場で作ります。
何が出てくるかはお楽しみ!(白が皆様のステシや設定を嘗め回すように見て妄想を捏ねて焼き上げます)
例
タイトル:【PCさんのお名前】
しっとりとした食感のチョコレートのスポンジにビターチョコレートをかけて、ベリーを散らした逸品。
赤と紫のベリーが織りなす甘酸っぱい刺激に心躍らせて、ほろりとした苦みは恋の味。
妖艶な魅力の貴方へ、口づけを一つ。
【宴】
スイーツ城の大広間が舞台です。メイドさんや執事さんが給仕で駆け回っています。
とにかくチョコレートをお腹いっぱい食べた――い!! なあなたにお勧めです。
テーブルに所せましと並べられているチョコレートスイーツを好きなだけ食べちゃいましょう。ドリンクも頼めちゃいます
【愛】
スイーツ城の厨房が舞台です。材料や器具は一通りありますが、拘りのある方は持ち込んでくださってもOKです。
いやいや、大切な人にチョコレートスイーツを作りたいんだ! というあなたにお勧めです。
スイーツ城の厨房を駆りて世界に一つだけのスイーツを作っちゃいましょう。
お菓子作りが不安でも大丈夫、優しいパティシエさん達が教えてくれますよ。
●世界説明
スイーツランド
OPのとおりすべてがお菓子で出来た王国です。
建物はもちろん自然だって食べられちゃう。
拙作『特異運命座標とお菓子の国』にて登場しました。
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/3844/2#replay
もちろん上記のラリーに不参加の方でもお気軽にどうぞ。
●NPC
朧
お馴染み黒衣の背の高いだ境界案内人です。甘味は結構好きで、割と器用な男です。
プレイングで呼ばれたらホイホイついていきます。
●サンプルプレイング
苦手な食べ物やNG項目があれば追記をお願いします。
また、アドリブでお一人同士の方を一緒に出すことがあるので、絶対に一人での描写が良い! という方は「絡み×」と表記をお願いします。
【想】
NG:苺のクリーム
私イメージのチョコレートスイーツですって……!? 楽しみだわ!
どんなのが出てくるのかしら、ベリーが好きだからベリーが沢山使われてると嬉しいわね!
こんな感じです。
今回の旅が素敵な思い出になります様に。それでは行ってらっしゃい。
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