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シナリオ詳細

<腐実の王国>海の声、奏でる悲劇

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<腐実の王国>海の声、奏でる悲劇
 突如、天義に降りし神託の言葉。
『仔羊よ、偽の預言者よ。我等は真なる遂行者である。主が定めし歴史を歪めた悪魔達に天罰を。我等は歴史を修復し、主の意志を遂行する者だ』
 預言者を名乗りし者の口にした、歴史修正の言葉は天義を混乱に陥れる物だとして、天義の国は箝口令を敷く事で、その話の拡散を防ごうと企てる。
 しかし、箝口令が敷かれたとしても、人の口を完全に封じる事は至難の業。
 全てが全てで口止めを出来る訳がなく……市民の人々にも、ちらほらとその話が伝わりはじめ、一部の市民は僅かながらも天義に不信感を抱き始める。
 そして、その神託の言葉を実現すべくか、正体不明の者達は天義各地、更には……天義と幻想の国境の海域である『ヴィンテント海域』においても、ちらほらと姿を表し始める。
 この海域は、天義と幻想両国における貿易の要となっており、更にはネオ・フロンティア側の航海に向けた基地として、様々な資材が往来しており、重要な地域であるのは間違い無い。
 そのような所に、正体不明の者達が現れ破壊活動を行っているという話……このまま事態を放置しておけば、いつかは大きな港にも被害が及ぶ事は間違いない。
 当然その海域上を往来する商船にも危険が及ぶ訳であり、『ヴィンテント海域』は、正体不明の者達により危機にさらされていた。


「あ……ありがとう、ございます……」
 ぺこり、と頭を下げる『深緑の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)。
 天義の国を訪れた彼女の耳にも、既に神託の言葉は漏れ伝わってきており、更にはその話を現実にするべく正体不明の者達が暗躍しつつあるという話。
 天義と幻想の国の狭間にある『ヴィンテント海域』、その一つの貿易で生計を立てる『クロノトリノ』島に、つい先日……正体不明の者達が襲い掛かり、島は焼け野原と化してしまったという。
 勿論その話は周りの島にも伝わり、そして……彼女の耳にも入る……そしてルリアはその海域の地図を少し拡げて。
「……この島が襲われて、数日が経過しました……恐らく、ですが、この周りの島々も、その危険が迫りつつあるのはまず間違いありません」
「正体不明の者達は、影で覆われた、天使の様な翼を持つ者と、漆黒の獣、そして……それらを指揮する者達の集団で構成されている、と聞きます。彼等の動きを見据えた上で、島に暫し張り込んだ上で……彼等を討伐し、島の方々に安心を齎してほしいのです……御願い、出来ますでしょうか……?」
 見上げるルリアに、君達も頷いて。
「ありがとうございます……正体不明なところが、本当に気味が悪い状態ですが……でも、このまま放置して、島の人々を見殺しにする訳には行きません。どうか……宜しく御願い致します」
 悲しげに、深く頭を下げたルリア。
 ただ、殺される事しかできなかった街を憂うと共に……その様な悲劇を繰り返さない為にも、ここで止めなければならない。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 神託の言葉を盲信せし者達の暗躍や、国の様々な所で散発している様ですね

 ●成功条件
   クロノトリノ島にほど近い『コルビリーノ』港島にて、正体不明の不審者達を待ち構えて迎撃する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   『コルビリーノ』島は人口800人程度の港町です。
   港町としてはそこまで大きな島ではありませんが、貿易で商売をしている為に外から来る貿易商や商船の方々等、人々の往来は多少多めの島になります。
   とは言えそんな往来があるのは夕方位までで、夜はひっそり寂しい島となります。
   
   不審者達が訪れる時間は解りません……貿易商の往来が多い時に来れば、彼等を避難させる必要が出てきますし、一方夜に来れば、寝て居る島民達を護る為の行動が必要です。
   彼等が現れるタイミングは解りませんので、どんなタイミングに来たとしても対処出来るよう、手分けした警戒を御願い致します。
   尚、敵陣は致命者を倒さない限り、次々と増援を呼び寄せる様です。
   又、まるで煙の如く島の砂浜に姿を表しますので、舟等が来る等の事前察知も難しいのでご注意下さい。

 ●討伐目標
 ・影にて象られた『天使』
   翼を背中に生やした人型の姿……まるで天使の様ではありますが、漆黒に包まれているその姿は悪魔の様にも見えます。
   体力、攻撃力、防御力はゴロツキより一回り上な程度ではあり、特殊な能力は持っていませんが、数が多く、
   更に後から次々と召喚されてしまう為に、『駒』の如く使われているので、その数を抑えないといつのまにか取り囲まれて……という可能性は有り得ますのでご注意下さい。

 ・狂気に刺激されて生み出された『ワールドイーター』の獣達
   苦しみ、悲しみ等を凝縮し、悲しげな声を上げる獣です。
   姿形は真っ暗な漆黒に包まれ、朧気な姿形ではありますが、『狼』の様です。
   その牙で噛みつく事で、肉を抉り出血効果を及ぼしながら、自分の体力として吸収する……という効果を持っています。
   又、素早い身のこなしもあり、回避力高めです。

 ・率いし致命者
   ワールドイーター及び、影の天使を導く者です。
   戦闘能力は不明確……ただ分かって居る能力は、仲間を何もない所から呼び出す、という物です。
   人型はしていますが、人なのかどうかは解りません……少なくとも、神の神託を信じており、それを実現する為に行動しているのは間違いなさそうです。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

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  • <腐実の王国>海の声、奏でる悲劇完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年02月19日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エマ(p3p000257)
こそどろ
武器商人(p3p001107)
闇之雲
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
冬越 弾正(p3p007105)
終音
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)
微笑みに悪を忍ばせ
レイン・レイン(p3p010586)
玉響

リプレイ

●天啓に続くは
 預言者の神託の言葉に惑いし天義の国。
 悪魔とは何か、歴史を修復する者とは何か……と、棲まう人々は箝口令の敷かれたその言葉に密かに疑問の言葉を抱きつつも、その日の暮らしを続けている。
 だが……そんな神託の言葉になぞられるが如く、突如として現れた正体不明の輩達。
 彼等は天義各地、更には天義と幻想の国境に位置する『ヴィンテント海域』にも姿を表し、猛威を振るう。
 そして今、イレギュラーズ達が降り立とうとしているのは、ヴィンテント海域に浮かぶ小島の『コルビリーノ』港島。
 貿易物資の交換や商談に人々が訪れるこの島の隣島である『クロノトリノ』島につい先日『正体不明』なる者達が突如姿を表し……島は全てを失ってしまったという。
「いやはや、島が焼け野原になるとは穏やかではないねぇ……」
 空を仰ぎ、肩を竦めるのは『闇之雲』武器商人(p3p001107)。
 その言葉に『こそどろ』エマ(p3p000257)が。
「確かにですねぇ。いきなり現れて島を丸焼けにするだなんて、一体何だっていうんですかね。これは大きな騒動の予感がしますよ……」
「予感、と言うかはもう実際に大事件になっちまってるぜ?」
「ああ、そうだったんですね。えひひひ」
 『微笑みに悪を忍ばせ』ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)の言葉に笑って誤魔化すエマ。
 ともあれ、今回の発端は隣島の大惨事があったから。
 当然貿易が盛んなこの島の島民達は、その話も当然聞いており……もっぱら最近の話題になっている状態なのだ。
「まぁ確かに何の前触れもなく湧いてくるのは困るよねぇ……それも黒いあの子達だって?」
「あー、うん、そうだな。敵の見た目は、ルーキスが大嫌いなヤツだよな?」
「うんうん。ほら、一匹見たら三十匹ってやつ。ま、所詮は影法師だし、残骸が残らないだけ幾分マシだとは想うけどね。ドンパチは嫌いじゃないけど、どうせなら正当な理由ぐらい担いできて貰いたいものだけども」」
「そうだな。よく可愛いものを『天使のよう』とか例えたりするが……これは例えたところで、と言った感じか……まぁ、そもそも天使が可愛いと思ったことも無いがな」
 『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)と『紅獣』ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)二人の仲睦まじい会話に、僅かに笑みを浮かべながら武器商人は。
「まぁ天使だ悪魔だはこっちに判断する事は出来ないんだけれども、少なくとも彼等を生み出している『致命者』が糸を引いて居るのは確かだろうね。致命者が『天使』を生み続けるとなるとこれはこれで厄介だから、さっさと致命者を仕留めたい所だけどねぇ……だろう、音蜘蛛の旦那に、海月のコ?」
 武器商人はくすりと笑いながら『残秋』冬越 弾正(p3p007105)と『玉響』レイン・レイン(p3p010586)を見やると、弾正はこくりと頷き。
「ああ、致命者が己の信じる神のために戦うなら、俺もイーゼラー様のため、悪しき魂を刈り取ろう!」
 ぐっと拳を握り、己を鼓舞するかのごとく声を上げる。
 一方レインは。
「そうだね……生みと一緒に暮らしている人達が危険だって聞いたから……僕も……護るよ……海の眷属として……」
 ぼんやりとした雰囲気ながらも、確固たる意思を口にする。
 そんな仲間達の会話に『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)が。
「……まぁ、何にせよ……致命者を倒さないとな……奴等が昼に来るか、夜に来るかも解らないから……24時間いつでも対応出来るようにしないと、な……取りあえず俺と、弾正は……昼を担当しよう……休憩の間は、膝枕……すればいいんだろう?」
「ああ、助かる」
 アーマデルの言葉に嬉しそうな弾正。
 そして、ルナールも。
「それじゃこっちは夜を担当させて貰おうかな? ああ、そっちにファミリアを渡しておくから、何かあればそれですぐに連絡してね」
「……解った」
 ルーキスはカラス一羽をを弾正に渡し、相互に連絡を取り合えるようにする。
 そして……。
「さぁ、仕事だ。きっちり片付けるとしよう。ま、最初は島を回って、島民達に話を付けておく必要がある、がな」
「ああ……ま、出来る限り早く方を付けて、昼は昼、夜は夜でしっかりと休憩を取るとしよう。それじゃ、作戦開始だ」
 ルナールの言葉にウィルドが皆を促し、そしてイレギュラーズ達は港島『コルビリーノ』へと降り立つのであった。

●命の差し引き
 そして降り立つコルビリーノ島。
 往来する街の人々は、変わらない極々普通の日常を過ごしている……様には見える。
 ただ、耳を欹てれば、話題に上るのは当然……隣島が襲われたこと。
『やっぱり、次はこの島なのかなぁ……』
『うーん……信じたくは無いけど、でも……一番可能性はありそうだよなぁ……』
 と、悲壮感にぼやき、表情は曇る。
 ……そんな人達に、とことこと歩いて行くレイン。
「……知ってるんだ……私達も、その話を聞いて……この島に来たイレギュラーズ……」
『おお、イレギュラーズの人達が来てくれたのか!?』
「うん……今日から張り込むよ。だから……海岸には近づかないで……大きな音と光で合図するから……絶対に近づかないで。終わったら、ちゃんと合図で……報せるから……」
 口調はたどたどしいものの、芯の籠もった言葉で人々の心を掴むレイン。
 そんなレインの様に、手分けして人々の説得を巡り行う。
 本当は、昼も夜も家に避難しておいてほしい所ではあるのだが……今の生活を止める訳にもいかず、今日来るなり止めてくれ……と言うのも難しい話だろう。
 ただ、ある程度人々を同じ場所に纏まって居る様に御願いする位なら、それには従ってくれるので……取りあえず最低限の避難誘導は出来た事だろう。
「まぁこれ位が厳戒かな。それじゃ、昼組夜組に別れるとしようかな」
「ああ……それじゃ、よろしく頼むぜ」
 ひらひらと手を振りながら、ルーキス、ルナール、ウィルド、レインの四人は一旦宿屋へと下がる。
 ……そして、残るエマ、武器商人、弾正、アーマデルの四人が見張りと巡回に周り利始める。
 エマは周りの建物より一回り高い鉄塔を見つけると。
「これ……何であるんですか?」
『んー? あー……昔ここに灯りを下げて、船に港町があるのを示してたんだよ。今は夜に船が来るとき位しか使ってないけどね』
「そうですか……昇っても大丈夫ですか?」
『会談とか無いよ? 灯りを付けるときは、長い棒を使ってるし……それに危ない……』
 言葉を聞き終わる前に、ひょいひょいとエマは……昇っていく。
「ふふ、私壁のぼりは得意なので!」
 自慢げに笑みを浮かべるエマ。
 そして、彼女は高所から島全体を見張り、一方の武器商人は広く視界を巡らせて敵の襲撃に警戒。
 一方弾正とアーマデルの二人はメカ子ロリババアやら酒蔵の聖女を活用。
 この島にあるもの全てを活用しつつ、不審者を感じればすぐに察知出来るようにしながらも……島を隅々まで歩き回り、何処に何があるのか、をメモに残す。
 そして……日も落ち始めて夕刻の頃合いになり交代する時には、その情報を共有して襲われそうな場所にマーク。
「ありがとう……それじゃ、この当たりを重点的に巡回……してみる……」
「ああ、宜しく頼む。それじゃ、しっかり休むとしよう」
「……ん」
 弾正の言葉に頷くアーマデル……そして夜組の巡回の時。
 当然昼に比べて視界は悪い。
 ただぐるり一周しても2、3時間程のそんなに大きな島ではなくて。
「こんな……小さな島も襲ってくるなんて……よっぽど、切羽詰まってるのかな……そっとしておいてあげればいいのに……」
 と、レインの呟く言葉。
 勿論彼等がどういう事を考えていて、どういう理由があって街を襲っているのかは全く解らない。
 ただ……神託の言葉になぞられるように動いているのは間違い無い。
「まぁ……何であろうと、住民達を傷付けようというのならば、私達にとって敵なのは間違いありません。だから私達が来たのですから」
「……そうだったね……」
 ウィルドの言葉にこくりと頷くレイン。
 一方ルーキスとルナールの二人も、逆を周りて敵の気配を探る。
「ん、ルナール先生、疲れたりしてない? 疲れたら何時でも声を掛けてね。膝枕ぐらいなら、貸して上げるからさ?」」
 と不意に問い掛けるルーキスに、ルナールは。
「ん、大丈夫だ。というか、流石に戦場で膝枕は危ない気がするぞ?」
「確かに、そうだよねー。でも大丈夫、あの子と私の目は何もかもお見通し、ってね?」
 くすりと笑うルーキス。
 勿論夜の巡回組の四人は全員、暗視を持って居るので、大きな問題は無いだろう。
 ……そして、すっかり夜も更けて、午前1時頃。
『……ウゥゥゥ……』
 注意してなければ聞き逃したであろう、小さな小さな呻き声。
 その呻き声にピタッと足を止め、方角を確認。
「……あっちだ。行くぞ」
 ウィルドの言葉にレインは頷き、そちらへと急行。
 勿論同じ声をルーキスとルナールも聞き及び、別の所から共に急ぐ。
 ……その場所は、人気の無い海岸線。
 砂浜の上に、背中に天使の翼を生やした黒き『天使』と、狼のような『ワールドイーター』……そして、それらを率いる人型の『致命者』。
「あいつらか……良し。行きますよ!」
 と、敵の姿を視認するなり、即座に上空に向けてアシカールパンツァーを打ち上げるウィルド。
 大きな音と光が島の中に響きわたり……当然ながらそれは昼組の四人にも伝わる。
「現れたようだねぇ……やっぱり海岸の方から攻めてきた、と」
「ええ……いひひひ。それじゃあ、行きましょう」
 武器商人とエマに促され、昼組達は鳴り響いた方角に急ぐ……その一方で、夜組四人は、敵を迎撃するよう、砂浜と陸地の狭間で立ち塞がる。
『……っ……』
 致命者は僅かに唇を噛みしめたが、声は無い。
 そして彼女の声無き指示に従い、天使とワールドイーター達が次々と前線を上げて攻め込んでくる。
 そんな敵の動きにルーキスが。
「きゃー理不尽! ……なんてね。ちょっと失礼しますよー」
 と戯けた感じで先手の一撃。
「捩れて曲がれ、かの運命。《クラウストラ》深淵は何時も隣にある。資格ある者よ、宿縁よ。彼方からの呼び声を聞け」
 詠唱と共に放たれる雷鳴が次々と敵を飲み込む。
 身に痺れを帯びた彼等の動きが鈍ったところで。
「さぁ、いつも通り頑張ろうかルナール先生」
「うむ、何時も通りに頑張るとするかー」
 リラックスした口調ではあるが、ルナールは仲間達よりも数歩前に立ちふさがり壁になると、痺れを何ともせずに戦線を上げてくるワールドイーターにしっかりと対峙。
「さぁ、これでも喰らえ!」
 と己と共に炎を巻き起こさせて仕掛け、相手を炎に巻き込んでいく。
 そして、少し遅れてウィルドとレインも合流……即座にレインは壁役となるルナールに回復を飛ばし戦線維持する一方でウィルドも前に出てルナールと共に壁となる。
 二人の鉄壁の双璧により、狼と天使達は後衛には届かない。
 一応、遠距離攻撃にて後方に居る者達へ攻撃は行うものの、一撃の威力は並な程度で、特にバッドステータスが付くわけでもない。
 近接する狼達の噛みつき攻撃の方が攻撃力が高く出血も伴い、反撃をしかけるが華麗に回避されてしまい、少し手こずってしまう。
 ……だが、その動きに眉一つ動かさず。
「遊ぶなら相手になってあげますよ、犬コロ共」
 ウィルドの辛辣な言葉が響きわたる。
 そう……ウィルドとルナールが立ち回り、暫しすれば昼組の四人も合流。
「お待たせ。さぁ、パッパと仕留めて行きましょう」
 とエマが己を鼓舞しながらアクロバティックな動きで天使の頭上に飛び込み、頭上から三次元的な動きで多閃斬撃。
 ダメージを負っていた事もあり、死に絶えた天使は姿を消失する。
『……』
 それを冷たく見つめ続ける致命者……そいつをターゲット出来る位の間合いに移動した武器商人が。
「さぁて……貴方の相手をして差し上げますよ?」
 と破滅に誘う声でその怒りを引き付ける。
 だが、致命者は前に出てくるような事は無く、その場で召喚の様な行為を来ない、更なる影天使を呼び出していくばかり。
「うわ、また出てきた。放っておくとすぐ湧くねえキミ達」
「ああ。見た目もどうにかならないのかこれ。どうせ敵なら敵らしくしといてほしいもんだ。ゾンビとかドラゴンとかの方が……逆に天使だからやりづらいとか想ったりするのかねぇ?」
 ルーキスとにルナールが苦笑する。
 ともあれ、致命者を倒さない限りは倒しても、次から次に復活してしまうのは明らか。
「良し。ならば俺達で周りの奴等を倒す、行ける奴は致命者に仕掛けてくれ!」
 と弾正は言うと共に、致命者へ攻め入る進路上の敵に。
「島の人々を不安に陥れる悪しき者どもよ、貴様らには蜘蛛糸の慈悲もやるものか!」
 と言うと共に斬手を放ち、次々と敵を狙い、仕留める。
 勿論アーマデルはそれをサポートする様に、呪いを纏めて付与する事で苦しみを与える。
 数刻の後に、敵への進路を切り開いたところへエマとルナール、レインの三人が前線を上げて致命者を狙いに収めると、それぞれ攻撃。
 致命者は周りの仲間達を盾に、更なる召喚でそれも盾にしようと動くのだが……現れた敵も他の仲間達がすぐにターゲットに入れ、殲滅。
 つまりは盾になる者はいない。
「……住民達を殺した罪……絶対に許さない……」
 とレインは辛辣な言葉を投げかけ、絶望の海を歌う声で包み込む。
 そしてエマが、鈍りし彼へ、アクロバティックな動きで翻弄しながらの一閃を穿ち……頭から一刀両断。
 傷つき、崩れ、失いしその姿。
 そして致命者の死と共に、周りの狼と天使達も、まるで幻であったかのように、姿を失っていくのであった。

●安全な刻と
 ……そして、 致命者とワールドイーター、更には天使達を倒したイレギュラーズ達。
「んー……よし、問題無しか?」
「うん、問題無し、っと……お疲れ様ルナール。今回はお兄さんに随分助けられたから、帰ったら好きな物を作ってあげよう。何がいい?」
「そうだな……帰ったら、淹れ立てのコーヒーと一緒に、焼きたてチーズケーキが食べたいな」
「了解。帰ったら作って上げるよ」
 ルナールの言葉に笑うルーキス……と、ああ、そういえばといった感じで周りを見渡し。
「そうそう、みんな怪我はない……無いよね? それは結構」
「ああ、問題無い。とは言え一陣だけで終わらない可能性はあるからな。暫し警戒は続けておくとしようか」
「確かに、そうだな……もう一息、頑張るとしよう」
 静かに笑うウィルド……待機する夜組は待機為、昼組のメンバーは、他に被害が出ていないかを一応確認した上で、一旦その場を離脱。
 ……そして夜の帳も開け始める頃合いとなり、日が昇り始める。
「もう、大丈夫……合図、鳴らす……ね?」
 とレインの言葉による組の仲間達は頷き、再びアシカールパンツァーを空に向けて放つ。
 大きな音が鳴り響き、光が朝焼けの中に煌めく。
 そしてその音は、人々の目覚ましとなると共に……無事に終わったことを報せる祝砲。
 家から出て来た人々は……本当に、終わったのか……と少し訝しげではあるものの。
「うん、もう大丈夫……だから安心してもらって。ほら、新しい日の始まりだよ?」
 笑いながら、皆に日常を促すエマ……彼女の言う通り、致命者達の襲来を恐れて日常を止めてしまえば、正体不明の輩達の想う壺。
 それに頷き、貿易や二運びに精を出す島の人々。
 そんな人々の表情は、不安から解放されての笑顔も零れたりしていて……。
「取りあえず一安心……だな。それじゃ、帰るとしよう……」
 とアーマデルに促され、イレギュラーズ達は島を後にするのであった。

成否

成功

MVP

エマ(p3p000257)
こそどろ

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!
致命者率いる不審者達の動きは、神託に従っており、
神託の前には如何なる被害があろうとも問題無いと思っている様ですね……。

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