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シナリオ詳細

奏音の地下修行~なんかグルグル回すやつ~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ペイトのその地下に
 デザストルの亜竜集落フリアノンから地下通路を通ると、亜竜集落ペイトと呼ばれる場所に到着する。
 地竜とあだ名された亜竜種が築いたとされる洞穴の里。
 暗い洞穴に更に穴を掘り、地中深くに里を築いたこの場所は武闘派の亜竜種が多く住んでいる。
 基本的にはペイト周辺は蟻の巣のような地下空洞が広がっており、地中生物たちがわらわらと存在している。
 そう聞くとフリアノンやウェスタよりも安全に聞こえるが……そうではない。
 地上となんら変わらぬ……一秒先の死の危険が、常にそこにある。
 たとえば、そう。
 地下空洞の先。地下の更に地下。降りて行ったその先の空洞。
「わあ、何これ……」
 『鉄心竜』黒鉄・奏音(p3n000248)が見つけたソレは、不可思議な器具だった。
 その空間の天井から床までを貫く、丸く、太く長い柱。
 そしてその柱に等間隔でとり付けられた、何本かの棒。
 練達の漫画などを見ている者であれば「謎の回す棒」であることに気付くだろう。
 あの何のために回しているのかよく分からない、あのグルグル回す棒である!
 しかし、奏音がそんなものを知るはずもない。
「むむむ……これってまさか、修行器具なんじゃあ……」
 何処かの誰かが用意したかも分からない修行器具。奏音はそう判断したのである……!

●謎の修行器具?
「と、いうわけで回してみたんだけど……そしたら、変なことになったんだ」
 謎の棒をグルグルと奏音は1人で回してみたのだが……すると、何か何処かが振動するような音が響いたのだという。
 それが一体なんであったのかは不明だ。奏音が棒を回すのをやめると同時に振動は収まり、もう1度回せば振動するが……それ以上は何も起こらなかったのだ。
 恐らく何かの条件が足りていない。そう考えた奏音は考え、考え抜いて……フリアノン3人娘とひとまとめにされている友人たちの下にも出向いて「ねーねー、どう思う?」と纏わりついて意見も貰ってきた。
「なんか余計なことに関わろうとするな馬鹿って怒られた! なんでだろね!」
 なんでも何も言葉通りだと思うのだが、火のついた奏音を止められるはずもない。
 結果として、奏音は1つの結論に辿り着いたのだ。
「たぶん……人数が足りないんじゃないかなって思うんだ!」
 そう、棒を回せば何かが起こる。しかし1人で棒を回してもどうしようもない。
 ならば、複数人で棒を回せばどうにかなるのではないだろうか?
 勿論、それで何が起こるかは不明なのだが……。
「たぶん、誰かが作った修行場か何かだと思うんだけど、皆違うって言うんだよね」
 まあ、それが何であるかはさておいてもペイトの近くにそんな「なんだかよく分からないもの」があるのはよろしくない。
 そこで今回の依頼となったわけだが……ペイトの近くにある、謎のグルグル回す棒。
 それを回すことによって何が起こるのかは分からない。
 しかし、結構与太くさい匂いがするのは確かであった……!

GMコメント

奏音と共にペイトの近くの地下空間に行って、有名な「グルグル回す棒」を回しましょう。
何それって人は調べてみましょう。知らなくても何の支障もない無駄知識が増えます。

このグルグル回す棒ですが、どっかの誰かが作った扉の開閉装置であるようです。
それなりに力自慢の4人が回すことで反応し、近くにある壁が開くようです。
ただし、回すのをやめると扉が閉じてしまうため、この4人は「此処は任せて先に行け」をやることになります。

さて、扉を進んだ先には「ペイトの昔の偉い人が奥さんに黙って隠したヘソクリ(宝石類)」がありますが、それを守るためのゴーレムが居ます。
倒して持ち帰りましょう! ちなみにヘソクリを隠した人も奥さんも昔の人でもう存在しないので、このお宝はどう扱っても自由です。

●グルグル回す棒
グルグル回す棒です。結構重たいので力自慢か、根性に自信のある人が回すといいでしょう。
人数が増える程重くなるので4人が適正です。
回している間は扉が開くのでシナリオ終了まで頑張りましょう。
回す人はもうそれにほとんどプレイング割いて大丈夫です。

●ヘソクリ守護ゴーレム
全力でヘソクリを隠そうとするんじゃない。
ともかく全長2mくらいのゴーレムです。
お宝の前に立ち塞がり、漫画みたいに凍る「凍結ビーム」と濃縮ワサビみたいな刺激物質の噴射により相手を一定時間のたうちまわって行動不能にする「防犯スプレー」を使用します。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 奏音の地下修行~なんかグルグル回すやつ~完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年02月16日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
華蓮の大好きな人
Lily Aileen Lane(p3p002187)
100点満点
クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)
宝石の魔女
御子神・天狐(p3p009798)
鉄帝神輿祭り2023最優秀料理人
ニャンタル・ポルタ(p3p010190)
ナチュラルボーン食いしん坊!
ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚
ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)
指切りげんまん
水天宮 妙見子(p3p010644)
ともに最期まで

リプレイ

●グルグル回すやつを回せ回せ
 有名な……一部で有名な道具である。
 そう、グルグル回すやつだ。何故か『鉄帝うどん品評会2022『金賞』受賞』御子神・天狐(p3p009798)もグルグル回っている。
 何故だろう。瞳に「回す」って書いてある気がする。たぶん、今日の天狐はやるだろう。凄くグルグル回すはずだ。
 だって今、頭の中にそれしかない顔してるもの。今日この場に来るまでにも、回転しながら来たもの。
 今日一番の回すヤツ、それが今日の天狐だ。もう全部天狐でいいんじゃないかな。まあ、そうはいかないのだが。
 計算したところ、4天狐は必要な計算になるので、あと3天狐……もとい3人必要だ。
 そう、選ばれた戦士が3人必要なのだ。
「んで、とりあえず回せばよいのじゃな? 気合と根性でブチ回してくれよう!」
 早速「ぬあー!」と回そうとしているが、やはり1天狐では無理なようだ。
 棒の数からして、4天狐必要であろう。
「まあ……こう、たしかに、修行器具ではないじゃろうなあ……どっちかっていうとこう、セキュリティとかそういう方向ではないかの、これ。しかし、こっそり持ち出されないように、という意味ではなかなかのものではないかの? 開けるのに複数人、中にも多分複数、となると色々と一苦労じゃろうて、そこがセキュリティではないかのう?」
 『宝石の魔女』クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)の言う通り、これはセキュリティなのだろう。
「だってさ」
「ぬおー! 離せ回せ離せ回せー!」
「うわっ、回った!」
 ぎゅるるるる、と回転する天狐を押さえている『鉄心竜』黒鉄・奏音(p3n000248)は大変そうだがさておいて。
 では、誰が選ばれし3天狐になるのか? いや違う。選ばれし3人になるのか?
「申し訳ないっスけど、棒回しはお任せしてゴーレムの方に向かわせてもらうっス。やー、オレもあの棒を回してみたかったっスねー」
 棒読みの『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)は辞退のようだ。
「そもそも、へそくりなのに防衛用のゴーレムって逆に目立っちゃう気がするんっスけどね……そも隠したところで自分一人じゃ扉を開けられないっスよねこれ?」
 たぶんよほど渡したくなかったのだろう。死なば諸共の精神である。
「なんかいろいろ気にしたら負けな気がしてきたっス」
「開閉装置。或いは、謎のグルグル回す棒……ということですかね……」
 『竜は視た』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)がそんなことを言うが、この地下では見えない月を見るかのような目をしている。勿論そんなヴィルメイズはグルグル回す役である。
 では3人目は誰か? この中で天狐の次くらいにやる気を見せて……いや、今日の天狐は殿堂入りなので実質1位のやる気を見せている『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)である。
「うぉおおお?! なんかすごい装置じゃな! うむ! コレを回せば良いのか! ヨシ! 力自慢の我に任せるが良い!」
「んも~……Lily様に連れてこられたと思ったらこんな……借金返済していた時を思い出しますね…というかこのダンジョンなんでこんなめんどくさい仕様にしてしまったんですか……回している方々絶対入れない仕様なんなんですホンマに……しゃ~ないですね! もうここは借金返済のために某施設の地下二階で意味もなく棒を回していた日々を思い出して回すしかねーですね! えぇ~い! こういう時の聖躰降臨です! なにかしらの聖なるかなを適当に降ろして体力アップですよ!」
 おっと、グルグル回す棒のプロ……もとい『いつも心にBIGLOVE』水天宮 妙見子(p3p010644)が混ざっていたようだ。
「一緒に回すメンバーは天狐、妙見子、ヴィルメイズと我じゃな! なるほど、この謎装置に精通しとる者も居るようじゃ。面構えが違うのう……」
 そうして集まったグルグル回す戦士たちを眺めながら、ニャンタルはゴクリと唾を飲む。
「我も心して掛からねば! 何が起こるか分からん……体力の消耗に備え、回復は都度していくぞい! という訳で、ぶん回すぞ!! おりゃーーーーーーーー!!!! お、何やら天狐が我等のパワーを増強してくれるらしい。助かるぞい!これで百人力じゃ!」
「ううっ、こんな汗臭い肉体労働……美しい私には不似合いすぎます……! 嫌いなもののトップ3に入りますよぉ。できれば働かずに楽しくハッピーな人生を送りたいんですけれども。こんな辛い仕事させられるなら変なワイバーンと戯れてる方が幾分かマシというものです。あっでも戦わされるよりはマシですかね……そういうことにしましょう。はい……」
 何やらヴィルメイズがダメ人間なことを言っているが、ダメ人間なのかもしれない。
「おっ重!? 何ですかこの棒!? ゼェハァ……これを延々と回し続ける!?気が触れてしまいそうです……。ここにもし魔種がいたら間違いなく原罪の呼び声を受けてますって本当に! あやうく種族:デモニアになるところでございましたよゼェゼェ……」
 そんなことを言っていたヴィルメイズも、やがて言葉を何も発しない棒回しマシーンになっていく。
 まるで棒回しの意味たるや此処にありと言わんばかりの静かさである。
「こんなこともあろうかと! ……軍手を持ってきておいて正解でした! 皆さんの分もありますので良かったら使ってくただいましね~! 思ったより重くはないんですね~、まぁ人数もきっちり4人ですし妙見子ちゃんタンクだから……あ、関係ない? はっはっは。そして隣の面白ドラゴニアことヴィル…握り飯太郎がめちゃくちゃしんどそうにしておりますが……大丈夫? 聖躰降臨とかいります?」
「……」
「握り飯太郎?」
「……」
「Oh……模範囚みたいなことに……」
 そんなヴィルメイズたちだが、まだ回しが足りていないのが扉は開いていない。
 そんな棒回し組を応援するため、『本日のギャグ担当』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)はチアガールのように楽しくアクロバティックに応援していた。
「フレーフレー! さあ、奏音さんもやりましょう。かわいい女子の応援は元気の素になります!」
「そうなの?」
「ええ、だからその鞭は置きましょうね! 何処にあったんですがそれ!」
「そこの隅っこ!」
「はい、ポイしましょうねー」
 ポイした鞭がヴィルメイズにぴしーと当たったが、まだ無言。すっかり棒回しの僕になっている。
 その近くでは『ささやかな祈り』Lily Aileen Lane(p3p002187)も妙見子をじっと見ていた。
(たみこママの、棒をぐるぐる回すシーンを観たいと思って推薦したら……依頼に巻き込まれたよ……ん、でも近くで観られるから、それはそれで良いのかも……?)
 紅茶を飲みながら「愉悦……」と呟いているLilyだが、どうやらそういうプレイが載った本を読んでやってみたかったらしい。
 誰ですか、そんな本をLilyに与えたのは。
「たみこママ……凄く回すの、似合っている……不思議」
 一通りプレイに満足したところで、ゴーレム対策にとカイロ(寒さ対策)と覆面(山葵スプレー対策)を装着している。
「これで対策バッチリだね。むふー♪」
 本当にそうだろうか? まだ扉が開くにはパワーが足りていないようだが、頑張れ4人とも。
「回して回して回し続ける!! まるで気分は遊園地のコーヒーカップじゃな!」
 天狐が楽しそうに回し続けているが……悟りを開いた顔になっているヴィルメイズを見る限り、なんかこう回すと徳が積まれる類のものなのかもしれない。

●そして、その先へ
 やっと扉が開きそうな音がし始めるに至って、ココロはテンションが上がってきたようだ。
「奏音さん、あれは一見すると押して筋力を鍛える道具の様に思えるでしょう。しかし、わたしはこう推理します。ここは地下空間。つまりダンジョン。ダンジョンには仕掛けがつきもの。あの道具を回すと、芯に巻かれてある縄が巻き取られます。それはどこかの部屋の扉を開け、部屋に充満していた砂が吐き出されます。すると部屋と天秤でバランスを取っている石の壁が下に落ち、今までなかった通路が出てくるのです! その先にはきっと蟻の帝国の財宝が! うおおお!」
「あっ、ココロ!? ていうか蟻の帝国って何!? アダマンアント!?」
 道が開くと同時にダッシュで走っていくココロを奏音も追い、クラウジアもその後を追う。
「いや~、ここは任せて先に行けをされたら行くしかないのじゃ~……ちょっと気になったんじゃが、これ突っ支い棒とかくさびとか打ち込んでおいたら……あ、だめ? しょうがないのう……まあぱぱっと内部探索して戻ってくるのじゃー、ぱぱっとな」
 そうして空間の向こうへと行く仲間たちを見送るニャンタルは、ハッとした表情になる。
「って!! 扉が開いた瞬間何か見えたぞ?!! ゴーレムではないのか、ありゃ!!? 先に進む者達よ! 気をつけるんじゃ!」
 とはいえ、加勢に行くわけにもいかない。ニャンタルたちは此処で回さなければならないのだから。
「ハァ……ハァ……コレ、長く回しとって気が付いたのじゃが、修行装置じゃのうて、アレでは無いかの? アレ……アノ、アレじゃ……アノ、何とかいうアレじゃ……然し……アレは意味はないと聞いたが、コレは回せば扉が開く! そして開き続け仲間を助ける! 意味は……ある!!」
「……」
 ヴィルメイズは無言。再現性に飾ってある神像みたいなアルカイックスマイルになっている。たぶんそろそろ何かの境界に辿り着くんじゃないだろうか?
「我、フィジカルはそこそこ自慢じゃが、メンタルよわよわなんじゃよなぁ……ぐぬぬ……そこは何とかポッキリする前に踏みとどまらねば……テクニックでメンタルのやり場を誤魔化し、キャパシティという雄大な心……明鏡止水の域じゃな……そこまで持っていくぞい! 目指せグルグル棒マスター!!」
「回す回す回す回す……回すのじゃ……」
 邪念一杯のニャンタルと純粋な回すことへの想いで具体的には568の素敵なパワーとかに目覚めていそうな天狐。
 しかしニャンタルとて想いの強さでは負けてはいない。
「邪念を1つ払う手段として…アレじゃ…皆、しりとりやらんか? 先ず我から……しーりーとーりー……の、りー……」
 しかし応える余裕があるのが妙見子しかいない。天狐もヴィルメイズも意識が何処かに飛んでいる。
「あ、もう1つあったわい……紛らわせる方法……何かこう……サイコロで話すテーマ変えるのとかあるじゃろ……アレじゃ……あのグルグル棒バージョン……先ず我から話して……時計周りの順な……共通テーマは……ちょっとした思い出話じゃ……」
 なんということか。もはやニャンタルも答えを求めていない。これはもはや、そういう儀式なのだ。
「我……この間練達のコンビニに行って立ち読みしとってな……そこに来とったアベックが何やら2人でコチョコチョ喋っとってな……それの内容が聞けるようで聞けなくて……すまん……うぅ……食の気力も出ん……」
「ラストスパートですよ皆さん!! 疲れてきましたでしょうが頑張りましょうね! はい! 英雄叙事詩! 英雄叙事詩ですよ! がんばれ♡ がんばれ♡ おサボりは厳禁ですよ♡」
 さて、そんな軽い地獄が展開されているのを余所に、開いた扉の先に向かった面々もそれなりの地獄を味わっていた。
「一気に畳みかけていくっス! わさびスプレーだか何だとか訳の分からんものをとうさいしてるみたいっスけどそんなの、うるせー! しらねー! って感じっス!」
 財宝の前に立ち塞がるはゴーレム。そしてそのゴーレム相手に美しいフラグ建築をしていくのはライオリットだ。
「そういえばわさびって、すりおろさないと辛くないらしいっスね。なんかこう、細胞が壊れることで酵素がなんやかんやして辛み成分の生成がどうのこうのとか。あとあの辛さは揮発性が強いらしいっスから、対策はあるっス。要はスプレーの匂いを吸わなかればいいっスよ。なので、呼吸をしなければその効果は多分、恐らく、きっと! 軽減できるっス! 我ながら完璧な作戦っスね……って、アー! 鱗を貫通して身体の奥に! ぎゃああああああ!」
 しかし防犯スプレーは甘くない。皮膚にも浸透する超威力。そして1度声をあげれば喉の奥にも入るし鼻の奥にもそもそも目にも入る。のたうち回って「へ」の字みたいになるライオリットはさぞ地獄だろう。
「よし、ライオリットさんの犠牲は忘れません!」
「生きてるっス……」
「けれどわたしたちの道をゴーレムなんかに邪魔させ……く、この匂いは! 新鮮なほたてをピりっとしたわさびダレで漬け込むとお酒にもご飯にも相性抜群、「ほたてわさび」を連想させます。わさびの辛みをホタテの甘さが中和し、柔らかくて食べやすい。つまりこのわたしにとっては天敵の刺激臭!」
「ココロ、お腹空いたの?」
「ちょっと空いてきました! 酒の肴が欲しくなる前にさっさと倒さないと!」
 スプレーを吸わないように息を止め、正面からタックルするココロを奏音はなんとなく見送って。
「くらえ! 神滅のレイ=レメナー! ってアー!」
「折角息止めたのに……まあ、顔丸出しだったけど」
 わさびスプレーを真正面から受け止めたココロが新鮮なエビのように跳ね回りつつも一撃を入れれば、魔砲を放ったLilyも面白い形で氷漬けになっている。
「全然、防げていない、のです! ……なんで!」
「不思議かなあ。どうかなあ……」
「げほっごほっ、げふっ!? が、はぐっ!? ぎ、げふっ、がはっ、ぐふ、ひ、ひ、ぎぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
 同じようにわさびスプレーを受けて、この世の終わりのような苦しみ方でいろんな液体垂れ流しながら七転八倒するクラウジア。なんかもう全員ひどいことになっているが……クラウジアがようやくふらふらと立ち上がる。
「なんてひどいこうげきなんだーこれはもうぜんりょくではんげきするしかないねー魔女の小指じゃおらぁん!! 周辺被害? 知ったコッチャないのう!! ガチで痛くて辛くて苦しかったんじゃからな!?」
「正気に、もどって!」
「しゅぺるっ!?」
 Lilyのブラックサン・レプリカで引っ叩かれたクラウジアが地面に頭から突っ込んで倒れている間にココロとライオリットがもう1度襲い掛かっていく。
「……えーと、儂、ココに何しに来たんじゃっけ? 遺跡調査? ……遺跡、無事……? あ、無事じゃな」
 ゴーレムが崩れていくその先には、「僕のヘソクリ」と書かれた看板つきの宝石たちがある。
「で、財宝ではなくヘソクリ……?」
「いちおう、持って帰るのです……そろそろ、労働組も疲れて来てると思うので、急いで戻らないと……閉じ込められちゃう……」
「よし、急いで回収するっス!」
「こういうアレだったんだねー」
 そうして宝石を持って帰ると……棒回し班の面々が、測ったようにドシャリと同時に倒れる。
 いや、天狐はまだ回そうとしている……凄い根性だ。思考のどれだけを割けばこうなるというのか。
 天狐を女性陣総がかりで捕まえると、ココロがふうー……と長い息を吐く。
「ご飯でも食べて帰りましょうか……焼き肉がいいな」
「けばぶ!」
「あっ、回れなくなったら回る料理の指定を!?」
 その後、天狐は元に戻ったらしいが……高級なお肉を使った焼肉は、とっても美味しかったそうである。


成否

成功

MVP

御子神・天狐(p3p009798)
鉄帝神輿祭り2023最優秀料理人

状態異常

なし

あとがき

焼肉食べたくなってきました

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