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シナリオ詳細

<昏き紅血晶>命を煌めきに

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<昏き紅血晶>命を煌めきに
 大陸中央部に広がる砂漠地帯……その中央部に位置するオアシス『首都ネフェルスト』。
 幻想王国と鉄帝国に挟まれるようにあるこの地においては、様々な国から持ち込まれる希少な交易物資が集まることがあり、今日も又ネフェルストの市場では、様々な希少品が取引されている。
 ……そんな希少品取引の一つ……雑多なマーケットにおいても。
『ほう……これはこれは、とても美しい宝石ですねぇ』
『でしょう? 最近この地で流通し出した『紅血晶』と呼ばれる宝石ですよ。入荷する数もとても少ないのですが、ほら、ここに数個あるでしょう。 何とか入荷出来たんですよ!』
『ふむ……そうなのですねぇ。では、せっかく来たのですから、『全部』頂きましょうか。これだけ『紅く』『美しい』宝石。うちの所で売れま、かなりの付加価値がつくでしょうからねぇ……ふふふ……」
 宝石を値踏みし、どこか嬉しそうなのは……幻想貴族より命令を受けて買い付けに来た使い。
 商人の手に十個ほど積まれた宝石『紅血晶』は、最近になってこのマーケットに入荷し始めた宝石。
 最初に入荷した際には『地下より発掘された希少な宝石』とのふれこみであり、実際商人の多いラサのマーケットにおいては、希少な宝石として高価に取引されている。
 ……しかし、その宝石にまつわるのは金の噂だけでない。
 この宝石を手にした者が化け物になり果ててしまうという噂。
 しかし美しい宝石の前には、そのような噂等霞んでしまう……それだけに、魔性の宝石。
 そして、そんな宝石を取引している現場はマーケットの様々な所で見られていた。


「こうして来てもらってすまない。ちょっと……依頼を頼みたい」
 ネフェルストの町にある酒場にて、君たちはファレンに集められる。
 彼の表情に笑みはなく、とても真剣。
 ……そして彼は。
「皆も聞いたことがあるだろう……最近このラサにおいて、取引がされている『紅血晶』の名は」
「この宝石は、とても美しい宝石であり、産出される数も少ない貴重な宝石だ。それは間違いない……しかし、この宝石を手にした者が、化け物に転じてしまうという噂が絶えないのだ」
「実際にこの宝石がそのような力を持っているかはまだわからない所は多い。しかしながら、いやな気配がするんだ……そこで、イレギュラーズの皆には、この『紅血晶』の取引をした者を秘密裏に追跡し、状況を確認してきてほしい」
「もしもだが……化け物に転じてしまった場合は、周りに一般人がいる可能性も高い。そうなれば……その息の根を止めることも考えねばなるまい。だが、化け物に一般人を殺される訳には行かないのだ。よろしく頼めるか?」
 勿論、ラサを襲い掛かった突然の事態に、不安を覚えるのは仕方ない。
 とは言え事実を追求しなければ、いつの間にかの可能性は高い。
 ……そしてうなずいた君たちに、ファレンは。
「……感謝する。では、よろしく頼む」
 と、頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回の依頼は、ラサに最近現れた『紅血晶』を持つものを襲う事件の調査依頼となります。

 ●成功条件
  ネフェルストの町で取引されている『紅血晶』の取引相手を追跡し、不慮の事態になったらば討伐する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  取引現場は街中のマーケットです。
  張り込めば、取引している現場に遭遇することは出来るでしょう。
  今回の宝石は、貴族にとって物珍しいもので、珍重されています。
  幻想貴族たちは商人を派遣しこの宝石を買い求めているので、商人たちは購入後幻想に戻るために砂漠地帯を進みます。
  ……その帰路のどこかで、宝石に浸食された商人が化け物化してしまう様ですので、その討伐が必要となります。

 ●討伐目標
 ・紅血晶の力を受けて化け物と化してしまった商人
   多くの紅血晶を手に帰路につき、その力によって化け物と化してしまった商人です。
   もともとは当然一般人ですが、この化け物化した事によりとても強力なモンスターの『晶獣』(キレスファルゥ)と化してしまいました。
   水晶に見入られており、水晶の数も数個ある為、浸食されるペースは早いようです。
   人型からだんだんと獣型と化し、最終的にはキマイラの様な姿に変化します。
   最初のうちは戦闘能力が低い様ですが変化していく毎に体力、攻撃力、防御力がどんどんと強化されていきます。
   たった一体……ではありますが、決して油断出来ない相手である事は間違いありませんので、ご注意ください。
   なお、晶獣化すると、もはや戻に戻ることは出来ません。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <昏き紅血晶>命を煌めきに完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年02月14日 20時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
岩倉・鈴音(p3p006119)
バアルぺオルの魔人
アルトゥライネル(p3p008166)
バロメット・砂漠の妖精
ライ・ガネット(p3p008854)
カーバンクル(元人間)
ロウラン・アトゥイ・イコロ(p3p009153)
ファニー(p3p010255)
陰房・一嘉(p3p010848)
特異運命座標
マリオン・エイム(p3p010866)
晴夜の魔法(砲)戦士

リプレイ

●砂漠に煌めくは
 大陸に渡る砂漠地帯、ラサ。
 その中央部に位置する首都『ネフェルスト』は各地から物が集まり、様々な物資や骨董品、貴重品が取引されている。
 そんな中において最近珍重されつつある高価な希少品である『紅結晶』……入荷数はとても少なく、赤くて綺麗なその宝石は貴族達に珍重されており、高値で取引されている現状。
「ふむ……思いのほかに広まっているのだな、紅結晶。まぁ、私達ラサ商人のサガを考えれば、仕方が無い所だが」
「そうだね。紅結晶……持って居るだけで怪物になっちまうとは、見て見ないと信じられないね。というか、そもそも売る側はならないんかな? こっちも回収して怪物になったらかなわん」
「ああ。こう言うキナ臭い話が無ければ、私も一つ仕入れてみようと思ったのだが、な」
 『天穿つ』ラダ・ジグリ(p3p000271と)『タコ助の母』岩倉・鈴音(p3p006119)の会話。
 高値で取引されているかの紅結晶……その現状に水を差すが如く、その宝石を手にした者が、化け物になり、変わり果ててしまうという噂話も同時に巡る。
 でも、幻想に所属する貴族達で、かの宝石を手にしようとしている者達はその様な噂話に警戒はするものの、『自分がなる訳ない』程度の意識の様で……未だにネフェルストでの取引は続いている。
 そしてその被害に逢うのは、幻想商人達に雇われ、買い付けてくるように言い下された丁稚のような人達。
 おそらくは幻想貴族達から怪物になるかも等と言われる事は無いし、当然それを売る商人達が注意喚起する筈も無い……売れなくなれば、自分達の損害に繋がるから。
「しかし幻想貴族と通ずる商人か……ラサ内でも混乱しているというのに、他国にまで拡がってしまったら目も当てられない。しかし、突然取り上げる訳にもいかないのだろう……歯痒いな」
 唇を噛みしめる『努々隙無く』アルトゥライネル(p3p008166)。
 ラサに強権を持つ上層部や指導者などが居れば、危険性を通じ取引停止を命じることは出来るかもしれない。
 しかしここはラサ……何かに縛られる事を嫌う国民性と共に、商人の立場も強いこの国では、自分達が設けられない命令に表面上は従いつつも、裏で取引を続けるなんて事は……まぁ、間違い無いだろう。
 そして、そんな宝石の話に敏感に反応するのは、ロウラン・アトゥイ・イコロ(p3p009153)と『カーバンクル(元人間)』ライ・ガネット(p3p008854)。
「紅結晶……ですか。古今東西、綺麗な物には夢中になって仕舞うのが人間の性というものなのでしょうか……?」
「それはあるかもしれないな。人を化け物に変える宝石……か。なんか因縁を感じるな。ただの噂ならそれで良いんだが……もし本当ならばほっとけない。もしかしたら、俺が元に戻る為の手がかりになるやも……って、そんな上手く行くわけがないか」
「……そうですね。身体に魔石の埋まっている人間として……今回の事態はなんとも気になる事例です。だからこそ……必ずや止めなければなりません」
 顔を曇らせるライと、ぐっと拳を握りしめるロウラン……そして、それに『特異運命座標』陰房・一嘉(p3p010848)と『嵐を呼ぶ魔法(砲)戦士』マリオン・エイム(p3p010866)も。
「お前もそういう力に影響されていたのか……まぁ能登伊の宝石に魅入られて、不幸になるという話は、オレの元いた世界でも存在した。だが……今回の宝石を手にした者は、心身共に、怪物に成り果ててしまうというからな。やはり……ここは異世界なのだな、と改めて実感させられるぜ」
「そうだねぇ。でもさ、マリオンさんは宝石の専門家じゃないから、宝石の定義は良く解らないけれど、問題の紅結晶って、本当に宝石なのかなー? ギア・バジリカとかアーカーシュみたいな、古代超技術関連の何かだったりするのかも? かな? どうしてだろうね?」
 疑いを浮かべる一嘉に対し、どこかキラキラとした瞳でぐっと拳を握りしめて言葉を紡ぐマリオン。
 それに『スケルトンの』ファニー(p3p010255)が。
「ま、幻想の貴族達がどうなろうと知ったこっちゃねぇが、小間使いの丁稚達に被害が及ぶのはクールじゃない。本当ならば先んじて救いたい所だが……奴等に『その紅結晶を持つと怪物になる』だなんて言ったとしても、『主様に持ち帰らないと』なんて感じで素直に聞き入れてくれる訳ないしな」
 肩を竦めるファニーに、マリオンが。
「そうだね。真相は闇の中なので、名探偵イレギュラーズは聞き込みと張り込みに勤しまないと! と言っても、その辺りも専門家じゃないマリオンさんだし! その手のスキル持ちの人の指示に丁稚の如く従って、人手として頑張るよ!」
 元気いっぱいに拳を振り上げるマリオンに、一嘉も。
「……そうだな。俺も紅結晶について良く知っている訳ではない。だが……それにより化け物と化して人々を傷付けるというのならば……恨みは無いが、せめて怪物の生から解放する事で、手向けとしよう」
 ぐっと拳を握りしめる。
 そんな仲間達の言葉に一度目を閉じて、ラダが。
「ひとまずはマーケットに出てみよう。座っていても仕方ない。商売も調査も基本は脚だからな」
 と皆を促すと共に、『ネフェルスト』に拡がるマーケットへと向かうのであった。

●血みどろの刻
『安いよ安いよー! ほーら、嬢ちゃん! どうだい、このアクセサリー。綺麗な黄色の石を削り出して作ったんだぜ! 勿論オーダーメイドで世界に一つしかない! 今ここで買ってくれれば、もーっとオマケしちゃうぜ!』
『そんなガラクタを買う位なら、こっちのを見てってくれよ! 石は大きくって、とっても高価なヤツなんだぜ!!』
 歩くイレギュラーズ達ですらお客さんとみる商売人達……大きな声を上げて客を招き、自慢の商材を声高らかに宣伝する。
 勿論一つ一つは高価ではあるが、イレギュラーズ、更には一般の旅人達でも手が届く金額位に収めているのは、本当に売りたいからなのか、実際の所は……二束三文で買い付けてきた物なのかは解らない。
 とは言え手にした商材を魅力的に売り上げようとするのは、商売人として当然の事。
 ……そんな商売人の言葉を聞き、適当にあしらいながらマーケットを歩き回り……紅結晶の取引をしている者が居ないか監視の目と、耳を欹てる。
 更にはラサの商人であるラダは。
「すまないが、紅結晶をうちの商会でも取引したくてね。もし売っているのが居たら、すぐに教えてくれ」
 と、知己の仲間のコネクションに伝達し、ちらの方からも紅結晶の商人情報を手に入れようと工夫する。
 ……そんなイレギュラーズ達の動きを不審がる様な者はいない。
 だが、すぐに紅結晶の取引をしている情報は入らずに、時間は過ぎる。
 と……その時。
『なぁ……これ、どうだい? 真っ赤で綺麗だろう? これ、手に入れるのにすっごく苦労したんだぜ?』
 遠くの方から聞こえた、商売人の声。
 その声の方向をすぐさま察知したファニーは、ぐるりと周りを見渡して。
「……あっちの方か?」
 と、指を差す。
「解った。取りあえず行ってみるとしよう」
「そうだな……」
 アルトゥライネルとライハ頷き、小動物ともふもふ姿で、仲間達よりも先にその方向へと急ぐ。
 ……表路地から一本路地に入り、マーケットの露天の格は落ちる……ちょっと裏的な雰囲気のある場所。
 数軒のマーケットがあるが、そこにちょっと身なりの良い丁稚の男性と、商人の男が。
『確かに、これは高価そうな宝石だ。もしかして……『紅結晶』と呼ばれる宝石かい?』
『確かに! なーんだ、お客さん。知ってたのかい! 何を隠そうこれが『紅結晶』! 最近流通し始めた大変貴重な宝石で、その数量は極めて少ない! でも、私が努力に努力を重ねて、十個だけ仕入れられたんだよ!』
『そうかいそうかい……うん。求めていた物に違い無い! 幾らだい? 少し色は付けさせて貰うよ!』
『本当かい! いやー、参ったねぇ! でもそれならこっちも文句はねーや!』
 どうやらテンションが上がりつつあるようで、二人の声は意外に大きく聞こえてくる。
 ……それを早々に見つけたライとアルトゥライネルは、頷き合うと共に……金を支払い取引成立。
 紅結晶を革袋に入れて、二重、三重に袋を重ねて、糸を巻いて転がり落ちないように厳重に梱包。
 そして梱包された『紅結晶』を懐に入れて。
『いやぁ、ありがとう。また入荷する頃に来させて貰うよ。内の御主人様がこの噂を聞いて、なんとしても仕入れてこいってねぇ……?』
『はは、大変だねぇ。ま、また入荷したら、あんた達の為にちょっとは確保しとくさ! それじゃ、毎度あり!』
 ポン、と背中を叩いて感謝を伝える商人と……使いの丁稚。
 ……そして、丁稚は早々にマーケットを出て、幻想に向けての帰路につく。
「良し。皆を呼んでくる。アルトゥライネルは追跡を頼むな」
 と、ライが仲間達の元へと戻り、小動物と化したアルトゥライネルは丁稚をそのまま追跡……そして街の外に出たあたりで、仲間達も丁稚に追いついていくる。
 当然丁稚は幻想に向けての帰路を急いでおり、後ろから追いかけてくるイレギュラーズ達に気付かない。
 街からある程度離れたところで……彼に立ちはだかるようにロウランが先を塞ぐ。
『おっと……な、何ですか!?』
 と、驚きの表情で立ち止まる彼に、ロウランは。
「ローレットです。取引なさった水晶について聞きたい事がありまして。ちょっとお話を聞かせて貰えませんか?」
 と問いただす。
 だが……丁稚の彼……幻想の貴族から依頼を受けた商人は。
『な、何ですか? これはちゃんと金を払って取引した者です! 咎められる理由はありません!!』
 勿論、まだ現時点では紅結晶の取引を禁ずるような命令は出ていない。
 怪物化する話も広まっている訳ではない……ラサの商人と、幻想の商人間の取引と言われればそれまでの事である。
 一応ロウランはその事を隠しつつも、紅結晶を手放すように依頼するが……彼も引き下がる事は無い。
 ……そんな言い争いをしていると、段々と。
『煩いっ……お前ラが金ヲ払ッテクレルのかヨ!?』
 段々と言葉がカタコトになり始めると……その身体に変化が現れ始める。
 骨が皮に近づき、苦痛を与える。
『っ……ゥァアアア!!』
 そして骨はそのまま弾け飛ぶように皮を破り、それと同時に体躯が2倍ほどに巨大化。
 目は赤く煌めき、最初は悲鳴も、段々と狂気の叫びを奏で……その身の変化は止まることは無い。
「くそっ……懸念が当たったか」
「ああ……仕方ないか」
 ラダの言葉に一嘉が小さく頷く。
 ……当然ながら、幻想と砂漠を繋ぐ通商路……まばらながら旅人達が通りがかる路故、それに。
『え……あ、あああ……』
 その身の変化に驚き、腰を抜かしてその場に蹲る者も。
「こらっ、見世物じゃねーぞ! サッサと離れろ!!」
 と、鈴音がその人達に逃げる用に発破を掛けて、その場から避難する様に促す。
 当然、かの商人の変化は止まる事無く……程なく完全に、化け物へと姿を変える。
 そんな彼に向けて、ラダが。
「おい、声は聞こえているか! 聞こえているなら、紅結晶を手放せ!!」
 と呼びかけるのだが……彼が手放すことは無い。
「しょうがない……やはり化け物化した後は、元に戻る事は出来ないという訳か」
「ああ……その様だ。後出来る事は……倒すだけだ。苦しまないうちに殺すしかない……行くぜ!」
 鈴音の言葉にファニーは口笛を一つ吹き、躊躇すること無く化け物の懐に潜り込み、指先で流星の軌道をなぞるように、相手の『人』である死線に一閃を叩きつける。
 そしてファニーに合わせる様に、鈴音も。
「戻れないんなら、容赦はしないよ!」
 と声高らかに己を鼓舞し、熱砂の嵐で彼の動きを足止め。
 動きを止めた所に、続く一嘉が怒号で引き付けながら、相手をシビレさせるようなカウンターの一閃を叩きつけ、その反対側からラダが殺人剣で斬り付ける。
 その一閃はかなりのダメージに及び……怪物になりつつある彼を一層苦しめ、悲痛なる咆哮を上げる。
「悲しそうな声だね……でも、貴方を倒さないともっと被害が出る。だから……ここで決着をつけるよ!」
 とマリオンが迷いを振り払うように宣言。
 そしてラダ、一嘉とは別の側面より、破壊力特化の魔砲を放ち、更に傷付ける。
 そんな前衛陣の攻撃一巡で、化け物なりたてで力の使い方の制御も仕切れない。
 ……ただ、どうにか反撃するべく、制御しきれない力で反撃しようとする彼。
 攻撃力だけは高く、傷を負わせる。
 しかしライは、すぐに失った体力を即座に回復し、戦線を維持、そしてロウランも。
「紅結晶に魅入られた人の末路……異次元の変異ですね……勿論、油断はしません。確実に……倒します」
 その決意と共に、悪夢の魔弾を撃ち、魔弾は心臓を貫き……極めて大きな咆哮。
 苦しみ、悶える彼……しかしまだ命は消えていない……ただただ、苦しむがのみ。
 そんな彼の苦しみに心締め付けられる想いを感じつつも……イレギュラーズ達の刃は躊躇すること無く喰らう。
 そんな彼が化け物と化して数刻……脅かす刃は彼の命を削り取り。
「さぁさ、そろそろ止めを刺してあげるよ!」
 鈴音の宣告と共に、熱砂は彼を深く、深く飲み込む。
 狂う彼を目して飲み込む熱砂の嵐は……彼の命を、残らず削ぎ落とすのであった。

●血を結ぶ
「……ふぅ、終わったか」
 息を吐くファニー。
 怪物と化した商人の男は……まるで幻であったかの如く姿を消失。
 そして倒れた地面の所には、数個の紅結晶の入った革袋が転がる。
「取りあえず、何か解るところがあるかもしれねぇ……ちょっといいか?」
 とファニーは、その紅結晶の入った革袋に解析を掛ける。
 とても強大な力を放つ紅結晶……ただ、その力は毒々しく鼓動し、自分を蝕まんと感じる。
「っ……」
 流石にそれに危機感を感じ、解析を中断するファニー……それに鈴音が。
「ん、どうした?」
「いや……こいつはヤベぇ力を持ってる。正直、下手に手出しをしたら、こっちまで侵略されかねん」
「そう……やっぱりねぇ。とりあえず、素手で触らない方がいいね」
 と言いながら、紅結晶の入った革袋を頑丈な木箱の中に、火ばさみで拾って、鍵を掛けてしっかりとしまう。
 そう鈴音が回収している間に、ライは被害者である無き骸の商人に向けて祈る。
「……今回の商人は気の毒だったな……ホント、世界ってのは時々残酷で不条理だ」
 そんなライの言葉にアルトゥライネルも。
「そうだな……この石の実態を早く知らしめねば、こういった被害は増える一方だ」
 と、唇を噛みしめる。
 ……ともあれ、この様な事態が繰り返される訳には成るまい。
「キマイラに赤い宝石ときたら、どうしても嫌な連想が……錬金術、アカデミアという単語が頭に浮かぶな。出処を追うためにも、報告に戻らないとな」
「ええ……そうですね」
 ラダに頷くロウラン。
 この紅結晶を持ち帰る事で、何かが解るかもしれない……そんな期待を抱きつつ、イレギュラーズ達は報告にその場を発つのであった。

成否

成功

MVP

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽

状態異常

なし

あとがき

ご参加、ありがとうございました!
紅結晶の脅威……中々恐ろしいものになっていますね。
ですが人を化け物に化してしまう魔石……だからこそ人を魅了してしまうものなのかもしれません。

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