PandoraPartyProject

シナリオ詳細

グラクロ・コロコロ・ガッチャンポン!

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●どうしてこうなった?

 練達で働く研究員、清水湧汰はいつも眉間にシワを寄せていることで(ごく一部で)有名だ。
いや、それでもある事件を境にだいぶ人当たりがマイルドになったとかならないとか(ごく一部で)言われているのだが、それはそれとして今日の彼は超怒っていた。ハア〜とクソデカ溜息をつきながら、彼は眼鏡を中指でくいと軽く直す。そして、こう言葉を発する。彼の手に握られているのは多額の請求書だった。

「何故お前ら、こんな勝手な事をしたんだ。言え」

むせ返るような甘い匂いの中、清水湧汰がそう問いかけた先には。
狐の耳と尻尾をどことなくへちょんと垂らした白衣の少年……テオドール・G・ノウリッジと、元々は研究員達の健康管理をするじんこうちであった少女型の秘宝種、AIが仲良く並んで正座していた。
そして、そんな彼らの背後では。
何やら巨大なガラス上の球体の中で、茶色く光沢のある液体がグルグルグルグル回転し続けていた。

●喜劇への道筋は(一応の)善意で舗装されている

「むむむ……」
「おや、アレは」

 それは昼食を取ろうと、テオドールが自分に割り当てられたラボから出た時の事だ。
何やらモニターを展開し、キーボードを叩いてウンウンムームー唸っている彼女の姿を、食堂の一角に偶然見つけ、テオドールはその眼前の席を選んだ。

「ねえキミ、清水湧汰の所の助手だよね。何やってるの」
「ム、テオドール・G・ノウリッジ。当機にご用ですか?」
「テオでいいよ。単純に何してるのか気になっただけ」
「……貴方になら隠すこともありませんか。実はですね」

指でぽんとモニターを回転させ、そこに記された設計図を見せた。へえ、と感心の吐息を吐きながら、顎に手を当て彼女の『計画』に一通り目を通した。

「キミが、グラオ・クローネを、清水湧汰に?」
「はい」
「……まさか、キミ、アレが『イイ』の?」
「まさかそれこそ冗談はよしこちゃんというものでは。当機は単純に清水博士があまりの栄養補給を疎かにしている事に危惧を抱いているのです。そこで少量でも高カロリーのエネルギーが得られるチョコレートを召し上がっていただこうかと」
「ふーん、でも普通に差し出しても断るよね、彼の性格だと。どうすんの?」
「そこで当機は考えました」

至って真面目にAIはこう言った。

「名付けて『ちゃんとチョコを食べ切るまで出られない休憩室』」

ちゃんとチョコを食べ切るまで出られない休憩室。テオドールも思わず復唱する。

「……いいね、ボクも少し遊びたくなっちゃった。一緒にやろうよそれ」
「しかしテオ。貴方の研究は良いのですか」
「いいよ、ボクだから余裕さ。とりあえず、休憩室の仕組みとしては……清水湧汰、彼が入室した時点でセキュリティにロックをかけてさ……」

そして今に至るのである。


●だそうですよ、清水博士

「……話は分かった。そこまで言われちゃ食わないとは言わないよ。だがな」

クソデカチョコたっぷりカプセルを指差しながら、湧汰は二人に言う。

「あれ、俺一人じゃどうしてもカタが付かないぞ。というか無理だ。俺の胃がはち切れて死ぬ」
「ボクも甘いのは好きだけど……流石に遊び過ぎたね……」
「当機も食事が不要ですので……加減が分からず……」
「お前ら……」

しかしカリカリしてばかりもいられない。カプセルに付いているレバーをぐるっと一回転。すると生チョコが何ピースか排出された。あむ、とそれを口に運んで見れば。

「……ん、美味いじゃないか」
「本当ですか博士」

平坦なAIの声に微かに喜びが滲む。

「……味はいい、量も充分にある。ということは、『あいつ等』を呼べばひょっとしたら、どうにかなるんじゃないか」
「『あいつ等』って?」
「決まってるだろ。ローレットの連中。もっと言うならイレギュラーズだよ」
「なるほど、名案かもね」
「では当機がローレットに連絡を」

因みに湧汰がセキュリティロックによってこの部屋に閉じ込められて、早くも3時間が経過しようとしている。
一応この休憩室にはソファーやウォーターサーバーもあるとはいえ、彼の胃が。精神が限界になる前に。
せっかくの美味しいチョコを味わいながら、早いこと、解放してあげようではないか。

NMコメント

最近チョコ菓子をついつい買いすぎてしまいます。なななななです。
以下、詳細になります。

●目的
『チョコをすべて排出し、グラクロカプセルを止めること』。
その為にとにかくガチャンとガシャンと回して、中のチョコを出してあげてください。

レバーを回すと皆様の好きな形でチョコレート、もしくはそれを用いたスイーツが出てきますので、それを美味しく召し上がってください。

湧汰が食べていた生チョコは勿論、チョコレートアイス、チョコブラウニー、チョコマシュマロ等も出てくるようです。お一人でもお友達と一緒でも、恋人さんとも仲良くシェアしたりしましょう。

でもって、それを出し切って休憩室に閉じ込められてる清水湧汰&テオドール&AIを助けてあげてください。
因みに退出できなくなっているのはあくまで湧汰だけなので、こちらのラリーに参加くださった皆様は無理ない範囲で美味しく食べられるだけの量を召しあがれば普通にお帰りいただけます。ご安心ください。

因みにチョコを消費しきらない状況で湧汰を連れ出そうとすると、天井から出たロボットアームが的確に彼だけを捕まえて初期位置に戻してくれます。

●NPC

以下3名は、プレイングで言及があった場合のみリプレイに登場します。

・『研究員』清水湧汰
今回の被害者です。普段からワーカーホリック気味の彼も流石に体力の限界が近かったらしく、フラッと休憩室に入った結果このザマです。
余談ですが、兄の名前は『洸汰』と言います。

・『麒麟児』テオドール・G・ノウリッジ
Theodore Genius Knowledge。今回の黒幕です。ですが一応反省してはいるらしく、とりあえず湧汰を出してやるために、彼なりに少しずつチョコを食べてはいます。

・『ヘルスケア担当』AI
湧汰を慮った結果、テオドールと二人して悪乗りしてしまった少女型の秘宝種です。
真顔で冗談やギャグを言うタイプです。


以上になります。
それでは、美味しいチョコを召し上がれ。

  • グラクロ・コロコロ・ガッチャンポン!完了
  • NM名ななななな
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年02月11日 16時20分
  • 章数1章
  • 総採用数6人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

フィノアーシェ・M・ミラージュ(p3p010036)
彷徨いの巫

「しかし……うまいのは良いけど甘い……」

 甘いものを実に渋い顔で食べ進める湧汰。そんな彼の座すローテーブルにペットボトルが置かれた。フィノアーシェからの差し入れである。

「口直しも必要だろう。これを飲んで一息つくといい」
「助かる」

ごくごくと烏龍茶を飲む裏で彼女の回すカプセルから出たのは、チョコレートのたっぷり染み込んだずっしりブラウ二ー。

「うむ、これは……チョコレート好きには堪らないだろうな」

実際、一口齧っただけで濃厚な甘さと豊潤な香りが広がってくる。
しかし、カプセルの中ではまだ形の定まらぬチョコがグルグルと回り続けている。

「質、量ともに申し分なしといったところだが……これは……」

 ずっしり感と果ての見えない戦いに、つい遠い目になる。せめて打開策はないものか、追加で回したグラカプの産物たるチョコアイスを口に、しばし思案。生チョコをパクリと食べた時、ふと思いついた。

「そういえば、この中のチョコは持ち帰れるのか?」
「どうだテオドール?」
「ああー……うん、不正防止にね、一人あたり一回だけなら持ち帰りできるよ」

それを聞き、せめて一回分でも早く減らしてやろうと追加のレバーを回した。
出て来たボンボンは、グラオ・クローネらしい愛らしいラッピングに包まれている。

(……明日から要運動だな、この衣装はスタイルの変化が目立つから)

美味しいチョコはともかくとして、脂肪フラグまでは持ち帰りたくないものである。


成否

成功


第1章 第2節

アオゾラ・フルーフ・エーヴィヒカイト(p3p009438)
不死呪

 チョコある所カロリーあり、カロリーある所に悩みあり。
しかし、そんな事をものともせず、チョコレートタルト(しかも1ホール丸ごと!)を幸せそうに頬張るアオゾラの姿がそこにはあった。それをぺろりと平らげたなら。

「おかわりが欲しいデス」

 その言葉と共にレバーをガコン。すると今度はバケツたっぷりのチョコレートプリン。トッピングにはカカオ濃いめのビターチョコまで乗っている。

「……おい、あいつどうなってるんだ」
湧汰は思わずフォークを落とした。

「そりゃ、旅人ならそういうヒトも居るでしょ」
テオは顔色1つ変えずチョコレートシェイクを飲んでいる。

「当機にも解析不能です」
そんな彼女の秘密を、AIが知る由もない。

彼女にかけられた不死の呪い。
不死ということは即ち朽ちる事なく、不変であるということ。
不変であるということは、幾ら食べても体重や体型がバッチリ維持されるということ。
つまり彼女は、このチョコ香る休憩室の救世主たる可能性を秘めた人物の一人なのだ。

……なんて理屈をアオゾラが今思っているかは別にして。
少なくとも、今のアオゾラにとっては、この状況はチョコスイーツバイキング会場と言っても差し支えないぐらいに幸せなのだ。しかもタダだし。美味しいし。

「次はガトーショコラにするデス」

空っぽになったバケツをそっと置いて、何処かワクワクした表情で、もう一度カプセルを回した。
湧汰は『マジかよ』って顔でそれを見ていた。

成否

成功


第1章 第3節

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛

「へえ、これが、いわゆるチョコガチャ……」
「清水さんは少々気の毒ですが……甘いものが食べられるのは嬉しいかも」

 目の前にそびえ立つ装置を見つめ、流石練達と呟く史之。彼に寄り添うのは睦月だ。このチョコを果たしてどう味わおう、と睦月はむーむー唸っている。
真っ先に思い浮かぶのはトリュフ。しかしつい先日、上等なカカオが手に入ったし、作り方のコツもプロに教えてもらった。自分で作るから意味があるのであって、それは『当日』に取っておきたい。

 睦月が悩む間に、じゃあ俺からやってみるね、とギフトで取り出したるはウォッカ。それが舌触り滑らかなガナッシュと合わさればどうなるか。
そう、大人な味わい、チョコレートマティーニである。甘くて、頬がポカポカして、胸が高鳴るこの季節の味。

「あ、しーちゃんずるーい。めちゃくちゃこの状況楽しんでるじゃない」
「えへへ、カンちゃんは20歳になったらね」

甘いものが大好きな妻のために日々腕を磨いていたら、自分まですっかり、甘いものが大好きになってしまった。彼女と共にグラスを交わす日がとても楽しみだ。

「……うーん、僕は……何にしよう」

史之に倣って、自分もなにか、チョコレートを使った良いものを作ってみたいけれど、何が正解なのだろう。考えれば考えるほど分からなくなってくる睦月に、一言だけアドバイスを。

「そうだなあ、ホットショコラはどう? 俺もカンちゃんも一緒に飲めるから」
「ホットショコラ。いいね。……しーちゃん、牛乳、準備してもらっていい?」

自分も手伝う気で言った言葉だったが、妻は自分で仕上げるつもりらしい。『いいの?』と問いつつ、その望みに答えるのが夫の努め。
こくりと頷いて、瓶を差し出す。それを微笑み受け取った睦月は、カプセルから出て来たホカホカのチョコレートと共に簡素な調理台の上でくるくる混ぜ回した。

大好きなしーちゃんに渡す前に、まずは一口。

「ん」

口元が思わず綻ぶ。その表情が表す意味は一つだった。そこでは幸せの味が、ホカホカと湯気を立てている。

「もーらいっ」
「あっ、ちょっとしーちゃん!」

ちょっとした隙を突かれて、一杯分のホットショコラを史之がつまみ食いならぬつまみ飲み。

「……うん、美味しいよカンちゃん」
「ほんとに?」

ほわっと声と顔が華やぐ。史之は、そんな睦月の姿を実に眩しそうに見るのだ。

「お手伝いが必要かと思ったけど、大丈夫だったみたいだね」
「だって、しーちゃんが僕のために頑張ってくれてるの、知ってるから。僕だって、ね」

二人の手の中にあるチョコレートは、今この瞬間、世界のどこの食べ物よりも甘く、暖かく、確かな幸せを味わえるものに違いなかった。

成否

成功


第1章 第4節

リリアム・エンドリッジ(p3p010924)
記憶なき竜人

「わぁ、チョコ!チョコがいっぱい!」

 好きなだけ食べていいの?と湧汰に問うたなら、嗚呼ああ是非にと頷きが返ってくる。

「無理のない範囲でモリモリゴリっと、バクバクゴクンといってくれ」
「モリモリゴリっと……?」
「バクバクゴクン……?」

独特のオノマトペに首を傾げるAIとテオドールはさておき、リリアムは喜んでレバーを掴んだ。ガコンと回して出てきたのは。

「わあ、生チョコだあ」

口の中でほろりと溶けていくそれを平らげるのにそう時間は掛からなかった。次なる甘みを求めて追いガチャを。

次に出てきたのはザクザククランチたっぷりのミルクチョコレート。更に回せば、香りも甘いホワイトチョコレート。ビターチョコで、軽く口直しに入りつつ。

「こんなに美味しいチョコたちを好きなだけ食べられるなんて私って幸せ者だなぁ……」

素敵なマシンをありがとう、テオドールさん!
リリアムがそう言って笑うと、テオドール自身もはにかみ笑った。

「いやお前のせいで閉じ込められてる研究員が一人いるんだけど。ここに居るんだけど」

湧汰から軽く講義の声が入り、テオドールが『えー』と唇を尖らせているが。
そんな彼女も何回目かのガチャ産物、つぶつぶの赤色が可愛らしいストロベリーチョコレートにも手を伸ばす。

「ん、いっぱいいちごが入ってる……!」

リリアムの甘くてハッピーなチョコレートタイムはまだまだ終わらない。まだまだ回して、いっぱい食べるのだ。


成否

成功


第1章 第5節

ニャンタル・ポルタ(p3p010190)
ナチュラルボーン食いしん坊!

「湧太!!!!大丈夫かー!!!!!」

 ドンドンドンドンドン!!ガチャガチャガチャ!!と休憩室のドアを鳴らす音の正体はニャンタルだ。

「そんなに叫ばなくても聞こえるしンなノックしなくてもドアは開くよ! オレが出られないだけで!! とりあえず落ち着いて入ってこい!!!」

ウィーンと開いた休憩室に転がり込んだニャンタルは、チョコレートが並々、たぷたぷしているカプセルを見上げた。なるほど、あれが湧汰を閉じ込めている諸悪の根源!(?)
ならば、我が望むのは!

「チョコファウンテンじゃーーーーー!!!!」

その言葉に答えて、ガチャから出てきたのはたっぷりチョコレートが温まった鍋。
まずは串にマシュマロ、イチゴ、バナナを差して、惜しむことなくチョコと絡める。

「うむ、美味じゃ! じゃが……」

ちまちま消費していては、湧汰の拘束時間が伸びるばかり。そこでニャンタルは、ガッと鍋の持ち手を掴み持ち上げた。

「お、おい何をする気だ!?」
「んあーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

そのまま、大口を開けて……一気に飲み干す!

「摂取カロリー、急速に増大。かなりのチョコレートを食していると思われます……!」
「それはすごいんだけど……むちゃしてないかなアレ」

驚くAIに対し、テオドールは冷静だ。事実、平気で平らげて見えるニャンタルの脳内は。

──あ、顎が……顎がイカれる!!

そう、胃の容量以上に、人体の構造との戦いに陥っていた!!

成否

成功


第1章 第6節

 やがてカプセルのチョコは食べ尽くされ、セキュリティのロックは解除された。安堵する湧汰。

しかし、メディカルチェックのためにAIが出した体重計の上で、みるみるうちに彼の顔が青ざめていく。

……休憩室に閉じ込められた次は、しばらく練達の外周をマラソンする日々が続くかもしれない。

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