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シナリオ詳細

<ジーフリト計画>航空支援を退けよ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●断れぬ命令
「バーデンドルフ・ラインへの強襲ねぇ……」
 新皇帝派軍人の基地で、空のような蒼い髪、蒼い瞳、蒼い軍服の、ボサボサとした頭の男が羊皮紙をひらひらとさせた。昼行灯と言った印象の、青年と言うより壮年に近いこの男は、シエロ・アズール少佐。新皇帝派の鉄帝軍人にして、これでも憤怒の魔種である。
「どーみても、引きずり込まれてるとは思うんだけどさぁ……」
 頭をボリボリと掻きながら、やる気なさそうに独り言ちるシエロ。そもそも、前線が北に押し上げられているのに、その奥のバーデンドルフ・ラインに強襲しようというのが、シエロからすればまともな構想とは言えなかった。だが、羊皮紙に書いてある命令に逆らうことも出来ない。
「――ま、主攻は他の隊に任せて、やるだけはやりますか」
 空中からの火力支援だけでもやっておけば、言い訳は立つだろう――そう考えたシエロは、部下達に出撃の命令を下した。

●防空の備え
 新皇帝派の精鋭が、各勢力の本拠地を襲撃しようとしている――その動きに対し、ザーバ派は敢えて敵をバーデンドルフ・ラインに引き込み、襲撃させることにした。襲撃を待ち構えて迎撃し、新皇帝派の戦力に打撃を与えるのがザーバ派の狙いだ。
「襲撃に備えるなら、空襲対策も講じておくべきだと思うんですよねぇ。
 ゲヴィド・ウェスタンの時には空中武装要塞みたいなのも出てきましたし」
 ザーバ派の軍人達が迎撃の準備を忙しなく整えている中で、イレギュラーズ達を前にして『真昼のランタン』羽田羅 勘蔵(p3n000126)は言った。
「それで、俺達を集めたってわけか」
「ええ、そうです。備えあれば憂い無しと言いますしね」
「前例があるようだしわからないではないが……もし、来なかったら?」
「それでも、ザーバ派からの報酬はちゃんと出ます。まぁ、おそらく来るとは思いますよ。私の勘ですけど」
「勘かよ!」
 そんな会話を交わす、イレギュラーズと勘蔵。結果として、勘蔵の勘は当たることになる。

●交戦命令は下された
「まぁ、そうなるよなぁ……やっぱ、楽はさせてもらえないか」
 バーデンドルフ・ラインから相当な高度の上空で、パワードスーツ『コランバイン・フライトカスタム』を纏った――と言うよりは、搭乗したと言った方が近いが――シエロが、ガクンと項垂れつつぼやいた。バーデンドルフ・ライン外壁の屋上には、勘蔵が集めたイレギュラーズ達が空襲対策として待機しているのだ。しかし――。
「何もしないというわけにも行かないからな。予定高度まで降りて、外壁の上にいる奴らに攻撃開始。
 俺達はあくまで助攻だ。適当にやって、適当に逃げるぞ――だから、出来るだけ、死ぬなよ」
 そう命じつつ、シエロはコランバイン・フライトカスタムを降下させていく。それに、他のコランバイン・フライトカスタムと、巨大カブトムシのような天衝種である強化型フルアーマー・オートンリブスが続いた。
 もっとも、死ぬなと命じこそしたものの、魔種である自身はともかく、部下達の生存についてはシエロはあまり希望を持っていなかった。

GMコメント

 こんにちは、緑城雄山です。今回は、<ジーフリト計画>のシナリオをお送りします。
 各勢力の本拠地を襲撃せんとする新皇帝派に対し、ザーバ派は「敢えて敵を引き込む」ことを選択しました。一方で、魔種シエロは引き込まれたことは承知の上で、空からの火力で味方を支援しようと――正確には、それで命令に対してお茶を濁そうと――しています。
 皆さんには、この空からの火力支援の排除をお願いします。


【概略】
●成功条件
 敵の撃退

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●ロケーション
 バーデンドルフ・ライン外壁周辺。時間は昼、天候は晴天。
 環境による戦闘へのペナルティーはありません。
 今回は飛行する敵ばかりですので、何らかの超遠距離攻撃手段か飛行手段の用意をお勧めします。
 なお、簡易飛行、媒体飛行は、戦闘時の飛行手段にはなりませんのでご注意下さい。

●初期配置
 敵は散開しつつ、バーデンドルフ・ライン外壁の屋上から40メートル付近の高さを飛行しています。
 イレギュラーズ側は、最初はバーデンドルフ・ライン外壁の屋上にいるものとします。


【敵】
※今回の敵は、全て飛行ペナルティーは受けません。

●シエロ・アズール&コランバイン・フライトカスタム ✕1
 シエロは新皇帝派鉄帝軍少佐にして、憤怒の魔種です。ただ、憤怒の魔種にしては飄々としています。
 コランバインはシエロが装備――と言うよりも搭乗と言った方が近いのですが――している試作型パワードスーツで、一見すると重装甲のロボのようにも見えます。そのコランバインがシエロに合わせて、かつ空中戦用に調整されたものが、コランバイン・フライトカスタムです。全高は4メートルほどで、カラーは紫。
 魔種の例に漏れず生命力が極めて高く、コランバインに装備している武装の火力も尋常ではありません。また、その装甲により防御技術も非常に高くなっています。コランバインは重量もあって回避は低めなのがネック……だったのですが、フライトカスタムによって機動力を確保し、回避も高くなっています。
 コランバインの各種武装は左右1対となっており、薙ぎ払い以外の攻撃は1回の行動で2回行われます。
 なお、シエロが【怒り】を受けた場合、通常の効果とは違って特殊な挙動をします。

・攻撃能力など
 隠し腕 神至単 【邪道】【変幻】
  普段は装甲内に隠匿しているアームです。その先からは、ビームサーベルが展開されます。
 薙ぎ払い 神至範 【邪道】【変幻】
 肩部ビームカノン 神超貫 【万能】【防無】
 腕部ガトリング砲 物/近~超/範~域 【邪道】【変幻】【封殺】【致命】
 腰部・脚部ミサイルポッド 物遠範 【多重影】【変幻】【鬼道】【火炎】【業炎】【炎獄】【紅焔】
 自動ポーション投与システム
  自動的に搭乗者にポーションを投与するシステムです。このため、カイのHPは毎ターンある程度回復します。
 BS耐性
  特殊抵抗にプラスの補正が入ります。
 BS緩和
 【飛行】
 自爆装置 【識別】

・【怒り】を受けた場合
 シエロが【怒り】を受けた場合、【怒り】を与えたキャラクターに接近するのではなく、射撃武器何れかの射程に収まるように移動してから射撃を行います。その際、可能であれば出来るだけ多くのキャラクターを巻き込みにかかります。
 なお、何らかの理由で移動が不可能である場合、上述の行動が可能になるような最適の行動を取ります。

●量産型コランバイン・フライトカスタム ✕10
 量産型であるため、性能はシエロのコランバイン・フライトカスタムより劣ります。
 また、装備者(搭乗者)も魔種ではないため、その意味でもシエロよりはスペックが劣っています。
 武装と特徴、【怒り】を受けた場合の挙動はシエロに準じます。一方、自動ポーション投与システム、BS耐性、BS緩和はありません。

●強化型フルアーマー・オートンリブス ✕10
 巨大カブトムシのような天衝種を、各種装備で強化した個体が、さらに強化されたものです。
 フルアーマー化時点で鈍くなった動き(回避、反応)はさらに鈍重となり、特に回避はスペースの関係上大幅なペナルティーを受けています。一方、元々高い防御技術はさらに高くなった上、対神秘攻撃力場が付きました。
 加えて、狂化催眠によってEXAが上昇し、【怒り】を受け付けなくなっています。
 また、基本的には遠距離から広範囲に砲火を浴びせてくる戦い方をしますが、いざとなったら使ってくる羽の裏のバーニア一斉噴射による、増加したスピードと重量による突進は脅威でしょう。

・攻撃能力など
 角 物近単 【弱点】
 ビームホーン 神近単 【弱点】【出血】【流血】
  角にビームを纏わせて、神秘攻撃の槍として攻撃します。
 突進(単) 物超単 【万能】【移】【邪道】【弱点】【飛】【崩落】
  速度と重量を一点に集中するタイプの突進です。
 突進(域) 物超域 【万能】【移】【弱点】【飛】【体勢不利】
  速度と重量を以て、邪魔なものを弾き飛ばすタイプの突進です。
 背部ビームカノン 神遠単 【邪道】【弱点】
 頭部バルカン 物近扇 【スプラッシュ】【邪道】
 側部ミサイルポッド 物遠域 【識別】【多重影】【変幻】【邪道】【鬼道】【火炎】【業炎】【炎獄】
 対神秘攻撃力場
  至近以外の距離からによる神秘攻撃を、無効化する力場が展開されています。
 【怒り】無効
 【飛行】
 巨体
  マークやブロックには3人を必要とします。


【味方】
●鉄帝軍人 ✕少数→多数
 ザーバ派の鉄帝軍人です。イレギュラーズから至近距離の範囲にいない敵を対空砲火で攻撃して、支援してくれます。
 最初は少数ですが、長期戦になるにつれて次々と援軍として駆けつけて来るため人数が増えていきます。


【その他】
●注意事項
 コランバインへのカメラアイ潰しは、<大乱のヴィルベルヴィント>の結果を受けて対策されています。
 塗料によるものであれ、物理的破壊によるものであれ、有効とはならないのでご注意下さい。
 また、コランバインを墜落させるためのブースターやバーニア狙いについては、難易度の高い部位狙いとして命中判定に重篤なペナルティーがかかります。加えて、シエロに関してはブースターやバーニアを破壊しても墜落することはありません(シエロ自身が、コランバインに拠らず【飛行】の能力を有しているため)。

●サポート参加について
 今回、サポート参加を可としています。
 シナリオ趣旨・公序良俗等に合致するサポート参加者のみが描写対象となります。
 極力の描写を努めますが、条件を満たしている場合でも、サポート参加者が非常に多人数になった場合、描写対象から除外される場合があります。

●特殊ドロップ『闘争信望』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
 闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
 https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

 それでは、皆さんのご参加をお待ちしています。

  • <ジーフリト計画>航空支援を退けよLv:30以上完了
  • GM名緑城雄山
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2023年02月12日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

(サポートPC2人)参加者一覧(8人)

志屍 志(p3p000416)
天下無双のくノ一
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
ウルリカ(p3p007777)
高速機動の戦乙女
観音打 至東(p3p008495)
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官
ガイアドニス(p3p010327)
小さな命に大きな愛

リプレイ

●航空支援を迎え撃たん
「適当にやって、適当に逃げるぞ――だから、出来るだけ、死ぬなよ」
 バーデンドルフ・ラインの上空から迫る新皇帝派の魔種、シエロ・アズール少佐のこの指令は、ザーバ派側に傍受され、イレギュラーズに伝えられた。
「宮仕えというのも大変ですね。
 私などはそういうのが嫌で仕方がなかった性分(たち)ですが、だからと言って従わないわけにいかないのも理解できます。
 胸中お察しします」
 『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)は、シエロのその指令に対して同情を示しながらつぶやいた。
(目的は航空支援ということでしたが、そのお荷物がなくなれば帰る理由になりますでしょうか?)
 そして瑠璃は、「お荷物」たる巨大なカブトムシのような天衝種、強化型フルアーマー・オートンリブスに目をやった。
「気乗りしない案件でも、アサインされた以上は成果を出す必要がある。お気持ち、良く分かりますよ」
 『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)もまた、シエロの立場に同情したように理解を示した。それは、寛治らイレギュラーズの側にしても同様である。依頼を受けた以上は、気乗りしようがしまいが達成せねばならないのが常であるだけに。
「要塞は上からの攻撃を考慮していない――機動力を活かして設備を破壊すれば、早期離脱もできたでしょうに」
 新皇帝派の戦術の誤りを、『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)が指摘する。だが、シエロが受けた命令はあくまで航空支援だ。もし、イーリンの言うような機動力を活かした空爆が命令であったなら、シエロの隊は一撃離脱できていたことだろう。だが、そうはならなかった。ならば。
「――逃がさない。神が、それを望まれる」
 飛来する紫のパワードスーツを見上げながら、イーリンは言った。

「コランバイン! 前回のものよりは小型でありますが……新皇帝派は量産を開始した、ということでありますか……!?」
 搭乗型のロボットと言った方が相応しい大きさの紫のパワードスーツに、『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)は見覚えがあった。新皇帝派で開発されている『コランバイン』だ。コランバインはムサシの言うように量産が開始され、新皇帝派の中に少しずつ配備され始めている。
 ムサシが以前対峙したのは、武器庫を丸ごとくっつけたような『コランバイン・ウェポンコンテナ』だったが、今回のコランバインは明らかに空中戦用のカスタマイズがされているのが見て取れた。
 しかも、前回は巨大とは言え単機だったが、今回は隊長機を含めて十一機いる。驚愕に一瞬怯みかけるムサシだったが、一度は墜とした相手であり、やりようはあるはずだと自身を鼓舞する。
「幾ら量産されようとも……自分達に同じ相手は通用しないというのを見せてやるでありますとも!」
 己を奮い立たせながら、ムサシはそう咆えた。
「備えあれば憂いなしとは言ったものの、何か凄そうなのが来たねぇ……。
 古代遺跡とやらの技術の転用なのだろうけど、新皇帝派の技術力侮れないなぁ……」
「パワードスーツ、いいですね。撃てる手を最大戦力で、という感じがします」
 半ば感心したように『咎人狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)が言うと、『高速機動の戦乙女』ウルリカ(p3p007777)はその横で無表情を崩すことなく頷いた。だが、ウルリカの声に幾分かの高揚が感じられるのは、気のせいではないだろう。
「けどまぁ、態々ボク達の本拠地を餌にしてまで誘い込んだんだ……お代は高くつけさせてもらうよ?」
「そうですね。壊しましょう」
 ラムダも、ウルリカも、新皇帝派から「お代」をしっかり徴収せんと意気込んだ。

●戦場にてありえざる無防備
 イレギュラーズ達が待機する、バーデンドルフ・ライン城壁屋上。そこから四十メートルの高さまでシエロの隊が降下してきたところで、『超合金おねーさん』ガイアドニス(p3p010327)と寛治がシエロの隊に向かって翔んだ。
 上昇を終えた寛治が、シエロの隊に向けて無防備な――あまりにも無防備な姿を見せた。とても、戦場にいる者とは思えない姿だ。
「もらった!」
 直撃させられる! 寛治の姿にそう判断したコランバインのパイロット達が、立て続けに寛治にビームやミサイルを浴びせかけた。それは、シエロとて例外ではない。だが。
「寛治くんも、ザーバ派さん達も、みんなお守りするのだわー!」
 ガイアドニスが、寛治の盾となってコランバインからの攻撃をその身で受け止めた。ガイアドニスにとって、無防備さによってコランバインからの攻撃を誘引する寛治を護ることは、そのまま地上で戦うザーバ派の鉄帝軍人を護ることに繋がるのだ。
「さあ、ダンスタイムよ」
 銀の戦闘用ドレスに姿に変身したイーリンが駆る、三輪バイク型飛空探査艇が飛翔した。『見果てぬ先【紅依】』を馬上槍の如く構え、強化型フルアーマー・オートンリブスの一体へと突進する。【紅依】の穂先が、強化型フルアーマー・オートンリブスの身体を貫いた。その衝撃に強化型フルアーマー・オートンリブスは身体をビクッ! と大きく振るわせ、行動を封じ込まれてしまう。
(高いところを飛んでいるようですが、私のエアハンマーはそこまで届く。
 この世界の理を超えられない者同士、泥臭い地対空の戦いをしましょうか……!)
 ウルリカは飛翔せず、バーデンドルフ・ライン城壁屋上から衝撃波を連続して槌として撃ち出し、シエロを狙い撃った。死神の嘲笑に似た悪寒を感じたシエロはコランバインを回避させようとしたが、間に合わず立て続けに衝撃波の槌を機体に受けてしまう。
「さすがに……やる!」
 シエロは自身の技量に自信を持っていたが、それでもきっちりと被弾させてくる辺り、改めてイレギュラーズを油断ならないと判断した。
「まずは、こっちからだね」
 強化型フルアーマー・オートンリブスを殲滅すれば、シエロ達は離脱する可能性がある。そのため、まだ傷を受けていない強化型フルアーマー・オートンリブスを狙い、ラムダは魔導機刃『無明世界』を横薙ぎに三度振るった。その剣閃に応じて強化型フルアーマー・オートンリブスの空間が断裂し、その周囲にいた強化型フルアーマー・オートンリブスの二体を装甲など存在しないかのようにズタズタに斬り刻んだ。
「われら一同、こなたにて待ち構えておりました。待ち構えているところに現れたのなら、問答無用、容赦不要。
 観音打至東の名くらいは、土産に覚え死出の旅、さっささっさと往かれませ」
 『刹那一願』観音打 至東(p3p008495)が口上を述べつつ、飛翔。そして、ラムダに斬り刻まれた強化型フルアーマー・オートンリブスの一体を狙い、楠切火忌村正『万朱』と『一紅』を幾度も振るった。そのビームの刀身からは多数の斬撃波が放たれるが、その斬撃波は斬撃波と言えるかもわからなくなるような、蝶のようにひらひらと舞う不規則な動きをした末に、強化型フルアーマー・オートンリブスへと集っていった。その動きに対応出来なかった強化型フルアーマー・オートンリブスは、さらに傷を負う。最早、強化型フルアーマー・オートンリブスは虫の息となっていた。
「――ならば、これで一つ、であります!」
 ムサシもまた飛翔しつつ、炎のマフラー『ブレイ・ブレイザー』から炎の弾丸を連続して放っていく。その弾丸は虫の息の強化型フルアーマー・オートンリブスに次々と命中し、やがてその全身に広がっていった。火達磨となった強化型フルアーマー・オートンリブスは力尽き、地へと墜ちていった。
 残る強化型フルアーマー・オートンリブスのうち、四体がガイアドニスにビームやミサイルで攻撃を仕掛けた。三メートル近い体躯を持つガイアドニスは、とにかく目を引く。そのため、強化型フルアーマー・オートンリブスの半分近くはガイアドニスを脅威と判断したのだ。
 もっとも、ガイアドニスにとってこれは目論見どおりだった。自身に攻撃を誘引すれば、仲間達への攻撃や地上への流れ弾は減るのだ。
 そして四体の強化型フルアーマー・オートンリブスは、二体の強化型フルアーマー・オートンリブスを斬り刻んだラムダを脅威と見なして攻撃してきた。ビームが、ミサイルがラムダを襲う。さらに、ラムダに斬り刻まれた強化型フルアーマー・オートンリブスは、ビームを角に纏わせて突進してきた。
「うぐっ!」
 これらの攻撃を受けたラムダは、浅からぬ傷を負ってしまう。
(――今です!)
 一方、瑠璃はラムダを狙ってミサイルを撃った強化型フルアーマー・オートンリブスの、そのミサイルポッドが開いた瞬間を狙い、シャープペンシルを発射孔の一つへと投擲した。次の瞬間、ミサイルポッドは誘爆を起こしてボロボロに破壊され、装備している強化型フルアーマー・オートンリブスにもダメージを与えた。
(ラムダさん、頑張って下さい――全力で、支援します)
 その意志を歌声に込めて、『奏でる言の葉』柊木 涼花(p3p010038)が歌う。涼花の歌声は、ラムダが受けた傷を幾分か癒やしていった。

●撤退の判断
 シエロの隊は、航空支援と言う目的も果たせないまま、その戦力を減らしていった。何しろ、シエロ含めてコランバインは寛治に攻撃を誘引されてはガイアドニスに受け止められ、強化型フルアーマー・オートンリブスのうち半数の攻撃もまたガイアドニスに受け止められていった。それらの攻撃を受けたガイアドニスは浅からぬ傷を負ったが、涼花と、時折回復に回ったイーリン、ラムダによって倒れることなく耐え抜いている。
 その間に、強化型フルアーマー・オートンリブス達は寛治が召喚した鉛を奏でる楽団によって動きを止められ、イーリンの【紅依】を構えての突撃、ウルリカの衝撃波の槌、ラムダの距離を超えた剣閃、至東の変幻的な動きをする斬撃波、ムサシの炎の弾丸、瑠璃のシャープペンシル、そして途中から駆けつけてきた『秩序の警守』セチア・リリー・スノードロップ(p3p009573)が振るう鞭によって、次々と斃されていった。
 さらに、城壁屋上にザーバ派軍人達が次々と駆けつけて援護を始めたため、その対空砲火によっても強化型フルアーマー・オートンリブスや量産型コランバインは傷つき始めていた。

(お荷物も、あと少しのようですね)
 三次元的な軌道を描きながら、瑠璃が残る強化型フルアーマー・オートンリブス二体のうちの一体に迫る。この二体を倒してしまえば、事前に傍受された通信の内容からしてシエロが撤退を選択する可能性は高い。
 そして、瑠璃は強化型フルアーマー・オートンリブスからほぼ零距離で、シャープペンシルを幾本も投げつけた。シャープペンシルは、装甲を貫き強化型フルアーマー・オートンリブスの体内に深く食い込んでいく。
「鉄帝の看守の抵抗力で、撃ち落としてあげるわ!」
 その強化型フルアーマー・オートンリブスを目掛けて、セチアは鞭を振るった。ビュンビュンと音を立てて振るわれる鞭は、セチアの持つ意志抵抗力を乗せたかのような威力を持って、強化型フルアーマー・オートンリブスを殴打する。立て続けに受けた攻撃に、ぐらり、と強化型フルアーマー・オートンリブスの巨体が揺れた。
 イーリンは、城壁屋上のザーバ派軍人に瑠璃とセチアの攻撃を受けた個体を狙うよう、ハンドサインで指示を出した。熾烈な対空砲火が、強化型フルアーマー・オートンリブスを襲う。この強化型フルアーマー・オートンリブスも、相当弱ってきている。
(確実に――墜とす!)
 その意志を反映してか、【紅依】に輝く星々の燐光が集まる。その輝きは、昼間でありながら陽光よりも眩い光を放っていた。イーリンは三輪バイク型飛空探査艇を上昇させ、下方から【紅依】で強化型フルアーマー・オートンリブスを貫かんとする。
 ドスッ! 鈍く大きい音と共に、【紅依】が強化型フルアーマー・オートンリブスの身体を貫き通した。次の瞬間、ガクン、と三輪バイク型飛空探査艇に重量がかかる。串刺しにされた強化型フルアーマー・オートンリブスが、息絶えたのだ。
「飛んで火にいる夏の虫……いえ冬ですが……カブトムシは夏の虫ですよね……」
 ウルリカは、まさに強化型フルアーマー・オートンリブスの命運を示している比喩を自身にツッコミを入れつつつぶやきながら、衝撃波の槌を連続して放っていく。既にウルリカが気力を消耗しきっているため衝撃波の槌は威力が落ちているが、それでも最後に残る強化型フルアーマー・オートンリブスは幾度も強かに殴打された。
 その間に、ラムダが強化型フルアーマー・オートンリブスとの距離を詰め、その周囲に幾重にも舞い散る無数の炎を散らしつつ、距離を超え空間を断裂する剣閃で斬りつける。強化型フルアーマー・オートンリブスは、その身体を幾重にも斬り刻まれ、焼かれていった。
(大分、こっち側に傾いてきたみたいだね)
 ラムダは、戦況をそう判断した。強化型フルアーマー・オートンリブスはほぼ壊滅。あとはシエロがコランバインで何処まで押してくるかだが、ザーバ派軍人の対空砲火による支援は、時間が経つにつれてなお熾烈さを増している。
(みんなは撤退を促すようですケド……)
 そうなれば、至東一人で無理に戦い続けるというわけにも行かない。だが、武家の、観音打の娘であるが故に、その瞬間まで至東は敵を誰一人として生かして帰さない動きに徹するつもりでいる。
 ともあれ、至東は強化型フルアーマー・オートンリブスに向けて『万朱』と『一紅』を幾度も振るった。二振りのビームの刀身からは、不規則にひらひらと、蝶のように舞う多数の斬撃波が飛び立っていく。元々鈍重である上に、変則的な動きに惑わされた強化型フルアーマー・オートンリブスは、次々と斬撃波をその身に受けて傷を深めていった。
(強化型フルアーマー・オートンリブス――これで、終わりであります!)
 ムサシは、掌に虚無の剣を創り出す。そして既に強化型フルアーマー・オートンリブスが受けている傷を狙い、その胸部に虚無の剣を深々と突き立てた。命を失った強化型フルアーマー・オートンリブスの身体からは力が抜け、そのまま地上へと墜落していった。
「コランバイン、貴重と聞いてたけど改良に量産に余念がないわね!
 でもでも、パイロットの方はどうかしら? 減っていくばかりよね!」
 強化型フルアーマー・オートンリブスが全滅すると、おしゃべりの時間とばかりにガイアドニスが話し始めた。搭乗者である部下達が減っていくばかりと言うガイアドニスの言は、シエロの痛いところを突いていた。
 コランバインの機体自体は、ある程度補充が効かないわけではない。だが、喪った部下達は早々替えが効くわけではない。それに、シエロには部下達への情もある。
「援軍がどんどん増えてくおねーさん達にぽんぽん墜とされていく貴方達、なんてか弱いのかしら!
 経験を積まれて帰られた方がおねーさん達的には厄介だから!
 ここで狙い通りみんな墜とさせてもらうのだわー!」
「ぐっ……」
 ガイアドニスの言は、一方で本音であり、一方では名目が立つ形での提案だった。だが、シエロはやはり逃がしてはくれないかとガイアドニスの言を解釈し、緊張に身を強張らせる。
「――損耗は撤退ライン超過とお見受けしますが、続けますか?」
 そこに、助け船を出すかのように寛治が口を挟んだ。
「その選択権がこちらにあるのなら――続ける理由がないのはわかるだろ?」
 寛治の問いに、余裕を取り戻したかのような飄々とした口調でシエロが返す。これまでの戦闘での損耗状況を考えれば、ここで戦闘続行を選ぶのは馬鹿の所業でしかない。ましてや、元々シエロは今回の航空支援に乗り気ではない。
「賢明ですね。では、交渉成立、と言うことで」
「ああ、損害は出てるし名分は立った。じゃあな」
 交渉は成ったとは言え、シエロは慎重だった。自身を殿として、まず部下達のコランバインを離脱させていく。そして、イレギュラーズ達が部下達に手を出せないと確信したところで、シエロもまた蒼穹に消えていった。

成否

成功

MVP

ガイアドニス(p3p010327)
小さな命に大きな愛

状態異常

ラムダ・アイリス(p3p008609)[重傷]
血風旋華
ガイアドニス(p3p010327)[重傷]
小さな命に大きな愛

あとがき

 シナリオへのご参加、ありがとうございました。皆さんの活躍により、強化型フルアーマー・オートンリブスは全滅し、シエロは航空支援を断念して撤退していきました。
 MVPは、戦術のキーマンである新田さんを護りとおして最後までキーマンたらしめたとして、ガイアドニスさんにお贈りします。

 それでは、お疲れ様でした!

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