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シナリオ詳細

<ジーフリト計画>宰相を護り、友を護る

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ニフリートの要請
 サングロウブルクのとある酒場――エカチェリーナ隊の襲来以来、『祝呪反魂』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)とニフリート・リエースは、たまにここで飲み交わすようになっていた。ただ、今夜は少し様子が違う。
 何が違うかと言えば、今まではレイチェルの方がニフリートを誘っていたが、今夜はニフリートの方からレイチェルを誘ったのだ。もちろん、ニフリートからの誘いをレイチェルが断る理由はない。
 乾杯から、他愛ない話題を肴に軽く数杯呑んだところで、ニフリートが頃合いを見て調子を変える。
「そう言えば――貴女は、宰相閣下が南部戦線に向かうと言う話を聞いていますか?」
 酒場は閑散としており、他に客がいるわけでもないが、ニフリートは声を潜めながら問うた。なるほど、それが今夜の本題かとレイチェルは悟った。
 バイル宰相がザーバ派との協調を求めて、南部戦線に赴こうとしている話はレイチェルももちろん知っている。今、その障害を排除するイレギュラーズ達を探して忙しなく駆けずり回っている情報屋の姿を、レイチェルは思い浮かべた。
「それなら、話が早いですね。ぜひ、貴女にもその依頼に加わって欲しいのです」
 いくら新皇帝派の眼が地下道に向いているとは言え、宰相自ら南部戦線に赴くのは無謀ではないかとニフリートは考えている。だが一方で、バイルとザーバの直接の会談が成功すれば、混迷の最中にある鉄帝の未来に光明が差すのも間違いないところだ。
 だが、それはあくまでバイル宰相が無事に南部戦線に到着出来ればの話である。万一バイル宰相がその途上で殺害されれば、鉄帝の未来は逆に暗雲に閉ざされることだろう。そうなれば、ニフリートの運命も悪い方へと変わりかねない。
「ああ、任せておいてくれ」
 ニフリートを心配する精霊達に告げたのと同じ言葉で、レイチェルはニフリートに応えた。精霊達との約束を果たすためにも、ここでニフリートの運命を悪い方に変えるわけにはいかなかった。

●宰相が乗っているとは識らず
 バイル宰相を乗せた車両は、ボーデクトンを密かに出て古い路線を通り、帝政派とザーバ派の勢力圏の中間地点『ゲルトフラウ地帯』に差し掛からんとしていた。それを、一体の天衝種が空から眺めている。
 天衝種は、くるくると空中で不可思議な動きをした。それを地上から見たやさぐれた風体の男が、望遠鏡で線路を見る。
「へぇ……何があるのかは知らねぇが、面白そうじゃねぇか」
 こんな時勢に、わざわざ線路を走らせているのだ。何かしら重要なものを運んでいるに違いないと、男は考えた。さすがに、バイル宰相が乗っているとまでは思い至らなかったが。
 ともかく、男は天衝種に合図を出すと、自分達の拠点へと引き上げていった。車両を襲撃し、中身を強奪する算段を整えるために。

 古い路線を走る車両あり。その報に、拠点の男達は沸き立った。男達は誰も彼もやさぐれてたり荒くれ風だったりするが、それもそのはずで、彼らは新皇帝バルナバスの恩赦によって釈放された囚人なのだ。今、彼らは天衝種を引き連れて独立部隊――と言えば聞こえはいいが、独立愚連隊と言った方が相応しいであろう――として行動していた。
 独立部隊である故に情報収集力が弱く、彼らは地下道での作戦に乗り遅れた。だが、それ故にバイル宰相の乗る車両を発見するという僥倖に恵まれた。彼らとしては、車両の中身を金に換えられればいいだけの話しだったが、もし襲撃を成功させてバイル宰相を捕縛するか殺害するか出来れば、大金星を挙げられた事だろう。
 しかし、車両の襲撃を試みた彼らは、周囲の警戒に当たっていたレイチェルらイレギュラーズに捕捉された。
「来たか……俺達を抜けられると思うなよ」
 レイチェルらは、バイル宰相を護るべく釈放囚人と天衝種の迎撃に出た。

GMコメント

 こんにちは、緑城雄山です。今回は、<ジーフリト計画>のシナリオをお送りします。
 地下道に新皇帝派の目が向いているうちにと、バイル宰相が鉄道を用いてザーバ派への接触に乗り出しました。皆さんには、宰相の乗る車両に気付いて襲撃を仕掛けようとする釈放囚人や天衝種の排除をお願いします。

●成功条件
 敵の撃退

●失敗条件
 敵が1体でも戦場を突破する

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●ロケーション
 ゲルトフラウ地帯の平原。時間は昼、天候は晴天。
 環境による戦闘へのペナルティーはありません。

●初期配置
 釈放囚人、スノー・グルゥイグダロス、ヘァズ・フィランはそれぞれ、広範囲に散開して皆さんを突破しようとします。
 これに対し、皆さんが布陣を決めて整える時間は十分にあるものとします。
 皆さんの最前列と敵の最前列との距離が50メートルになった時点で、戦闘判定を開始します。

●釈放囚人 ✕20
 バルナバスの恩赦により釈放された囚人達です。独立愚連隊のような状態になっています。
 バイルを乗せた車両の存在に気付き、天衝種とともにその襲撃を試みています(なお、彼らは車両にバイルが乗っているとまでは知りません)。
 本来、防御技術>回避なタイプなのですが、脚にホバー機動を可能にする装甲を装着しているため、回避と機動力が向上しています。
 遠距離からは【火炎】系BSを伴うバズーカを撃ってきて、近距離からは【弱点】【邪道】を伴うビームアックスで攻撃してきます。

●スノー・グルゥイグダロス ✕20
 氷雪の環境に適応した白い狼のような天衝種です。【凍結】系BSを伴う牙や爪で攻撃してくる、スピード型です。

●ヘァズ・フィラン ✕10
 カラスのような天衝種です。弱者と判断した者を集団で嬲る習性を持ちます。
 反応、機動力、EXAに優れています。嘴や体当たりで攻撃してきます。

●ニフリート・リエース
 レイチェルさんの関係者です。帝政派の軍医。
 元々自身の過去から、医療技術を習得するために無理をしがちなところがありましたが、新皇帝派の即位から負傷者の対応により忙殺されるようになり、魔に堕ちそうな危ういところがあります。
 『<咬首六天>雪夜の雪原に並び立つ十字架』で雪の降る夜に野外で磔にされた住民達を人質にされ、新皇帝派に連行されようとしていましたが、レイチェルさん達の活躍により阻止されました。
 それもあって張り詰めたような雰囲気も多少は和らいでは来ましたが、まだ油断は出来ない状態です。
 今回のシナリオの成否も、今後ニフリートが呼び声を受けた時に反転するかどうかの判定に影響します。

 ニフリートについての詳細は、以下の設定委託をご覧下さい。
 『故郷のない軍医』
 https://rev1.reversion.jp/scenario/ssdetail/4174

●特殊ドロップ『闘争信望』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
 闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
 https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

 それでは、皆さんのご参加をお待ちしています。

  • <ジーフリト計画>宰相を護り、友を護る完了
  • GM名緑城雄山
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年02月11日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
祝呪反魂
武器商人(p3p001107)
闇之雲
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
ウルリカ(p3p007777)
高速機動の戦乙女
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
囲 飛呂(p3p010030)
きみのために

リプレイ

●多数の敵の接近を前に
 ザーバ派と直接会談するべく南部戦線に向かうバイル宰相が乗っているとは識らずに、その車両を攻撃せんとする釈放囚人や天衝種に対するべく、イレギュラーズ達は簡易的なバリケードを構築する。そのバリケードには護りが薄い部分があったが、これは敢えて隙を作ることで釈放囚人や天衝種を誘導するためのものだ。
(抜け目なく準備して迎え撃とう――一人たりとも、通さない!)
 『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は、そう意気込んだ。敵はバイル宰相を狙っているのではなく積荷の強奪を狙っている気配だが、その意図は如何あれバイル宰相が乗る車両に手出しをさせるわけにはいかなかった。
「さてさて、『何にも知らない輩』が相手だというのは運がいいのだか悪いのだか……」
 迫り来る敵の様子に、『闇之雲』武器商人(p3p001107)はそう独り言ちる。
「帝政派として、張り切って仕事をさせてもらおうじゃないか。ヒヒヒヒヒ!」
 もし武器商人の笑いを釈放囚人や天衝種らが聞いていれば、言いようもない不吉さを覚えたことだろう。
「俺も一応は帝政派だし、守んないとな」
 『点睛穿貫』囲 飛呂(p3p010030)もまた、帝政派としてバイルを護る意志を露わにする。もっとも、飛呂自身はヴェルスを心配しているのを見てバイル宰相を助けたいと思っただけであり、派閥には拘りは持っていなかった。
 むしろ、バイル宰相と南部戦線のリーダーであるザーバの会談が成功して、帝政派とザーバ派の協力体制が構築されれば、より多くの鉄帝の民が救われることになるだろうと考えている。
「宰相様が自ら動いているとなれば――これはこれは重要な役割です」
 イレギュラーズ達は、そのバイル宰相を護衛する依頼を受けている。『高速機動の戦乙女』ウルリカ(p3p007777)は、その重要さをはっきりと認識していた。
「――となると、襲撃に来る新皇帝派は残らず倒しませんとね?」
 ウルリカは、釈放囚人や天衝種が迫ってくる方角を見据えてそうつぶやいた。
(絶対に、負けられない戦いだ)
 『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)は、これから始まる戦闘をそう認識している。もし史之らが突破されてバイル宰相に危害が及べば、ただでさえ混迷している鉄帝の未来が悪い方に傾くのは、想像に難くない。
 だが、迫り来る敵は釈放囚人二十、天衝種三十の計五十。一方、迎撃するイレギュラーズは八名に過ぎない。数だけで言えば、圧倒的に苦しい。
(それがどうした! やってやるさ)
 だが、数の不利などひっくり返せる自信はある。史之は、自身の心身に闘志を漲らせた。
(ニフリートの為にも……バイルじいじは護り切らねぇとなァ。この戦い、絶対に負けられん)
 ニフリートとは、サングロウブルクで朗報を待つ『祝呪反魂』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)の友人だ。ニフリートの要請を受けて、レイチェルはバイル宰相の護衛依頼に参加していた。
 鉄帝の未来のために負けられないのは当然として、もう一つレイチェルには負けられない理由がある。それは、この戦いの結果がニフリートの命運をも左右しかねないことだ。新皇帝バルナバスの即位以来、ニフリートの様子はピリピリとして不安定だった。ともすると、魔に堕ちかねないのではと思わせるほどに。幸い、先のサングロウブルクでの戦い以来その様子は落ち着いてきているが、鉄帝の未来が暗転すればニフリートの未来も連動して暗転しかねない。
「ダチの命運が懸かってるンだ、加減はしねぇ」
 そのためには、ニフリートには見せられない血に塗れた化物の姿となることも辞さない。レイチェルの言には、その強い意志が宿っていた。

「数の暴力っていうヤツだな、まさに」
「大いに結構! 広域特化の魔術師を舐めて貰っちゃ困るね」
 『紅獣』ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)の独語に、傍らの『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)が応じた。敵が数で押してくるのなら、広域の範囲攻撃でまとめて殲滅するまでの話だ。
「幾らでも歓迎してあげるよ、精々頑張って食らいつくと良い。
 キミ達の良い悲鳴を期待しておこう。さぁて今回も一緒に頑張ろうねー、ルナール先生☆」
「ああ」
 ルーキスは未だ見えぬ敵に向けて自信満々に言い放つと、くるりとルナールの方に向き直って、微笑みかけた。妻の微笑みに、ルナールはただ一言そう返しながら、深くコクリと頷いた。

●この場に、この身に釘付けとすべく
 やがて、釈放囚人や天衝種がその姿を現した。そのうち、釈放囚人とスノー・グルゥイグダロスは、イレギュラーズ達によって構築されたバリケードと敢えて設けられた隙を認めると、その隙から先へと突破しようと互いの距離を詰め始める。イレギュラーズによる誘導が、効いたのだ。
 一方、バリケードに遮られることのないヘァズ・フィランは、バリケードとイレギュラーズの上を飛び越えてバイル宰相の乗る車両へ迫ろうとしていた。
「ここは通行止めだ。通りたいなら俺達を倒してみろ!」
 釈放囚人や天衝種との距離が五十メートルまで迫ったところで、イズマが飛び出して高らかに叫んだ。その声に、釈放囚人とスノー・グルゥイグダロスのほぼ全てが、イズマの方に敵意を込めた視線を向ける。
「金目当てっぽいから教えてやるが、あの列車より俺達の首の方が儲かるぞ?
 狙わないなんて損してるな。それとも懸賞金も知らない情弱か?」
 さらにイズマは、釈放囚人らの注意を自分達に引き付けるべく、自分達には新皇帝派が懸賞金をかけていると明かした。
「懸賞金、だと?」
「確かに、噂に聞いたことはある……イレギュラーズの首には懸賞金がかかっていると」
「じゃあ、アイツらをぶち殺せば、その方が大儲けだな」
 釈放囚人達は、ざわざわとざわめいた。その中にもう少し頭の回る者がいれば、イズマの言が車両から目を逸らすためのものだとの考えに至れたかもしれない。だが、そのような者は釈放囚人達の中にはいなかった。
「ようし、こいつらをぶち殺すぞ!」
 釈放囚人の誰かが叫ぶと、釈放囚人達はあからさまにイズマに敵意を向け、バイル宰相が乗った車両の存在を忘れ去った。スノー・グルゥイグダロス達も、釈放囚人達に同調するかのようにイズマに敵意を向けた。
 もっとも、イズマから遠い釈放囚人やスノー・グルゥイグダロスの中には、そこまで強くイズマに敵意を向けていない者もいる。だが、そうした者達をレイチェルは見逃さない。
「ここで、ジッとしていてもらうぜ」
 レイチェルもまた、イズマに続いて前に進み出る。そして、イズマに敵意を向けていない、即ちイズマを無視してこの場を突破していきかねない釈放囚人やスノー・グルゥイグダロスに向けて、掌を突き出すようにして向けた。その指先からは細い糸が次々と飛び出し、釈放囚人やスノー・グルゥイグダロスへと絡みついて動きを制限した。
 釈放囚人やスノー・グルゥイグダロスは、ジタバタとしながら絡みついてくる糸から逃れようとする。だが、抗えば抗うほど、レイチェルの放った糸は刃と化して釈放囚人やスノー・グルゥイグダロスらを傷つけ、血を流させた。
 さらにレイチェルは、同様にイズマに敵意を向けていない釈放囚人やスノー・グルゥイグダロスを見つけ出すと、次々とその身体を拘束し傷つける糸を放っていった。
「我(アタシ)らを飛び越えていこうなんて、させないよぉ」
「空も、通行止めなんだよね」
 イズマとレイチェルが動くと同時に、武器商人と史之は二手に分かれて飛行し、上昇していた。狙いは、ヘァズ・フィランの足止めだ。
 散開して飛行するヘァズ・フィランの左半分に向かって、武器商人は己の存在を見せ付けるように立ちはだかる。すると、ざわざわとヘァズ・フィランらの心の中に、武器商人を存在させてはならないと急き立てるような声が囁いた。途端に、ヘァズ・フィランらは敵意の篭もったギロリとした視線を、武器商人へと向けた。
 ヘァズ・フィランの右半分には、魔力障壁と破邪の結界を展開し、物理神秘いずれの攻撃によっても傷つけられることのなくなった史之が立ちはだかり、お前達の敵は自分だと叫ぶ。ヘァズ・フィランらは、やはり敵意の篭もった視線を史之へと向けた。
 それにしても、と史之は眼下の釈放囚人らを眺めながら思う。
(ここで手柄をあげて冠位魔種へ取り入ろうっても、何の得にもならないのにね)
 バルナバスもそうであるし、そうでなくとも魔種は混沌に滅びをもたらす存在だ。例え新皇帝の下で厚遇されたとしても、それは一時的な物でしかなく、最終的には死の運命を迎えることになる。それがわからない釈放囚人らに、史之は呆れすら感じていた。
「援護するぜ、イズマさん」
 イズマを追うように駆け出した飛呂は、イズマに敵意を抱いた釈放囚人やスノー・グルゥイグダロスを出来るだけ多く巻き込むようにして、鋼の雨を降らせた。釈放囚人やスノー・グルゥイグダロスの受けた傷は深いとは言えなかったが、飛呂の降らせた鋼の雨にはもっと重要な意味があった。それは、攻撃の圧によって釈放囚人やスノー・グルゥイグダロスの動きを封じることだ。
 イズマは多くの釈放囚人やスノー・グルゥイグダロスの敵意を集めたが、それは即ちイズマが集中攻撃を受ける事になると言うことでもある。イズマが倒れてしまえば釈放囚人やスノー・グルゥイグダロスは当然自由に動くことになるため、少しでもイズマが耐えられるように、イズマが受ける攻撃を減らしておく必要があった。
 そして、飛呂の降らせた鋼の雨に打たれた釈放囚人やスノー・グルゥイグダロスは、そのほぼ全てが圧を受けて動く機を逸した。

 飛呂の鋼の雨に打たれなかった釈放囚人やスノー・グルゥイグダロスは、イズマを集中的に攻撃し、深手を負わせた。ヘァズ・フィランの大半は武器商人と史之に集っていったが、二体、その二人の間をすり抜けていった。
 だが、この二体もバイル宰相の乗る車両に到達することは出来なかった。
「持っててよかったマスタードラーイブ! 飛ばすから舌噛まないようにしてネ。ハイヨー! 全速前進だぁー☆」
 ルーキスが、ドレイク・チャリオッツ――四足獣型の亜竜によって牽かれる亜竜車を駆って、ヘァズ・フィランを追った。
「やあ、忙しいこと。お手伝いよろしくねルナール!」
「ああ。何時もどおり、派手にいこう。二体程度なら、ルーキスにとっては物の数ではないだろう?」
 ルナールが、内なる炎をヘァズ・フィランの周囲に顕現させる。その炎に身を焼かれたヘァズ・フィランはルナールの方を向いたが、ルナールへと迫ることは出来なかった。
「さてと。困ったちゃんは、派手に洗い流してあげよう!」
「この先には、命ある天衝種は通れませんし、通しません」
 ルーキスが、ヘァズ・フィランの周囲を漂う根源たる力を穢れた泥へと変える。同時に、同じくヘァズ・フィランを追っていたウルリカが、鉛を奏でる楽団を召喚した。
 穢れた泥が、ヘァズ・フィランの運命を漆黒に塗りつぶしていく。何が起こったか理解出来ないまま生命力を蝕まれて苦悶するヘァズ・フィランらを、鉛を奏でる楽団の掃射が襲った。三人から立て続けに攻撃を受けたヘァズ・フィランらは、力尽きて地に墜ちていった。

●車両は進む、鉄帝の未来へ
 その大部分がイレギュラーズに敵意を煽られて、この場に釘付けとされてしまったことで、釈放囚人や天衝種の命運は決まったと言えた。釈放囚人や天衝種は数こそ多かったが、その数を突破に活かすことなくイズマ、武器商人、史之に集ってしまった時点で、イレギュラーズの範囲攻撃の餌食にしかならなかった。
 まず、飛行できるため最もイレギュラーズ達に警戒されていたヘァズ・フィランが、真っ先に殲滅されていった。そして、る釈放囚人やスノー・グルゥイグダロスも、次々と撃破された。
 イレギュラーズ達は、討ち漏らしがないことを入念に確認すると、バイル宰相の乗る車両を釈放囚人や天衝種から護れたと言う事実に安堵と達成感を感じた。
 そして、バーデンドルフ・ラインにて行われるであろうバイル宰相とザーバの会談が、きっと鉄帝の未来に光明をもたらしてくれるはずだと言う期待と確信をその胸に抱くのだった。

成否

成功

MVP

イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

状態異常

イズマ・トーティス(p3p009471)[重傷]
青き鋼の音色

あとがき

 シナリオへのご参加、ありがとうございました。皆さんの活躍により釈放囚人や天衝種は殲滅され、バイル宰相の乗る車両は護られました。
 MVPは、【怒り】の付与役に先手を取らせるキーマンとなったイズマさんにお贈りします。いくらスノー・グルゥイグダロスやヘァズ・フィランが素早いと言っても、イズマさんの反応を超えるのはさすがに無理でした。

 それでは、お疲れ様でした!

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