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シナリオ詳細

一富士二鷹三亜竜NASUBI・GOD

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●一富士二鷹三亜竜NASUBI・GOD
 新年、あけましておめでとうございます――
 早いもので既に一月も半分程度過ぎようとしている、そんな折に。

「今年も一富士二鷹三亜竜NASUBI・GODの時期がやってまいりましたね」
「――なんて?」
「おや、もしや一富士二鷹三亜竜NASUBI・GODをご存じではない?」

 覇竜領域に存在する亜竜集落ペイトでイレギュラーズはある話を小耳に挟んだ――
 この辺りでそれなりに標高が高い山であるHUJI。
 そこいら辺に住んでる鷹。そして亜竜NASUBI・GOD。
 これらは全て縁起がいいモノであるらしく、うまい事その姿を目撃する事が出来れば幸福が訪れると――そういう新年のことわざが覇竜領域の一部ではあったりするらしい。ほんとぉ? 異世界のことわざが入って来てなんか混ざり合ってない?
「というか山と鷹はともかく……なに? 亜竜NASUBI・GODって?」
「よくぞ聞いてくれました。亜竜NASUBI・GODとは紫色にして、ちょっとぽっちゃり気味の肉体を持つ亜竜です――一年の中でもこの時期に、しかも稀にしか姿を見せない希少種なんですよ」
 聞く所によるイメージだと、完全にそれNASUBI……
 ともあれ亜竜NASUBI・GODは、そこまで人々に敵対的な存在ではないとの事だ。こちらから攻撃しない限りは大人しい亜竜であるらしく、物珍しさも相まって幸運の象徴の如く扱われているのだとか。
 それ故に新年の運試しでHUJIの山に登る亜竜種も時折いるらしい。
 上手い事鷹やNASUBI・GODを見る事が出来ればその年はきっと安泰だと願って……
 しかし。

「た、大変だ――! HUJIの山からサイクロプス共が降りてこようとしているぞー!」

 その時だ。集落に急報が齎されたのは――
 サイクロプス。一つ目の巨人にして、覇竜領域に住まう魔の一種だ。
 頑強にして卓越なる膂力と肉体を持つ彼らは大岩すら持ち上げ、時に人々の脅威となろう。そんな奴らを集落に近付ける訳にはいかない……! そればかりか、もしかすれば今この時にHUJIの山に登らんとする亜竜種がいないとも限らぬのだ――一刻も早い退治が肝要だ!
「な、なんと……! えぇいまずい! すぐに動かねば……!
 イレギュラーズ殿、まだ連中はHUJIの圏内です……
 どうか連中がこの付近に到達する前に退治してもらえませんか!」
「まぁ依頼ならやぶさかではないけれど――幸運の山に入っていいのか?」
「ああそれは別に。今の時期が過ぎればただの普通の山ですし……はっ、そうだ! 余力があれば先程の亜竜をまずは探してみてもいいかもしれません。本当にご利益があるんですよ……! 内側から気力が湧き出る様な感覚を感じえた者もいるとか――」
 なんだか話を聞いていると、段々と胡散臭いパワーストーン的な謳い文句にも聞こえてくるのだが……まぁ、幸運の真実はともあれだ。緊急の依頼であればサイクロプス撃退に赴くのはやぶさかではない。
 今すぐ向かえばHUJIの山の中で戦う事になるだろう。
 天気は良いし、見通しには問題ない筈だ――
「それにしても、亜竜NASUBI・GODねぇ……」
 新年の縁起物。本当にそんなご利益があるのかどうかは知らないが。
 HUJIの山を見据えてみれば――
 成程たしかに、なんとなく今だけ、あの山から神々し気な感覚を感じるモノであった。

GMコメント

 一富士二鷹三亜竜NASUBI・GODと言えば覇竜領域の一部で縁起のいいモノとして、ことわざ的に伝わってる……かもしれませんね! ともあれ以下詳細です!

●依頼達成条件
 サイクロプスの撃破・撃退。

●フィールド
 覇竜領域の一角に存在する『HUJI』という山です。
 富士山じゃないです。HUJIの山です。ちがう山だよ。そこそこ高い山であり、ここには後述の特殊な亜竜が今だけ出現します。探すともしかしたら見つかるかもしれません。

 周囲は険しい山岳地帯。やや移動し辛いかもしれません。
 しかし時刻は昼なので、視界に困ったりする事はないでしょう。

●敵戦力
・『サイクロプス』×5体
 一つ目巨人の魔物です。
 頑強な肉体と卓越した膂力を持ち、現在集落方面に降りてこようとしているようです。彼らは大岩すら持ち上げ、遠方にまで投擲(物遠範・【乱れ】系列BSアリ)してくる事があります――近くではその巨体を活かして薙ぎ払い(物近扇・【飛】属性アリ)を行う事もあるでしょう。

●中立戦力
・『亜竜NASUBI・GOD』
 一年の内でも、新年のこの時期にしか現れないとされる特殊な亜竜です
 攻撃されない限りは敵対的ではなく、それ故に幸運の象徴として親しまれてもいるのだとか。全身紫色で、なんか全体的にぽっちゃりとした体形が特徴です。これ茄子……
 ともあれNASUBI・GODに出会えると、その年は縁起のいい年になるという噂があります。なおGODとかいう名前が付いてますが、別に神様とかそういう類のモノじゃないです。中々会えない存在という希少性からGODの名を冠してるだけらしいです。

 今の時期にだけこの山のどこかに出現する事があります。
 もしかしたら戦場付近に訪れる事があるかもしれません……
 上手く出逢えると(もしくは探し出せると)後述の効果が表れる事でしょう。

●一富士二鷹三亜竜NASUBI・GOD(ことわざ)
 新年に出会えると縁起が良いとされるモノ。
 それが一富士二鷹三亜竜NASUBI・GODです――!

 HUJIの山に登ると『富士』を満たして運が若干上昇します。
 更に『鷹』を見る事が出来ると更に運が上昇します。ちなみにファミリアーとかの使い魔とかで鷹っぽい姿のヤツに出会ってもなんか運が上昇するんだとか。
 そして『亜竜NASUBI・GOD』にも出会えると運は最高潮に達します――

 具体的には上手く目撃できると、一時的に皆さんの【クリティカル】が大きく上昇し【ファンブル】の値が大きく減少する事でしょう。更には【命中】や【回避】のステータスも徐々に上昇していきます。更に更には非戦スキルの効果が一時的に強くなったりもするかも!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 一富士二鷹三亜竜NASUBI・GOD完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年01月31日 22時06分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
ニャンタル・ポルタ(p3p010190)
ナチュラルボーン食いしん坊!
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
アルフィオーネ・エクリプス・ブランエトワル(p3p010486)
ライブキッチン
ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)
指切りげんまん

リプレイ


 一富士二鷹三亜竜NASUBI・GOD。ソレらを見れば運気が挙がると聞いてやってきたのは――『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)だ!
「むほ! 此処か! 此処が噂の――HUJIの山! やってきたぞい――!」
 もう意気揚々テンションMAXである。ふふふ、なにせ幸運が最高潮になるとファンブルが死ぬと聞いて! HUJIの山を拝むのはもう出来ているが、後は鷹とGODをどうしよ――

「よぉ!! 鷹だ!!(ドンッ!)
 俺は鷹だ!!!!!(ドドンッ!)
 アイ・アム・ホォークッ!!!!!(ドドドーンッ!)」

 と、思っていたその時。天に轟くほどに吼え叫んだのは『有翼の捕食者』カイト・シャルラハ(p3p000684)だ! まぁ確かに鷹だコレは! ちょっと大きくて速くて強い鷹だ!! ぴぃ! 鷹判定、ヨシッ!!
 まさか冒頭からHUJIと鷹が揃うとは。しかしそれだけではない――

『――私が茄子神です』

 声が聞こえた。それは何処か神々しい様に……

 私が、茄子神です。
 よろしく、お願いします。
 この山は私が統治しました――既に私の支配下にあります。
 茄子の神であればこそ至極簡単な事です。森羅万象は今、茄子神の手にあるのです。
 なぜならば茄子神だからです。

 そう。その声の主は――『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)だ。
 茄子の象徴。茄子の化身。名前が茄子……で、あれば彼女の主張は疑いようもなかった。
 彼女こそが――真なるNASUBIである――
「それでは、ゆるりと参りましょう」
「いいの? 鷹とGOD判定これでいいの? いや、まぁ魔物退治のついでに見ればラッキーってぐらいにしか元々思ってないけれど。ていうかご利益がある山に向かって時期が過ぎればただの山って言い方はないんじゃあ……」
「まぁまぁ効果があるなら拝んでおきましょう――ええ。鷹は少なくとも間違いないですし」
「そうですね――なんなら富士も既に揃っているのでは。しかも二つ。
 ……ダメです? やっぱり探さないとダメですか……?」
 なんだこの依頼! そう思う『雨宿りの雨宮利香』リカ・サキュバス(p3p001254)であったが『雨宿りのこげねこメイド』クーア・M・サキュバス(p3p003529)と共に進むものだ。GOD判定ダメじゃない? アレはあくまで茄子子じゃない? ていうか『たくさん燃えた』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)さん。二人の一部分を見ながら富士と例えるのはセクハラですよセクハラ! 誰が山ですか誰が!
 何はともあれ、加護が宿ってるのか今一つ分からないので念のために三者は空を飛翔しつつ亜竜も探すものだ。他の亜竜に見つかっては面倒なので、ヴィルメイズはあまり高く飛翔はしないものだが。
 しかしHUJIって名前だし目立つスポットぐらいある筈……特にクーアは優れし三感をも利用して探索の眼を張り巡らせようか。生態は謎だが、とりあえず色を頼りに。ええとたしか本当に茄子みたいな紫だったか?
「カイトさん、茄子子さん、ちょっとこちらへ……そうそうその辺りで……よし!」
「HUJIをバックに拝んでおきましょう。これで運気アップ! きっとご利益が沢山!」
「へへ。鳥さんの身が役に立つってんなら本望だぜ!」
 そして亜竜を探す流れは他の面々も行わんとする、が。その前にと『ドラネコ配達便の恩返し』ユーフォニー(p3p010323)に『グルメ・ドラゴニア』アルフィオーネ・エクリプス・ブランエトワル(p3p010486)はカイトと茄子子に二礼二拍手一礼――ほら、皆さんも一緒に!
「今日も素敵な日になりますように……! 事前の験担ぎは完璧ですねっ!
 後はサイクロプスさんと会う前にNASUBI・GODさんも探さねば……
 匂いとかも茄子に近いんでしょうか」
「本物も見ておきたいですよね。しかしFUJIじゃなくてHUJIなんでしょうか?」
 ユーフォニーはリトルワイバーンのワイくんに騎乗して空より確認を。更にはドラネコのリーちゃんฅ^•ω•^ฅも召喚し、感覚を共有して更に捜索の手を広げようか。アルフィーネは抵抗飛行して起伏にとんだ山岳地帯を楽に走行しながら……あっ。ちなみにFUJIじゃないよ、HUJIだよ。Fだとホンモノになっちゃうからね。此処は偽のHだよ。
 と言う訳でHUJIの山を進んでいく。
 正月のご加護を得る為に。新年の運試しの為に――違うわ間違えた! サイクロプス倒すのが依頼にして目的です! えぇ、一応!!


「ふ~~む。どこにおるのかのNASUBI・GOD!
 生き物ならば体温はあるじゃろ! 隠れても無駄じゃぞ無駄――!」
 そんなこんなでニャンタルはNASUBIを探していた。
 彼女もまた飛行しつつ後は温度に変化がないかと――おら! 生物なら温度はあるじゃろ! どこじゃ――! 見つけたら是非ともマシュマロボディを触らせて貰いたいのう。ぷにぷにしとるじゃろうか? それとも意外と硬かったりするかのぉ。
「……もしかしたら寝床から動いとらん可能性もあるな。どうするか。
 いざとなればカイトを囮に使うか? 何やら美味そうじゃし。釣られてくるやも。
 のうカイト。ちとばかしもぐもぐさせてもらっても……」
「えっ!? 今なんつった!? 鳥さんを、え、は!? おっきな鷹の俺だぞ? 幸運も2倍3倍? いや100倍ある筈だ!! でも喰われたらきっと幸運削減だ! 幸運が反転して不幸が1000倍だ――!!」
 ぴぃ! カイト、突然身の危険を仲間の方から感じるものである――!
 待て待て! 鳥さんを餌にしないで!
「とりあえず俺はあっち! あっち行ってみるぜ、お仲間もいそうだしな!」
 そう言って(逃げる様に)飛翔したカイトが向かった先には――感じ得る仲間(鷹)の気配であった。俺も覇竜の空を自由に飛びたいのだ……! あっ。そうだそうそう飛べない仲間に飛翔の加護を別けとくか。
「これで足場も多少はマシだろ! なっ! 飛ぶぐれーなら皆簡単に……
 え、飛び慣れていない……??? 飛び慣れ……? なんだそれ……???」
 かー! これだから生まれながらの鳥類は。かー! 鳥類マウントですよこれは! ダメだなカイトは。やっぱり後で焼き鳥にしよう。ぴぃ!
「とにかく探すわよ――急がなきゃ、そろそろサイクロプスが来る筈」
「どこにいるんでしょうね……これがOBONの時期であれば『生態は馬そのもの』と断言できたのでしょうが。それとも8ヶ月後あたりに下からワリバシ状の脚が4本生えてきて成体になったりは……」
「……クーア、そんな事言うとほんとに鉄帝のうさぎみたいにニョキって割り箸みたいな足生えて来そうで怖いからやめて。これ以上謎の生物が増えるのは困るし混乱したくないわ――」
 同時。リカとクーアは引き続き探索に当たっていた。鈍重な個体ならそう移動もしないはずだし適当にどこかで休んでるのでは、と思うのだが……うーむ。アルフィオーネも探しているのだが中々に見つからない。
「やれやれ。輝石も持参したのですがね、NASUBIはどうにも出てこない様で……やむを得ませんので、気分転換に流行りの歌でも歌いましょうか。ラララ♪ ラーラララ♪」
 広大な山岳地帯だ。故に探してばかりでは疲弊が募る、と。ヴィルメイズは持ち前の仮称を披露しようか。少しは休む事も大切だ――腰を落として、些か探索計画を今一度思案するとしよう。うん。
 ――あぁ、亜竜NASUBI・GOD。どんな味がするのか、すごく気になるわ。
「……茄子みたいだからといって、茄子味とは限らない。普通に獣肉味なのかもしれないし、お肉となすが混じり合った、マーボー茄子味かもしれない。中華風味にしてもおいしそうな……? ううん、じゅるり」
 アルフィオーネ、想像していたら口元から欲望がダダ漏れる。鷹も美味しそうよね。ええ。鷹は普通に鷹だから、食べちゃってもいいわよね? いいわよね? あそこのおっきな鳥さんなんて一番おいしそ……なんだカイトか。
 折角焼き鳥弁当にしようと思ったのに……と、その時。
「わ。サイクロプスさん達を発見しちゃいました……! もうすぐ来ますよ!」
 声を挙げたのはユーフォニーだ。彼女もまた『CTあげたいです……!』と、ちょっと欲望に染まりながら探していた。サイクロプスに出会う前にNASUBIに会えれば万々歳だ、と。あっちへパタパタ。こっちへパタパタ。ワイくんが頑張って飛翔しながら……
 だけど見つけてしまった。戦うべき存在――サイクロプスだ。
 わっ。早速投石してきた! まずいまずい迎撃だ!
「――私の山の秩序を乱すとは、不届き者ですね。なんたる罰当たりでしょうか」
 今こそ神罰執行の時、と紡ぐのは茄子子……いや茄子神だ。
 彼女は茄子神としての力を降り注がせる――具体的には付与やらエスプリの力――げふんげふん。茄子神の後光は、やはり確かなのである――と言う訳で皆に諸々の力を齎せば、はい。至高の茄子軍勢の出来上がり。
「では私は隠れてるのであとはおねがいします。神は容易に姿を現さないから神なのです」
「それってサボりじゃ――んっ!!?」
 そうして後は皆に任せようと茄子神が下がれ、ば。
 瞬間。カイトが気付いた――少し離れた所の大岩の近くに『何か』がいると。
 皆の捜索が実を結んだか。カイトのおまじないの勘も当たったか。茄子神による茄子の加護(テスタメント)が効力を発したか――? 『奴』の傍まで来ていたのは――
「ア、アレは……!」
「まさか……アレが伝説の……!」
 そう。それこそが――亜竜NASUBI・GODの姿であった。


 その姿は巨大な茄子の様であった。
 同時。その存在を見据えた時から謎の幸福感に包まれる。
 直後には体から力が湧き出てこようか。ぉぉ……!? なんだ、これは……!
 これが一富士二鷹三亜竜NASUBI・GODの効力――!?
「おぉ……! これがNASUBIの加護……! 今ならばより強い一手を齎せそうです!」
「ふぅん――亜竜NASUBI・GOD、でしたっけ? まぁ……私程ではないですね。 やはり真の茄子神への信仰が足りないからでしょう――手を合わせない不遜、それが所詮亜竜の証左ですよ」
 後方からサイクロプスたちへと迎撃の攻勢を仕掛けていたヴィルメイズの力が、明らかに増している……! 確実に一体ずつ毒を付与し、その身を蝕んでいくのだ! 茄子神は突如として現れた自らの紛い物なんて歯牙にもかけてはいないが。
「へぇ。あー霊験あらたかって感じするわー……さて……小物相手に奥義を初披露というのも癪ですが……この加護と一緒に、サクッと行きますよ」
「……希望が欲しい希望が欲しい希望が欲しいあと君の面影も欲しい。ついでに次の闇市のレリックも全部一発引きしたいし、なんなら次の次も……よし、完璧なのです」
 ファンブルが元々低いリカも、クリティカルの増強はともかく加護の強さを感じ辛い所はあったか――まぁいいかとクーアを見てみれば、なんか凄い拝んでた。ちょっと? なんだか凄い欲が出てない?
「っていうか汗臭いんですよ! ここ! 早く倒してくれないとなんか運気下がる気がするんですけど! 上がった気はしませんが下がった気はめっちゃするって! 人はマイナスの方が感じやすいんだから!!」
「とっとと切り刻んでやりましょうか――ね!!」
 ともあれ、と。引き続き投石してくるサイクロプスに攻勢を仕掛けようか。
 チャームの力をリカが敵陣へと齎せば、集まった所をクーアが一閃。
 然らば攻撃が通りやすいものだ――
 より深く。より鋭く。あぁこれもまた幸運の力!
「NASUBIすげーな! でっけえな! つまりこのドラゴンの頭の上にちょこんと乗れば縁起がいいんだな! どーよ! これこそが鷹+NASUBIの合作だぜ――! あっ、やめろ! ちげーって俺は餌じゃねぇ! 同じ縁起物同士で……うわー! こいつ食う力つえー!!」
「タプタプタプタプ……ムフフ……
 この手のひらに吸いつくような零れそうな感触……たまらんのう! 癖になるわ!
 おぬし。なんたるワガママボディを持っておるのじゃ……!」
 戦いは圧倒的に優勢。なにせ幸運の力は回避にも働くのだから。
 故にカイトは御礼がてらNASUBIの頭の上にちょこんと座ろうか――そしたら食材の匂いがしてしまったのかパックリと食われるもの。逃げてー!
 助けを求めるが、しかしニャンタルは顎から腹から二の腕やらをタプタプするのに忙しいのだ。はー極楽じゃ極楽……日が暮れるまでこうし……おっと!
「忘れる所じゃった! サイクロプス共を倒さねば――! ほれ、カイト! 遊んでないで往くぞ!」
「いや別に俺遊んでる訳じゃねーから! ぴぃー!」
「リーちゃん、いきましょう! 今ならきっと……今までにない力が出せます!」
「傷を負ったら無理しないようにね。倒せとは言われてないし」
 戦闘の事を思い出したので、ユーフォニーやアルフィオーネ達と一緒に戦闘参加だ!
 サイクロプス共を薙ぎ掃わんとニャンタルが特攻しながら殴りつけ、なんとか脱出しえたカイトも速度の儘に接近。刻む勢いでサイクロプス達を削れば、更にユーフォニーは全身全霊たる万華鏡の力を――此処に。
 収束させた力の渦が、かつてない程に輝きを見せよう――! これが幸運の力!
 サイクロプス共を吹き飛ばす。彼らも自慢の膂力で抵抗せんとする、が。
 多少の抵抗など無意味であった。茄子神やアルフィオーネ達がいざとなれば治癒するのだから。幸運ブーストのあるイレギュラーズ達に致命傷を叩き込むのは容易くない。
「逃げるなら追わないわよ? その程度で集落を襲おうなんて愚かね――一昨日来なさい」
「よぉおし! トドメを頂きじゃ――!」
 故に最早崩れているサイクロプス達へとアルフィオーネが弾幕を紡ぎながら警告。続け様にはトドメを指さんとニャンタルが跳躍し、突撃し……たらファンブって転んだ。アーッ!! 嘘じゃろー!!?
「ん、ちゅっ。茄子神の加護を此処に――あんなNASUBIのなりそこないより、真の茄子神だよ」
 でも大丈夫。会長印の治癒術投げキッスがニャンタルの傷を癒すものだ。そして。
「さ。終わりよ――筋肉隆々のダルマには退場してもらいましょうかね」
「至極マッシヴな美男子の胸筋以外認めないのです。ええつまり――貴方達はNGです」
 リカとクーアの連撃が、連中の息の根を止めようか。
 放つリカの一閃。大いなる魔力を纏い、万象を切り裂かんとする雷が――全てを穿つ。
 完成させた魔王の権能。その一端が、幸運の力と共に放たれるのであった。


 サイクロプス共は倒し切った――なので。
「ああー! なぜNASUBI・GODに私を食べさせようとするのですか? アッー!!! 痛い痛い痛い!! 尻尾を齧らないで!! このナスビ想像より凶暴なのですが!? これが本性だというのですか! 穏やかな顔の奥底では人を喰らう事を考えていると――!」
 NASUBIに喰われているヴィルメイズ。
 ええい、やかましいので暫くそのまま食べさせておこうと思いました。まる。
「へへ。しかし、此処って平穏なら多分登山客とかいる……んだよな?」
 って事はだ、と紡ぐのはカイトか――登山客がいるのなら、後光(太陽)刺すカイトを見てきっと頭を垂れるのではないかと。え、だって正月は鷹が目立つ日だぜ? 夢にまで出るんだぜ?
「そりゃ当然だよな??? つまり鳥は偉大! 鷹は偉大――あー! なんでまた食おうとするんだNASUBI――!!」
「食欲旺盛みたいね……ところでサイクロプスっておいしいのかしら。大きい目玉などは、ゼラチン質が豊富だろうし、筋肉隆々で歯ごたえがありそう。お腹なんか意外と柔らかそうだしねぇ。レバーの類も上手く調理すれば絶品だったりとか……」
 まーた食われそうになるカイト。ついで、アルフィオーネはサイクロプス達へと想いを……いや食欲を馳せるものだ。食えるのか、こいつら……?
 ――しかし、まぁ。なにはともあれ無事に解決してなによりだったとユーフォニーは思考する。
 この世界に来て丁度一年……想い出の日なのだ。
 たった一年……嬉しいことや楽しいことがたくさんあって。
 でも悲しいことや世界の危機もたくさんで……
「それでも。私はこの世界が大好きです」
 色んな人に出会えた。ドラネコ達にも、会う事が出来た。
 だから大事だ、この世界が。
 ――誰にとっても、この世界が心惹かれて楽しく素敵なものでありますように。
 願いを込めて、祈るものだ。
 小さくて大きな願いごと……託しますね、亜竜NASUBI・GODさん♪
「ナス~♪」
「え。啼き声ってそんな声なの!? 安直では!!?」
 今まで黙ってたのに突如喋ったNASUBIにリカが思わず叫ぶ――
 さて、まぁ。サイクロプスも退治できましたし、気持ちのいい新年を迎えることができそうですね。
「今年1年、健康に過ごせることは『私』が保証しましょう。」

 そう。茄子神である私がね――

 茄子神はどこまでも輝いていた。後光の輝きが、まるで全てを照らすかの程に。
「会長何やってんだろ」
 今更正気に戻っても遅いですよ茄子神さん!!

成否

成功

MVP

楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでしたイレギュラーズ!!!!!
 今年一年も皆さまがご無事であることを願って……
 ありがとうございました!

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