シナリオ詳細
テロリスト集団『スギの木植林部隊』
オープニング
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幻想。フェンブル地方の一角にて――騎士達が涙を流していた。
その原因は『花粉』だ。えっ時期が若干早いって?
まぁ事情があるんです。それは……
「抵抗を止めろ! こら、勝手にスギの木を植えるんじゃ……
ぐああああ!! コイツら、花粉を撒き散らしてきやがった!!」
「ふはははは! 無駄だ無駄だ! 我々が特殊改良したスギの木『ファイナル・SUGI』は既に花粉を飛ばす態勢である――! 何人たりともこの花粉から逃れ得る事は出来ないのだ!」
そう。『花粉』が撒き散らされる様にと、暗躍していた者達による陰謀である!
彼らはテロリスト集団『スギの木植林部隊』
かの集団はスギの木が齎す花粉の力を信仰しているのだ――花粉症とはマジでめっちゃキツい。特に鼻がやられて炎症を巻き起こしたら最悪である。止まらぬ苦しみが延々と襲い続けてくるあの恐怖――
しかし彼らはその恐怖を逆に利用できぬかとスギの木を兵器化したのだ!
それが『ファイナル・SUGI』
超急速に成長し、尋常じゃない花粉の量を撒き散らし人々に絶望を与える――スギの木である! 彼らはこのスギの木を更に改良し全土に植え、いずれこの国を(花粉によって)転覆させんと企んでいる危険集団である……!
「と言う訳なので、連中をぶっっっっっ殺してもらいたいのです」
「感情が激しい」
「花粉は許せねぇ。我々も怒り心頭なのです!!」
そんなこんなでローレットへと依頼が持ち込まれた。テロリスト集団『スギの木植林部隊』を壊滅させてほしいと……連中は騎士団から幾度も追われているのだが、逃げ足だけは速くて未だ捕縛に至っていない。
しかし遂に連中の根城を発見したのだ。やたらスギの木が生えている林地帯が見つかったと――そしてテロリスト部隊の姿がそこで目撃されたと――だが。
「ちょっと待って。そんなの花粉危険地帯じゃん!! ヤダよそんな所に突っ込むの!!」
「ローレットって――お金払えば何でもしてくれるんでしょう!!?」
「そうだけど何か語弊がある!!」
一応、説明しておくとその林地帯全てのスギが『ファイナル・SUGI』ではない。普通の無実のスギの木も混じっているらしく、それ故に簡単に火を放って解決とはいかない。いやそうで無くても火を放てば大規模な煙が生じる故に、テロリスト共に逃げられる可能性もあるのだ……どうしても内部に勇敢に、勇気をもって突入しうるものが必要なのである――!
そして、林地帯の中枢にテロリスト集団が本拠としている一軒家がある。そこまで辿り着けば後はテロリスト集団をぶちのめすだけだ……幸いと言うか、彼らの戦闘力はそこまで大した事はないらしい。よって、逃がさないように注意さえすれば倒すのは簡単だろう。
まぁ林地帯には先述の『ファイナル・SUGI』があちこちにいて、花粉を撒き散らしてくるんですけどね!
「なのでお願いします! 無力な我々に代わってどうか、彼らの討伐を!」
「それ絶対近寄りたくないだけだろ」
「いいえ! これは、これは英雄たるイレギュラーズの皆さんにしか――頼めないのです! あ、連中は花粉を敷き詰めた煙玉みたいなの投げてきますので、ご注意を!」
「絶対お前らが突入したくないだけだろ!! オイ!!」
……まぁなにはともあれ依頼であれば仕方ない。花粉を齎す悪意の馬鹿共をさっさと駆逐して――帰るとしよう! って、うわ。林地帯に入ろうとしたらなんかもう花粉でいっぱいなんだけど。え、ここに突入するの? マジで? いやだー! 帰して――!!
- テロリスト集団『スギの木植林部隊』完了
- GM名茶零四
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2023年01月30日 22時30分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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へっ……ふえっ……
ぶぇぇぇええ――――くしょいィィッ!!!
――森の中に『殿』一条 夢心地(p3p008344)のくしゃみ響き渡る。
幾ら森羅万象の殿とはいえ花粉には勝てぬ! おのれSUGIめが~!
「──SUGI、これは一族郎党滅ぼすしかあるまいの。皆の者、突撃じゃ~~!!
麿についてまいれ、全部伐採して行ってやろうかの~~!」
「ん( ‘ᾥ’ )ぶえええぇぇぇっくしょい! きーっ! 狙撃手にとって目と鼻がしゅむしゅむするのは命取りなのにぃ! こんな花粉出すSUGIを開発した連中、絶対狙撃手に恨みがあるでしょー!」
だからこそ刀を掲げ、勇敢に花粉危険地帯へと特攻する夢心地。同時に壮絶な、く( ‘ᾥ’ )しゃみをしたのは『ドラム燗』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)である――! 大丈夫? そのくしゃみ、( ‘ᾥ’ )が含まれてない? ともあれ涙が止まらないリコリスは怒りと共に夢心地に続こうか――あっスコープもめっちゃ汚れてる!
しかし皆が花粉を恐れる訳ではない。例えば。
「今年も出たのですね花粉信仰の破廉恥な輩……彼らは獣姦させられる杉達を可哀想とは思わないのでしょうか……! 大樹をも畏れぬ罰当たり! いいでしょう。彼らが改心しないと言うのなら……」
相応の報いを与えるのは幻想種としての責務です――と。述べたのは『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)であった……! 幻想種たる彼女にとって木々は隣人。花粉はその子と言える存在だから――
「燃やす準備は万端です……皆様、いざ参りましょう! 天誅を下す時です!」
いや違うぞ! 彼女はガスマスクで完全防護してる!! こら! なんだその花粉拒絶の意思は! と思うのだが、しかしエルシアにとって花粉信仰など破廉恥な輩の証左に過ぎない。だって子供ですよアレ? 木々や草花の子供。
人に媒介するなどつまりは獣姦に等しい……
SUGI達が可哀想だと思わないのか――ッ! 故にエルシアは幻想種としてあえて……ええそう『あえて』! 火を使ってでも事態を片付ける気満々である――!
「まぁ待てよ、此処は一旦落ち着け。何事にも正解はあるモンだぜ。そうだろ?
だからよ。此処は一端冷静になって考えるんだ。たしか何かの書物にあった筈だ、このクソ迷惑ボケ魔改造杉の花粉への対策を、対策を……こんなもんが自然に存在してたまるかクソボケ!! 全部殺せ! 花粉は消毒だ――!!」
そして『鬼火憑き』ブライアン・ブレイズ(p3p009563)は――もうダメだった。気が狂いそうであった! なんなんだよこのクソ杉共は~! スマートな解決法なんざ知らね~~!! ある訳ねーだろ自然の本にこんな害虫ならぬ害樹の対処法なんてよ!
だから往く。もう片っ端から滅ぼす為に。
ブライアンは鼻に詰め物を装備し、夢心地は刀を振り回し。
リコリスは涙を流しながら銃を構えエルシアは魔力を紡ぎながら――!
「私達、これからこの中に入らなきゃいけないんだね……
やだな。だって、もう黄色いじゃん。明らかに、黄色いじゃん」
「木々を植えようというその気持ちは良いのじゃがな!!
植える種類が! ギルティ! SUGIは環境破壊型・最終兵器じゃぞ!
あ、あ、あ――ぶえっっくしょん!!
こんな所にいられるか! わしは安全な空中に戻らせてもらうぞ!!」
更に(めっちゃ入りたくないけれど)続くのは『暖かな記憶』ハリエット(p3p009025)や『鉄帝うどん品評会2022『金賞』受賞』御子神・天狐(p3p009798)もであった。仕事を請けた時は、ここまで酷いとは思ってなかった――くそぅ。つくづく情報屋が事前に情報を調べておく事の意義をハリエットは痛感するものである……
と同時。天狐は空へ舞う――燃え滾る出前魂と花粉からの逃走魂が空中闊歩を可能とするのだ! そこからテロリスト共のアジトを熱源探知により見つけんとする。
「けどさ。そもそもなんで花粉を無効にする術とかこの世に存在しないのかなぁ」
そしたら人間はもっと生きやすくなるのに、と『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)は心底に思うモノ。だが恐らく花粉症は混沌の世界法則を超越しているからだろう。タブン。
「季節の必需品だろアレ……ていうかめちゃくちゃ花粉飛んでるじゃん。
なんならもうすでに服が黄色いじゃん、やだー!
おかしいってこの量は! 世界が黄色く染まってるじゃん!」
動体視力と呼吸に影響してくるので割とガチ目に困るものなんだよぉ! かっこいい魔法使う人とかだって、詠唱がくしゃみで途切れたりするわけだよ!? 普通に考えて地獄じゃん! やだー! 帰りたいー!
「『ファイナル・SUGI』……ひどい……これは、ひどい……です……見るだけで……へくっし! は、はやく、何とかしましょう……へくちっ! うぅ、ぐすぐす……」
そして涙目全開なのは史之に限らず『あたたかい笑顔』メイメイ・ルー(p3p004460)もである――涙目メイメイちゃんかわいいね。はっ。うっかり本音が……ともあれ彼女は止まらぬ涙を必死にこすりながらファミリアーの鳥を飛ばすものだ。天狐の動きに続けて空に放って……
「鳥類は花粉症にならないそうです、し、これなら……
あっ。花粉が! 花粉さんが鳥に襲い掛かって! あっ! 天狐さんも!」
でもその鳥も花粉にやられてる! うわあああ天狐も落ちるぞ!
地獄だ。地獄が此処に在る!
「行くの? やっぱり行っちゃうのみんな? 行くんだね、よろしいならば」
――戦争だ。ぶれすゆー、ヘクチッ、ふにゅう……
史之は祈る。『神のご加護を(Bless you.)』と唱えながら。
襲い来る花粉の波へと飛び込んだのだ。
●
でも覚悟を決めたって地獄は地獄です。ひー!
突入するイレギュラーズ達であったが圧倒的な花粉に悪戦苦闘中。
まずい、もうどうしようもない。死ぬ。花粉に殺されてしまう――!
「はぁ、はぁ……クソ! このまま花粉なんかに殺されてたまるか!
ていうか本当にやべーわこの森。全部テロリストのせいだ。極刑を望むね!
ひぃ、ひぃ……へぶし!! みゅう……」
止まらぬくしゃみ。史之は必死に腹筋に力を入れて抵抗中だ――
なんでもくしゃみを抑えるには腹筋が必要らしいと聞いた事がある。逆説的に言えばとんでもねー勢いでくしゃみしてる人は腹筋が弱い可能性があるという事クシャンッ!! ふに……
死にそう。くしゃみを我慢しすぎると最悪背骨粉砕が待ってるらしいし、抵抗し続けても地獄。降伏しても地獄だ。クソ! ヒグシュ!! んにゃあ……こ、こうなったら……!
「これが俺の覚悟だ――!! 血祭りにあげたらああああああああヘブッ! ふええ……」
「えっ? こんな所で名乗り口上!? 止めるんだー! 死ぬぞ――!!」
史之が吶喊する。そう、それはまるで自らが此処にいると示す様に……
花粉たちを引き寄せるのだ! はっ? 自殺行為だって? 分かってるよチクショウ! でもここは防技に優れる俺しかいないんだ! 思わずリコリスは止めんとするが、もう無理な感じだったので覚悟の敬礼をして見送っ……あ、寸前で史之が転んだ! 転んだところに花粉の波が――! あーあー、無茶するから!!
「骨は後でボクが花粉落としてから拾ってあげるからね……よし皆行こう!
ちょっと晴れた気がする所を通っていくんだー!」
「うん。もうどうにもならないなら……なるべくさっさと終わらせるしかないね……って、わっ。ゴーグルが、あっという間に黄色くなっちゃった……うう、見えないよ」
「キー! 未だこれほどの花粉を齎してくるとは……SUGIめ!
そっちがその気ならば――こっちはこのつもりじゃ!!」
倒れた史之を踏み台に飛び跳ねていく二頭身リコリス。目指すは一気にテロリスト共の小屋まで! 次いでハリエットはゴーグルに引っ付いた花粉をなんとか拭きながら前進し、そして夢心地は……んっ?
「オイコラ、内部から食うたろか。オマエらどこ中のモンじゃ?
こちとらカミキリ・夢心地じゃぞ! 麿のカミキリ剣術を知らぬとでも?」
二本の刀を触覚のように頭上に構え。威嚇音を発しながらシャカシャカ接近――!
そう。必殺の夢心地・カミキリムシモードである! 木々は虫の類が苦手じゃろうが、おぉん? ガンつけまくってSUGI達を恫喝する夢心地――お返しに大量の花粉がプレゼントされ、ぐあー! こいつら折ったろか――!
「害のある変態はどれほど可哀想でも駆除するしかありません。
ああ――生まれの不幸を呪ってください。ええ、貴方達には最早その道しかないでしょう」
と、その時。エルシアの言が紡がれた。彼女にとって『ファイナル・SUGI』は目的も忘れて花粉を撒く事が自己目的化している『変態』に過ぎない――ああ、まぁ。憐れでもある。
なにせ変態として生まれ、変態として生きる道しか定められていないのだから!
彼らへの憐れみが涙となって大地に流れ落ち……ない。だってガスマスクで妨げられるだもん。やむを得ないので予め採取しておいた涙をスポイトで垂らして、泣いている演出。この幻想種、情緒と人の心が無さすぎる……!
「なにはともあれここで介錯しておくのが慈悲でもあるでしょう。と言う訳で――さようなら」
そして彼女は全てを焼かんとする熱閃を放とうか。直線状に薙ぎ払えば倒れ伏している史之の背を襲う花粉共も焼き払って――そのまま、この事態のクソ元凶共の小屋にも届かんとする――!!
「うわああああなんだ!? 敵襲か!!?」
「見つけたぞ阿呆共!! 覚悟はいいじゃろうな――判決、死刑!!」
「こ、これ以上の、悪事はさせま、せ……くしゅん。うう、目もお鼻も限界です……」
「ん、このゴミクソテロリスト共がああああ! クソ杉の夢に抱かれながら死にやがれ――!」
さすれば同時。小屋へと突入するのは空から落ちてきて天井から刺さる様に入室した天狐。涙が止まらず泣きじゃくるメイメイ。壁をブチ破る勢いと共に跳躍したブライアンだ!
メイメイの放つ熱砂の一撃が邪魔な花粉を消し飛ばし、同時にブライアンが飛び込んで。
「テメェらの主義主張なんざ知らねぇ! テメェらがノされるのはコラテラル・ダメージってやつだぜ! 分かるか!? つまり仕方ない犠牲なんだ、俺も全く胸が痛まねぇから遠慮なくオラ死ねぇ!!」
「ぐぁあ! イレギュラーズだ開発中の花粉ボムを投げろ!」
「花粉ボム? 良かろう! その一撃、わしのライフで受けて立、ぼべ!」
しゃらくせぇ! と、ブライアンは投げつけられるボムを拳で打ち落としながら進撃しようか。天狐も顔面に直撃するも、ふぅ。ギャグキャラ補正のおかげで顔面が花粉地獄になっただけで助かった……! うーん前が見えぬのじゃが、これホントに助かっとる?
「はぁはぁちくしょうもう体の水分が足りないけれど、ここが正念場だ……!
絶対逃さないからなこるぁフグッ! みゅ……ヒギュ!!」
「みぃつけたぞ――! ( ‘ᾥ’ )ていていていっ!!!
投げさせてやるもんか、片っ端から撃ち落としてあげるよ! 真っ白な毛並みが自慢のぷりてぃ二頭身が古くなったタオルみたいな黄ばんだ色になっちゃった御礼をしなくちゃいけないんだー! おのれスギとスギの信仰者め!! 絶対に許さないぞ!!」
「……はくしゅん……くしゅん! ……困ったなぁ。くしゃみが止まらないと、照準が合わせ辛いよ……もう、アレかな……あの辺に適当に撃っておけば、当たるかな?」
そして小屋へと辛うじて辿り着く、涙も鼻水も止まらない史之。そろそろ脱水症状気味だが――リコリスとハリエットが一斉射撃の援護を放とうか。テロリスト達に、流した涙や鼻水と同じ量の血を流させてやるんだと! 特にリコリスは全力全開。
同時。彼女は七つの瞳の世界も覗こうか。
セブンアイズ……その世界は全て、黄色い地獄に染まっている――鋭い眼光で鑑定し戦略的に見据えて、疼く瞳で壁すら透視し花粉のスリーサイズが情報に流れ込んで来れば――うわー! 目が、目がァ~~!! 情報過多!
「興味本位でどんな光景を視られるか、なんて思わなければ良かった~! うう~テロリスト! 君達の服で鼻拭かせてよ。ちーん! ごしごしごし! ぺっぺっ!」
「ああ、リコリスさん……でも、テロリスト集団はこの花粉だらけの状況でも平然としてる……あいつらを縛り上げて、その理由を吐かせることができれば、花粉に悩む人たちを助けることに繋がらないかな」
「ふふふ。無駄だぞお嬢ちゃん! 我々はスギの木に魂を売ったからな! その結果で得た加護だ――スギのお世話を一生する代わりに花粉症にならない加護だ!!」
「わぁ」
思わず零れた言葉にはハリエットのどんな感情が詰まっていた事か……
ともあれテロリスト共は雑魚であった。
花粉ボムで抵抗してくるがイレギュラーズを止める事など叶わず。
「年貢の納め時よのぉ。道を間違えた罪を数えるがよいぞ!」
直後。突っ込んできたのは夢心地だ。彼の手にはSUGIの枝がある。
道中でSUGIの枝をもぎ取っておいたのだろう。何に使うか、など愚問。SUGIを武器にするのだ。SUGIの良さは花粉ではなくSUGI本体にある事をその身で体験させてやる――!
「お楽しみタイムであると知れぃ! そぉれSUGIじゃぞ! 嬉しかろう――!」
「ぎゃあああ――! SUGIの、SUGIの香りがここまで――!」
SUGIで叩き続ける事で、よりSUGIへの理解は深まろうというもの。
SUGIの持つ強度、しなやかさ、独特の香り……全てを感じるのじゃ。
「その身で本当のSUGIの素晴らしさを、の!」
こやつらは恐らく多分きっとシナリオ一本分程度あるであろう悲しき過去によって……SUGIの素晴らしさを知らぬまま、道を間違えてしまった……ならば教え、導くのも、殿的存在としての麿の務めじゃろう。キエエエ!
「そうです。自らの罪を認めて投降なさい……さもなくば手痛いしっぺ返しに襲われる事になるでしょう。三数える前に、抵抗を止めてくださいね……? はい、三」
「うわー! そう言いながらどうしてすぐ様に攻撃を――!」
えっ。だって一応警告しますけど……どうせ聞きませんよね?
エルシア、本気で困惑する顔。
所詮一般人程度の戦闘力しかないのであれば……SUGIと同様に効率よく駆除出来る筈。とうとう駆除とか言い出したよこの幻想種……しかし、なんですね。今ちょっと思ったんですが花粉ってもうこれだけの量があると。
「小麦粉とかでよくなる、アレが起こりそうですよね――あっ」
しまったフラグを立ててしまったと思った、その瞬間。
放った魔力が連鎖的に、小屋に溜まっていた花粉に連鎖反応。
――盛大な『粉塵爆発』が全てを吹き飛ばした。
●皆様後は任せました……ガクッ(byエルシア)
そんなこんなで戦いは終わった。盛大に燃え盛る小屋は……
まぁ依頼人の騎士団たちが何とかしてくれるだろう。ならば、と。
「花粉は、たしかに植物の繁栄には必要なもの、ですが……それは決して、ひとを苦しめるためのものでは、ないと思うの、です。純粋にスギが大好き、だった、最初の気持ち……思い出して下さい……めっ」
後はお説教タイムである――メイメイが語り、反省し心を入れ替えてくれる事を祈る。そんなメイメイだが、もう花粉の毛玉みたいになってる。ぼふぼふ叩いて振るい落とすが、その度にくしゃみが……へくちっ。
「然らば、後は調理の時間かの」
そして天狐の本領の時間でもあった。何をするかって? それは料理。花粉を回収(?)し練って生地にして花粉饂飩を茹でる――そしてこれをテロリスト共に喰わせます。
「えっ」
「何が『えっ』じゃ。自分で撒き散らした花粉を少しでも胃袋で消化するのじゃ。
なに安心せい。食えるレベルのモンは作っちゃる――
まぁ材料が材料であるが故、どんな効果を齎すかまでは知らんがの」
食えるなら栄養カプセルみたいな代物じゃからな、花粉。蜜蜂の花粉で作った健康食品とかあるしの……その応用だと思えばイケるじゃろイケる。万が一イケなかったとしても、まぁそれは連中にとっての罰と言う事で。
「ボクも食べるボクもボクもー! わーなんだか黄色っぽいおうどんを食べながら眺めるキャンプファイヤーはとっても綺麗だね! うーん、燃えろ燃えろ~!」
「クソ。もうあのクソ杉には近寄りたくねぇ……依頼主に任せて帰ろうぜ」
「くそ、まだ鼻水が止まらない……あたま痛くなってきた……ふみゅうう……」
そしてリコリスも興味本位から、うどんをちゅるり! うーんオイシ! 木々の伐採をブライアンと共に見据えながら、勝利の美うどんを味わうものだ。史之はもう体が限界だと天を見据えながらぶっ倒れ……そして。
「そもそもじゃな。アレルギー症状は人それぞれだが命に関わる事だってあるのじゃぞ? スギや花粉を信仰するのは勝手じゃがな、ただ撒き散らすだけでは信仰は得られん。ただの害あるものとして処理されてしまおう……これ。まだ花粉は沢山あるから食え、全部食え――喰いながら聞け――」
「ひぃ~~もうお許しを!!」
大量に作り出す事は出来たのじゃから、次は花粉症になり辛いスギ花粉を産み出せば信仰も得られるのでは……はっ? 何? それはもうスギじゃないって? やかましい努力せんか努力を。
「そういえば……年中花粉撒き散らす木材とか見方変えれば常に繁殖する木なんじゃろ? と言う事はじゃな……」
……ちょっと苗木をラサにでも植えてみる?
本気で思考する天狐。でも砂漠の土壌でも耐えうるか分からないし、万が一深緑の迷宮森林に花粉が飛び散ったら、まーた大変な事になってしまうかもしれない。止められそうだ……
まぁ何はともあれテロリスト共にはお灸を据える事が出来た。
イレギュラーズ達は――花粉に勝利したのである――
「……まぁこのSUGIに関係なく花粉の時期は来るんだよね」
「め゛ぇ……もう花粉は暫くいいです……とりあえず、おふろ、入りたい、です……」
吐息零しながら呟いたのは、ハリエットにメイメイか。
ああ。とにかくローレットに帰る前に一刻も早くシャワーを浴びておきたい。
目も鼻も駄目だこれ――あ、あ。くしゅん。
可愛らしいくしゃみが一つ、また森の中に響くのであった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
はっくしゅん!! へっくし!!
あ、ありがとうございました――!!
GMコメント
●依頼達成条件
スギの木植林部隊を壊滅させる事!!
●フィールド
幻想フィンブル地方の一角に存在するスギの木の林地帯です――
ここの奥にはテロリスト集団が本拠とする一軒家がある様です。皆さんはその一軒家までなんとか接近し、内部で更なる強力なスギの木を開発しようとしているテロリスト集団をぶちのめしてください!
林地帯はなんかやたら花粉が充満しています。
地獄の空間ですが頑張ってくださいね!
●敵戦力
・テロリスト集団『スギの木植林部隊』×4人
スギの木と、スギの木が齎す花粉の力を信仰している(アホの)集団です。
彼らの目的は全世界をスギの木で埋め尽くす事なのだとか――
許しがたい行為です。必ず壊滅させましょう!! うおー!
戦闘能力自体は一般人レベルです。逃がさないように注意すれば大したことはありません。しかし反撃手段として花粉を敷き詰めた煙玉の様なモノを放ってきます――マトモに喰らうと酷い花粉症っぽい症状が出るかも!
でもスギの木の加護があるのか、彼らは花粉症の被害を受けません。ずるいぞ!
・『ファイナル・SUGI』(スギの木)×たくさん
スギの木です。特殊な品種改良をされているらしく、めっちゃ急激に成長して、めっちゃ花粉を撒き散らしてきます。365日花粉を撒き散らす事が可能らしいです。あと時折『ギシャアアアアアア!!』とか鳴いてきます。生物兵器か? もう魔物の領域です。なにしてんだマジで。
悪意を持って花粉を撒き散らしてきます。なので倒してもいいのですが――まぁ動く事はないので、放置しておいてもいいです。後で依頼人の騎士団が適時潰していきます。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。絶対花粉だらけです。逃れる事は出来ません……!
よろしくお願いします!
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