PandoraPartyProject

シナリオ詳細

うさぎ達への挑戦状

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●年始×どじっ子=ハプニング!
「特異運命座標さん、大変だべ~~!!」
 鏡開きも終わり、正月ムードも明けようかという頃。
 依頼が少なく、暇を持て余した特異運命座標たちがポーカーで暇を潰している平和なお昼時に、厄介事はやって来た。
 ピンクの髪から覗くトビウオの耳ヒレ。独特の訛りをもつ海種の娘、ペッシェ・アリントン。
 ぱっと見は虫も殺さなそうな少女だが、そんな彼女に『爆香術師』なんて物騒なあだ名が付いているのは理由がある。

「海洋の海辺にとんでもない魔物が現れふぁあああ~~!??」

 入口を勢いよく開け放ち、一歩進んだところで何もないのにすってんころりんつまづいて、腰につけていた香袋の口が開く。
 辺りにむせ返りそうなほど甘い匂いが充満し、どんどん! ぱぱーん!!と色とりどりの火花が散った。

 ペッシェ・アリントンはお香に魔術を練り込み神秘を行使する調香術師であると共に、恐ろしくドジっ子なのだ。

「ふえぇん! くま避けのお香が暴発しちまったべ~!」
「おーおー、年明けから随分と派手にやらかしてんなぁ」

 慌てる弟子の様子を遠巻きに見ていた『調香術師』朝長 晴明(p3p001866)は、やれやれと言った様子で席を立ち――負け越しそうなポーカーからしれっと離脱して――彼女の方へと歩み寄った。手にした小瓶から香水の調香魔術を解き放ち、甘すぎる香りをローレットの外へ押し流す。

「お師匠様ぁ、助けてくれてありがとだっぺぇ」
「後で香水代はキッチリ請求するからな。で、今回はどんなトラブルがあったんだ?」
「はっ! そうだったべ、大変なんだべ! おらぁまた調香術に失敗しちまって、海洋の海辺にたっくさん『挑戦ニンジン』を呼んじまっ――」
「それは一大事だ! 今すぐ解決しに行くぞ!!」

 ペッシェが全て言い終わらないうちに、いままで面倒くさそうだった晴明がシリアス顔で仲間へ振り向く。

「トランプなんざさっさと片付けて、現場へ急ぐぜ! 港町の皆さんに怪我があったら大変だ」
「特異運命座標の皆さん、お師匠様、どうかよろしくお願いしますだ」

 ぺこぺこ頭を何度も下げるペッシェの隣で、晴明はほくそ笑んだ。

(挑戦ニンジンといやぁ、薬草としちゃ一級品の魔物じゃねぇか! 乱獲して売りさばけば大儲け!!こりゃあ年明けからツイてるぜ~~!!)

●バトル×ニンジン=大混乱!
 海洋某所の海岸。
 失敗した術式の跡地へ群がるように、やつらは海からやって来た。
 木の板をサーフボード代わりにして波に乗り、白い砂浜へ着地する挑戦ニンジン達。
 二股の脚で砂地を走り込み、生えた両手でシュッシュとシャドーボクシング。そんな彼らの思いはひとつ。

――ウサギ死すべし、慈悲はない!!

NMコメント

 今年も貴方の旅路に乾杯! NMの芳董(ほうとう)です。
 年始ネタまだ間に合うと思ったんです……! ちょっとだけお付き合いください(・×・)

●目標
 魔物の全滅

●戦場
 海洋王国、某所の浜辺。白い砂浜。潮風がちょっと寒いかもしれませんが、行動にペナルティは発生しません
 皆さんの他に人の気配もなく、視界が開けた場所です。
 すでに魔物達がぴょんぴょこあちこちで跳ね回り修行をはじめています。

●エネミー
 挑戦ニンジン×20
  全長1.5メートルほどのニンジン。ニンジンを二股にして、赤い両手を生やしたような外見の魔物。
  すばしっこく警戒心が強いため、普通に近づくと逃げてしまいますが、
  ウサギに食われたニンジンの亡霊が集まってできたらしく、着ぐるみでもバニーガール&バニーボーイでもとにかくウサギっぽいものに対しては「ウサギ死すべし、慈悲はない!」とばかりに挑んできます。
  近距離には二股の長い脚からくり出すニンジンキック、中~遠距離には葉っぱを揺さぶることで衝撃派を放つ葉動拳で攻撃をしてきます。
  料理すると甘さたっぷりでおいしい。

 超挑戦ニンジン
  挑戦ニンジンよりもふたまわりぐらい大きいニンジンの魔物。殺意っぽい不穏なオーラをまとっています。
  こいつもウサギに恨みをもっているようで、挑戦ニンジン達を倒したウサギの前にのみ出現するようです。
  近距離には【業炎】をともなう火ロットキック、中~遠距離には【混乱】をともなう超・葉動拳を放ってきます。
  料理すると甘さたっぷりで超おいしい。

●味方
『爆香術師』ペッシェ・アリントン
  依頼人の海種。田舎訛りがぬけないトビウオの女の子。戦闘の邪魔にならないよう、うさみみカチューシャを付けて戦場のすみっこの方で皆さんの様子を見守っています。ドジっ子ですが料理の腕だけは自信あり。

『調香術師』朝長 晴明(p3p001866)
  ペッシェに調香術師のいろはを叩き込んだ人物。特異運命座標でローレットに所属しています。
  ルックスは甘いのに、ギャンブル好きで残念なぐらい金汚いのが玉にキズ。適当にどこからか見繕ってきたうさみみカチューシャをつけ、ペッシェの護衛についています。挑戦ニンジンを売りさばいて儲けようなどと思っているようです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。依頼人の言葉に嘘はありませんが、不明点もあります。

●その他
 どんなうさぎっぽい衣装にするか、ぜひプレイングで指定していただければ幸いです。おまかせの場合は芳董が趣味に走ります。

 情報は以上です。ラビットファイトー、レディー・ゴーッ!!

  • うさぎ達への挑戦状完了
  • NM名芳董
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年01月28日 22時15分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
ジルーシャ・グレイ(p3p002246)
ベルディグリの傍ら
十夜 蜻蛉(p3p002599)
暁月夜
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛

リプレイ


「ジルーシャさん! おらまた失敗しちまって…」
 ふえぇ、と顔をふにゃふにゃにしたペッシェの頭を『月香るウィスタリア』ジルーシャ・グレイ(p3p002246)がぽんぽん撫でて落ち着かせる。
「大丈夫よ。猫の時みたいに、アタシ達がなんとかするから」
 猫、というのは以前ペッシェが起こした事件の事を差す。
 港町で調香術に失敗した彼女は大量の猫を呼び寄せ、町をパニックに陥らせてしまった事がある。その時に助けてくれたのがジルーシャを含む特異運命座標だったという訳だ。

「ニンジンを集められる香りなんてすごいじゃない! 猫の時とは違って、おいしいお野菜はいくらあっても困らないもの。きっと皆喜んでくれるわ♪」
「そう言って貰えると嬉しいっぺ」
「まぁ、事件現場が無人の浜辺ってだけでも前より被害は少ないし、成長したんじゃないか?」

 一方、ペッシェの師である朝長 晴明は心の中で考える。

(混乱に乗じて倒した挑戦ニンジンを持ち逃げすりゃあ、新年から大儲けだぜ……ククク)
「そういえばさ、晴明さん」

 悪い顔をしているオッサンを横目に、思い出した様に声をかけたのは『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)だ。

「俺、イザベラ派にコネクションがあるんだよね」
「!? そういやMr.史之はイザベラ女王陛下に一番近い特異運命座標だったな」
「収穫した後、どうせ流すんなら金持ちに流そうよ。一口乗らない? どう?」
「あぁ~! もうそりゃ喜んでっ!さっすが史之の旦那、商売の才もありそうでMs.睦月も安泰だよなぁ」

 一瞬にして態度を変え、揉み手しながら寒櫻院夫婦に近づく晴明。唐突に彼から話を振られ、『しろがねのほむら』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)は目をまん丸くして驚いた。

「確かにしーちゃんは大黒柱として頑張ってくれてますけど……晴明さん、しーちゃんと唐突に距離詰めすぎじゃないですか?」

 これはまずい。史之の嫉妬感知センサーがアラートを上げ、耳打ちでの話し合いに慌てて持ち込む。

(だってしょうがないじゃない。晴明さんのあの顔、絶対横取りする気だったって)
(分かってるけど浮気は厳禁、だからね?)
(俺が同性を好きになる訳ないでしょう!)

 そうこうしているうちに現場に到着だ。『暁月夜』蜻蛉(p3p002599)が目の前に広がる夕景に――いや、夕景とは違う何かに目を細める。

「海洋の浜辺が、これまぁ見事にオレンジ色に染まって…って、よお見たらお野菜のニンジンさんやないの」
「亡霊って聞いた時はどうしようかと思ったけれど、野菜なら怖くないわ! …多分!」

 ジルーシャの声が若干うわずっている事を察し、睦月の意識がそちらに逸れた。史之がそれに救われたのは言うまでもない。

「それじゃ早速はじめましょう! にんじんさんを引き付けるために、まずはバニーさんになる必要がありますね」
「この兎のお衣装を着て戦えばええのね?」

 ペッシェチョイスの兎な服を蜻蛉が抱え上げる。幸いな事に地元の人が協力的で、海の家に暖房魔法をかけて着替え用に貸し出してくれるそうだ。
 さっそく準備をはじめようと、特異運命座標たちは更衣室へと入っていった。


 い っ そ 殺 し て く れ ! !

「いや、これは海洋の依頼だ。海洋の依頼ということは海洋の国益へつながる。
 俺はこのためにMAX運命砲打ったし後悔はしてない、やってやるさ…女王陛下のためならば!」
 などと受注した己を呪うまいとぶつぶつ呟く史之は、正当派の黒バニーに…えっ、女物ですか? どうして??
「ハイレグでも網タイツでも後ろシームでもまとめてこい! イザベラ派バッジと女王の珊瑚のネクタイピンが、俺の心を支えてくれる!」
 付け袖には舵輪のカフリンクス。どんな無茶振りでも女王陛下のためだと思えばなんのその――

「なにその装備。僕の逆鱗に触れたいわけ?」
「だからふくれないでカンちゃん! これは俺のお守りだから!見逃して!」
「蒼矢さんのところでバニーデビューしたから何も怖くないと思ったのに」

 ぷくーとふくれっつらするバニー姿の睦月も可愛い。こちらは黒と赤、史之のイメージカラーを基調とした愛情たっぷりセクシーバニーだ。
「二人の兎のお衣装、とっても素敵やねぇ」
 騒ぐ夫婦の後を追うように歩いて来た蜻蛉の衣装はマルシュキニアイ。ふわふわウールの帽子に兎耳、刺繍の入ったシャツやスカートは、いつからか旅人によりペッシェの地元に伝来した物だという。

「はぅあ〜! 蜻蛉さんもお似合いですべ!」
「ほんまに? 春を先取りしたみたいやわぁ。そういえば、ジルーシャさんは…」

 キラキラ海に反射する太陽の光を背負い、白服のバニーボーイーージルーシャがニンジン達へ微笑みかける。
「ふふーん、こんなこともあろうかと用意しておいた衣装なのよ♪ さあ、どこからでもかかってらっしゃ――ギャァァァ本当に来たーーー!?」
 名乗り口上を皆まで言う前に群がる挑戦ニンジン達。普段よく見るニンジンに手足が生えただけの存在だが、わらわらしてると気味が悪い。

「大変です! ジルーシャさんが腋フェチ挑戦ニンジンさんに集られてます!」
「睦月さん、ニンジンさん達の傾向が分かりはるん?」
「腋サイコー! って聞こえるんです、動物疎通で!」
「動物疎通?」
「動物疎通です!」

 腑に落ちず蜻蛉は二度聞きしたが、睦月は至って真剣だ。そのすぐ隣で史之は覚悟を決めたとばかりに気を取り直し、戦闘を開始する。まずはニンジン達の怒りを集め、倒しやすいよう集めなければ!

「ほらほら、ご所望のうさぎさんだよ。人参なんて所詮うさぎの餌にしかなれないのにイキっちゃってまあ、かわいいね?」

 思惑通りに飛び蹴り、アッパーと思い思いの技をくり出すニンジン達。それらを抜刀した太刀で受け止め、史之は深く一呼吸。
 秘技「秋霖」が鮮やかに決まり、葉を雨の様に落とす勢いで頭部のヘタを切除する。ソウルオブガストロリッターで食材適正のついたニンジン達へ、睦月のワールドエンド・ルナティックが炸裂! 識別の力で史之への被弾を避けているのは彼女の愛情ゆえだろう。

「ありがとう、カンちゃん。…まだむくれてるの?」
「依頼はチームワーク! しーちゃんの為じゃないからね!」

「戦闘しながら下準備なんて、史之も睦月もなかなかやるわね」
 混乱したニンジンの中には逃げようとする者も。ジルーシャがすかさず竪琴の弦を弾き、辺りに温もりを感じさせるウッディな香りを漂わせた。砂浜から目を覚ました土の精霊達がニンジンを絡め取り、身動きを封じきる!
 間髪入れずに、ふ…と支援していた蜻蛉が一歩、進み出た。押さえつけられたニンジンへ降りかかる呪いーー悠久のアセマナが暴れる力を吸い上げる。
「食べられて悔しい恨みも分かります…けど、それだけ美味しいお野菜なんよ」
 優しささえ滲む蜻蛉の言葉に心が揺らぎかけるニンジン達。しかし恨みを思い出せとばかりに、どんどこ地面を叩きはじめる。

「何なの? 水の精霊達が騒ぎはじめたわ!」
「見てください、あれ!」

 ジルーシャの驚きの声に、睦月の叫びが重なる。海面が膨れ上がり、ざぱーん! と水柱を上げて飛び上がる巨体。

「よおやっと、親分さんがお出ましやわ」
「挑戦ニンジンよりもふたまわり、にしては大きすぎない?」

 蜻蛉と史之が現れた魔物に口々に感想をこぼす。超挑戦ニンジンーー奴らのボスのお出ましだ。

『ウサギ、オレタチ、食ウ。ユルサナイ』
「兎さんの好物がニンジンなんやもの…しょうがないやないの」

 怯む事なく言葉を返した蜻蛉は、ふんわりと扇を振った。辺りに降り注ぐ黒猫めいた艶やかな香と、癒しの福音。

「これならまだ戦えるね」
 火炎対策は用意済みだ。そう簡単にやられるかと史之が前に進み出て、怒りで吊ろうと進み出る。が――
「火ロットキック、普通に痛いな!?」
 猛攻に耐え、ナイアガラデッドエンドで反撃を続ける史之。旦那様の頑張りを間近で支えるべく睦月のクェーサーアナライズが飛ぶ。
「ファイトだよしーちゃん! この時間稼ぎも作戦だから」
 蜻蛉と睦月の癒しの力で守備は万全。攻め手を任されたジルーシャは、香術の媒介となる匂いを辺りへ満ちさせた。
「巨体には巨体をぶつけるものよ。…来なさい、ウィッカーマン!!」
 草木で編まれた巨人の幻影が現れ、超挑戦ニンジンと組み合った!
 自ら身を焦がし敵を巻き込むウィッカーマン。ずずん!と諸共に倒れる姿は圧巻だったが、ふと史之は冷静になった。
(バニーの依頼じゃなくて、これ…特撮の依頼だ!)



「…ピ、ピーラー…ピーラー持ってきました」

 海の家で料理が始まるなり、睦月はぎこちない動作で片手を挙げて申告した。じゃあと蜻蛉が洗い終わったニンジンの山を睦月の前へと持ってくる。

「頼りになるわ♪ ペッシェさんも手伝ってもろてええ?」
「んだ! 具沢山のお料理にするべ!」
「ペッシェさんもピーラー使いますよね?」

 さっそく包丁で皮を剥こうとしたペッシェに睦月が涙目で訴えかける。そんなに気にしなくていいのになぁと、カレールーを溶かした鍋の面倒を見ながら史之は様子を眺めていた。あえて声をかけないのは、料理を手伝う睦月の懸命さが嬉しいからだ。

「蜻蛉さん、デザートには何を作ってくれるの?」
「そおやね…甘みを生かしてケーキなんかは如何やろ?」
「賛成だぜ。疲れには甘いモンが必要だ…」

 史之と蜻蛉の会話に割って入ってきたのは晴明だった。労働から逃げ出した彼を呆れた様子でジルーシャが見下ろす。

「持ち運ぶには解体しないとデュラハンの荷車に収まらないんだから。あとちょっと頑張りましょ?」
「ノコギリの使い過ぎで俺ァもうダメだ!」
「それなら一息つきましょか。ニンジンさんのジュースはいかが?」

 賛成だと集まる仲間に蜻蛉はジュースを配って微笑む。

「今日は1日、兎の気持ちやわ♪」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

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